2015年1月12日月曜日

ワーグナー:オペラ『バルジファル』

ワーグナーが1865年から書き始め、1882年に完成させた、ワーグナー最後のオペラ。

その構想は、ローエングリンを作曲した頃からあったという。

中世のスペインを舞台にした、聖杯を守る騎士の物語がベースになっている。

全体的に重々しい音楽で、ワーグナーは自らこのオペラを、舞台神聖祝典劇と呼んで、拍手をすることを禁じたという。

主人公のバルジファルは、汚れなき愚者とされ、ニーベルングの指環のジークフリートを連想させる。

親のない子供が、世界に平和をもたらすというテーマは、まさにニーベルングの指環のテーマでもある。

バルジファルは、白鳥を射落としたものとして登場するが、これは、ローエングリンを連想させる。

第2幕で、魔法使いのクリングゾルがバルジファルを女性を使って誘惑するが、これは、タンホイザーのテーマとも共通する。

そうした観点では、このオペラは、ワーグナーの総決算、とも言える。

その他にも、いろいろな箇所に、ワーグナーの思想に裏つけられた様々な”記号”が登場し、そこからいろいろな解釈を生み出すことができる。

キリスト教を毛嫌いしていたニーチェは、このオペラを巡ってワーグナーを非難して、二人は決別することになった。

純粋で無垢な人間が聖杯を手にする、というプロットは、映画レイダースの最初のシリーズ”失われたアーク”のテーマにも影響を与えているのかもしれない。

2013年のザルツブルク・イースター音楽祭の公演から。

2015年1月3日土曜日

ドビュッシー:オペラ『ペレアストメリザンド』

ドビュッシーが完成させた唯一のオペラ。1893年から1901年にかけて作曲された。

原作は、メーテルリンクの同名の象徴主義を代表する戯曲で、ドビュッシーの他にも、フォーレ、シェーンベルク、シベリウスらが、この作品を音楽にしている。

ドビュッシーは、このオペラを、当時流行していたワーグナーのオペラへの批判として作った。

今日から見ると、アリア中心の伝統的なオペラではなく、出演者が歌うというより、セリフを喋るようになっており、ワーグナーの楽劇、とある意味では、よく似ている。

勿論、音楽自体は、ワーグナーの壮大で権力者が好みそうなものとは、全く異なっているが。

このドビュッシーの試みは、シェーンベルク、ヤナーチェク、バルトーク、メシアンなどに大きな影響を与えた。

物語の最後で、ゴロー(バリトン)は瀕死のメリザンド(メゾ・ソプラノ)に対して、ペレアス(バリトン)との間でいったい何があったのか、真実の告白を迫るが、メリザンドはそのまま息絶えてしまう。

真実は、決して明らかになることはない、というメーテルリンクのメッセージが、妙に心に残る。

エッセン歌劇場の2012年の公演から。光と闇を効果的に使い、余計な物を一切省いた、ストイックな舞台演出が印象的。