2012年12月22日土曜日

リヒャルト・シュトラウス:オペラ『サロメ』

オスカー・ワイルドの原作に、リヒャルト・シュトラウスの音楽とくれば、面白くない訳はない。

しかも、わずか1幕で、2時間ほどで終わるので、オペラに初心者にも聞きやすい構成になっている。

シュトラウスは、この作品を1903年から1905年にかけて作曲した。

ストーリーは、新約聖書に描かれている挿話をもとにしている。ヘロデ王は兄を殺してその后ヘロディアスと国を奪う。后と兄の娘であるサロメを自分のものにしようとするが、サロメは、自分の踊りを見せる代わりに、預言者のヨカナーン(ヨハネ)の首を要求する・・・

オペラの前半は、登場人物の人物像や関係が、様々な音楽で多彩に描かれるが、サロメが踊り終え、ヨカナーンの首を要求すると、オペラは一気に陰鬱な世界に突入する。その対比が見事。

サロメのソプラノ、ヘロディアスのメゾ・ソプラノ、ヨカナーンのバリトン、ヘロデ王のテノール。その4人の歌声が、見事に調和している。

このオペラは、最も良く出来たオペラの一つだ。

バーデン=バーデン祝祭劇場2011年の講演では、サロメ役は、アンゲラ・デノケ。サロメ役では定評があるということだが、年齢が高過ぎ。母役ヘロディアスを演じるドリス・ゾッフェルとほとんど変わらない年齢に見えて、これでは、全くの興ざめ。

最後に、ヨカナーンの首が登場するが、これをどのように演出するかもこのオペラの鍵になる。

素材は一流だが、これをどう演出するかによって、これほど印象が変わるオペラも、珍しい。

2012年12月15日土曜日

プロコフィエフ:交響曲第5番

プロコフィエフが1944年にわずか1ヶ月あまりで作曲したといわれる5番目の交響曲。

折しも、ドイツの侵攻を受け、危機に陥った祖国の状況を見て、自分も何かしなければ、という思いにかられて作曲した、といわれる。

内容は、たしかに国民を鼓舞するような壮麗なパートもあるが、モダンな側面、ロシアの音楽らしい重厚な雰囲気、コミカルな側面もあり、プロコフィエフの様々な側面を味わえる交響曲になっている。

特に、第4楽章のフルートで奏でられる有名なメロディは、プロコフィエフのコミカルな面がよく表れていて楽しい。

フィナーレは、古典的な壮麗さと、モダンな不協和音を、あわせて表現したかったような、ちょっと微妙な雰囲気。

ストラヴィンスキー:詩篇交響曲

ストラヴィンスキーが1930年に作曲した、聖書の詩篇(38、39、150)をもとに、交響曲というよりは、オラトリオのような作品。

晩年の新古典主義の時代の作品。確かに、第2楽章、第3楽章は、古典的な印象だが、第1楽章は、やや初期の前衛的な雰囲気を残している。

こうした聖書を主題にした作品に取り組んだ、ということ自体が、古典への回帰、ということなのかもしれない。

2012年ザルツブルグ音楽祭のオープニング・コンサートから。ヴァレリー・ゲルギエフ指揮、ウィーンフィル、ウィーン国立歌劇場合唱団の演奏。