2020年5月17日日曜日

エルガー:オラトリオ『ゲロンティアスの夢』

イギリスの作曲家、エドワード・エルガーが1900年に完成させたオラトリオ。

エルガーは、1889年に結婚した際に送られたジョン・ヘンリー・ニューマンの同名の長編詩にとても感動して、いつかは音楽作品にしたいと思っていた。

通常のオラトリオは、聖書の言葉から作られるが、このオラトリオは全てニューマンの詩で構成されている。

紙を目の前にしたゲロンティアスが、死の恐怖を切々と語るが、その魂は天使によって救われるというストーリー。

2017年12月にフィルハーモニア・ド・パリで行われた公演。指揮はダニエル・ハーディング。演奏はパリ管弦楽団および合唱団。

ラモー:オペラ『みやびなインドの国々』

バロック期のフランスの作曲家、ジャン=フィリップ・ラモーが、1735年から36年にかけて作曲したバレエ付きのオペラ。

ラモーは、『和声論』を出版するなど、音楽理論家でもあった。

愛を捨てて戦争に情熱を注ぐようになってしまったヨーロッパ。

女神エペは、愛する恋人たちを求めて、ヨーロッパ以外の地にキューピッドたちを派遣する。

ラモーが活躍した時代はルイ15世の優雅なロココ時代。前のルイ14世の時代は戦争に明け暮れた時代だった。

戦争よりも愛。そうした時代を象徴するようなテーマの作品。

インドとは、当時はヨーロッパ以外の地域を意味する。

舞台は、トルコ、インカ、ペルシャ、アメリカで、皮肉にもインドは登場しない。

2019年10月、パリオペラ座バスチーユでの公演。ヒップホップ調のダンスが登場する、現代風な演出で話題になった。

2020年5月10日日曜日

ベートーヴェン:チェロソナタ第5番

ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1815年に作曲した最後チェロソナタ。第4番の後、1ヶ月を置いて作曲された。

第1楽章、Allegro con brio。

第2楽章、Adagio con molto sentimento。

哀愁に満ちた実に美しい音楽。ベートーヴェンの数あるアダージョの中でも、屈指の名曲。チェロという楽器の特性がとてもよく活かされている。

第3楽章、Allegro。

第2楽章とは雰囲気が一気に変わる軽快なアレグロ。5つのチェロソナタの最後に相応わしい晴れやかなフィナーレ。

2019年5月、ベルギーのエリザベート王妃音楽院での演奏から。チェロはゲイリー・ホフマン、ピアノはデイヴィッド・セリグ。

ベートーヴェン:チェロソナタ第4番

ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1815年に作曲したさせた4番目のチェロソナタ。

ベートーヴェンの円熟期のチェロソナタ。再び、2つの楽章の構成が採用されているが、音楽の質が、初期の第1番、第2番とは全く違った、内省に溢れた内容。

第1楽章、Andante - Allegro vivace。

第2楽章、Adagio - d'Andante - Allegro vivace。

2019年5月、ベルギーのエリザベート王妃音楽院での演奏から。チェロはゲイリー・ホフマン、ピアノはデイヴィッド・セリグ。

ベートーヴェン:チェロソナタ第3番

ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1808年に完成させた3番目のチェロソナタ。

交響曲第5番や6番、ピアノ協奏曲第5番などと同じ時期に作曲され、ベートーヴェンのチェロソナタの中でも最も有名な曲になっている

第1楽章、Allegro ma non tanto。

チェロソナタというイメージとは全く異なった奥行きのある構成。

第2楽章、Scherzo.Allegro molto。

ピアノの躍動感ある旋律にチェロが連れられていく、というイメージの楽章。

第3楽章、Adagio cantabile - Allegro vivace。

第1番、第2番では、第1楽章で使われていた構成がここでは第3楽章に置かれている。

静かなアダージョに始まり、華やかなアレグロが展開する。

2019年5月、ベルギーのエリザベート王妃音楽院での演奏から。チェロはゲイリー・ホフマン、ピアノはデイヴィッド・セリグ。

ベートーヴェン:チェロソナタ第2番

ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1796年に作曲した2番目のチェロソナタ。

ベートーヴェンは、この時期にウィーンから、ボヘミア地方やプロイセンに旅行をしていた。その際に、第1番とともに作曲された。

そのせいか、この2曲は当時のプロイセン王のフリードリッヒ・ウィルヘルム2世に献呈されている。

第1楽章、Adagio sostenuto ed espressivo - Allegro molto piu tosto presto。

第1番と同様にアダージョで始まるが、こちらはやや熱情的なアダージョ。

後半のアレグロ・モルトがこのソナタ全体の主部。チェロとピアノの掛け合いが美しい。

第2楽章、Rondo, Allegro。

2019年5月、ベルギーのエリザベート王妃音楽院での演奏から。チェロはゲイリー・ホフマン、ピアノはデイヴィッド・セリグ。

ベートーヴェン:チェロソナタ第1番

ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1796年に作曲した1番目のチェロソナタ。

ベートーヴェンは、この時期にウィーンから、ボヘミア地方やプロイセンに旅行をしていた。その際に、第2番とともに作曲された。

そのせいか、この2曲は当時のプロイセン王のフリードリッヒ・ウィルヘルム2世に献呈されている。

第1楽章、Adagio sostenuto - Allegro。

いきなりアダージョで静かに始まる。旅行中の気分が反映されているのだろうか。

後半のアレグロのパートでは、ちょっとモーツァルトのような哀愁に満ちたメロディや、明るい旋律が現れる。

第2楽章、Allegro vivace。

2019年5月、ベルギーのエリザベート王妃音楽院での演奏から。チェロはゲイリー・ホフマン、ピアノはデイヴィッド・セリグ。

2020年5月6日水曜日

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲

ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンが1806年に作曲した、ヴァイオリンとオーケストラのための協奏曲。ベートーヴェンにとって唯一のヴァイオリン協奏曲となった。

交響曲第4番、ピアノ協奏曲第4番を作曲したのとほぼ同じ時期で、いずれも穏やかなイメージの音楽になっている。

第1楽章:アレグロ・マ・ノン・トロッポ。

印象的な主題のメロディー。交響曲に匹敵する伸びやかで勇壮なオーケストラ。

第2楽章:ラルゲット。

静かな音楽が、やがて叙情的な音楽に変わっていく。

第3楽章:ロンド アレグロ。

第2楽章から切れ目なく始まる。リズミカルなヴァイオリンによる主題が展開されていく。

初演後はしばらくして、次第に演奏されなくなり忘れられて行ったが、ブラームスの友人でヴァイオリニストのヨーゼフ・ヨアキムがこの曲を高く評価して、生涯に渡り演奏をし続けた。

ヨアキムは、一時期メンデルスゾーンに師事していたが、ベートーヴェン 、メンデルスゾーン、ブラームスのヴァイオリン協奏曲が、3大ヴァイオリン協奏曲と言われていて、ヨアキムはその3つの曲全てに関係していたことになる。

2008年1月、ウィーンの学友協会で行われた、小澤征爾指揮、ベルリン・フィルによる演奏から。ヴァイオリンは、アンナ・ゾフィー・ムター。

2020年5月5日火曜日

ヴェルディ:オペラ『二人のフォスカリ』

ジュゼッペ・ヴェルディが、31歳の頃に書いたオペラ。

イギリスの詩人バイロンが書いた、実話を元にした戯曲がストーリーのベースになっている。

ヴェネツィアの総督フランチェスコ・フォスカリが、政敵の策略によって無実の罪に問われる息子に対して、総督としての立場から助けることができず、苦悩するという悲劇。

2時間に満たないやや短いオペラだが、悲劇のストーリーが、ヴェルディらしい劇的な音楽で展開されていく。

2016年2月、ミラノのスカラ座の公演から。

75歳を迎えたプラシド・ドミンゴの円熟のパフォーマンスが一番の見どころ。

ヘンデル:セレナータ『アチ、ガラテアとポリフェーモ』

ゲオルグ・フリードリッヒ・ヘンデルが、1708年にナポリで作曲したセレナータ形式の作品。

ヘンデルは、1706年から1710年にかけてローマを拠点にイタリア各地を訪れていた。

当時のローマでは、オペラの上演が禁止されていて、オラトリア形式の音楽も憚られたことから、ヘンデルは”セレナータ”という形式でこの作品を発表したという。

恋人同士の海の精霊アチと牛飼いのガラテアを、巨人のポリフェーモが横恋慕してアチを殺してしまうが、最後は生き返りハッピーエンドに終わる。

若きヘンデルのバロック調の調べが実に美しい。

2009年6月、イタリアのトリノ、カリニャーノ劇場での公演。

3人の歌手の他に、パントマイムのもう1組の3人が舞台上で並行して演じる、というユニークな演出。