2020年1月18日土曜日

ベートーヴェン:交響曲第9番

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1824年に作曲した、9番目の、そして最後の交響曲。

この交響曲でも、ベートーヴェンは新しいことに挑戦している。それは、交響曲に合唱を付けるということであり、これは、それまでの交響曲というジャンルの概念を、根本的に変えてしまうほどの大きな変化であった。

ベートーヴェンは、若い頃にシラーの歓喜の詩に大きな感銘を受けて、それをずっと音楽にしたいと考えていたようで、それが晩年になり、この第9番で実現した。

初演は、1824年にウィーンのケルントナートーア劇場で行われた。

第1楽章 Allegro ma non troppo, un poco maestoso ニ短調。

実にドラマチックなテーマで始まり、この交響曲の尋常のなさが予感される。

第2楽章 Molto vivace ニ短調 - Presto ニ長調。

スケルツォだが、第1楽章の基調を引きつぐような印象的なメロディが展開される。

第3楽章 Adagio molto e cantabile 変ロ長調 - Andante moderato ニ長調。

それまでの2つの楽章で張り詰めていた緊張感から一気に解き放たれた、美しい、極上のアダージョ。

続く第4楽章からは、一気に歓喜の歌に雪崩れ込んでいくので、余計にこの楽章の静けさが際立っている。

第4楽章。

これまでの3つの楽章を奏でる管弦楽と、それに反するかのように対応するチェロ、コントラバスとの掛け合い。その後、第4楽章のテーマが提示されて、展開される。 

そして、”このような調べではなく、もっと心地よい音楽を・・・”という有名なフレーズで始まる合唱が始まる。

2010年4月、ウィーン学友協会での演奏から。指揮はクリスティアン・ティーレマン、演奏はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。

2020年1月13日月曜日

ベートーヴェン:交響曲第8番

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1812年に完成させた、8番目の交響曲。

第7番と第9番の間に挟まれて、あまり評価されてこなかった作品だが、第7番と対になっているように感じられる。

この2つの交響曲は、同時に初演されているので、第7番のハイテンションさに対応する、やや気軽に聴ける交響曲を構想したのかもしれない。

第1楽章 Allegro vivace e con brio ヘ長調。

古典的な印象の始まり方。晴れやかなイメージのテーマが終始演奏される。

第2楽章 Allegretto scherzando 変ロ長調。

リズミカルな音楽が展開する。第7番からのリズムに対するベートーヴェンのこだわりが垣間見える。とても短い楽章。

第3楽章 Tempo di Menuetto ヘ長調。

メヌエット。これまた古典的で、宮廷の音楽のようだ。

第4楽章 Allegro vivace ヘ長調。

第1楽章と同様な、アレグロ・ヴィヴィアーチェ。終始華やかな雰囲気でフィナーレを迎える。

2009年11月、ウィーン学友協会での演奏から。指揮はクリスティアン・ティーレマン、演奏はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。

ベートーヴェン:交響曲第7番

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1811年から1812年にかけて作曲した、7番目の交響曲。

初めてこの交響曲を聞いた時から、この第7番を超える交響曲にはまだ出会ったことがない。

4つの楽章の組み合わせ、バランスが実に見事で、パーフェクトな交響曲と言える。

初演は1813年12月、ウィーンでベートーヴェン本人の指揮によって行われた。

第1楽章 Poco Sostenuto-Vivace イ長調。

伸びやかな第1テーマが、この交響曲の基調を提示している。終始、リズミカルに進行されていき、ベートーヴェン特有の同音の連呼も、その基調の中にうまく溶け込んでいる。

第2楽章 Allegretto イ短調。

静かに始まり、次第に哀愁に満ちたメロディーが広がっていく。

第3楽章 Presto, assai meno presto ヘ長調。

2つのシンプルなメロディーが交互に表れていく。一つはリズミカルに、一つはゆっくりと。その対比が実に素晴らしい。

第4楽章 Allegro con brio イ長調。

リズミカルな音楽が終始展開されてそのままフィナーレに至る。

2009年11月、ウィーン学友協会での演奏から。指揮はクリスティアン・ティーレマン、演奏はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。

ベートーヴェン:交響曲第6番『田園』

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1807年から1808年にかけて作曲した、6番目の交響曲。

ベートーヴェンは、この交響曲でも、新たな試みをしている。

5つの楽章で構成されていて、しかも、最後の3つの楽章は切れ目なく演奏されるので、1つの楽章にも思われて、そうなると3つの楽章からなる交響曲となる。

そしてもう一つは、交響曲をいわゆる絶対音楽ではなく、自然を音楽で表現した表題音楽としている点だ。これは特にこの後のロマン派の作曲家達に大きな影響を与えた。

ベートーヴェンは、この曲に唯一、自ら田園という標題をつけており、自らの田舎での生活で目にした光景、そこから感じた音楽を、この交響曲に仕立て上げた。

第1楽章 田舎に到着したときの愉快な感情の目覚め、アレグロ・マ・ノン・トロッポ、ヘ長調。

実に穏やかに始まる音楽。その穏やかさはこの楽章を通じて終始保たれている。

第2楽章 小川のほとりの情景、アンダンテ・モルト・モッソ、変ロ長調。

小川のせせらぎを表現したような音符が楽譜に表されてる。フルート、オーボエ、クラリネットなどが小鳥のさえずりを表現する。

第3楽章 田舎の人々の楽しい集い、アレグロ、ヘ長調。

人々が集まってきて、次第にその声が大きくなっていくような始まり方。

そして、続いて民族音楽のようなメロディになり、ダンスを楽しんでいるようだ。

第4楽章 雷雨・嵐、アレグロ、ヘ短調。

アレグロで表現される突然の嵐の到来。ベートーヴェンらしい激しいダイナミックな音楽。

第5楽章 牧歌 嵐の後の喜ばしい感謝の気持ち、アレグレット、ヘ長調。

ベートーヴェンの自然賛美の感情に満ちた美しい音楽。

2010年4月、ウィーン学友協会での演奏から。指揮はクリスティアン・ティーレマン、演奏はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。

2020年1月12日日曜日

ベートーヴェン:交響曲第5番『運命』

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1808年に完成させた、5番目の交響曲。

運命という副題は、ベートーヴェンが付けたものではない。

作曲は、英雄が完成した後1804年から行われていたが、先に第4番が発表され、さらに第6番と並行して作曲されていた。

とにかく、冒頭の4つの音から構成される主題がこの交響曲を特別なものにしている。

ベートーヴェンの作品のみならず、全てのクラシック音楽の中でも最も有名な音楽で、全ての音楽というジャンルと言い換えてもいいかもしれない。

この出だしの強烈な印象の深さが、交響曲の始まり方のモデルとなり、その後の交響曲には、これと同様のインパクトが期待されるようになった。

ベートーヴェン以降のすべての作曲家は、交響曲を作ろうと決意した時に、常にこの第5番と対峙することが求められる。

1808年12月、ウィーンのアン・デア・ウィーン劇場にて、第6番とともに初演された。その際は、番号が逆で、運命が6番、田園が5番として演奏された。

第1楽章 Allegro con brio ハ短調。

冒頭に提示される主題が、第2主題を圧倒したまま、様々に展開されていく。

第2楽章 Andante con moto 変イ長調。

圧倒的な第1楽章に続いて、熱くなった心を癒してくれるような音楽。

第3楽章 Allegro. atacca ハ短調。

冒頭の主題のような4つの音がスケルツォのテイストで展開されていく。

第4楽章 Allegro - Presto ハ長調。

偉大な交響曲を締めくくるに相応しいフィナーレで始まる。そして、ここでも運命の動機が登場する。

2010年4月、ウィーン学友協会での演奏から。指揮はクリスティアン・ティーレマン、演奏はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。

ベートーヴェン:交響曲第4番

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1806年に作曲した、4番目の交響曲。

英雄と運命という2大交響曲の間に挟まれていて、30分という長さも短い、愛すべき小品。

第1楽章 Adagio - Allegro vivace 変ロ長調。

アダージョで始まるが、やがて爽やかな雰囲気のヴィヴィアーチェな音楽に変わっていく。やや古典的な第1楽章。

第2楽章 Adagio 変ホ長調。あまり感情に流されない、抑制されたアダージョ。

第3楽章 Allegro vivace、Un poco meno Allegro 変ロ長調。

緩急のバランスがよくとれた、躍動感に満ち溢れた音楽。

第4楽章 Allegro ma non troppo 変ロ長調。

テンポのいい、小気味のいい音楽が、2つの主題とともに展開されている。

2009年3月、ウィーン学友協会での演奏から。指揮はクリスティアン・ティーレマン、演奏はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。

ベートーヴェン:交響曲第3番『英雄』

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1804年完成させた、3番目の交響曲。

原題には、”英雄交響曲、ある偉大なる人の思い出に捧ぐ”と書かれており、元はナポレオンに献呈される予定で、ナポレオンが皇帝になったことで失望し、その名前を削ったと言われている。

第1番や第2番が30分ほどの長さだったのに比べて、50分ほどの大曲になっており、その後の交響曲のあり方を決定付けることになった。

第1楽章 Allegro con brio 変ホ長調。

第1番、第2番にあった序奏は、簡単なにまとめられて、いきなり伸びやかな主題が表れる。

ベートーヴェンらしい、執拗に同じ音を繰り返すフレーズが何度も登場する。

第2楽章 Marcia funebre: Adagio assai ハ短調。

Marcia funebre。文字通りの葬送行進曲。人生の哀愁を感じさせる、心に滲み入るようなメロディ。

第3楽章 Scherzo: Allegro vivace 変ホ長調。

第2番の短いスケルツォに比べると、より長くなっており、葬送行進曲の重苦しい雰囲気を打ち破るような、春の訪れを感じさせるヴィヴィーチェ。

ホルンが効果的に使われていて、スイスのような高原の大草原、花畑などを軽やかに走り回っている様子を連想させる。

第4楽章 Finale: Allegro molto 変ホ長調。

壮麗なフィナーレに続いて、10の変奏曲が展開されていく。

2009年3月、ウィーン学友協会での演奏から。指揮はクリスティアン・ティーレマン、演奏はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。

2020年1月11日土曜日

ベートーヴェン:交響曲第2番

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1800年から1803年にかけて作曲した、2番目の交響曲。

この時期、ベートーヴェンは難聴に苦しみられており、10月には有名なハイリゲンシュタットの遺書が書かれている。

しかし、この交響曲の音楽には、そうした苦労は表れているようには聴こえない。

1803年4月5日、ウィーンのアン・デア・ウィーン劇場にて、ピアノ協奏曲第3番などとともに初演された。

第1楽章 Adagio molto - Allegro con brio ニ長調。第1番と同様に、壮麗な音楽で始まる。

序奏部の最後で、第9番の出だしのような、ダイナミックなメロディが登場して驚かされる。このアイデアはすでにこの時点でできていた、ということか。その後、軽快なAllegro con brioとなる。この流れも第1番と同様だ。

この楽章には、その後のベートーヴェンを彷彿させる激しい音楽が展開されており、次の第3番英雄での大きな変化は、それほど唐突ではなかったのではないか、と思わせる。

第2楽章 Larghetto イ長調。静かな美しい旋律。

第3楽章 Scherzo - Allegro ニ長調。時代が少し戻ったような、短いスケルツォ。

第4楽章 Allegro molto ニ長調。印象的なユニークな主題が展開されていく。

2008年12月、ウィーン学友協会での演奏から。指揮はクリスティアン・ティーレマン、演奏はウィーンフィル。

ベートーヴェン:交響曲第1番

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1799年から1800年にかけて作曲した、最初の交響曲。

ピアニストとして活躍していたベートーヴェンは、当初は演奏用のピアノ曲を中心に作曲していたが、ハイドンの元で弟子をした経験などを経て、次第に室内楽曲を作曲するようになり、ついに交響曲も手掛けるようになった。

それまでの、ハイドンやモーツァルトのような、次々と多彩なテーマで作り上げていくスタイルとは全く異なる、その後の交響曲というジャンルを確立することになったベートーヴェンの新たな挑戦が、この曲から始まった。

1800年4月2日、ウィーンのブルク劇場で、ベートーヴェン自らの指揮によって初演された。

第1楽章 Adagio molto - Allegro con brio。ハ長調。壮麗な出だしの後で、軽快な第1テーマが展開されていく。

第2楽章 Andante cantabile con moto。ヘ長調。古典的な味わいの調べ。

第3楽章 Menuetto, Allegro molto e vivace。ハ長調。メヌエットにしては躍動的な音楽。とても短い楽章。

第4楽章 Adagio - Allegro molto e vivace。ハ長調 。壮麗なファンファーレで始まり、ヴィヴィーチェな音楽が展開する。第1楽章と対になっているようだ。

2008年12月、ウィーン学友協会での演奏から。指揮はクリスティアン・ティーレマン、演奏はウィーンフィル。