2017年4月16日日曜日

ジャック・ヘギー:オペラ『白鯨』

アメリカの作家、ハーメン・メルビルの小説『白鯨』をオペラ化したもの。

ジャック・ヘギーは、映画『デッドマン・ウォーキング』などを作曲している。

グレゴリー・ペックが主役のエイブラハム船長を演じた映画はよく知られているが、オペラ版もなかなかのものだ。

人間の狂気を体現したようなエイブラハム船長と、その意思に引きづられていく船員たち。そしてその前に超然と立ちはだかり、それを破壊する神、あるいは自然の象徴としての白鯨、モービー・ディック。

この世の狂気と悲劇の世界が、見事なオペラに仕立て上げられている。

音楽は、ややポピュラーな内容で、どうしても、映画音楽のように聞こえてしまった。

現代の文学作品を、オペラにしていく可能性を、十分に感じさせる作品だった。

2012年10月のサンフランシスコ歌劇場での公演から。

2017年4月15日土曜日

レスピーギ:交響詩『ローマの祭』

イタリアの作曲家、オットリーノ・レスピーギが、1928年に作曲した交響詩。

ローマの噴水、ローマの松に続く、ローマ三部作の最後の曲。

レスピーギは、作曲を始める前に、すでに構想を煮詰めに煮詰めていたのだろう。わずか9日間で作曲を完成させたという。

第1曲、チルチェンセス

暴君である皇帝ネロが、大闘技場で開催した祭。キリスト教の奴隷を猛獣の生贄とした残酷な祭。

音楽は、ネロの残酷さをダイナミックな音楽で、対するキリスト教徒の祈りを壮麗な音楽で表現している。

第2曲、五十年祭

中世の祭の一つで、教会による恩赦が行われた祭。

第3曲、十月祭

ブドウ畑が広がる、カスティリ・ロマーノ地方のルネサンスの祭。音楽もどこか牧歌的。

第4曲、主顕祭

20世紀のローマ、ナヴォナ広場で開催される祭。東方三博士がキリストの誕生を祝うためにベツレヘムを訪れたことにちなむお祭り。

現代の祭ということもあり、音楽は、様々な音色が喧騒する現代音楽風。

この曲は、1929年にトスカニーニの指揮でニューヨーク・フィルによって初演された。

トスカニーニは、同じイタリア人であったレスピーギの曲を数多く取り上げて演奏し、レスピーギのアメリカでの人気を作り上げた指揮者だった。

2017年1月のNHK交響楽団の定期演奏から。指揮は、ヘスス・ロペス・コボス。

レスピーギ:教会のステンドグラス

イタリア、ボローニャ生まれのオットリーノ・レスピーギが、1925年に完成させた4つの楽章から成る管弦楽曲。

4つの楽章には、キリスト教に所縁の場面が名付けられており、音楽もその場面を連想させるような描写になっている。

4枚の教会のステンドグラスを、4つの楽章に見立てた、ユニークな着想の音楽。

第1曲、エジプトへの逃避

冒頭から哀愁に満ちたメロディが奏でられる。サンクトペテルブルク時代に直接教えを受けた、リムスキー=コルサコフの音楽を連想させる。

第2曲、大天使 ミカエル

大天使ミカエルが龍などの怪物と戦うシーン。往年のハリウッドのスペクタル映画にぴったり合いそうな、勇壮な音楽。

第3曲、聖クララの朝の祈り

アッシジの聖フランチェスコの弟子の一人、病身の聖クララにまつわるエピソード。静かな祈りの音楽。

第4曲、偉大なる聖グレゴリウス

パイプオルガンも登場する、聖グレゴリウスを讃える壮麗なフィナーレ。

2017年1月のNHK交響楽団の定期演奏会から。指揮は、ヘスス・ロペス・コボス。

レスピーギ:グレゴリオ風の協奏曲

イタリアの作曲家、レスピーギが1921年に完成させた、ヴァイオリン協奏曲。

グレゴリオ風という言葉にある通り、レスピーギのグレゴリオ音楽への関心の高さが伺える音楽。

3つの楽章の随所に、中世の教会音楽を思わせる旋律が登場する。

2017年1月のNHK交響楽団の定期公演から。ヴァイオリンはアルベナ・ダナイローヴァ、指揮はヘスス・ロペス・コボス。