ムソルグスキーの未完のオペラ。ロシアらしい、重厚で、重苦しい雰囲気のオペラだが、同じムソルグスキーの『ボリスゴドノフ』よりは、少しは明るい内容の部分もある。
舞台は、17世紀の後半。誕生して間もないロマノフ王朝に、ピュートル大帝が登場し、それまで力を持っていた貴族たちを次々と粛正していく様子を、実在のホヴァーンスキー大公に代表させ、その死と、彼に従っていた民衆の悲劇を描いている。
オペラの最後で、ロマノフ王朝に反抗する民衆が虐殺される。確かに、こうした内容では、ムソルグスキーが生きていた時代にこのままの姿で完成させることができなかっただろう。
最後の方は、ただただ悲しいだけのオペラだが、途中は、ムソルグスキーの美しい音楽、特に民衆による、ロシア民謡や、ペルシャ風の音楽を取り入れた部分は、聞き応えがある。
ホヴァーンスキー大公のテーマは、ロシアらしい重々しい音楽。
シャクロヴィートゥイのアリア「ああルーシよ、あなたは呪われている」は、ロシアの民謡風の音楽で、祖国の悲しみを切々と歌う。
第3幕から、ホヴァーンスキー大公が殺される第4幕がクライマックス。特に、民衆の合唱が、悲しみを讃えて、美しい。
ショスタコーヴィチ版をドミトリー・チャルニャコフが演出。出演は、パータ・ブルチュラーゼ(ホヴァンスキー)、ドリス・ゾッフェル(マルファ)他。ケント・ナガノ指揮、バイエルン州立歌劇場管弦楽団及び合唱団。2007年のミュンヘン・オペラ・フェスティバルの演奏。現代風の衣装、セットによる演出。
ゲルギエフ指揮による、2012年9月のロシア、サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場の公園は、当時の様子をそのまま再現したような、古典的な演出。
それぞれ、演出の違いで、全く違ったオペラのように見える。
0 件のコメント:
コメントを投稿