2026年3月28日土曜日

コルサコフ:組曲『サルタン皇帝の物語』

リムスキー・コルサコフが、1900年に完成させた同名のオペラから、3つの曲を選んで組曲に仕立てた作品。

もとになっているオペラは、生誕100年を記念して、プーシキンの詩を基に制作されたもの。

第1曲、王の戦場への旅立ちと別れ。とあるが、音楽はいたって軽快な行進曲風の音楽。

第2曲、海原を漂う王妃と王子。激しく揺れる波の様子を彷彿させる音楽。

第3曲、3つの奇蹟。ハッピーエンドを盛り上げる勇壮な音楽。

メロディ・メーカーとしてのコルサコフの魅力が遺憾なく発揮されている。

2026年1月にNHKホールで行われた公演から。指揮はトゥガン・ソヒエフ、演奏はNHK交響楽団。


プッチーニ:オペラ『妖精ヴィッリ』

ジャコモ・プッチーニが1883年に作曲した最初のオペラ。

オペラのコンクールに応募して一度は落選したが、その後、作曲家のアッリーゴ・ボイートから賞賛され、その助けもあって初演を迎えることができたオペラ。

2幕もので、スラヴ地方の伝承で、黒い森に住むという妖精ヴィッリの話がベースになっている。

幸せな結婚を迎えたアンナとロベルトが、故あって離れ離れになってしまったことから訪れる悲劇。

2026年1月、藤原歌劇場の公演から。


2026年3月22日日曜日

ヘギー:オペラ『デッドマン・ウォーキング』

アメリカの作曲家、ジェイク・ヘギーが作曲し、2000年に初演されたオペラ。

カトリックの修道女、シスター・ヘレン・プレジャンの実話を基にした同名の小説をもとに、アメリカの劇作家テレンス・マクナリーが台本を書いた。

この小説は映画にもなっており、ティム・ロビンスが監督し、スーザン・サランドンとショーン・ペンが主演した。

強姦及び殺人で死刑を求刑されたジョセフと、シスター・ヘレン・プレジャンが互いに激しく対立しながら、次第にお互いを理解していく、というストーリー。

どんなに酷い罪を犯した人物でも、一人の人間であることに変わりない、という信念を持ち続けるシスター。

そした死刑制度に対しても、大きな疑問を突きつけている、

2023年12月、ニューヨークのメトロポリタンオペラでの公演から。シスター役にジョイス・ディドナート、ジョセフ役にライアン・マキニー。指揮はヤニック・セガン。

母親役のスーザン・グラハムは、初演ではシスターを演じていた。


2026年3月15日日曜日

アルヴォ・ペルト:ベルリン・ミサ

 エストニアの作曲家、アルヴォ・ペルトが1990年に作曲した宗教音楽。

同年にベルリンの聖ヘドヴィクス・カテドラルで初演された。

宗教音楽の、聖霊降誕(ペンテコステ)を祝う際に歌われる、アレルヤと続唄で構成される。

盛大な音楽が定番のアレルヤだが、ペルトの音楽は常に静かさを保っている。

2025年9月、ドイツ、ゲルリッツの聖ペーター・パウル教会での演奏から。指揮はトヌ・カユリテ、演奏はコンチェルト・コペンハーゲン、合唱はエストニア・フィルハーモニー室内合唱団。

アルヴォ・ペルト:スタバート・マーテル

エストニアの作曲家、アルヴォ・ペルトが1985年に作曲した宗教音楽。

同年にアルバン・ベルク財団からの委嘱に作曲されたが、ペルトの曲の中でも最も大きなものの一つ。

我が子イエスを亡くした聖母の悲しみを痛む、ラテン語の歌詞がもとになっている。

ペルトのミニマルで静謐な音楽によって、聖母の悲しみが聴く人の心に静かに伝わってくる。

2025年9月、ドイツ、ゲルリッツの聖ペーター・パウル教会での演奏から。指揮はトヌ・カユリテ、演奏はコンチェルト・コペンハーゲン、合唱はエストニア・フィルハーモニー室内合唱団。


2026年3月7日土曜日

シューマン:アンダンテと変奏曲

ロベルト・シューマンが1843年に作曲した変奏曲。ピアノの連弾用と、管弦楽用の2つが存在する。

シューマンらしい、ロマンチックな主題に続いて、10の変奏曲と終曲で構成される。

同じ旋律を、次のピアニストが続いて演奏する、というユニークな構成。

2025年12月の所沢市民文化センターでの公演から。ピアノはキリル・ゲルシュタインと藤田真央。




シューベルト:創作主題による8つの変奏曲

シューベルトが1824年に作曲した、ピアノの連弾のための音楽。

シューベルトは、他の作曲家による音楽の変奏曲を数多く作ったが、自分の主題を用いた変奏曲は珍しい。

印象的な哀愁のある主題に続いて、様々なシューベルトの音楽が展開される。

第3変奏は、ベートーヴェンのソナタの様で、人生の深淵を覗くような音楽。

2025年12月の所沢市民文化センターでの公演から。ピアノはキリル・ゲルシュタインと藤田真央。


シューベルト:エロールの歌劇『マリー』の主題による変奏曲

 シューベルトが1827年、30歳の時に作曲した、ピアノの連弾のための変奏曲。

フランスの作曲家、ルイ・エロールのオペラ『マリー』からの主題を基にした、8つの変奏曲。

様々な基調の音楽が、入れ替わり立ち替わり現れる。

フランスの軽やかな音楽が、シューベルトによってどこか哀愁ある音楽に変奏されている。

2021年10月のめぐろパーシモンホールでの公演から。演奏は坂本姉妹。


レーガー:五つの絵画的小品

マックス・レーガーが、1899年に作曲した、ピアノの連弾のための音楽。

第1曲、アレグレット コン モート

第2曲、プレスティッシモ

第3曲、ヴィヴァーチェ アッサイ

第4曲、アンダンティーノ(コン モート)

第5曲、コン モート(ヴィヴァーチェ)

それぞれの曲は、1分、2分と短いが、どれも印象的な音楽。

2021年10月のめぐろパーシモンホールでの公演から。演奏は坂本姉妹。


サン・サーンス:ピアノ協奏曲第2番

サン・サーンスが、1866年に作曲した、2番目のピアノ協奏曲。

堕1楽章、Andante sostenuto。印象的なピアノのカデンツァで始まる。

第2楽章、Allegro scherzando。

第3楽章、Presto。主題がやや大袈裟な感じ。

2025年10月、東京のNHKホールでの公演から。ピアノはソフィア・リュウ。指揮はエヴァ・オリカイネン、演奏はNHK交響楽団。


トマジ:トランペット協奏曲

フランスの作曲家、アンリ・トマジが1949年に作曲した、トランペットとオーケストラのための音楽。

3つの楽章から構成される。

20世紀を代表するトランペット曲の名品。

第1楽章、Vif。後半は、ずっとトランペットのソロ。

第2楽章、Nocturne: Andantino。トランペットのソロで始まる。

第3楽章、Finale: Allegro。爽やかな印象のフィナーレ。

トマジは、両親がコルシカ島の出身で、マルセイユ生まれ。地中海が常に創作の原点にあった。

2025年10月、東京のNHKホールでの公演から。トランペットは児玉隼人、指揮はエヴァ・オリカイネン、演奏はNHK交響楽団。


2026年1月31日土曜日

グノー:聖セシリア荘厳ミサ曲

シャルル・グノーが作曲し、1855年に初演されたミサ曲。

聖セシリアは、古代ローマ時代に若くして殉教し、音楽の守護聖人とされている人物。

グノーは、キリエやグロリアなどの通常のミサ曲に、2つのパートを新たに加えて、8つのパートでこのミサ曲を構成した。

グノーはオペラ『ファウスト』で知られるが、司祭になろうと考えて時期があるほど、宗教に関心を持っており、多くの宗教音楽を作曲した。

2025年12月、ミラノ・スカラ座のクリスマス・コンサートから。指揮はロレンツォ・ヴィオッティ、演奏はミラノ・スカラ座管弦楽団。

リヒャルト・シュトラウス:オペラ『無口な女』

リヒャルト・シュトラウスが作曲し、1935年に初演された3幕もののオペラ。

原作は、イギリスの劇作家ベン・ジョンソンの同名の喜劇の戯曲。

それをシュテファン・ツヴァイクがこのオペラ用に内容をやや変えて脚本にした。

シュトラウスは、長年に渡りホフマンスタールとコンビを組んでいたが、ホフマンスタールが1929年に亡くなってしまい、当時売り出し中だったツヴァイクを指名した。

しかし、当時のナチス政権はユダヤ人だったツヴァイクの名前をポスターから外そうとして、シュトラウスは猛抗議の末にその名前を元に戻させた。

シュトラウスはそれまでナチスとは良好な関係を保っていたが、この事件をきっかけに、その関係は悪化していったと言われている。

ストーリーは、ある事故をきっかけに、音に敏感になってしまったモロズス卿に、出入りの理髪師が相続金を目当てに”無口な女”を嫁にすることを誘いかける・・・というコメディ。

シュトラウスらしく、様々なパロディで構成されているオペラ。

女性は話好きというのが定番。なのに題名は”無口な女”。

問題を解決しようとする理髪師は、明らかに『フィガロの結婚』や『セビリアの理髪師』のフィガロのパロディ。

モロズス卿の甥が、自ら所属するオペラ団のメンバーと来訪するが、モロズス卿にとって美しいオペラ歌手の歌声は、単なる騒音。

他にも、シュトラウス自身の作品や、過去の名作からのパロディが満載だ。

しかし、時代はそうした”古き良き”ウィーン文化を受け入れる状況ではなかった。

オペラの上演は1935年の初戦後にほどなく上演禁止となり、ツヴァイクはイギリスに亡命した。

2025年7月、ベルリン国立歌劇場での公演から。指揮はクリスティアン・ティーレマン、モロズス卿にペーター・ローズ、家政婦にイリス・フェルミリオン、理髪師:サミュエル・ハッセルホルン、演奏はベルリン州立歌劇場管弦楽団。



プーランク:組曲『模範的な動物たち』

フランシス・プーランクが、1941年に完成させた同名のバレエ音楽から、6曲を選んで作った組曲。

ラ・フォンテーヌの『寓話』から題材が取られている。

オリジナルのバレエ作品は、1940年にパリ・オペラ座から依頼され、ナチスの占領下にあった1942年にオペラ座で初演された。

第1曲「夜明け」 (Petit jour)

第2曲「恋するライオン」 (Le lion amoureux)

第3曲「中年男と2人の愛人」 (L'homme entre deux âges et ses deux maîtresses)

第4曲「死ときこり」 (La mort et le bûcheron)

第5曲「2羽の雄鶏」 (Le combat des deux coqs)

第6曲「昼の食事」 (Le repas de midi)

当時の時代の雰囲気を感じさせない、優雅で壮麗な音楽だが、プーランクはドイツを批判する部分を曲に忍び込ませていた。

2025年12月、ミラノ・スカラ座のクリスマス・コンサートから。指揮はロレンツォ・ヴィオッティ、演奏はミラノ・スカラ座管弦楽団。


2026年1月18日日曜日

J.C.バッハ:交響曲ト短調

ヨハン・セバスティアン・バッハ、いわゆる大バッハの息子である、ヨハン・クリスチャン・バッハが作曲し、1770年に出版されたト短調の交響曲。

モーツァルトの2つのト短調の交響曲、第25番と第40番に大きな影響を与えたと言われる交響曲。

第1楽章、Allegro。緊張感のある音楽。

第2楽章、Andante più tosto adagio。ミステリアスな雰囲気に満ちた音楽で始まり、次第に穏やかな癒しの音楽になっていく。

第3楽章、Allegro molto。ドラマチックな雰囲気で始まる。最後はやや唐突な終わり方。

2025年4月、大阪の住友生命いずみホールでの公演から。演奏は、フライブルク・バロック・オーケストラ。


ハイドン:交響曲第74番

フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが、1780年にエステルハージ家のために作曲した交響曲。

第1楽章、ヴィヴァーチェ・アッサイ。伸びやかな美しい音楽。

第2楽章 アダージョ・カンタービレ。静かで優雅な音楽。

第3楽章 メヌエット:アレグレット - トリオ。

第4楽章 フィナーレ:アレグロ・アッサイ。リズミカルな明るい音楽のまま、フィナーレを迎える。

2025年4月、大阪の住友生命いずみホールでの公演から。演奏は、フライブルク・バロック・オーケストラ。

2026年1月12日月曜日

ツェムリンスキー:交響詩『人魚姫』

オーストリア生まれのユダヤ人作曲家、アレキサンダー・ツェムリンスキーが1902年から1903年にかけて作曲した、3楽章からなる交響詩。

1905年にウィーン楽友協会で初演されたが、奇しくもシェーンベルクの交響詩『ペレアスとメリザント』も一緒に初演された。

第1楽章。おとぎ話らしい、幻想的な音楽で始まるが、次第に劇的な音楽に。まるで、スターウォーズのような音楽。

第2楽章。

第3楽章。人魚姫の自殺と、その救済が、ダイナミックな音楽と、静かなフィナーレで表現される。

2025年11月、NHKホールでの公演から。指揮はファビオ・ルイージ、演奏はNHK交響楽団。


藤倉:管弦楽のためのオーシャン・ブレーカー

藤倉大が、2025年に作曲した、管弦楽のための音楽。

ブーレーズのために作られた曲。”ピエール・ブーレーズの思い出に”という副題が付けられている。

藤倉は、雲からインスピレーションを得て作曲したと語っているが、さざなみが岸に寄せて返す音を、繰り返し聴いているような印象の音楽。

ブーレーズへ捧げる曲にしては、やや大人しすぎる音楽。

2025年12月、NHKホールで行われた公演から。指揮はファビオ・ルイージ、演奏はNHK交響楽団。この曲の世界初演となった。


フランク:交響的変奏曲

セザール・フランクが、1885年に作曲したピアノと管弦楽のための変奏曲。

主題は、静かでロマンチックな雰囲気の音楽。その後の変奏も、終始、静かな展開。

第5変奏では、ダイナミックな音楽となり、フィナーレを迎える。

2025年12月、NHKホールで行われた公演から。ピアノはトム・ポロー、指揮はファビオ・ルイージ、演奏はNHK交響楽団。