2022年5月22日日曜日

ノイヴィルト:オペラ『オーランドー』

ヴァージニア・ウルフの同名の小説をもとに、オーストリア出身のオルガ・ノイヴィルトがウィーン国立歌劇場のために作曲したオペラ。

エリザベス女王の治世下に生まれた貴族オーランドーが、突然の性転換の後に結婚し、300年の生涯を生きるという破天荒なストーリー。

第1幕はウルフの原作に沿った内容だが、第2幕は、原作にはない現在まで続くその後のオーランドーの姿が、レズビアン運動の流れなどと合わせて描かれる。

衣装はコムデ・ギャルソンが担当し、このオペラの内容に相応しい、斬新なコスチュームを作り上げた。

2019年12月、ウィーン国立歌劇場での公演から。指揮はマティアス・ピンチャー、オーランドー役にはケイト・リンジー。



バーバー:弦楽四重奏曲

アメリカの作曲家、サミュエル・バーバーがイタリアのローマに留学中している際に作曲した弦楽四重奏曲。

第2楽章のアダージョがとりわけ有名で、バーバー自身もこのパートだけを後に編曲している。

この曲全体として聴いても、20世紀を代表する弦楽四重奏曲の一つだろう。

第1楽章、モルト・アレグロ・エ・アッパシオナート。色々な要素が詰まっているが、全体的に暗い印象の音楽。

第2楽章、モルト・アダージョ。とにかく物悲しい音楽。悲しいという感情を、そのまま音楽で表したようだ。

第3楽章、モルト・アレグロ―プレスト。不安を感じさせる音楽で始まる。悲劇的な強烈なフィナーレ。

2019年9月、戦没した無名の画家たちの作品を展示した無言館での演奏から。


クラム:ブラック・エンジェルズ

アメリカの作曲家、ジョージ・クラムが1970年に発表した、電気変調をともなう弦楽四重奏曲。

13の曲から構成されているが、全体は、Departure, Absence, Returnという3つのパートから構成されている。

演奏の途中で、演奏者が世界の言葉で13の数を数える。

当時はベトナム戦争の最中であり、黒い天使という名前や、13という不吉な数字などから、反戦をテーマにした音楽とされている。

戦没した無名の画家たちの作品を展示した。無言館での演奏。


シューマン:弦楽四重奏曲第3番

ロベルト・シューマンが1842年に作曲した弦楽四重奏曲の1つ。

シューマンはこの時期、約2ヶ月の間に3つの弦楽四重奏曲を作曲している。これらはシューマンが初めて作曲した室内楽曲だった。

第1楽章 Andante espressivo - Allegro molto moderato。穏やかな印象の音楽。

第2楽章 Assai agitato - Un poco Adagio - Tempo risoluto。リズミカルな楽章。

第3楽章 Adagio molto。静かな内省的な音楽。

第4楽章 Finale. Allegro molto vivace。生命感に溢れた生き生きとした音楽でフィナーレを迎える。

クロノス・カルテットの2008年のNHKスタジオでの演奏から。


ライヒ:ディフェレント・トレインズ

スティーブン・ライヒが1988年に作曲した、弦楽四重奏とエレクトロニクスのための音楽。

音楽とドキュメンタリーを融合したユニークな試み。

1936年にアメリカで生まれたユダヤ人であるライヒが、もし自分がヨーロッパに生まれていたら、という着想から制作された。

ホロコーストの生存者のインタビューや、駅でのアナウンスなどの人の声と、弦楽の演奏が同時に行われる。

単調でつまらないと見られがちなミニマル・ミュージックの可能性を、十二分に感じ取ることができる。

第1楽章、America-Before the War 8:58。

第2楽章、Europe-During the War 9:30。

第3楽章、After War 10:30。

クロノス・カルテットの2008年のNHKスタジオでの演奏から。


2022年5月1日日曜日

モニューシコ:オペラ『ハルカ』

19世紀のポーランドの作曲家、スタニスワ・モニューシコが1847年に完成させた3幕もののオペラ。 

ポーランド最初の国民オペラと言われ、ポーランドを代表するオペラ作品にもなっている。

若い領主によって、妊娠させられた上に捨てられてしまう、農民の少女ハルカの悲劇が描かれている。

1846年、当時ポーランドを支配していたロシアに対して起こしたクラクフの蜂起が失敗した。その事件に触発されて書かれたヴォジミエシュ・ヴォルスキの戯曲が元になっている。

この公演では、舞台は現代のホテルに設定されて、ホテルのオーナーとそこで働くメイドの娘という設定になっている。

2019年12月、アン・デア・ウィーン劇場での公演から。ソプラノはコリーン・ウィンターズ。指揮はウカシュ・ポロヴィツ。演奏はウィーン放送交響楽団。


バーバー:ヴァイオリン協奏曲

1910年生まれのアメリカの作曲家、サミュエル・バーバーが1939年に完成させた唯一のヴァイオリン協奏曲。

第1楽章、アレグロ。ゆったりとしたヴァイオリンの牧歌的な音楽で始まる。しかし途中から、オーケストラが緊張感のある音楽を奏でる。

第2楽章、アンダンテ。クラリネットの静かな音楽で始まる。

第3楽章、曲無窮動によるプレスト。それまでとは全く違った、スピーディーでリズム感のある、ダイナミックな音楽。

2022年2月、サントリーホールでの演奏から。ヴァイオリンは金川真弓。指揮は尾高忠明、演奏はNHK交響楽団。

エルガー:エニグマ変奏曲

イギリス生まれのエドガー・エルガーが、1898年から1899年のかけて作曲された変奏曲。

エニグマは通称で、正式な名称は”独奏主題による変奏曲”という。エルガーはその主題のことをエニグマと呼んでいた。

抒情的な音楽の主題に続いて、C.A.EやR.G.Tなど、エルガーの妻も含めた身近な人々のイニシャルが入った14の変奏曲が次々に演奏される。

2022年2月、サントリーホールでの演奏から。指揮は尾高忠明、演奏はNHK交響楽団。


ヒナステラ:バレエ組曲『エスタンシア』

アルゼンチン生まれのアルベルト・ヒナステラが、1941年に作曲したバレエ音楽。ヒナステラ自身がそこから4つの組曲を作り上げた。

ストラヴィンスキーの音楽に影響を受けて、アルゼンチンの大草原におけるガウチョの生活やパンパで暮らす人々の様子を音楽で表現した。

1. 農園で働く人々 Los Trabajadores Agricolas

2. 小麦の踊り Danza del Trigo

3. 大牧場の牛追い人 Los Peones de Hacienda

4. 終幕の踊り(マランボ) Danza Final (Malambo)

とりわけ、朝の情景を描いた”小麦の踊り”の音楽が実に美しい。

2021年10月、サンフランシスコのデーヴィス・シンフォニー・ホールでの演奏から。指揮はエサ・ペッカ・サロネン、演奏はサンフランシスコ交響楽団。