2021年12月19日日曜日

ヘンデル:オペラ『アグリッピナ』

ゲオルグ・フリードリッヒ・ヘンデルが、1709年〜1710年のヴェネツィアのカーニバル・シーズン用に作曲したオペラ。

古代ローマの史実に基づいたストーリーで、ネロの母アグリッピナが皇帝クラウディウスをその座から引きずり下ろし、息子を皇帝の地位に付けようと暗躍する。

脚本は枢機卿を務めていたヴィンチェンツォ・グリマーニ。その内容には、ライバルだった教皇クレメンス11世を揶揄する部分も含まれているという。

2020年2月、ニューヨーク・メトロポリタン・オペラでの公演は、舞台を現代に設定し、色仕掛けで政治を動かそうとするアグリッピナの野望がリアルに描かれた。

バロック期の音楽が現代でも十分に受け入れられることをよく表した公演。

指揮はハリー・ビケット、アグリッピナ役にはジョイス・ディドナート。


2021年12月17日金曜日

グラス:オペラ『アクナーテン』

ミニマル・ミュージックの巨匠、フィリップ・グラスによるオペラ。

古代エジプトの新王朝時代の第18王朝において、それまでの多神教を捨てて、アテン一神教を取り入れた王、アクナーテンの生涯が描かれている。

アクナーテンの戴冠式のシーンでは、単調な繰り返しの音楽が延々と続き退屈を感じるが、確かに戴冠式というものは、退屈なものかもしれない。

演出で、ジャグリングが使われているが、グラスのミニマルな音楽にはピッタリと合っているようだ。

アクナーテンのアリアは、まるで中世やバロック期の教会の合唱音楽のように聞こえた。

2019年11月、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場の公演から。指揮はカレン・カレンセック、演出はフェリム・マクダーモット、アクナーテン役はアンソニー・ロス・コスタンゾ。


ハイドン:ピアノ三重奏曲第16番

フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが、1789年から1790年ごろに作曲した、16番目の三重奏曲。

第1楽章。親しみのある、軽快な音楽。

第2楽章。落ち着きのある音楽。

第3楽章。再び軽快な音楽でフィナーレ。

2019年朝日ホールでの演奏。アンサンブル・ディアーロギ。ハープシコード、ファゴット、クラリネットという組み合わせで演奏された。


バーバー:オペラ『ヴァネッサ』

アメリカの20世紀の作曲家サミュエル・バーバーが、1957年にニューヨークのメトロポリタン・オペラで初戦されたオペラ。

初演の成功は大ヒットして、ピューリッツァー賞を受賞しているが、ヨーロッパでの評判は今ひとつだった。

脚本は、バーバーのパートナーだったジャン・カルロ・メノッティによるもので、主人公のヴァネッサを中心とした複雑な三角関係の愛憎劇。

20世紀の音楽家ながら、イタリアに留学して伝統的な音楽を学び、最後の新ロマン主義の音楽家といえるバーバー。モダンな趣の音楽も時折聞こえてくる。

2018年のクライドボーン音楽祭の公演から。指揮はクブ・フルシャ、ヴァネッサ役にはエマ・ベル。


マーラー:ピアノ四重奏曲

マーラーが16歳の時に作曲したマーラー唯一の室内楽曲。

当時、マーラーはウィーン音楽院の学生だった。

しかし完成されたのは第1楽章のみで、他にはいくつかの断片が残されている。

ブラームスの室内楽のような、静かだが重厚な音楽で始まる。

後年のマーラーを連想させる、ダイナミックでエキセントリックな展開もある。

2019年7月、京都コンサートホールでのノトス・カルテットによる演奏。


バルトーク:ピアノ四重奏曲

バルトークが17歳の時に作曲し、長らく楽譜が行方不明になっていたピアノ四重奏曲。

作曲された1898年の前年にはブラームスが亡くなっており、この曲もブラームスの影響が強く現れた曲になっている。

第1楽章、重厚なブラームスのような音楽。

第2楽章、リズミカルな軽快な音楽で一息つくイメージ。

第3楽章、情感に溢れたメロディで始まる。その後は、伸びやかでいかにも室内楽といった感じの音楽へ。

第4楽章、緊張感に溢れた音楽で、フィナーレも劇的。

2019年7月、京都コンサートホールでのノトス・カルテットによる演奏。


2021年12月11日土曜日

メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第1番

フェリックス・メンデルスゾーンが1829年に作曲した弦楽四重奏曲。

番号は1番になっているが、第2番の方が最初に作曲された。

第1楽章、アダージョ・ノン・トロッポ - アレグロ・ノン・タルダンテ。静かで内省的な音楽で、伝統的な弦楽四重奏曲といった感じ。

第2楽章、カンツォネッタ: アレグレット。リズミカルで印象的なフレーズで始まる。

第3楽章、アンダンテ・エスプレッシーヴォ。伸びやかな優雅な音楽。

第4楽章、モルト・アレグロ・エ・ヴィヴァーチェ。緊張感に溢れた音楽で、最後は静かに消え入るように終わる。

全く異なる印象の4つの楽章が、見事に1つに溶け合っている弦楽四重奏曲。

2019年4月、王子ホールでのキアロスクーロ弦楽四重奏団の演奏。


グラス:弦楽四重奏曲『カンパニー』

フィリップ・グラスが1984年に作曲した2番目の弦楽四重奏曲。

4つの楽章から構成されている。

どの楽章の音楽もシンプルで、いわゆるミニマル・ミュージックな弦楽四重奏曲。

2019年3月、上野学園 石橋メモリアルホールでのヴェリタス弦楽四重奏団による演奏。


ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲 第7番

ショスタコーヴィチが、1960年に作曲した7番目の弦楽四重奏曲。

15あるショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲の中では最も短い曲だが、1954年に亡くなった妻ニーナに捧げられた曲で、ショスタコーヴィチにとっては最も愛着のあった弦楽四重奏曲であったという。

第1楽章、アレグロ。ヴァイオリンが奏でる奇妙なメロディに導かれていく。

第2楽章、レント。静かな音楽。

第3楽章、アレグロ、アレグレット、アダージョ。ようやくショスタコーヴィチらしくなる。ニーナが怒っているのか、あるいは夫婦喧嘩の場面を表現したのか。

陰鬱な音楽とエキセントリックな音楽が同居している、不思議な弦楽四重奏曲。

2019年3月、上野学園 石橋メモリアルホールでのヴェリタス弦楽四重奏団による演奏。