2015年10月24日土曜日

ショスタコーヴィチ:交響曲第13番『バビ・ヤール』

ショスタコーヴィチが、1962年に作曲した、13番目の交響曲。

バスの独唱、合唱とオーケストラで構成される。

詩人のエフゲーニ・エフトゥシェンコが、ナチスによるユダヤ人殺害事件をテーマに書いた詩が元になっている。

第1楽章。バビ・ヤール。

この名前が、交響曲全体の名前にもなっている。重々しい音楽。

バビ・ヤールとは、ユダヤ人の虐殺が行われた場所で、詩の中では、民族の共和が歌われる。

第2楽章。ユーモア。

ユーモアを手なずけた権力者はいない、という、強烈な権力批判が、ショスタコーヴィチ独特の、コミカルな音楽とともに歌われる。

第3楽章。商店で。

厳しい経済の中で、苦労を強いられる民衆の様子を歌った詩。

第4楽章。恐怖。

ソビエトの恐怖政治の状況が、批判されている。

第5楽章。出世。

これまでとは、少し違った内容の詩で、ガレリオ、シェークスピア、トルストイなどの英雄が賞賛されながら、静かに終わる。

2013年1月、パリのサル・プレイエルでの、指揮ヴァレリー・ゲルギエフ、サンクトペテルブルク・マリインスキー劇場管弦楽団及び同合唱団の演奏。バス独唱は、ミハイル・ペトレンコ。


2015年10月17日土曜日

リヒャルト・シュトラウス:オペラ『火の危機』

リヒャルト・シュトラウスが、1901年に作曲した、2番目のオペラ。

シュトラウスは、この後、1905年にサロメを完成させて、大成功を収めることになった。

このオペラは、ミュンヘンを舞台に、夏至のお祭りをテーマにしたもので、好きな女性に振られた魔法使いの弟子が、この世から火をなくしてしまう、という騒動を描いている。

子供の合唱が所々で使われている、子供向けの音楽劇のような内容になっている。

その一方で、シュトラウスらしい、ダイナミックな音楽、コミカルな音楽も随所に聞くことができ、気軽に楽しむことができる。

2014年1月、パレルモ・マッシモ劇場での公演から。

2015年10月12日月曜日

メンデルスゾーン:交響曲第3番『スコットランド』

メンデルスゾーンが、1829年にスコットランドを訪れた際に受けた印象を元に作曲された、3番目の交響曲。

作曲は、翌年の1830年から始められたが、途中、多忙のため完成されず、1842年に完成された。

第1楽章。Andante con moto — Allegro un poco agitato。

スコットランドは、ドイツに比べて北にある。そして、イングランドに征服された悲しい歴史や、妖精の伝説などが残る、幻想的な土地でもある。

メンデルスゾーンの素晴らしい感性は、そうしたスコットランドの特徴を、この楽章の音楽で見事に表現している。

第2楽章。Vivace non troppo。

冒頭に、スコットランドのバクパイプのようなメロディが奏でられ、それをベースに音楽が展開される。

第3楽章。Adagio。

スコットランドの雄大な大自然をイメージさせる、厳粛な壮大な音楽。

第4楽章。Allegro vivacissimo — Allegro maestoso assai。

前半は、テンポの良い軽快な音楽で、後半は、雄大なフィナーレを迎える。

1980年、ショルティ指揮、シカゴ交響楽団によるシカゴでの演奏。

ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第2番

ショスタコーヴィチが、1957年に作曲した、2番目のピアノ協奏曲。彼の息子のために作られた。

第1楽章。アレグロ。

第2楽章。アンダンテ。

第3楽章。アレグロ。

第1楽章と第3楽章は、コミカルな、軽い感じのショスタコーヴィチらしい音楽。間の第2楽章は、哀愁に満ちた美しい音楽。

小規模ながら、見事な構成のピアノ協奏曲に仕上がっている。

2013年パリのサル・プレイエルでの、デニス・マツーエフによるピアノ、サンクトペテルブルク・マリインスキー劇場管弦楽団による演奏、指揮はヴァレリー・ゲルギエフ。

2015年10月10日土曜日

ショスタコーヴィチ:交響曲第12番『1917年』

ショスタコーヴィチが、1961年に作曲した、12番目の交響曲。

第11番に引き続く標題音楽で、この交響曲でのテーマは、レーニンによる1917年の10月革命。

第1楽章。モデラート、アレグロ。革命のペトログラード。

レーニンによる、ペトログラードでの革命の様子を、勇壮な音楽で表現している。

第2楽章。アダージョ。ラズリーフ。

ラズリーフとは、ペトログラードの北にある湖の名前。レーニンは、この湖の湖畔で、革命の構想を練り上げていたという。

静かな間奏曲といった趣。

第3楽章。アレグロ。アヴローラ。

戦艦アヴローラから、冬の宮殿への砲撃で、十月革命が始まる。その様子を、雄大な高揚心に溢れる音楽で表現している。

第4楽章。リステッソ・テンポ - アレグレット - モデラート。人類の夜明け。

レーニンによる十月革命の成功が、人類の夜明けである、という意味を込めた、壮麗なるファンファーレ。

ヴァレリー・ゲルギエフ指揮、サンクトペテルブルク・マリインスキー劇場管弦楽団による、2014年2月、パリのサル・プレイエルでの演奏。

ショスタコーヴィチ:交響曲第11番『1905年』

ショスタコーヴィチが、1957年に作曲した、11番目の交響曲。

ロシアの歴史に、暗い影を落としている、1905年の血の日曜日事件を音楽で描いた、いわゆる標題音楽。

第1楽章。アダージョ。宮殿前広場。ト短調。

悲劇となった事件を象徴するように、重々しい、陰鬱な音楽。

第2楽章。アレグロ。1月9日。ト短調。

民衆の行進を表す音楽で始まり、やがて、その民衆を狙撃する政府軍の一斉射撃が始まる。

第3楽章。アダージョ。永遠の記憶。ト短調。

皇帝配下の軍の銃殺によって倒れた、民衆へのレクイエム。美しいが、厳粛な音楽。

第4楽章。アレグロ・ノン・トロッポ。警鐘。ロ短調。

仲間の死を乗り越えて、躍動する労働者への賛歌。

だが、この警鐘とは、誰への警鐘だろうか?

ヴァレリー・ゲルギエフ指揮、サンクトペテルブルク・マリインスキー劇場管弦楽団による、2014年2月、パリのサル・プレイエルでの演奏。


2015年10月4日日曜日

バッハ:ミサ曲ロ短調

バッハが、死の前年の1749年に完成させたといわれるミサ曲。

4つの部分からなり、ヨハネ受難曲、マタイ受難曲と並び、バッハの最高傑作のひとつと考えられている。

キリエ、グロリア、ニカイア信条、それと、サンクトゥス、ホザンナ、ベネディクトゥス、アニュス・デイが一つのなったパートの、4つから構成されている。

作曲された時期は、それぞれ別々で、バッハは、そもそも全体として一つの曲として構成されることを、意識していなかったのではないか、という説もある。

また、バッハの子が大幅な改訂を行っていることから、オリジナルの再現には、大きな課題があるようだ。

現代の、しかもキリスト教になじみのない人間にとっては、純粋に、器楽と人間の奏でる音楽を楽しむことしかできない。

ヨハネ受難曲、マタイ受難曲と比べて、クライマックスとでもいえる特別なパートはなく、淡々とミサ曲が進んでいく。

2015年7月、サントリーホールでの、ジャパン・バッハ・コレギウムによる演奏。

2015年10月3日土曜日

ベートーヴェン:ピアノソナタ第30番

ベートーヴェンが、1820年に作曲した、30番目のピアノソナタ。

第3楽章が、6 つの変奏曲から構成されるという、珍しい内容になっている。

第1楽章、ヴィヴィアーチェ・マ・ノン・トロッポ、ホ長調。

ゆるやかな印象の音楽で始まるが、突然、劇的な音楽に変わる。

第2楽章、プレスティッシーモ、ホ短調。

第1楽章に続けて演奏される。

第3楽章、アンダンテ・モルト・カンタヴィーレ・エ・エスプレッシーヴォ、ホ長調。

ゆっくりとした、単純だが内省にあふれた主題が演奏され、それが様々に変奏されていく。

徐々に盛り上がりを見せて、当初の主題よりもかけ離れたダイナミックな音楽まで行きつくが、最後は、最初に戻ったように、静かな終わりを迎える。

そのひとつの楽章の中での変化は、さすが、と思わせる。

ダニエル・バレンボイムによる1983年から1984年にかけて行われた、全曲演奏から。

ベートーヴェン:ピアノソナタ第29番『ハンマークラヴィーア』

ベートーヴェンが、1817年から1818年にかけて作曲した、29番目のピアノソナタ。

ベートーヴェンは、第28番とこのピアノソナタに、ピアノフォルテの代わりに、楽譜にハンマークラヴィーアと書いていたが、なぜか、この曲だけが、その名で呼ばれるようになった。

第1楽章、アレグロ、変ロ長調。

ハンマークラヴィーアという名前にふさわしい、堂々たる、威厳に満ちた音楽。

第2楽章、アッサイ・ヴィヴィアーチェ、変ロ長調。

明るい感じの音楽。最後の方で、印象的なメロディが演奏される。

第3楽章、アダージョ・ソステヌート、嬰ヘ短調。

ゆっくりとした、重々しい音楽。深刻なことに、ずっと頭を悩ませている、といった感じの内容。

第4楽章、ラルゴ、アレグロ・リゾルート、変ロ長調。

陰鬱な音楽から解放され、明るい晴れやかな音楽になるが、その後は、複雑な展開となる。

ダニエル・バレンボイムによる1983年から1984年にかけて行われた、全曲演奏から。

ベートーヴェン:ピアノソナタ第28番

ベートーヴェンが、1816年に作曲した、28番目のピアノソナタ。

第1楽章、幾分速く、そして非常に深い感情をもって、イ長調。

ゆっくりと、何かを確かめるような、内省に満ちたような音楽。

第2楽章、生き生きした行進曲風に、ヘ長調。

一転して軽快な音楽。

行進曲というより、飛び跳ねているように聞こえる。

第3楽章、ゆっくりと、そして憧れに満ちて、イ短調、速く、しかし速すぎないように、そして断固として、イ長調。

ゆっくりとした、ロマンチックな響きの前半と、後半は。ドラマチックな音楽とから成っている。

ダニエル・バレンボイムによる1983年から1984年にかけて行われた、全曲演奏から。

ブラームス:交響曲第1番

ブラームスが、着想から完成までに21年をかけた、という最初の交響曲。1876年に完成された。

第1楽章。Un poco sostenuto - Allegro。

ドイツ音楽らしい、重厚な出だしで始まり、やがて勇壮な主題へと展開される。

第2楽章。Andante sostenuto。

穏やかな音楽で始まり、哀愁に満ちた管楽器の主題、その後に弦楽器の美しい旋律が続く。

最後に、バイオリンによる極上のメロディが演奏される。

第3楽章。Un poco allegretto e grazioso。

目の前に、広大な平原が眼に浮かぶような、牧歌的な爽やかな音楽で始まる。

中断されずに、そのまま、第4楽章に引き継がれる、短い楽章。

第4楽章。Adagio - Più andante - Allegro non troppo, ma con brio - Più allegro。

ベートーヴェンの第9交響曲からの引用をベースにした音楽。

2014年9月、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行われた、フランツ・ウェルザー=メスト指揮、クリーヴランド管弦楽団による演奏。

現代らしい、ドライでありながら、要所要所には叙情感をこめた、メリハリのある演奏が印象的。