イタリア人で1925年生まれのルチアーノ・ベリオが、生涯にわたり作り続けた、様々な楽器向けのソロ曲。
セクエンツァIがフルート向けに1958年に作曲してから、死の前年の2002年のチェロ向けのセクエンツァXIVまで、14曲が作曲された。
ベリオの死後も、他の音楽家たちが、別な楽器用に様々な編曲したバージョンが公開されている。
毎年、上野の東京文化会館を中心に開催される、東京・春・音楽祭 東京オペラの森2016。
ここ何年か、毎年何かのプログラムを聴きに行っていたが、今年は2日かけて行われる、ポリーニ・プロジェクト ベリオ、ブーレーズ、ベートーヴェン、という名のコンサートを選択した。
ベリオは、セクエンツァから、I(フルート)、II(ハープ)、VI(ヴィオラ)、VII(オーボエ)、IX(クラリネット)、XII(ファゴット)の6曲が演奏された。
ベリオは、各楽器の演奏家との対話を通じて、その楽器の最大限にできることを通じて音楽的な探求を続けている、そんな音楽家のために、セクエンツァのそれぞれの曲を作っていったという。
どの曲を聴いても、この楽器には、こんな音が出るのか、こんな弾き方ができるのかと、驚かされる演奏ばかりだった。
中でも、とりわけ印象に残ったのは、パスカル・ガロワによるファゴットの演奏だった。
実はベリオは、セクエンツァXIIをガロワのための作曲した。
ガロワはこの曲を最もよく理解し、それを最もよく弾きこなすことができるファゴット奏者だろう。
聴き始めて驚いたのは、ファゴットの音が途切れることがないことだ。しかし、演奏の間、息継ぎをする音も聞こえてくる。
ガロアは、息継ぎをしながら、しかもファゴットの音を演奏し続ける、という驚くべき技術を駆使しながら、この曲を演奏している。
会場の明かりはほとんど消され、ステージ上のガロワにだけ青い光が当たっている。そうした演出が、余計にこの曲の凄さを引き立てている。
耳に届いてくる音は、ファゴットの音というより、どこか別の世界から、あるいは地の底から響いてくる音のように、錯覚してしまう。
ガロワの演奏からは、この曲を最もよく理解する者の務めとして、聴衆にこの曲を最も良い演奏で聴かせたい、という思いが、痛いほどこちらに伝わってきた。
会場には、このコンサートのプロデュースを手掛けたポリーニも姿を見せ、会場の後ろから、静かにこの曲に耳を傾けていた。
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