2018年10月21日日曜日

アルヴォ・ペルト:アダムス・パッション

エストニア出身の作曲家、アルヴォ・ペルトが作曲した、オラトリオ風の音楽。

セクエンツァ、アダムの嘆き、ダブラ・ラサ、ミゼレーレ。

という4つのパートから構成されているが、それぞれ、別々に作られた曲を、1つの作品に再構成したもの。

余計な音が極力削ぎ落とされた、静謐な宗教音楽になっている。

2015年5月、エストニアのタリン、ノブレスナーファウンドリーで行われた演奏。

舞台上では、音楽からイメージされた、俳優によるパフォーマンスも合わせて行われた。

2018年10月8日月曜日

アルヴォ・ペルト:交響曲第3番

エストニア出身の作曲家、アルヴォ・ペルトが1971年に作曲した、3番目の交響曲。

第1楽章、4分音符 = 66。

第2楽章、2分音符 = 54-56。

第3楽章、2分音符 = 60。

という不思議な構成で成り立っている。

ミニマリスト、と言われるが、音楽はいたってオーソドックスで、拍子抜けするほど。

厳かな雰囲気で、威厳を感じさせる雄大な北欧的な交響曲になっている。

2018年、エストニアのパルヌで行われた、パルヌ音楽祭からの演奏。

指揮は、パーヴォ・ヤルヴィ。演奏は、エストニア祝祭管弦楽団。

2018年10月6日土曜日

バルトーク:弦楽四重奏曲第6番

ベラ・バルトークが、1939年に作曲した、最後の弦楽四重奏曲。

第3番、第4番の弦楽四重奏曲では、5つのパートで緩急の変化で構成される内容だったが、この曲では、悲しみ(Mesto)という共通のテーマを設定し、構成は古典的な4楽章形式に戻している。

バルトークは、この曲を作曲した年に母を亡くし、ナチスの台頭からアメリカへの移住を考えていた。

第1楽章、Mesto - Più mosso, pesante - Vivace。重々しく、古典的な雰囲気を持つ楽章。

第2楽章、Mesto - Marcia con sordino。冒頭から悲しみという感情がよく表れている。

第3楽章、Mesto - Burletta。静かな音楽が展開されていく。例の猫の鳴き声のような音楽も登場する。

第4楽章、Mesto。重々しい音楽。

2017年4月、パリのブッフ・デュ・ノール劇場における、ディオティマ弦楽四重奏団の演奏。

2018年9月30日日曜日

バルトーク:弦楽四重奏曲第5番

ベラ・バルトークが、1934年に作曲した、5番目の弦楽四重奏曲。

第1楽章、Allegro。これまでのバルトークの弦楽四重奏曲の中でも、かなり明るいイメージの音楽。

第2楽章、Allegro molto。やや静かな内省的な音楽。

第3楽章、Scherzo (Alla bulgarese, vivace)。軽快なスケルツォ。

第4楽章、Andante。再び静かな音楽。

第5楽章、Finale (Allegro vivace)。一転して、テンポの速い音楽。

2017年4月、パリのブッフ・デュ・ノール劇場における、ディオティマ弦楽四重奏団の演奏。

バルトーク:弦楽四重奏曲第4番

ベラ・バルトークが、1928年に作曲した、4番目の弦楽四重奏曲。

第1楽章、Allegro。バルトークの猫の声のような独特な音楽。

第2楽章、Prestissimo con sordino。小刻みでテンポの速い音楽が展開する。

第3楽章、Non troppo lento。チェロの伸びやかな音楽が心地よい。

第4楽章、Allegro pizzicato。ピチカートによって演奏される。

第5楽章、Allegro molto。再び、小刻みでテンポの速い音楽。フィナーレは唐突に訪れる。

第3番の翌年に作曲された作品だが、それまでの3つの弦楽四重奏曲とは、趣が著しく異なっている印象。

2017年4月、パリのブッフ・デュ・ノール劇場における、ディオティマ弦楽四重奏団の演奏。

バルトーク:弦楽四重奏曲第3番

ベラ・バルトークが、1927年に作曲した、3番目の弦楽四重奏曲。

第1部、Moderato。静かで捉えどころがない、バルトークらしい序奏。

第2部、Allegro。歯切れのいい、民族舞踏のような音楽。

第3部、Recapitulazione della prima parte。第1楽章と同じような音楽が展開される。

第4部、Coda。再び、軽快な、しかし激しい音楽でフィナーレを迎える。

演奏時間は15分ほどの短い音楽。

2017年4月、パリのブッフ・デュ・ノール劇場における、ディオティマ弦楽四重奏団の演奏。

バルトーク:弦楽四重奏曲第2番

ベラ・バルトークが、1915年から1917年の間に作曲したと言われる、2番目の弦楽四重奏曲。

第1楽章、Moderato。

第2楽章、Allegro molto capriccioso。全体的に、激しくエネルギッシュな音楽。終盤、静かになったり、激しくなったり、めまぐるしく様々な音楽が展開する。

第3楽章、Lento。一転して静かな音楽。

静かだが、不安定な雰囲気を感じさせる音楽。心の中にある様々な感傷的な思いが、浮かんでは消えていくようだ。

2017年4月、パリのブッフ・デュ・ノール劇場における、ディオティマ弦楽四重奏団の演奏。

バルトーク:弦楽四重奏曲第1番

ベラ・バルトークが、1907年から1908年の間に作曲したと言われる、最初の弦楽四重奏曲。

第1楽章、Lent。バルトークは、これを葬送の音楽であると友人への手紙に書いていた。静かで厳かな雰囲気の音楽。

チェロが弦を強く震わせて奏でる、低音の響きが、確かに死を感じさせる。

冒頭に12音全てが使われていているが、この曲が作曲されたのは、シェーンベルグが12音技法を確立する前だった。

第2楽章、Allegretto。

第3楽章、Allegro viviace。

次第に音楽が激しくなり、ダイナミックにフィナーレを迎える。

2017年4月、パリのブッフ・デュ・ノール劇場における、ディオティマ弦楽四重奏団の演奏。

2018年9月2日日曜日

カバレフスキー:チェロ協奏曲第2番

ソ連の体制寄りの音楽家として知られる、ドミトリー・カバエフスキーが、1964年に完成させた、2番目のチェロ協奏曲。

第1楽章 モルト・ソステヌート。

暗い感じのチェロの旋律が印象的。聴く者の心をグッと掴んでしまう。チェロの旋律は、やがて複雑な哀愁に満ちたものに変わっていく。タンゴのような印象。

第2楽章 プレスト・マルカート。

第1楽章と違って、激しい音楽。

第3楽章 アンダンテ・コン・モート。

再び静かなチェロの旋律が戻ってくる。ダイナミックな展開の後、最後はチェロの物悲しい旋律で終わる。

あまり有名ではないが、チェロ協奏曲の名曲の一つと言っていい。

チェロは、マリオ・ブルネロ。2018年6月、NHK交響楽団の定期公演から。

ストラヴィンスキー:バレエ音楽『カルタ遊び』

ストラヴィンスキーが、アメリカ・バレエ団のために1937年に完成させたバレエ曲。

このバレエの振り付けは、ディアギレフのロシア・バレエ団で共に活躍したバランシンだった。

カルタ(カードゲーム)の3つのプレー(ディール)を3つの曲で表現している。

賭け事をテーマにした音楽だけに、全体的に、やや忙しない。

2018年5月にサントリーホールで行われた、NHK交響楽団の公演。指揮は、パーヴォ・ヤルヴィ。

ストラヴィンスキー:バレエ音楽『ミューズを率いるアポロ』

ストラヴィンスキーが、アメリカ、ワシントンのアメリカ国会図書館での公演のために依頼され、1927年に完成させた、バレエのための音楽。

春の祭典などの前衛的な音楽とは異なり、古典的な手法で作曲されている。

アポロの踊りまでは静かな音楽。主役のアポロのパートは流石に聞きごたえがある。

パ・ド・ドューで再び静かな音楽になり、最後はコーダで明るく軽快な音楽になる。

2018年5月にサントリーホールで行われた、NHK交響楽団の公演。指揮は、パーヴォ・ヤルヴィ。

ファーゲルルンド:オペラ『秋のソナタ』

1972年生まれのフィンランドの作曲家、セバスチャン・ファーゲルルンドが、フィンランド国立劇場からフィンランド独立100周年を記念して委嘱され、作曲した作品。

題名からも想像できるように、イングマール・ベイルマン監督の同名の映画作品がベースになっている。

母親と娘の、対立する心の葛藤が全体の基調になっていて、映画ではベイルマンの美しい映像が添えられていたが、オペラ作品では、現代的な不安な音楽によって、むしろその愛憎劇が強調される形になっている。

イプセンの人形の家もそうだが、何気ない穏やかな日常の中に、人間の心の闇が隠されている、というのが北欧芸術のある種のパターンなのかもしれない。

2017年9月にヘルシンキのフィンランド国立劇場で行われた公演。

2018年7月21日土曜日

ベートーヴェン:ミサ曲

ベートーヴェンが、ウィーンのエステルハージ家の要請に基づいて、1807年に作曲したミサ曲。

エステルハージ家の宮廷楽長だったハイドンは、この家のために毎年ミサ曲を作るのが習わしだった。

それが中断した後で、その依頼がベートーヴェンにやってきた形で、ベートーヴェンはハイドンのミサ曲を十分に研究した上で、この作曲に臨んだが、練習不足のせいもあり、評判は今ひとつだった。

しかし、ベートーヴェンは同じ時期に、交響曲5番や6番などの名曲を作曲している。

音楽は、さすがにミサ曲ということもあって、交響曲や協奏曲ほどには、ダイナミックな曲調ではないが、重厚感のある音楽は、聞き応えがある。

2018年1月、ミュンヘンのガスダイク・フィルハーモニーで行われた、マリス・ヤンソン指揮、ミュンヘン放送交響楽団の演奏から。

フンメル:トランペット協奏曲

ヨハン・ネポメク・フンメルが、有鍵トランペットの発明者で名手だったヴァイデンガーのために1803年に作曲した、トランペットのための協奏曲。

フンメルは、ハンガリーの出身で、住み込みでモーツァルトにピアノを習い、後にピアニスト、指揮者、作曲家として大成した。

フンメルは、ハイドンを継いで、エステルハージ家の宮廷楽長も勤めており、ベートーヴェンとも交流していた。

第1楽章、Allegro con sprito。モーツァルトの曲のように晴れやかで明るい曲調。

第2楽章、Andante。トランペットの伸びやかな音が効果的に使われている。

第3楽章、Rondo。今度は、トランペットのリズム感に溢れた軽快な音楽。

トランペットの楽器としての魅力が遺憾なく発揮されている。

2018年1月、ミュンヘンのガスダイク・フィルハーモニーで行われた、マリス・ヤンソン指揮、ミュンヘン放送交響楽団の演奏から。トランペットは、マルチン・アンゲラー。

ストラヴィンスキー:3楽章の交響曲

イゴール・ストラヴィンスキーが、1945年に完成させた、文字通り、3つの楽章を持つ交響曲。

1945年は、ストラヴィンスキーが、アメリカの国籍と市民権を取得した年でもある。

第1楽章、4分音符=160。

元々は、ピアノと管弦楽のための協奏曲として構想された曲。ジャズっぽい要素がある。

第2楽章、アンダンテ・インターリュード。

もとは、映画音楽として構想された曲で、こちらにはハーブが使われている。

第3楽章、コン・モート。

こちらは、この交響曲用に新たに書かれたもので、ピアノとハーブが使われている。

この第3楽章の音楽が、最も聞き慣れたストラヴィンスキーの音楽と言える。

2018年1月、ミュンヘンのガスダイク・フィルハーモニーで行われた、マリス・ヤンソン指揮、ミュンヘン放送交響楽団の演奏から。

2018年5月27日日曜日

シューマン:オラトリオ『楽園とペリ』

ロベルト・シューマンが、1843年に作曲した、3つのパートからなるオラトリオ。

アイルランドの詩人、トマス・モアの同名の詩を元に作曲した。

楽園を追放された妖精のペリが、インド、エジプト、シリアを巡り、やがて再び楽園へ迎えれらるまでを描いている。

シューマンは、東洋の雰囲気を持った作品を作りたかったようだが、音楽は、バリバリの西洋音楽で、東洋らしさは、あまり感じられない。

最後の、ペリが楽園に迎えられた喜びを表現する部分の盛り上がりは素晴らしい。ベートーベンの交響曲第9番、歓喜の歌を連想させる。

2016年12月、フランス、パリのフィルハーモニー・ド・パリでの演奏。指揮はダニエル・ハーディング、演奏はパリ管弦楽団及び同合唱団。

2018年5月20日日曜日

モーツァルト:2台のピアノのためのソナタ ニ長調

モーツァルトが、1787年に完成させた、2台のピアノのためのソナタ曲。

モーツァルトのピアノの弟子であった、ヨーゼファ・バルバラ・アウエルンハンマーという女性のピアニストのために作った曲。

アウエルンハンマーのピアノの腕は確かで、モーツァルトもその実力も高く評価していたが、モーツァルトに恋心を抱いていたようで、そのことについては、モーツァルトも辟易していたという。

アレグロ、アンダンテ、モルトの3つの楽章から構成されている。

2014年8月、アルゼンチン、ブエノスアイレスのコロン劇場で行われた、バレンボイムとアルゲリッチのコンサートの演奏。

2018年5月17日木曜日

モーツァルト:モテット『エクスルターテ・ユビラーテ』

モーツァルトが、1773年に作曲した、3つの楽章からなるモテット。

モテットは通常、キリスト教の宗教音楽で、ミサ曲以外の声楽曲を意味する。

モーツァルトは、お気に入りのカストラート用に作った曲と言われている。

3つの楽章は、アレグロ、アンダンテ、アレグロ、という構成。

第3楽章、”アレルヤ”は飛び抜けて有名で、単独でよく演奏される。

モーツァルトは、宗教音楽といえども、完全に自分の音楽として作曲している。

2015年、ザグラダ・ファミリア教会で行われた、大野和士のバルセロナ交響楽団音楽監督就任記念公演から。ソプラノは、マリア・イノホサ。

2018年5月13日日曜日

ヴェルディ:オペラ『ジョヴァンナ・ダルコ』

ジュゼッペ・ヴェルディが、1845年に作曲した、3幕のオペラ。

ジョヴァンナ・ダルコとは、ジャンヌ・ダルクのイタリア語読み。

悲劇のヒロインのジャンヌ・ダルクと優柔不断なフランスのカロル7世を軸に、ヴェルディのメリハリの効いた音楽が、イギリスとフランスの戦いを描き出している。

ステージ上には、ローマの競技場ような大きな建物があり、そこがスクリーンとしても使われ、ジャンヌ・ダルクをイメージした、アニメーションの女性像が大きく映し出されるなど、現代風の演出がされていた。

2016年のヴェルディ・フェスティバルの講演。ジョヴァンナ・ダルコには韓国出身のヴィットリア・イェオ、カルロ7世にはルチアーノ・ガンチ。

2018年5月12日土曜日

ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲

イゴール・ストラヴィンスキーが、1931年に作曲した、唯一のヴァイオリン協奏曲。

ポーランド系のドゥシュキンというヴァイオリニストからの依頼で作曲されたが、ストラヴィンスキーはヴァイオリンについてあまり得意としておらず、ドゥシュキンやヒンデミットなどのアドバイスを受けながら、完成させたという。

第1楽章、トッカータ。まるでヴィヴァルディのバロック音楽のような、リズミカルな音楽。

第2楽章、アリア。一転して、静かな哀愁のあるアリア。

第3楽章、カプリッチョ。軽快で、ようやくストラヴィンスキーらしくなった感じ。

全体的に、ストラヴィンスキーにしては、古典的な雰囲気の音楽。

1967年2月、パリのメゾン・ド・ラ・ラジオ・フランスでの、クリスチャン・フェラスの演奏。

ヴィラ=ロボス:弦楽四重奏曲第2番

ヴィラ=ロボスが、1915年に作曲した、2番目の弦楽四重奏。第1番とほぼ同じ年に作曲された。

第1楽章、アレグロ・ノン・トロッポ。静かな音楽。

第2楽章、スケルツォ:アレグロ。ややせわしない印象だが、暗い感じの音楽。

第3楽章、アンダンテ。午後のアンニュイな雰囲気の音楽。

第4楽章、アレグロ・デシーソ、プレスト、プレシッティシーモ・フィナーレ。短い楽章だが、複雑に音楽が展開して、フィナーレを迎える。

2010年7月~2011年5月にかけて、リオ・デ・ジャネイロのラランジェイラス宮殿で行われた、クアルテート・ハダメス・ジナタリの演奏。



2018年5月5日土曜日

ヤナーチェク:オペラ『死者の家から』

モラヴィア生まれの作曲家、レオシュ・ヤナーチェクが、1927年から28年にかけて作曲した最後のオペラ。

ドフトエフスキーが自らの経験をもとに書いた『死者の家の記録』がベースになってる3幕からなるオペラ。

シベリアの強制収用所を想定した舞台。極限の世界の様子が、ヤナーチェクの独特な音楽の中で、展開されて行く。

2016年7月、フィンランドの海沿いにある、オラヴィ城の中庭に設置された舞台で。

2018年5月4日金曜日

ブラームス:ピアノ協奏曲第1番

ブラームスが、1854年、23歳の時に作曲した、最初のピアノ協奏曲。

4つの楽章を持ち、交響曲のような雰囲気を持ったピアノ協奏曲。

第1楽章、アレグロ・コン・ブリオ。堂々たるオーケストラの序曲で始まり、ピアノはかなり後から参加してくる。

その終わり方も、まるで交響曲の第1楽章の終わり方のようだ。

第2楽章、スケルツォ。スケルツォというより、アダージョのような音楽。

第3楽章、アダージョ。

第4楽章、アレグロ。壮麗で、盛大なフィナーレだが、ブラームス後年の重みのような感じはなく、ヤング・ブラームス、といった趣。

2015年2月、アメリカ、クリーヴランドのセヴェランス・ホールでの演奏。ピアノはイエフィム・ブロンフマン。フランツ・ウェルザー・メスト指揮、クリーヴランド管弦楽団の演奏。

2018年4月30日月曜日

ライマン:オペラ『リア王』

現代音楽家のアリベルト・ライマンの作曲で、1978年に初演されたオペラ。

シェイクスピアのリア王を忠実に脚本化している。

信じていた娘たちに次々よ裏切られていく、不条理なリア王の世界が、ライマンの不協和音に満ちた音楽によって、よりその不条理さが強調されている。

2014年のハンブルグ州立歌劇場の公演から。指揮は女性のシモーネ・ヤング。

2018年4月28日土曜日

モーツァルト:4手のためのピアノ・ソナタ(ヘ長調)

モーツァルトが、1786年、30歳の時に完成させた、4手のためのピアノ・ソナタ。

モーツァルトは、同じ年に何曲か、4手のためのピアノ・ソナタを作曲しているが、その中でも、とりわけ難しい曲と言われている。

Adagio-Allegro di molto、Andante、Allegroという3つのパートで構成されているが、とりわけ、Andanteの静謐な印象の音楽が、実に美しい。

アルゲリッチとバレンボイムによる、2016年7月、ブエノスアイレスのコロン劇場での演奏から。

2018年4月14日土曜日

マスネ:オペラ『ウェルテル』

フランスの作曲家、ジュール・マスネが、ゲーテの『若きウェルテルの悩み』を題材に、1885年から1887年にかけて作曲したオペラ。

現代では、よく演奏されるオペラの一つになっているが、初演されたのはドイツ語版で1892年。母国のフランスでは翌年に初演されたが不評で、1903年の公演で、ようやく認めらたという。

主人公のウェルテルと、ウェルテルから熱い胸の内を告白され苦悩するシャルロットが、情熱的な歌と演技で、観客をうならせる。

2017年4月に行われた、チューリッヒ歌劇場の公演から。

ウェルテル役は、ファン・ディエゴ・フローレス。シャルロット役は、アンナ・ステファニー。

2018年3月18日日曜日

シューマン:『ゲーテのファウストからの情景』

シューマンが、1844年から、途中の病気の療養を挟みながら、およそ10年をかけて1853年に完成させたオラトリオ。

2017年のベルリン歌劇場のリニューアル・オープンでは、これをオペラに仕立てて上演した。

ベルリン歌劇場は、当初もっと早くリニューアルする予定だったが、度々延期されて、ようやく2017年に完成にこぎつけた。

この曲を選んだ背景にには、作曲とリニューアルに要した時間の長さもあるに違いない。

指揮は、バレンボイム。舞台装置は、ドイツの現代アーティスト、マルクス・リュベルツが担当した。

シューマンは、当初はファウストを題材としたオペラを構想していたが、結局断念して、いくつかのシーンを音楽に仕立てて、情景、とした。

ファウストの世界全体を表現したという序曲は、とりわけ聞きごたえがある。

レスピーギ:オペラ『沈鐘』

オットリーノ・レスピーギが、1925年から26年にかけて作曲した5幕からなるオペラ。

ドイツのノーベル賞作家、ゲルハルト・ハウプトマンの同名の戯曲がもとになっている。

主人公の鋳造師が、作品への執着へのあまりに、キリスト教の倫理も忘れて製作に没頭するという、ロマン主義的なストーリー。

ローマの松などのダイナミックで知られるレスピーギだが、その音楽はこのオペラでも十分に生かされている。

2016年4月、イタリアのカリアリ歌劇場での公演。指揮はドナート・レンゼッティ、ソプラノはヴァレンティーナ・ファルカス、演奏はカリアリ歌劇場管弦楽団及び同合唱団。

2018年2月4日日曜日

ブルックナー:交響曲第3番

アントン・ブルックナーが、1873年に初稿を完成させた、3番目の交響曲。

ブルックナーは、その後度々改定し、たくさんのバージョンが残されている。

尊敬するワーグナーに献呈したことから、ワーグナー交響曲とも呼ばれている。

第1楽章。神秘的に。

副題のように、重々しい音楽で始まる。ブルックナーらしい音楽。

第2楽章。アダージョ。

静かな音楽で始まるが、第1楽章の重々しさを依然として引き継いでいる。

第3楽章。スケルツォ。

古典主義の音楽からすると、とてもスケルツォには聞こえないが、ブルックナーにとっては、これでもスケルツォなのだろう。壮大なスケルツォだ。

第4楽章。アレグロ。

もっさりとした雰囲気ながら、壮麗なフィナーレを迎える。

2017年9月25日、ワレリー・ゲルギエフ指揮、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団による、オーストリアの聖フローリアン修道院での演奏。

2018年1月27日土曜日

ジョルダーノ:オペラ『アンドレア・シェニエ』

イタリアの作曲家、ウンベルト・ジョルダーノが作曲し、1896年に初演された、4幕からなるオペラ。

フランス革命の激動期の中、実在の詩人であるアンドレア・シェニエを中心とした、激増の時代の人々の愛憎劇が、ダイナミックな音楽で展開される。

いわゆる、イタリアのヴェリズモ・オペラの名作。

貧しい出身で貴族の小間使いである、主人公の敵役にあたるカルロが、冒頭での貴族に対する激しい怒り、自らの出自に対する激しい恨みを歌い上げるソロ・パートは、これぞヴェリズモ・オペラ、と感じさせる。

ミラノ・スカラ座、2017/2018年シーズンの冒頭で行われた公演から。

アンドレア・シェニエ役にはユシフ・エイヴァゾフと、マッダレーナ役にはアンナ・ネトレプコと、夫婦での共演となった。

2018年1月13日土曜日

プロコフィエフ:オラトリオ『イワン雷帝』

プロコフィエフは、1942年から45年にかけて、エイゼンシュタインの映画『イワン雷帝』のために、音楽を作曲した。

その映画音楽を、プロコフィエフの死後、1961年に作曲家のアブラム・スタセヴィチがオラトリオに編曲した作品。

映画では、16世紀にタタール族から独立して、最初のロシア皇帝となったイワン4世の生涯を、歌舞伎の動きを取り入れたという、エイゼンシュタイン独特の表現で描いている。

プロコフィエフの音楽は、全体的にオーソドックスな内容で、複雑なイワン雷帝の生涯を、多彩な音色で表現している。

2017年11月に行われたNHK交響楽団の演奏。指揮はトゥガン・ソヒエフ。

2018年1月8日月曜日

ヘンデル:オラトリオ『メサイア』

ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルが、1741年に作曲したオラトリオ。

キリストの誕生から死までを、英語の聖書の各書からの言葉で構成された、3部構成の47の曲でたどる。

第2部の最終曲、ハレルヤがよく知られている。

イギリスに渡り、一時は成功を収めたものの、落ち目になっていたヘンデルが、ある慈善家の依頼で作曲した。

ヘンデルは、わずか24日間でこの曲を書き上げたという。

初演は1742年4月にダブリンで行われ、ヘンデルは収益金の全てを寄付にした。

その後、ロンドンでも公演が行われたが、キリストの物語を娯楽にしたということで、批評から非難された。

しかし、教会で演奏された公演が大きな成功を収め、ヘンデルを代表するオラトリオとなった。

2016年3月、プラハのドヴォルザーク・ホークでの、ヴァーツラフ・ルクス指揮、コレギウム1704の演奏。