ベートーヴェンが、1825年に完成させた、ヘ短調の弦楽四重奏曲。
ベートーヴェンは、1824年にはこの曲のスケッチを書き上げていたが、途中、死の危険を伴う病気をし、奇跡的に回復した。
当初は、古典的な4楽章の構成だったが、第3楽章に、その回復を神に感謝した音楽を加えて完成させた。
第1楽章は、Assai sostenuto - Allegro。冒頭に、静かな音楽が置かれ、続いて、アレグロの音楽となる。
第2楽章は、Allegro ma non tanto。耳に心地よい、軽快な明るい音楽。
第3楽章は、"Heiliger Dankgesang eines Genesenen an die Gottheit, in der lydischen Tonart" Molto Adagio - Andante。
リディア旋法による、病より癒えたる者の神への聖なる感謝の歌。と題された、特別な楽章。
自分の苦しい病を表したようなアダージョと、そこから回復した喜びを表すようなアダージョで構成され、それが繰り返される。
リディア旋法とは、教会旋法の一つで、この楽章全体が、教会音楽のように、敬虔な雰囲気をたたえた音楽になっている。
第3楽章は、Alla Marcia, assai vivace。第3楽章の敬虔さを振り払うかのような、明るく軽快な音楽。
第4楽章は、Allegro appasionata - Presto。哀愁を帯びたメロディで始まる。次第に、音楽は文字通り、激情的になっていく。
この曲は、第3楽章を除いて、イ短調、イ長調、イ長調、イ短調、というベートーヴェンにしては実にシンプルな構成になっており、全体としてのまとまりを感じる。
2012年5月、ベルチャ四重奏団による、ウィーンのコンチェルトハウスでの演奏。
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