2014年8月31日日曜日

ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第10番

ベートーヴェンは、1803年の第9番から、しばらくヴァイオリンソナタを作らなかったが、1812年に久しぶりに、しかし最後となる10番目のヴァイオリンソナタを作曲した。

翌年の1813年には、交響曲第7番を完成させており、もっとも充実した時期の作品。

第1楽章は、アレグロ・モデラート。ト長調。

明るく、伸びやかな音楽。

第2楽章は、アンダンテ・エスプレッシーボ。変ホ長調。

瞑想するような、祈るような、そんな雰囲気の音楽。

第3楽章は、スケルツォ・アレグロ。ト短調。

第2楽章から続けて演奏される。スケルツォだが、それほどはじけずに、抑制されている感じ。

第4楽章は、ポコ・アレグレット。ト長調。

美しい主題が、様々な形で演奏され、最後はヴァイオリンとピアノが一体になって、フィナーレを迎える。

明らかに、それまでの9つのヴァイオリンソナタとは違っている。成熟された、という印象を受ける。

ザルツブルク音楽祭2012での演奏。ヴァイオリンはレオニダス・カヴァコス、ピアノはエンリコ・パーチェ。

ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第9番

ベートーベンが、1803年に作曲した9番目のヴァイオリンソナタ。イ長調。

ルドルフ・クロイツェルに献呈されたために、クロイツェル、と呼ばれている。

ベートーベン自身は、この曲を、”ほとんど協奏曲のように、相競って演奏されるヴァイオリン助奏つきのピアノ・ソナタ”と呼んでいた。

当時は、まだヴァイオリンソナタにおけるヴァイオリンの役割は、あくまでもピアノの助奏であり、主役はあくまでもピアノだった。

この曲でベートーベンは、ヴァイオリンに、ピアノと同じ役割を与え、その2つの楽器の協奏曲を作ろうとした。

第1楽章は、アダージョ・ソステヌート、プレスト、アダージョ。イ長調。

緊張感のある音楽で、ヴァイオリンとピアノの協奏というよりは、対決といった感じ。

第2楽章は、アンダンテ・コン・ヴァリアツィオーニ。ヘ長調。

第1楽章の緊張から一気に解放され、穏やかな音楽で、冒頭の主題が、様々に変奏されていく。

第3楽章は、プレスト。イ長調。

すっかり仲直りしたヴァイオリンとピアノが、軽軽な音楽を楽しげに奏でる。

ロシアの文豪トルストイは、この曲に深い印象を受けて、小説『クロイツェル・ソナタ』を書いた。

そして、その小説に刺激され、ヤナーチェクは弦楽四重奏第1番を作曲している。

このベートーベンの記念碑的なヴァイオリンソナタから、様々な変奏曲が生まれている。

ザルツブルク音楽祭2012での演奏。ヴァイオリンはレオニダス・カヴァコス、ピアノはエンリコ・パーチェ。

2014年8月23日土曜日

スクリャービン:法悦の詩

ピアノ曲で知られる、アレクサンドル・スクリャービンが、1908年に完成させた、4番目の交響曲。一般的には、法悦の詩、として知られる。

原題は、フランス語で、Le Poème de l'extase。エクスタシーを法悦として訳しているが、静的な意味もあるらしい。

スクリャービンは、このころから、神秘主義思想に傾倒しており、この曲も神秘的な雰囲気が濃厚。

この曲には、決まった調整がなく、楽章も分かれていない。

ロリン・マゼール指揮、NHK交響楽団の2012年10月の演奏。

リヒャルト・シュトラウス:交響詩『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』

リヒャルト・シュトラウスが、1894年から1895年にかけて作曲した交響詩。

シュトラウスは、当初は、このテーマでオペラを作ることを構想していたが、最終的には、交響詩という形式に落ち着いた。

そのせいか、最初の有名なテーマは、”むかしむかし、あるところに・・・”を表し、クラリネットのコミカルなメロディは、ティルの笑い声であるなど、物語性に溢れた、多彩な音楽になっている。

新しい音楽を作ってやろうという、野心に燃えた、若きリヒャルト・シュトラウスを代表する曲の一つと行っていいだろう。

ウィーン・フィルによる、恒例のシェーンブルン夏の夜のコンサート2014から。指揮はクリストフ・エッシェンバッハ。

リヒャルト・シュトラウス:ブルレスケ

若きリヒャルト・シュトラウスが、1886年、24歳の時に作曲した、ピアノと管弦楽のための音楽。

章には分かれておらず、自由な構成で、ワルツ風の音楽、アダージョのような音楽、そしてシュトラウスらしいダイナミックな音楽が、次々に登場する。

ピアニストには、高度な演奏力が要求される。

ブルレスケとは、英語のバーレスクで、諧謔的な音楽のこと。

ウィーン・フィルのシェーンブルン夏の夜のコンサート2014から。ピアノはランラン、指揮はクリストフ・エッシェンバッハ。

リスト:交響詩『マゼッパ』

フランツ・リストが、1851年に作曲した交響詩。同じ名前のピアノ曲もある。

マゼッパとは、ヴィクトル・ユーゴの叙事詩のこと。ウクライナの英雄を描いたストーリーで、リストは、いたく感動して、そこからピアノ曲と、この交響詩を着想した。

音楽は、リストらしいダイナミックなもので、激しい戦闘や勝利を思わせる、勇壮な音楽になっている。

ウィーン・フィルのシェーンブルン夏の夜のコンサート2014から。指揮は、クリストフ・エッシェンバッハ。

ベルリオーズ:序曲『ローマの謝肉祭』

ベルリオーズが、1844年に作曲した管弦楽用の曲。

ベルリオーズは、『ベンヴェヌート・チェッリーニ』というオペラを作曲したが、成功しなかった。

しかし、その音楽にはよほどの自身があったのか、アリアの主題と、ローマの謝肉祭、の音楽をもとに、小さな序曲に仕立て上げ、題名も『ローマの謝肉祭』とした。

そのかいあってか、この曲は、短いということもあり、ベルリオーズの曲の中でも、最も演奏される機会の多い曲になっている。

ウィーン・フィルによる、シェーンブルン夏の夜のコンサート2014から。指揮は、クリストフ・エッシェンバッハ。

2014年8月17日日曜日

ベッリーニ:オペラ『夢遊病の女』

イタリアのシチリア島、カターニャ生まれのヴィンツェンツォ・ベッリーニが、1831年に発表したオペラ。

ベッリーニは、1801年生まれで、このオペラを発表したときは、わずか30歳だった。しかし、その3年後に、パリで亡くなっている。

結婚を間近に控えたアミーナは、夢遊病を患っており、そのせいで、ある夜に別な男性の部屋を訪れてしまい、婚約者から誤解されるが、最後はその誤解も解け、ハッピーエンドとなる。

夢遊病をテーマにした、珍しい内容のオペラ。

ソプラノのアミーナ役には、とりわけ高い歌唱力が求められる。最初の登場シーンから、いきなりハイテンションな歌い方が要求される。

アミーナ役は、マケドニア生まれのアナ・ドゥルロフスキ。この公演が評価され、その年の再優秀若手歌手に選ばれた。

第1幕の後半。夢遊病で伯爵の部屋を訪れていた所を、婚約者をはじめ村人に見つかってしまうシーン。怒り狂う婚約者エルヴィーノ、状況がよくわからず混乱するアミーナ、アミーナを批難する村人たち。

様々な思いが交錯して、それぞれの思いが、合唱で歌われるシーンは圧巻。

2013年6月のシュトゥットガルト歌劇場の公演。上記の他にも、数々の音楽賞に輝いた。

ハイドン:オペラ『月の世界』

フランツ・ヨゼフ・ハイドンが、1777年に作曲したオペラ。

ハイドンのパトロンであった、エステルナージ家の婚礼のために作られたオペラで、同家の歌劇場で初演された。

そのため、その後は長く演奏されず、ハイドンは、このオペラの曲を、他の曲にも活用している。

ストーリーは、娘の結婚を認めてくれない頑固な父を、娘の恋人の発案で、父親をだまして、月の世界を訪問したと思わせて、月の皇帝によって、その結婚を認めさせる、というストーリー。

父親は、だまされていたことを最後に知って激怒するが、やがて冷静になり、娘の結婚を認める。

婚礼の祝いに相応しい内容のオペラだが、そのエステルナージ家の結婚自体も、それに似たような背景があったのだろうか?

月を訪れる、というテーマのオペラであるため、いろいろな演出が可能。

2009年、ウィーンのアン・デア・ウィーン劇場で行われた公演は、アンノンクールの80歳の誕生日の前日に行われた。

地上の世界は、白を基調にしたシンプルなセット、月の世界は、黒を基調にしたSFチックなセット。その対比がとても効果的だった。

2014年8月15日金曜日

モーツァルト:聖体の祝日のためのリタニア

モーツァルトが、1772年に作曲した宗教音楽。

リタニアとは、”神よ憐れみたまえ(ミゼレーレ)”という内容の言葉を、誰かが先に唱えて、次に全員でそれを唱える、という形式。

曲の内容に限らず、あちらこちらに、”ミゼレーレ”という言葉が登場する。

Kyrie キリエ。

Panis vivus 活けるパン。パン、というテーマからだろうか、宗教音楽としては、実に生き生きとした音楽。

Verbum caro factum 肉となりしみ言葉。前の曲とはコントラストが激しい、経験的な音楽。

Hostia sancta 聖なるいけにえ。

Tremendum おそれおののき。後の、レクイエムに繋がるような物悲しいメロディ。

Dulcissimum convivium 甘みの聖体。

Viaticum 臨終聖体。

Pignus 保証。未来の栄光の保証よ、私たちを憐れみたまえ。

Agnus Dei 神の小羊。音楽は、穏やかに終わる。

2012年ザルツブルグ音楽祭での演奏は、アンノンクールの指揮、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスとアルノルト・シェーンベルク合唱団による演奏で、ザルツブルグ大聖堂で行われた。

モーツァルト:ミサ・ロンガ

モーツァルトが、1775年に作曲したミサ曲。モーツァルトは、何曲かのミサ曲を作っているが、これはそのうちの一つ。演奏される機会はあまりない。

キリエ。主よ憐れみたまえ。

グローリア。神の栄光を称える。

クレド。私は神を信じます。信仰宣言。

サンクトゥス。聖なるかな万物の神。

ベネディクトゥス。主からの使者が祝福されますように。

アニュスデイ。我らを憐れんでください。我らに平和を与えたまえ。

いわゆるモーツァルトらしい、はじけた感じはまったくなく、敬虔な印象の音楽。

2012年ザルツブルグ音楽祭での演奏は、アンノンクールの指揮、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスとアルノルト・シェーンベルク合唱団による演奏で、ザルツブルグ大聖堂で行われた。

ツィンマーマン:オペラ『兵士たち』

現代の音楽家、ベルント・アロイス・ツィンマーマンが、1964年に完成させたオペラ。

1957年にケルンのオペラ歌劇場から依頼を受けて完成させたが、あまりに構成が長大で、実演が不可能とされ、改訂している。

それでも、舞台もオーケストラも大規模なものが要求され、現在でも、上演される機会は少ない。

2012年のザルツブルグフェスティバルの公演は、まずその横長の舞台に驚かされた。

馬小屋をイメージしたような、横長の建物が舞台を左右にまたいでいる。その建物の上部には、ブランデンブルグ門の上にある馬のような像も見える。

ストーリーは、マリーという一人の性に奔放な女性に振り回される、兵士たち、姉、彼らの家族たちの物語。

そして、マリーにもその周囲にも、悲劇が訪れる。

すべての男は兵士、すべての女は娼婦、といったところだろうか。

音楽は、いわゆる現代音楽のオンパレードによるオペラ、といった感じ。

第4幕の始まりの、出演者たちによるコーラスは、とりわけエキセントリックな音楽で、この世の終わりを告げているかのようだ。

2014年8月14日木曜日

プーランク:スターバトマーテル

現代のフランスの作曲家、フランシス・プーランクが1950年に作曲した、スターバト・マーテル。

音楽は、現代音楽のような調和が崩れた音楽でなく、伝統的な、正統派の音楽。

友人の追悼のために企画され、最初は、レクイエムを意図していたが、途中から、スターバト・マーテルに変更したという。

そのせいか、もともとは、”神の怒り”のための音楽ではないか、と思われる激しい音楽も聴こえてくる。

2012年9月にパリで行われた、パーヴォ・ヤルヴィ指揮、パリ管弦楽団および合唱団の演奏。

ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第8番

ベートーヴェンが、1803年に作曲した、3つのヴァイオリンソナタ、いわゆるアレキサンダーソナタの一つ。

第1楽章 アレグロ アッサイ。ト長調。

軽快な、歯切れの良い音楽。

第2楽章 テンポ・ディ・メヌエット、マ・モルト・モデラート、エ・グラッツィーゾ。変ホ長調。

静かで、内省的な情感に溢れ、哀愁に満ちた音楽。

第3楽章 アレグロ・ヴィヴィアーチェ。ト短調。

第1楽章と同様、軽快ではあるが、これまでにないユニークなメロディ。まるで、スケルツォのように聞こえる。

ザルツブルク音楽祭2012での演奏。ヴァイオリンはレオニダス・カヴァコス、ピアノはエンリコ・パーチェ。

ストラヴィンスキー:バレエ組曲『火の鳥』

ストラヴィンスキーが、バレエ・リュスのディアギレフからの依頼に基づいて、1910年に作曲したバレエ用の音楽。

ロシアの民話をテーマにした音楽で、本人によって、オーケストラがコンサートで演奏するために組曲としても編曲された。いくつかのバージョンが存在する。

聴いたのは、1919年版。

火の鳥の踊り、におけるダイナミックで緊張感のある音楽。

子守唄、における、ファゴットのユーモラスな音楽。

若き、ストラヴィンスキーの、多彩な音楽が楽しめる。

2012年9月、パーヴォ・ヤルヴィ指揮、パリ管弦楽団による演奏。


2014年8月10日日曜日

ロッシーニ:オペラ『絹のはしご』

ロッシーニが、1812年、20歳の時に作曲した、オペラ・ブッファ。

2組の男女が織りなす、軽いタッチの恋のコメディ。召使いのジェルマーのが、重要な役割を演じている。

絹のはしごとは、主人公のジューリアが、恋人が部屋に忍び込めるように用意しているはしごのこと。

2009年のロッシーニ・フェステイィバルでは、舞台の上に、舞台の様子を真上から見えるように鏡を配置し、観客が、はしごから見ているようにセットを見えるように、粋な演出がされていた。

主人公達が揃って、オペラ・ブッファのお約束の、コミカルな合唱を聴かせる。古き良きオペラ、といったところか。

ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第7番

ベートーヴェンが、1803年に作曲し、ロシア皇帝アレキサンドル1世に献呈した、いわゆるアレキサンダー・ソナタの真ん中の曲。

第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ。ハ短調。

緊張感に溢れ、劇的で、ダイナミックな音楽。

第2楽章 アダージョ・カンタービレ。変イ長調。

第1楽章の緊張を解くような静かな音楽で始まるが、後半は、不安定な、動きのある音楽になる。

第3楽章 スケルツォ、アレグロ。ハ長調。

短い、軽快なスケルツォ。

第4楽章 フィナーレ、アレグロ、プレスト。ハ短調。

中期以降のベートーヴェンらしい、深みのある音楽。終わり方も実に劇的。

一皮向けたような、そんな印象を与える、ヴァイオリン・ソナタ。

ザルツブルク音楽祭2012での演奏。ヴァイオリンはレオニダス・カヴァコス、ピアノはエンリコ・パーチェ。

ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第6番

1803年に作曲され、ロシア皇帝アレキサンドル1世に献呈された、いわゆるアレキサンダー・ソナタのひとつ。

第1楽章 アレグロ。イ長調。明るく、伸びやかな音楽。

第2楽章 アダージョ・モルト・エスプレッシーボ。ニ長調。

物悲しく、文字通り感情豊かに演奏される、ヴァイオリンのメロディが、例えようもなく、美しい。

第3楽章 アレグレット・コン・バリアツィオーニ。イ長調。

軽快で、多彩な音楽が奏でられる楽章。

ザルツブルク音楽祭2012での演奏。ヴァイオリンはレオニダス・カヴァコス、ピアノはエンリコ・パーチェ。

ロッシーニ:オペラ『ブルスキーノ氏』

ロッシーニが20歳の時に作曲した、オペラ・ファルサ。

愛する女性と結婚するために、別人(ブルスキーノ氏の息子)になりすまそうとする若い男性と、その恋人や家族を巻き込んだコメディ。

序曲では、ヴァイオリンが、楽譜代を叩いて音を出す、というユニークな演奏が見られる。

最後は、すべての真実が明らかになるが、結婚が認められ、全てはハッピーエンド。

主人公の性格や、そのシーンごとに合わせて、見事に作曲されたロッシーニの音楽によって、2時間弱の短いオペラは、あっという間に終わってしまう。

現在では、ほとんど上演されないといわれる作品だが、イタリアのペーザロで行われた、2012年のロッシーニ・フェスティバルで上演された。

テアトロ・ソテラーネオという演劇集団による演出は、実にユニーク。

冒頭で、オペラ歌手や楽団員達が、公演のために集まってきて、着替えをして、オーケストラボックスに入ったり、舞台の配置に付いたりしてから、序曲が演奏される。

現代のイタリアの町並みの中で、昔の衣装を着たオペラ歌手達が、現代の観光客たちと絡みながら、オペラが演じられていく。

衣装や舞台を手がけたのは、ウルビーノ美術アカデミーの学生達。

何とも、印象に深く刻まれるような、素晴らしいオペラ公演だった。

2014年8月9日土曜日

ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第5番『春』

ベートーヴェンが、1801年に作曲した、もうひとつのヴァイオリンソナタ。

あまりにも有名な、ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ。その晴れやかなイメージから、春、という名前がついている。

第1楽章 アレグロ。ヘ長調。


これまでの、第1〜4番とは、全く違った音楽で、大きな飛躍が感じられる。

一体、この作曲家に何が起こったのだろうか?

第2楽章 アダージョ・モルト・エスプレッシーボ。変ロ長調。


第1番とはまるで違って、静かで、内省的な音楽。ピアノの音色の方が、より優っている。


第3楽章 スケルツォ、アレグロ・モルト。ヘ長調。


ピアノの軽快なスケルツォを、ヴァイオリンが追いかけて行く、短いながら、印象的な楽章。

第4楽章 ロンド、アレグロ・マ・ノン・トロッポ。ヘ長調。

ここでも主役はピアノ。ベートーヴェンは、この楽章で、ヴァイオリンの様々な弾き方と、その音色を試しているようにも思える。


ザルツブルク音楽祭2012での演奏。ヴァイオリンはレオニダス・カヴァコス、ピアノはエンリコ・パーチェ。

ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第4番

ベートーヴェンが、1801年に作曲したヴァイオリンソナタの1曲。

第1楽章 プレスト。イ短調。


第1〜3番とは明らかに違い、ややダークな印象を受ける。ヴァイオリンの存在感も大きくなっており、ピアノと一体になっている。


第2楽章 アンダンテ・スケルツォーゾ・ピウ・アレグレット。アダージョ・コン・モルト・エスプレッショーネ。イ長調。


長調に戻り、明るく、穏やかな音楽。


第3楽章 アレグロ・モルト。イ短調。


再び、イ短調となり、音楽のイメージも、第1番とよく似ている。


短調と長調のバランスがとても素晴らしい。

ザルツブルク音楽祭2012での演奏。ヴァイオリンはレオニダス・カヴァコス、ピアノはエンリコ・パーチェ。

ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第3番

ベートーヴェンが、1798年に作曲し、師のサリエリに献呈したヴァイオリンソナタの1曲。

第1楽章 アレグロ・コン・スプリート。変ホ長調。

明らかに、第1番、第2番とは違った印象。明るい音楽だが、より激しさ、力強さを感じる音楽。

第2楽章 アダージョ・コン・モルト・エスプレッショーネ。ハ短調。

非常に深みのある、奥深い印象のアダージョ。ピアノの音楽も美しい。

第3楽章 ロンド・アレグロ・モルト。変ホ長調。

軽快なロンド。終始、ピアノがリードして進行し、ヴァイオリンは、むしろ伴奏のようだ。

ザルツブルク音楽祭2012での演奏。ヴァイオリンはレオニダス・カヴァコス、ピアノはエンリコ・パーチェ。

ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第2番

ベートーヴェンが、1798年に作曲し、師のサリエリに献呈したヴァイオリンソナタの1曲。

第1楽章 アレグロ・ビビアーチェ。イ長調。

文字通り、生き生きとした音楽。ピアノが軽快なメロディでヴァイオリンを先導している感じ。

第2楽章 アンダンテ・ピオ・トスト・アレグレット。イ短調。

静かな、物悲しい音楽。

第3楽章 アレグロ・ピアチェボーレ。イ長調。

ここでも、ピアノがヴァイオリンをリードしている。

アレグロだが、第1楽章ほど軽快ではない。そのあたりが、ピアチェボーレ、という言葉のニュアンスなのだろう。

ザルツブルク音楽祭2012での演奏。ヴァイオリンはレオニダス・カヴァコス、ピアノはエンリコ・パーチェ。

ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第1番

ベートーヴェンが、1798年に作曲した、最初のヴァイオリンソナタ。師のサリエリに献呈している。

第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ。ニ長調。

心が、晴れ晴れとするような、実に明るい音楽。

第2楽章 Tema con variazioni Andante con moto。イ長調。

明るさの中に、激しさが秘められた音楽。

第3楽章 ロンド アレグロ。ニ長調。

まるで、シューベルトのような明るいメロディラインが、とても印象的。

ザルツブルク音楽祭2012での演奏。ヴァイオリンはレオニダス・カヴァコス、ピアノはエンリコ・パーチェ。

2014年8月4日月曜日

ブリテン:シンフォニエッタ

ブリテンが、王立音楽大学に在学中、1932年に作曲した、小編成の管弦楽団のための音楽。

ブリテンというと、オペラや映画音楽など、ポピュラーな作曲家、というイメージが強いが、この音楽は、若い頃の作品のせいか、とてもモダンな音楽になっている。

クララ国際音楽祭2013での、マーラー・チェンバー・オーケストラによる演奏。

ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番

ショスタコーヴィチが、1959年に作曲した、1つ目のチェロ協奏曲。

ショスタコーヴィチは、プロコフィエフのチェロ協奏曲第2番を聞いて、大きく触発されて、この曲を作った。

第1楽章 アレグレット。ショスタコーヴィチらしい、エキセントリックに満ちている。

第2楽章 モデラート、アタッカ。静かな音楽だが、複雑な音楽でもある。

第3楽章 カデンツァ、アタッカ。第2楽章からそのまま引き続き、演奏される。

第4楽章 アレグロ・コン・モート。再び、第1楽章のエキセントリックさが戻ってくる。

クララ国際音楽祭2013での演奏。指揮、テオドール・クルレンツィス。マーラー・チェンバー・オーケストラ。チェロは、スティーヴン・イッサーリス。

2014年8月3日日曜日

ファリャ:バレエ音楽『三角帽子』

ファリャは、バレエ・リュスを主催するディアギレフから、『スペインの庭の夜』のバレエ化をもちかけられたが、乗り気ではなく、代わりに、アラルコンの小説、三角帽子に音楽をつけることになった。

作曲は、1916年から1917年にかけて行われ、1919年に大幅な改編を行った。

バレエは2幕で構成され、音楽は13曲からなっている。

働き者で美人の粉屋の妻に、手を出そうとする代官が、最後はとっちめられる、というストーリー。

序奏で演奏されるテーマがとりわけ有名。最後の大団円の部分にも、その音楽が再び登場し、ハッピーエンドらしい、華やかなフィナーレを迎える。

フラメンコのような音楽は、まさにスペインらしい。

2014年5月のN饗の定期演奏会の演奏から。指揮は、ヘスス・ロペス・コボス。

クリストバル・アルフテル:第1旋法によるティエントと皇帝の戦い

1930年生まれで現役のスペインの作曲家、クリストバル・アルフテル。

そのアルフテルが、1986年に作曲した、同じく音楽家のパウル・ザッハーの80歳の誕生日のために書き下ろした曲。10分ほどの作品。

何とも不思議な題名だが、”第1旋法によるティエント”と”皇帝の戦い”という、それぞれ15世紀と17世紀のスペイン音楽の名前から、名付けられている。

その2つの作品からの音楽と、現代音楽らしい、不協和音的な音楽や、不安をかき立てるような音楽を組み合わせている。

中でも、弦楽器による、機械的な演奏の部分の音楽が、とりわけ印象的だった。

2014年5月のN饗の定期演奏会での演奏。指揮は、ヘスス・ロペス・コボス。

フランク:交響曲

フランクが、1886年から1888年にかけて作曲した、唯一の交響曲。

ベルリオーズの幻想交響曲ような、いわゆる循環形式になっており、第1楽章と第2楽章のテーマが、第3楽章にも再び登場し、フィナーレを迎える。

第1楽章の主題が印象的。

第1楽章 レント-アレグロ・ノン・トロッポ。静かに始まるが、次第にダイナミックな展開になる。

第2楽章 アレグレット。全体を通じて穏やかな内容。

第3楽章 アレグロ・ノン・トロッポ。

2014年5月のN饗の定期演奏会。指揮は、ガエタノ・デスピノーサ。

リヒャルト・シュトラウス:紀元2600年祝典曲

日本政府は、1940年(昭和15年)に紀元2600年を記念するために、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、ハンガリーに、祝典曲の作曲を依頼した。

ナチス政権のゲッペルスは、この曲をシュトラウスに依頼し、シュトラウスは、この曲をわずか8日間で書き上げた。

当時、シュトラウスは、オペラ:カプリッチョの曲を作曲中で、その合間の、やっつけ仕事だったようだ。

祝典曲らしく、パイプオルガンなども使った華やかさと、所々で、シュトラウスらしい、モダンな音楽も取り混ぜている。

海の情景、桜祭り、火山の噴火、サムライの突撃、天皇頌歌。という5つの表題が付けられているが、シュトラウスが自分で付けたものではない。

曲を後から聞いた、日本の関係者が、音楽の雰囲気から、そう名付けたのだろう。

内容は、アルプス交響曲とかなり似通っているという。日本での初演は、歌舞伎座で行われた。

2014年のN饗の定期演奏会での演奏。指揮は、ネーメ・ヤルヴィ。

リヒャルト・シュトラウス:祝典前奏曲

シュトラウスが、ウィーン・コンツェルトハウスのこけら落としのために依頼され、1912年に書き下ろした、管弦楽用のおよそ10分ほどの曲。

パイプオルガンを駆使して、文字通り、華やかなおめでたい曲になっている。

クライマックスの部分は、壮麗で、ワーグナーの音楽用にも聞こえるし、一部、薔薇の騎士の音楽のようにも聞こえる。

2014年4月のN饗の定期演奏会での演奏。指揮は、ネーメ・ヤルヴィ。

リヒャルト・シュトラウス:バレエ音楽『ヨセフの伝説』

シュトラウスが、1912〜14年にかけて作曲した、バレエ用の音楽。ディアギレフ率いる、オペラ・リュスからの依頼だった。

バレエのストーリーは、洗礼者のヨハネを、権力者の妻が誘惑しようとするが果たせず、その妻はヨセフを拷問するが、ヨセフは神に救われる、という聖書の物語。

どうみても、サロメのバレエ版のように思える。

しかし、音楽は、オペラと違ってバレエ用というだけあって、シュトラウスとしては、踊りのための音楽と割り切っていたらしい。

そのためか、サロメよりは、よりおとなしい感じの音楽になっている。

2014年4月のN饗の定期演奏会。指揮は、ネーメ・ヤルヴィ。