2024年12月28日土曜日

シューベルト:幻想曲

フランツ・シューベルトが、1828年に作曲した、ヴァイオリンとピアノのための幻想曲。

全体は、続けて演奏されるが、明らかに途中で曲調が変わり、4つの部分から構成されている。

幻想曲というイメージとは違い、音楽はシューベルトらしく、終始明るい基調になっている。

初演を行ったのが、ヴァイオリン、ピアノ共にボヘミア出身の演奏者だったためか、ハンガリー風のメロディが聴こえてくる。

当時の、華やかだが様々な矛盾をはらんだウィーンの雰囲気が、よく現れている。

1828年2月にウィーンで初演された時は、約25分という長さに足られずに、多くの観客が途中で席を後にしたという。

彼らは、貴重な機会を自ら失うことになったことに、全く気づいていなかったのだろう。

2021年12月、浜離宮朝日ホールでの演奏から。ヴァイオリンは岡本誠司、ピアノは務川慧悟。


2024年11月16日土曜日

尾崎宗吉:小弦楽四重奏曲

1945年5月、中国大陸にて戦病死した、尾崎宗吉が1935年、20歳で作曲した、弦楽四重奏曲。

山田耕作も、その独創的な音楽を高く評価したという。

第1楽章。若者らしい、爽やかで、軽やかな音楽。

第2楽章。牧歌的な音楽。

第3楽章。リズミカルだが、不協和音のような音楽。

2022年6月、めぐろパーシモンホールでの公演から。クァルテッド・インテグラにより演奏。


尾崎宗吉:幻想曲とフーガ

1945年5月、中国大陸にて戦病死した、尾崎宗吉が1936年、21歳で作曲した、ピアノとチェロのための音楽。

チェロの伸びやかな音楽が、何かを回想するように流れていく。

2022年6月、めぐろパーシモンホールでの公演から。ピアノは黒岩航紀、チェロは吉川展生。


尾崎宗吉:ヴァイオリン・ソナタ第2番

 1945年5月、中国大陸にて戦病死した、尾崎宗吉が1938年、23歳で作曲した、ピアノとチェロのための音楽。

ヴァイオリン・ソナタ第1番が批判されて、しばらく作曲から遠ざかっていた尾崎の、リベンジの曲。

第1楽章。冒頭から、そうした尾崎の感情が爆発しているようだ。

第2楽章。不思議な浮遊感を感じる音楽。

第3楽章。再び、激しい感情。

2022年6月、めぐろパーシモンホールでの公演から。ピアノは黒岩航紀、チェロは渡辺玲子。


尾崎宗吉:夜の歌

1945年5月、中国大陸にて戦病死した尾崎宗吉が、出征前の1943年3月に作曲した最後の曲。

その後、尾崎には召集令状が発行されて、その初演を耳にすることは叶わなかった。

短い曲ながら、1音1音、噛み締めるように作られた曲なのだと感じられる。

2022年6月、めぐろパーシモンホールでの公演から。ピアノは黒岩航紀、チェロは吉川展生。


尾崎宗吉:ヴァイオリン・ソナタ第3番

1945年5月、中国大陸にて戦病死した、尾崎宗吉が1939年に作曲した、ヴァイオリン・ソナタ。

1. 夜曲。不安な時代を表しているような音楽。

2. トゥカッータ。目まぐるしく展開する音楽。

2022年6月、めぐろパーシモンホールでの公演から。ピアノは黒岩航紀、チェロは渡辺玲子。


シェーンベルク:ヴァイオリン協奏曲

アルノルト・シェーンベルクが、アメリカにいた1934年から1936年にかけて作曲した、唯一のヴァイオリン協奏曲。

十二音技法によって作曲されているが、古典的な構成の協奏曲。新天地のアメリカで、この音楽を聴くことになる聴衆を意識していたのかもしれない。

第1楽章 ポーコ・アレグロ - ポーコ・メーノ・アレグロ - ヴィヴァーチェ・マ・ノン・トロッポ。多彩な音楽が次々と登場する。

第2楽章 アンダンテ・グラツィオーソ。ヴァイオリンの音楽に導かれるように、緊張感のある音楽が展開される。

第3楽章 フィナーレ アレグロ。それまでの展開が嘘のような、ダイナミックな音楽。後半は、ヴァイオリンの驚異的なテクニックが披露される。

2024年6月、サントリーホールでの公演から。指揮は鈴木優人、ヴァイオリンはイザベル・ファウスト、演奏はNHK交響楽団。


シューベルト:交響曲第5番

フランツ・シューベルトが、1816年に作曲した5番目の交響曲。

知り合いの小規模な演奏楽団のために作曲した交響曲と言われている。

第1楽章 Allegro。伸びやかな第1主題。音楽を聞くことの喜びが素直に感じられる。

第2楽章 Andante con moto。牧歌的な始まりだが、緩やかに変化していく。

第3楽章 Menuetto. Allegro molto。リズミカルなメヌエット。

第4楽章 Allegro vivace。華やかな音楽が展開し、晴々しい気分のままフィナーレを迎える。

ベートーヴェンのような荘厳な音楽ではなく、モーツァルトのような天上の音楽ではなく、身近な人々との打ち解けた楽しい会話のような、そんなシューベルトの音楽の特徴が、よく表れている。

2024年6月、サントリーホールでの公演から。指揮は鈴木優人、演奏はNHK交響楽団。


オペラ:ポンキエッリ『ジョコンダ』

イタリアのアミルカレ・ポンキエッリが、ヴィクトル・ユーゴーの原作に基づいて作曲し、1876年に初戦された、4幕もののオペラ。

ヴェネツィアを舞台に、美しい歌い手であるジョコンダが、自らを犠牲にして、愛する人とその想い人を窮地から救い出すという物語。

ポンキエッリは、ヴェルディらと同じ時代に活躍した作曲家だが、1886年に急性肺炎のために51歳で亡くなった。ヴェルディもその早い死を深く悲しんだという。

2024年4月に、ナポリのサン・カルロ劇場で行われた公演から。ジョコンダ役にはアンナ・ネトレプコ、エンツォ役にはヨナフ・カウフマン。

ネトレプコとカウフマンという2大スター共演の舞台となった。


2024年8月11日日曜日

ドビュッシー:夜想曲

ドビュッシーが、1887年から1889年にかけて作曲した、管弦楽のための組曲。

第1曲、雲。まさに、雲を掴むような雰囲気の音楽。

第2曲、祭。一転して、祭りの雰囲気を味わえる軽快な音楽。

第3曲、シレーヌ。海の精の歌声が、女性コーラスによって奏でられる。

ノクターン、という伝統的な形式にとらわれず、その言葉から連想される、自らがイメージした新しい音楽に挑戦した意欲作。まさに、印象主義派の音楽、とも言うべき作品。

2024年6月、東京のNHKホールでの演奏から。指揮は冲澤のどか、塩素はNHK交響楽団。


イベール:交響組曲『寄港地』

フランスの作曲家、ジャック・イベールが、1922年に作曲した、3つの曲からなる組曲。

イベールは、この曲を作曲した時、ローマ大賞受賞のご褒美としてイタリアに滞在中だった。

ドビュッシーやラベルの影響を受けた、いわゆる”印象派主義”の音楽。

第1曲、ローマからパレルモへの、穏やかな海の旅の情景。

第2曲、チュニス港から内陸のネスタに向かう。異国のエキゾチックな雰囲気が感じられる。

第3曲、バレンシア。ラヴェルやファリャの音楽を連想する。

2024年6月、東京のNHKホールでの演奏から。指揮は冲澤のどか、塩素はNHK交響楽団。



2024年8月4日日曜日

スクリャービン:ピアノ協奏曲

アレクサンドル・スクリャービンが、1896年から1897年にかけて作曲した、生涯唯一のピアノ協奏曲。

ピアニストとしてキャリアをスタートさせた若きスクリャービンは、ピアノ部分の作曲は難なく終えられたが、管弦楽の部分には苦労したと言われている。

第1楽章、ロシア音楽独特の重厚なピアノの音で始まる。第2主題は、打って変わってコミカルで軽快な音楽。最後は再び重厚な音楽で締めくくられる。

第2楽章、変奏曲だが、繊細なピアノ・パートは、ピアノソナタを連想させる。

第3楽章、ロマンティクなピアノの音楽で始まるが、ロシアらしい重厚な音楽に。フィナーレへの脆上がりは、ラフマニノフを連想させる。最後は、やや形式的な終わり方。

2024年6月、東京のNHKホールでの演奏から。指揮は、原田慶太楼。ピアノは、反田恭平。演奏は、NHK交響楽団。


スクリャービン:夢想

アレクサンドル・スクリャービンが、1898年に作曲した管弦楽用の音楽。

当初は、前奏曲として発表する予定であったが、パトロンのアドバイスで、”夢想”として発表された。

初演は、同年、リムスキー・コルサコフによって行われ、コルサコフはこの曲を絶賛したという。

4分ほどの短い曲で、初めから終わりまで、スクリャービンがみた夢を追体験するような幻想的な音楽になっている。

2024年6月、東京のNHKホールでの演奏から。指揮は、原田慶太楼。演奏は、NHK交響楽団。


2024年7月28日日曜日

ドビュッシー:抒情的散文

クロード・ドビュッシーが、1892年から1893年にかけて作曲した歌曲。

自らが書いた詩に、自ら音楽を作曲した。

夢(De reve)、砂浜(De greve)、花(De fleurs)、夕暮れ(De soir)という4つの曲で構成されている。

詩の内容は、たびたび少女が登場し、空や風などを擬人化するなど、ロマンティックなもの。

水の情景や、波の煌めきなどが登場し、ドビュッシーの他の作品を連想させる。

ドビュッシーという人物の、感性の豊かさが如実に感じられる。

2024年6月、京都コンサートホールでの演奏から。メゾソプラノは波多野睦美、演奏はヴォ―チェ弦楽四重奏団。

2024年7月27日土曜日

レスピーギ:交響詩『ローマの噴水』

 イタリア、ボローニャ生まれのオットリーノ・レスピーギが、ローマの聖チェチーリア音楽院の作曲教授に就任したことをきっかけに生まれた、いわゆるローマ3部作の最初の曲。1915年から1916年にかけて作曲された。

レスピーギの同僚で友人だったアルフレード・カゼッラは、パリでドビュッシーと共にパリでラヴェルに音楽を学んだ。

レスピーギは、カゼッラを通じて、ドビュッシーの影響を受けたようだ。

夜明けのジュリアの谷の噴水。静かな夜明けの音楽。

朝のトリトンの噴水。朝の光の音楽は、明らかにドビュッシーの影響が感じられる。

昼のトレヴィの噴水。

たそがれのメディチ荘の噴水。夕暮れの静かな音楽。

2024年5月にサントリーホールで行われた公演から。指揮はファビオ・ルイージ、演奏はNHK交響楽団。


レスピーギ:交響詩「ローマの松」

イタリア、ボローニャ生まれのオットリーノ・レスピーギが、ローマの聖チェチーリア音楽院の作曲教授に就任したことをきっかけに生まれた、いわゆるローマ3部作の2番目の曲。1923年から1924年にかけて作曲された。

ボルゲーゼ荘の松。華やかな音楽。

カタコンブ付近の松。静かに始まるが、最後は中国風のファンファーレで終わる。

ジャニコロの松。幻想的な夜の風景を描いた音楽。静かな音楽。ナイチンゲールの声が鳥笛で表現される。

アッピア街道の松。夜明けから、古代ローマの壮大な朝が訪れる。壮麗なフィナーレ。

2024年5月にサントリーホールで行われた公演から。指揮はファビオ・ルイージ、演奏はNHK交響楽団。


2024年6月23日日曜日

ショパン:チェロソナタ

ショパンが作曲して発表された唯一のチェロソナタ。1846年に完成され、生前に発表された最後の作品でもある。

チェロ奏者のオーギュスト・フランショームは、ショパンの友人でもあり、病床に伏せるショパンを最後まで支え続けた。そのフランショームにこの曲は捧げられている。

第1楽章、Allegro moderato。ピアノのカデンツァに始まり、チェロがその後を受ける。情熱的な二人の会話が、続いていく。

第2楽章、Scherzo, Allegro con brio。スケルツォだが、重苦しい会話が続いている。

第3楽章、Largo。これまでの緊張感をほぐしてくれるような優しい音楽。

第4楽章。Finale, Allegro。最後は、華やかな雰囲気でフィナーレを迎える。

ショパンと言えば、どうしてもピアノのイメージが強いが、このチェロソナタはそのイメージを大きく覆させてくれる。

2023年3月、東京の浜離宮朝日ホールでの公演から。チェロはブリュノ・ドルプレール、ピアノはナタナエル・グーアン。



2024年6月16日日曜日

シューマン:チェロ協奏曲

ロベルト・シューマンが1850年に作曲した唯一のチェロソナタ。

1854年に楽譜が出版されたものの、シューマンの生前には演奏される機会はなかった。

第1楽章:Nicht zu schnell。やや陰鬱な音楽。

第2楽章:Langsam。チェロのさまざまな側面が展開されていく。

第3楽章:Sehr lebhaft。シューマンらしい、親しみのある音楽で、華やかなフィナーレ。

2024年4月、サントリーホールでの演奏から。指揮はクリストフ・エッシェンバッハ、チェロはイラン出身のキアン・ソルターニ、演奏はNHK交響楽団。


2024年6月9日日曜日

バルトーク:オペラ『青ひげ公の城』

バルトーク・ベーラが、1911年に作曲した、唯一のオペラ作品。

台本は、同じハンガリー人のバラージュ・ベーラが、シャルル・ペローの童話を元に書いたもの。ベーラはエイゼンシュタインラも影響を受けたという映画理論家で、作家や詩人としても活躍した。

元々は、共通の友人であったコダーイのために書かれたが、コダーイはあまり共感できず、バルトークが興味を持って、自らの初めてのオペラの台本とした。

主人公の青ひげ公のモデルは、百年戦争時代に活躍したジル・ド・レ。ジャンヌ・ダルクらと協力した祖国を救った英雄の一人だが、多くの少年を誘拐して監禁、殺人した罪で、後に処刑された人物。

演奏時間は1時間ほどで、1幕ものの短いオペラだが、ダークな世界観を表現した音楽には、随所にバルトークらしさが感じられる。

2015年2月、ニューヨークのメトロポリタンオペラでの公演から。指揮はワレリー・ゲルギエフ。青ひげ公役にはミハイル・ペトレンコ、ユディット役にはナディア・ミカエル。


2024年5月19日日曜日

ジョルダーノ:オペラ『フェドーラ』

イタリアの作曲家、ウンベルト・ジョルダーノが作曲し、1898年に初演された、3幕からなるオペラ。

ジョルダーノは、南イタリアのプーリヤ州フォッジ生まれ。ナポリ音楽院で学んでいる際に、実家が貧窮したが学校関係者の計らいでようやく卒業することができたという苦労人。

そのおかげで、マスカーニと並ぶイタリア・ヴェリズモ・オペラを代表する作曲家となった。

結婚式を目前にして、婚約者を殺されたロシアの皇女フェドーラが、犯人の後を追ってパリの社交界に乗り込んでいった。その容疑者に近づき、真相を問い詰めたのだが・・・

プッチーニの『トスカ』のシナリオを書いた、ヴィクトリアン・サンドゥの小説がオリジナル。これはサラ・ベルナールのために書かれた小説だった。

復讐の執念に燃えるフェドーラを、ソプラノのソニア・ヨンチェヴァが見事に演じている。

2023年1月、ニューヨークのメトロポリタンオペラの公演から。指揮は、マルコ・アルミリアート。犯人役のテノールにはピョートル・ベチャワ。



2024年5月6日月曜日

ショスタコーヴィチ:舞台管弦楽のための組曲 第1番

ショスタコーヴィチが、バレエや映画音楽のために書いた曲を集めたもの。4つの曲から構成されている。

行進曲。1940年の映画「コルジンキナの冒険」から。

リリック・ワルツ。

小さなポルカ。

ワルツ第2番。1955〜1956年の映画「第1梯団(ていだん)」から。映画『アイズ・ワイズ・シャット』で使われて話題になった。

ソビエト時代、西側に対抗するために国内で盛んに作られた娯楽芸術のために、ショスタコーヴィチもこうした多くの曲を依頼されたようだ。

2024年3月にNHKホールで行われた公演から。指揮は、これがN響との最後の共演となった井上道義、演奏はNHK交響楽団。


2024年3月30日土曜日

ベルク:管弦楽のための3つの小品

アルバン・ベルクが1914年から1915年に作曲した管弦楽のための音楽。

ベルクが作曲した、唯一の管弦楽曲。

文字通り、3つの曲から構成されている。

マーラーや、師のシェーンベルグの影響が感じられるが、後のオペラ『ヴォツェック』を予感させる音楽もしばしば登場する。

前奏曲。不安を煽り立てるような印象の音楽。

輪舞。この音楽では、踊ることはとても難しいだろうな、と思わせてくれるワルツ。

行進曲。破局に向かって行進を続けているような音楽。

2023年11月、東京のサントリーホールにおける公演から。演奏はベルリンフィル。指揮はキリル・ペトレンコ。


2024年3月24日日曜日

リヒャルト・シュトラウス:交響詩『英雄の生涯』

リヒャルト・シュトラウスが、1898年に作曲した交響詩。これが、シュトラウスにとっては最後の交響詩となった。

その最後を締めくくるように、この交響詩のテーマは、自らの生涯を音楽で綴った内容だが、この曲を作曲した時、シュトラウスはまだ30代だった。

英雄。ホルンの壮麗な音楽が印象的。父親がホルン奏者だったシュトラウスにとって、ホルンは自分を象徴する楽器だったのだろう。

英雄の敵。シュトラウスを批判する音楽評論家たちの様子が、陰鬱な音楽で表現される。

英雄の妻。第1ヴァイオリンが優しいメロディを奏でる。

英雄の戦場。一転して、激しい戦いの音楽。

英雄の業績。ドン・ファンなどのこれまでのシュトラウスの作品からの引用で構成される。

英雄の隠遁と完成。英雄は隠遁し、静かな死を迎える。英雄とその妻を象徴する、ヴァイオリンとホルンの美しい音楽。

1986年のベルリンフィルのサントリーホールでの来日公演から。指揮は小澤征爾。カラヤンが急病で来日が叶わず、小澤征爾が代役を務めた。




グノー:オペラ『ロミオとジュリエット』

フランスの作曲家、シャルル・グノーが1866年に完成させた5幕もののオペラ。

ストーリーは、シェークスピアの原作にほぼ忠実に従っている。

第1幕の冒頭、キャピュレット家の仮面舞踏会が始まる音楽は、グノーらしい華やか音楽で、イタリアのヴェローナというよりは、19世紀後半の華やかなパリを感じさせる。

『ジュリエットのワルツ』は、ソプラノ歌手の定番のアリアになっている。

ロミオとジュリエットと言えば、プロコフィエフの作品をまずは思い浮かべるが、このグノー版の方が王道のロミオとジュリエットだろう。

2023年6月、パリ・オペラ座バスチーユでの公演から。指揮はカルロ・リッツィ、ジュリエットにエルザ・ドライシヒ、ロメオにバンジャマン・ベルネーム。


イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第5番

 ベルギーのヴァイオリニスト、ウジェーヌ・イザイが1924年に完成させた6つの無伴奏ヴァイオリンソナタの1つ。 

それぞれの曲が有名なヴァイオリニストに捧げられており、この第5番は、マチュー・クリックボームに献呈されている。

第1楽章、曙光。静かだが、内に激しい情熱を秘めているような音楽。

第2楽章、田舎の踊り。軽やかな音楽と共にフィナーレを迎える。

2023年12月、東京の紀尾井ホールでの演奏から。ヴァイオリンは青木尚佳。

イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番

ベルギーのヴァイオリニスト、ウジェーヌ・イザイが1924年に完成させた6つの無伴奏ヴァイオリンソナタの1つ。 

それぞれの曲が有名なヴァイオリニストに捧げられており、この第3番は、ジョルジェ・エネスクに献呈されている。

この第3番と第6番は、単独の楽章で構成されている。

バラードという副題がついている。その名の通り、ドラマティックな展開の音楽になっている。

2023年12月、東京の紀尾井ホールでの演奏から。ヴァイオリンは青木尚佳。

イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番

ベルギーのヴァイオリニスト、ウジェーヌ・イザイが1924年に完成させた6つの無伴奏ヴァイオリンソナタの1つ。 

それぞれの曲が有名なヴァイオリニストに捧げられており、この第2番は、ジャック・ティボーに献呈されている。

第1楽章、妄執。バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタからの引用や、怒りの日の音楽が聴こえてくる。

第2楽章、憂鬱。メランコリックな音楽の中にも、静かに怒りの日の音楽が潜んでいる

第3楽章、影たちの踊り。怒りの日のピチカートの音色で始まる。

第4楽章、復讐の女神たち。この曲に相応しい、ドラマチックな音楽でフィナーレ。

2023年12月、東京の紀尾井ホールでの演奏から。ヴァイオリンは青木尚佳。

イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番

ベルギーのヴァイオリニスト、ウジェーヌ・イザイが1924年に完成させた6つの無伴奏ヴァイオリンソナタの1つ。 

ヨーゼフ・シゲティの演奏により、バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタを聴いて、作曲を決意したと伝えられている。

それぞれの曲が有名なヴァイオリニストに捧げられており、この第1番は、この1連の曲を作曲するきっかけになった、ヨーゼフ・シゲティに献呈されている。

第1楽章、グラーヴェ。苦しみの中で祈りを捧げるような音楽。

第2楽章、フガート。迷走を繰り返しているような音楽。

第3楽章、アレグレット・ポコ・スケルツォーソ。悲しみの中の束の間の休息。

第4楽章、フィナーレ・コン・ブリオ。希望に満ちた前を向いた音楽。

2023年12月、東京の紀尾井ホールでの演奏から。ヴァイオリンは青木尚佳。

2024年3月16日土曜日

レーガー モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ

後期ロマン派のドイツ出身の作曲家、マックス・レーガーが1914年に作曲した、文字通りの”モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ”。

モーツァルトのピアノソナタ第11番、第1楽章の主題による8つの変奏曲と、最後にフーガが添えられている。

クラシック音楽と言えば、交響曲、協奏曲、ソナタなどのイメージが強いが、変奏曲という分野も、かつては重要な楽曲であったことを思い起こさせてくれる。

レーガーは、当時のいわゆる”現代的な混乱した音楽”へ対抗するというマニフェストという位置付けをこの曲に与えていたようだ。

2023年12月、東京のサントリーホールでの演奏から。指揮はファビオ・ルイージ、演奏はNHK交響楽団。


2024年2月17日土曜日

バルトーク:ハンガリーの風景

ベーラ・バルトークが、1931年に完成させた、管弦楽用の作品。

10分ほどの商品ながら、ハンガリーの民謡音楽が満載で、バルトークの音楽の特徴がよく表れている。

第1曲、セーケイ人のところでの夕べ。

第2曲、熊踊り。

第3曲、旋律。

第4曲、ほろよい気分。

第5曲、豚飼いの踊り。

2023年11月、NHKホールで行われた公演から。指揮はゲルゲイ・マダラシュ、演奏はNHK交響楽団。


リスト:ハンガリー幻想曲

フランツ・リストが、1849年に作曲した、ピアノと管弦楽のための音楽。

ハンガリーの民族的な音楽がふんだんに取り入れられている。

ピアノのカデンツァが多く、かなり自由な構成に感じられたが、フィナーレでは、同じテーマをピアノとオーケストラで交互に演奏して、劇的なフィナーレを迎える。

2023年11月、NHKホールで行われた公演から。ピアノは阪田知樹、指揮はゲルゲイ・マダラシュ、演奏はNHK交響楽団。


2024年2月11日日曜日

リムスキー・コルサコフ:歌劇「雪娘」組曲

ニコライ・リムスキー・コルサコフが、1881年に完成させた、オペラ『雪姫』から、1895年に組曲に仕立てた作品。

リムスキー・コルサコフは、この『雪姫』というオペラを、自らの最高のオペラ作品とみなしていたようだ。

第1曲:序奏 美しい春。麗らかな春の様子が描かれた静かな曲。

第2曲:鳥たちの踊り。踊る鳥たちの様子が目に浮かぶような、軽快な音楽。 

第3曲:ベレンデイ皇帝の行列。民族音楽の雰囲気と、コミカルさも兼ね備えた、リズミカルな音楽。

第4曲:軽業師の踊り。華やかなフィナーレ。

2023年11月、NHKホールで行われた公演から。指揮は平石章人、演奏はNHK交響楽団。



2024年2月4日日曜日

シベリウス:交響詩『タピオラ』

ジャン・シベリウスが、1926年に完成させた交響詩。

同じ時期に、シベリウスは、交響曲第6番と第7番を作曲していた。

フィンランドの叙事詩『カレワラ』に登場する森の神タピオ。そのタピオの住む土地、というのがこの交響詩の題名。

最初に登場するのが、森を象徴する主題で、次にタピオを表す主題が表れて、その後はこの2つの主題を中心に音楽が展開されていく。

静かなフィナーレ。タピオが森に帰っていくように感じられた。

2023年11月、東京のサントリーホールでの公演から。指揮はユッカ・ペッカ・サラステ。演奏は、NHK交響楽団。


バッハ:フーガの技法

ヨハン・セバスティアン・バッハが、晩年の1740年台に作曲を始め、完成させることなく亡くなったことから未完に終わった作品。

14曲のフーガと4曲のカノンで構成されている。

単純な主題を元にして、様々な音楽世界が構築されたこの作品は、クラシック音楽の最高傑作の一つに数えられている。

チェンバロの演奏を想定して作曲されたようだが、楽器指定がないために、様々な楽器で演奏される。

2023年11月、浜離宮朝日ホールでの公演から。演奏は、カザルス四重奏団。


ヴィトマン:弦楽四重奏曲第10番

クラリネット奏者でもある、イェルク・ヴィトマンが、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第13番の第5楽章のカヴァティーナにインスピレーションを受けて作曲した、弦楽四重奏曲。

ヴィトマンは、他にもベートーヴェンに触発された曲を作っており、この曲はベートーヴェン・スタディのVとも呼ばれている。

冒頭は、ベートーヴェンの時代の古典的な調べの音楽で始まるが、次第に現代音楽の様相を呈していく。

2023年10月に東京の紀尾井町ホールで行われた公演から。演奏は、ジュリアード弦楽四重奏団。

2024年1月21日日曜日

ラフマニノフ:ピアノソナタ第2番

セルゲイ・ラフマニノフが、1913年に作曲した、2番目の、そして最後のピアノソナタ。

ラフマニノフがイタリア旅行をしている際に、娘が病気になってしまい、有名な医師がいるドレスデンに滞在中に作曲を始めて、ロシアに戻ってから完成された。

その後、渡米後の1931年に改訂版が発表されたが、その他にも、ホロヴィッツ版も存在する。

第1楽章、Allegro agitato。複雑な音楽で始まるが、次第に、ダイナミックでドラマティックな音楽になっていく。

ピアノだけで、こうした世界観を創造できるラフマニノフの才能には改めて敬服してしまう。

第2楽章、Non allegro. Lento。ここでも、静かに始まった音楽が、激しいものに変容していく。

第3楽章、L'istesso tempo. Allegro molto。初めから、激しい音楽が展開される。激しい基調のままフィナーレへ。

2023年11月、京都コンサートホールでの演奏から。ピアノはイリーナ・メジューエア。使用されたピアノは、ラフマニノフがア愛用していたピアノだった。





ラフマニノフ:幻想曲的小品集

セルゲイ・ラフマニノフが、1892年に完成させたピアノ曲集。

いかにも、ラフマニノフらしい音楽が満載で、ラフマニノフ入門とも言えるべき、愛すべき小品。

第1曲、エレジー。ロシアの大地から湧き上がってくるような、左手の低音から始まる。聴くものは、一気に、ラフマニノフの世界に引き込まれる。

第2曲、前奏曲。いわゆる、鐘の音楽。

第3曲、メロディ。

第4曲、道化役者。スケルツォ。

第5曲、セレナード。ロシアの民謡のような音楽。

2023年11月、京都コンサートホールでの演奏から。ピアノはイリーナ・メジューエア。使用されたピアノは、ラフマニノフがア愛用していたピアノだった。