2020年12月27日日曜日

シューベルト:ピアノソナタ第21番

フランツ・シューベルトが1828年に作曲した最後のピアノソナタ。シューベルトは、この1828年に31年の短い生涯を終えている。

第1楽章、モルト・モデラート。シューベルトらしい、静かで落ち着いた基調の音楽。最後は、瞑想的な音楽になる。

第2楽章、アンダンテ・ソステヌート。第1楽章の終わりの雰囲気がそのまま引き継がれる。美しいメロディが奏でられる。

第3楽章、 スケルツォ:アレグロ・ヴィヴァーチェ・コン・デリカテッツァ - トリオ。一転して、軽快なスケルツォ。

第4楽章、アレグロ・マ・ノン・トロッポ - プレスト。最後は情熱的な音楽でフィナーレを迎える。

2018年4月、東京文化会館小ホールでの演奏から。ピアノは、エリーザベト・レオンスカヤ。


2020年12月6日日曜日

フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番

 フランスの作曲家、ガブリエル・フォーレが1876年に完成させた最初のヴァイオリン・ソナタ。

第1楽章、アレグロ・モルト。

第2楽章、アンダンテ。

第3楽章、アレグロ・ヴィヴォ。

2018年6月、東京のオペラシティ コンサートホールでの公演。ヴァイオリンはチョン・キョンファ、ピアノはケヴィン・ケナー。


シューベルト:アルペジョーネ・ソナタ

フランツ・シューベルトが1824年に作曲したアルペジョーネとピアノのためのソナタ曲。

アルペジョーネは、ちょうどこの曲が作曲された頃に発明された、6弦のチェロのような弦楽器。

現在ではあまり使われないため、チェロやヴィオラ用に編曲されて演奏されることが多い。

第1楽章、Allegro moderato。もの悲しげな、哀愁の満ちた音楽。

第2楽章、Adagio。静かな、楽器の特性を十分に活かしている。

第3楽章、Allegretto。伸びやかな音楽。

2018年4月、武蔵野市民文化ホールでの演奏。アルペジョーネはクリストフ・コワン、ピアノは金子陽子。


2020年12月5日土曜日

ブラームス:チェロ・ソナタ第2番

ブラームスが、1886年に作曲した、2番目のチェロ・ソナタ曲。

第1番から21年後にこの第2番を作曲している。

ブラームスはすでに4つの交響曲を書き終えており、第1番よりもより成熟したチェロ・ソナタになった。 

第1楽章、アレグロ・ヴィヴィアーチェ。重厚なチェロと軽快なピアノが見事に溶け合った音楽。

第2楽章、アダージョ・アフェットゥオーソ。瞑想を促すような優しい音楽。

第3楽章、アレグロ・パショナート。文字通り、情熱的な音楽。

第4楽章、アレグロ・モルト。ロンド形式だが、タンゴのような軽快な音楽も聞こえてくる。

2017年10月、京都アンサンブルホールでの演奏。チェロはマキシミリアン・ホルヌング、ピアノは河村尚子。


マネス:オペラ『サンドリヨン』

フランスの作曲家、ジョージ・マネスが作曲し、1899年に初演が行われた4幕もののオペラ。

いわゆるシンデレラの物語をオペラ化した作品。

シンデレラをテーマにしたオペラといえば、ロッシーニのチェネレントラがよく知られているが、当時の時代背景を反映して、シンデレラの物語の魔法的な要素が弱められていた。

一方、このマネスのオペラは、本来のシンデレラの世界をそのままオペラ化している。

2018年4月、ニューヨークのメトロポリタンオペラの公演。

フランス人演出家、ロラン・ペリーの華やかでかつスタイリッシュな舞台セットや衣装が印象的だった。


2020年11月29日日曜日

モーツァルト:ディヴェルティメント K.136

 ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが、16歳の時に作曲した3つのディヴェルティメントの1つ。

モーツァルトは2回目のイタリア旅行から帰国して間もなくこの曲を作っており、そのイタリアでの経験が反映されていると言われている。

第1楽章、アレグロ。モーツァルトの音楽を代表する軽快な音楽。誰もが一度はどこかで耳にしたことがあるだろう。

第2楽章、アンダンテ。一転して穏やかな、緊張した心を和らげてくれるような音楽。

第3楽章、プレスト。再び軽快な音楽へ。

2019年10月、サントリー・ホールで行われた、イ・ムジチ合奏団の演奏。


2020年11月22日日曜日

ドホナーニ:弦楽四重奏曲 第3番

ハンガリーの作曲家、エルンスト・フォン・ドホナーニが1926年に作曲した3番目の弦楽四重奏曲。

ドホナーニはブラームスを敬愛していた。この曲もその影響が色濃く感じられる。

第1楽章 Allegro agitato e appassionato。激しい感情を感じさせる音楽。劇的な展開で終わりを迎える。

第2楽章 Andante religioso con variazioni。第1楽章の激しさを癒すような音楽。

第3楽章 Vivace giocoso。再びダイナミックな音楽だが、今度は軽快さが感じられる。

2020年2月、東京の第一生命ホールで行われた、エルデーディ弦楽四重奏団

ブラームス:弦楽六重奏曲 第1番

ヨハネス・ブラームスが、1860年に作曲した最初の弦楽六重奏曲。

ブラームスは、過去の巨匠たちが作曲してきた弦楽四重奏曲については、その発表に慎重だったが、そうした背景のない弦楽六重奏曲については、1860年という比較的早い時期に発表している。

第1楽章 Allegro ma non troppo。ブラームスらしい、重厚で哀愁のある音楽。

第2楽章 Andante ma moderato。とても印象深い、ドラマチックな音楽で始まる。その後は、その主題が様々な形式で変奏されていく。

第3楽章 Scherzo. Allegro molto - Trio. Animato。それまでの気分を一新させれるような軽快なスケルツォ。

第4楽章 Rondo. Poco Allegretto e grazioso。第3楽章の影響を引きずりながら、明るい感じの音楽が続き、そのままフィナーレを迎える。

2020年1月、東京のハクジュホールでの演奏。カルテット・アマービレに加えて、ビオラに磯村和英、チェロに堤剛が参加した。


ヴェーベルン:弦楽四重奏のための緩徐楽章

ウィーン生まれのアントン・ヴェーベルンが、1905年に作曲した、弦楽四重奏のための音楽。

演奏時間わずか6分間ほどの小曲だが、冒頭から哀愁のあるメロディで始まり、聴くものを心をあっという間に魅了してしまう。

その後は、喜び、高揚などを思わせる、様々なメロディが表れては消えていく。

聴き終えると、まるで一本の映画あるいは1冊の小説を読み終えたような、そんな気分にさせられる。

初期の頃の後期ロマン派のヴェーベルンの魅力がこの6分間の中に凝縮されているような音楽だ。

2020年1月、東京のハクジュホールでの、カルテット・アマービレによる演奏。


2020年11月21日土曜日

ドニゼッティ:オペラ『連隊の娘』

イタリア、ペルガモ生まれの作曲家ガエターノ・ドニゼッティが、1840年にパリで作曲したオペラ。

当初、ドニゼッティはこのオペラをナポリで初演する意向だったが、当時のイタリアでは検閲が厳しかったため、結果的にパリでフランス語版で初演された。

アルプスのチロル地方を舞台に、幼い頃に貴族の両親と離れ離れになりフランス軍の連隊で育てられた少女と、地元の農家の青年との恋物語を基軸としたコメディ。

南アフリカ出身のソプラノのプレティ・イェンデがマリー役を務め、一方のトニオ役は、メキシコ出身のハヴィエル・カマレナ。

2019年3月にニューヨークのメトロポリタン劇場で行われた公演。


2020年11月14日土曜日

モーツァルト:オペラ『コシ・ファン・トゥッテ』

モーツァルトが1970年に作曲したオペラ・ブッファ。

脚本は『フィガロの結婚』や『ドン・ジョバンニ』を書いたロレンツォ・ダ・ポンテ。

2組の恋人が、相手の恋人を口説いて浮気するかどうかを試してみるという、物議を醸しそうなストーリーで、いかにもダ・ポンテらしい。

女性はみんな浮気をする、と断言する哲学者。女性姉妹に仕える女中が2組の恋人同士と絡んで、女性3人と男性3人が様々な組み合わせで歌い、二重唱から六重唱までが展開される。

2020年のザルツブルグ音楽祭は、100年を記念する開催だったが、新型コロナの影響を受けて当初の予定を変更して、感染対策を十二分に施した上で、このプログラムで開催された。

指揮は、ヨアナ・マルヴィッツ。演奏は、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。


2020年11月1日日曜日

ベルワルド:交響曲第3番『風変わりな交響曲』

スウェーデン生まれで、独学で音楽を学んだ作曲家、フランツ・アドルフ・ベルワルドの3番目の交響曲。

第1楽章、Allegro fuocoso。

第2楽章、Adagio - Scherzo: Allegro assai - Adagio。

第3楽章、Finale: Presto。

全体を通じて、伸びやかな印象の音楽で、風変わりな感じは全くなかった。

2018年9月、ウィーンの学友協会での演奏から。指揮はスウェーデン人のヘルベルト・プロム主テット、演奏はウィーン・フィル。


2020年10月31日土曜日

モーツァルト:戴冠ミサ

 モーツァルトが1779年に書き上げた最初のミサ曲。モーツァルトはミサ曲を18曲作っている。

1791年にプラハで、サリエリがレオポルド2世の戴冠式で演奏したことから、戴冠ミサと呼ばれている。

第1曲 キリエ(あわれみの讃歌)

第2曲 グローリア(栄光の讃歌)

第3曲 クレド(信仰宣言)

第4曲 サンクトゥス(感謝の讃歌)

第5曲 ベネディクトゥス(ほむべきかな)

第6曲 アニュス・デイ(平和の讃歌)

2018年12月にミラノのスカラ座で行われたクリスマス・コンサートから。指揮はディエゴ・ファソリス、演奏はミラノ・スカラ座管弦楽団及び同合唱団。


2020年10月25日日曜日

モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番

モーツァルトが1786年に作曲した、24番目のピアノ協奏曲。

短調のピアノ協奏曲は第20番とこの第24番だけ。

明るく軽快で楽しいだけではない、モーツァルトのもう一つの側面を十二分に味わうことができる作品。

第1楽章 アレグロ。メランコリックな雰囲気のメロディで始まる、

第2楽章 ラルゲット。

第3楽章 アレグレット。

2018年9月、アメリカのクリーブランド、セヴェランス・ホールでの演奏。ピアノはランラン、指揮はウェザー・メスト、演奏はクリーブランド管弦楽団。


フランク:ヴァイオリンソナタ

ベルギー生まれの作曲家、セザール・フランクが1886年に作曲したヴァイオリンソナタ。

いわゆる循環形式で作られていて、印象的ないくつかのテーマが、表れてはまた消えていく。数あるヴァイオリンソナタの中でも屈指の名曲。

とりわけ冒頭のメランコリックなメロディが幻想的で美しく、聴いている人をこの曲の世界に一気に引き込んでしまう。

第1楽章:Allegretto ben moderato。

第2楽章:Allegro。

第3楽章:Recitativo-Fantasia (ben moderato)。

第4楽章:Allegretto poco mosso 。この楽章の始まりのメロディはとりわけ有名。

2020年2月、ベルリンのピエール・ブーレーズ・ホールでの演奏。ピアノはマルタ・アルゲリッチ、ヴァイオリンはガイ・ブラウンシュタイン。

プロコフィエフ:ヴァイオリンソナタ第2番

セルゲイ・プロコフィエフが、1944年に作曲した2番目のヴァイオリンソナタ。

プロコフィエフは、1942年から43年にかけてフルートソナタを作曲したが、この曲はピアノの部分はそのままに、フルート部分をヴァイオリンに改作した作品。

ソナタながら、4つの楽章からなる本格的な構成の曲。

第1楽章 モデラート。

第2楽章 ブレスト。

第3楽章 アンダンテ。

第4楽章 アレグロ・コン・ブリオ。

2020年2月、ベルリンのピエール・ブーレーズ・ホールでの演奏。ピアノはマルタ・アルゲリッチ、ヴァイオリンはガイ・ブラウンシュタイン。


シューマン:ヴァイオリンソナタ第1番

ロベルト・シューマンが、1851年の9月12日から16日までのわずか5日間で完成させた、最初のヴァイオリンソナタ。

15分ほどの小品だが、シューマンの様々な音楽要素が詰まっている秀作。

第1楽章 情熱的な表現で(アレグロ・アパッショナート)。

第2楽章 アレグレット。

第3楽章 生き生きと(アレグロ・コン・ブリオ)。

2020年2月、ベルリンのピエール・ブーレーズ・ホールでの演奏。ピアノはマルタ・アルゲリッチ、ヴァイオリンはガイ・ブラウンシュタイン。



マスカーニ:オペラ『カヴァレリア・ルスティカーナ』

トスカーナ州リヴォルノ生まれの作曲家、ピエトロ・マスカーニが作曲し、1890年に完成された1幕物のオペラ。

原作は、シチリア生まれのジョヴァンニ・ヴェルガの小説で本人がその戯曲版も書いている。

ストーリーは、シチリアの田舎町で起こった三角関係から決闘に至る愛憎劇。いわゆるイタリア・ヴェリズモの代表的な作品。

とりわけ、映画『ゴッドファーザーIII』で使用された、哀愁に満ちた美しい間奏曲が有名。

マスカーニは、ムッソリーニ政権が誕生すると、ミラのスカラ座の監督の座を狙って接近。そのせいで戦後は厳しい立場に追い込まれた。

2019年にイタリア南部の洞窟都市マテーラで行われた野外公演から。ナポリのサン・カルロ劇場のスタッフによって公演された。


2020年10月11日日曜日

アブラハムセン:レット・ミー・コール・ユー

 デンマーク、コペンハーゲン生まれの作曲家、ハンス・アブラハムセンが作曲した、ソプラノとオーケストラのための音楽。

現代音楽の歌唱を得意とする、ソプラノ歌手のバーバラ・ハニンガンのリクエストにより作曲された。ハニンガンとベルリンフィルにより2013年12月に初演されている。

イギリスの音楽批評家で作家でもある、ポール・グリフィスの同名の小説が元になっている。

3つのパート、合計7つの曲から構成されている。

2016年のBBCプロムスの演奏から。ソプラノはバーバラ・ハニンガン、指揮はミルガ・グラジニーテ=ティーラ、演奏はバーミンガム市交響楽団。


2020年10月10日土曜日

シューベルト:オペラ『フィエラブラス』

フランツ・シューベルトが、1823年に作曲した3幕物のオペラ。

劇中の台詞は普通に語られる、ドイツ伝統のジングシュピール。

シューベルトの生前には演奏されることはなく、初演は死後7年たった1835年でしかも一部のみ、全曲演奏は1897年になってからだった。

その後も、クラウディア・アバドが1988年に演奏するまで、長く忘れられていた。

ストーリーは、スペインをイスラム勢力が占領していた時代、ムーア人の王の王子とカール大帝の娘など、フランス人とムーア人の2組の恋人たちをめぐる物語。

ストーリーはありきたりだが、歌曲王と言われるシューベルトの音楽は美しい。

2014年にザルツブルグ音楽祭での演奏から。インゴ・メッツマッハー指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による演奏。


2020年9月21日月曜日

ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲

 チェコの作曲家、アントニン・ドヴォルザークが、1879年に完成させた唯一のヴァイオリン協奏曲。

第1楽章、Allegro ma non troppo。ドヴォルザークらしいダイナミックな音楽で始まる。

第2楽章、Adagio ma non troppo。哀愁に満ちた音楽。

第3楽章、Finale: Allegro giocoso ma non troppo。リズミカルな音楽。

2019年のBBCプロムスでの演奏から。ヴァイオリンはジョシュア・ベル。指揮はヤクブ・フルシャ、演奏はバンベルグ交響楽団。


ヤナーチェク:霧の中で

 モラヴィア地方出身の作曲家レオシュ・ヤナーチェクが、1912年に作曲した、最後のピアノ曲。

ヤナーチェクは、最愛の娘に先立たれて、自らのオペラ作品が周囲から理解されずに演奏の機会を与えられずという、という試練の時期を迎えていた。

4つの曲で構成されているが、全体的に暗く、陰鬱なイメージの曲になっている。

曲調が、ドビュッシーの影響を受けているとも言われている。

1. Andante

2. Molto Adagio

3. Andantino

4. Presto

2019年11月、東京オペラシティ コンサートホールでの演奏から。ピアノは小菅優。

ブーレーズ:オーケストラのためのノタシオン

ピエール・ブーレーズは、1945年にピアノのために12のノタシオンという曲を作曲したが、これを1980年にオーケストラ用に編曲している。

オリジナルのピアノ曲は、いわゆるセリエル形式で書かれていて、これはそれをオーケストラに適用させた試みと言えるだろう。

2016年1月、パリのフィルハーモニー・ド・パリで行われた演奏から。指揮はパーヴォ・ヤルヴィ、演奏はパリ管弦楽団。


ブーレーズ:マラルメによる即興Ⅰ, II

ピエール・ブーレーズが、1957年に作曲した4人の打楽器とソプラノのための作品。

マラルメの詩、ベルギーの友の思い出、からの言葉に音楽が付けられている。

後年、マラルメの言語世界を音楽世界で表現した、プリ・スロン・プリという6つの曲から成る組曲の一部になった。

2016年1月、パリのフィルハーモニー・ド・パリで行われた演奏から。ソプラノは、イェリー・スー。


ブーレーズ:デリーヴ1

ピエール・ブーレーズが、1984年に作曲した6重奏の音楽。

ザッハーという友人の名前から、S, A, C, H, E, R という6つの文字を音に置き換えて、それを組み合わせて作曲した、ユニークな音楽。

2016年1月、パリのフィルハーモニー・ド・パリで行われた演奏から。

ブーレーズ:メサジェスキス

ピエール・ブーレーズが、1976年に作曲した、独奏チェロと、6人のチェリストのための音楽。

チェロの持っている様々な要素が、巧みに織り交ぜられている。

2016年1月、パリのフィルハーモニー・ド・パリで行われた演奏から。チェロの独奏は、エリック=マリア・クテュリエ。


ブーレーズ:二重の影との対話

ピエール・ブーレーズが、1985年に作曲した作品。

2人のクラリネットと、録音されたクラリネットの組み合わせで演奏される、ユニークな音楽。

2016年1月、パリのフィルハーモニー・ド・パリで行われた演奏から。クラリネット演奏は、ジェローム・コントとアラン・ダミアン。


2020年9月6日日曜日

スポンティーニ:オペラ『仮面をつけた駆け落ち』

イタリアのマイオラーティに生まれ、ナポリで音楽を学び、主にナポレオン時代のパリで活躍したガスパーレ・スポンティーニが作曲し、1800年にナポリで初演されたオペラ・ブッファ。

長らく忘れられていたが、2006年にイギリスで楽譜が発見され、212年振りの公演となった。

愛し合う恋人同士と、二人の中を阻む親が決めた婚約者、周囲の複雑な人間関係などが絡んで展開される軽快なドタバタ劇。

2012年8月に行われたペルゴレージ・スポンティーニ・フェスティバルの公演。指揮はコッラード・ロヴァリス、演奏はイ・ヴィルトゥオージ・イタリアーニ。

2020年9月5日土曜日

ブルックナー:ミサ曲第1番

アントン・ブルックナーが、1864年に作曲した最初のミサ曲。

敬虔なカトリック教徒だったブルックナーは、数多くの宗教曲も作曲している。

ブルックナーらしい、ダイナミックな音楽のミサ曲。

ブルックナーの交響曲は、実はあまり好きではないが、このミサ曲はとてもいい印象が残っている。

2014年5月、ミュンヘンのガスタイク・フィルハーモニーでの演奏。指揮はジョン・エリオット・ガーディナー、演奏はバイエルン放送交響楽団。

メンデルスゾーン:交響曲第5番 宗教改革

フェリックス・メンデルスゾーンが、1830年に作曲した交響曲。実際は第1番の後に作曲されている。

熱心なルーテル派の信者だったメンデルスゾーンが、アウグスブルグの信仰告白300周年を記念して作曲した。

第4楽章で、ルター作曲のコラールがモチーフとして使われている。

第1楽章、Andante - Allegro con fuoco。印象的な主題がダイナミックに展開される。

第2楽章、Allegro vivace。軽快なスケルツォ。

第3楽章、Andante。短い楽章で、そのまま第4楽章に引き継がれる。

第4楽章、Choral:Ein' feste Burg ist unser Gott、Andante con moto - Allegro vivace  - Allegro maestoso。

2014年5月、ミュンヘンのガスタイク・フィルハーモニーでの演奏。指揮はジョン・エリオット・ガーディナー、演奏はバイエルン放送交響楽団。

ロッシーニ:オペラ『デメトリオとポリビオ』

 ジョキアーノ・ロッシーニが作曲した最初のオペラ、と言われている作品。

1812年5月にローマで初演されたが、全ての曲をロッシーニが作ったのかは、よくわかっていないという。

シリア国王のデメトリオと、パルティア国王ポリビオが、青年シヴェーノを巡って争う、というストーリー。

2010年にロッシーニの生地ペーザロで行われたロッシーニ・フェスティバルの公演は、舞台を閉幕後の劇場に設定するというユニークな演出だった。

指揮はコッラード・ロヴァリス、演奏はロッシーニ交響楽団、プラハ室内合唱団。


2020年8月29日土曜日

レハール:オペラ『微笑みの国』

 ハンガリー生まれのドイツ人、フランツ・レハールが作曲し、1929年にベルリンで初演された3幕もののオペレッタ。

ウィーンの伯爵令嬢と、中国のエリート外交員との、ウィーンと北京を舞台にした恋の物語。

愛し合う二人だが、厳しいしきたりの文化の壁は越えられず、最後は恋を諦めてしまうという、オペレッタにしては珍しいノン・ハッピーエンド。

2019年のメルビッシュ音楽祭の演奏から。指揮はトーマス・レスナー。リーザ役にはエリッサ・フーバー。 スー・チョン皇子役にはチェ・ウォンフィ。演奏はメルビッシュ祝祭管弦楽団。


ロッシーニ:オペラ『リッチャルドとゾライデ』

教皇領だったイタリアのペーザロで生まれ、ボローニャで音楽を学んだジョアキーノ・ロッシーニが作曲し、1819年にナポリで初演された2幕のドランマ・セリオ・ペル・ムジカ。

主要な登場人物に、2人のテノールが登場することから、配役の関係でなかなか上演される機会がなかったオペラ。

十字軍の騎士リッチャルドが、囚われの身の美しいゾライデ姫を救い出す、というストーリー。

2018年のロッシーニ・オペラ・フェスティバルの公演。その2人のテノールには、リッチャルドにフアン・ディエゴ・フローレス、敵役のアラゴン王にセルゲイ・ロマノフスキー、という配役だった。


2020年8月16日日曜日

ガルッピ:オペラ『オリンピアーデ』

 18世紀に活躍したヴェネツィア生まれの作曲家、バルダッサーレ・ガルッピが作曲し、1747年に初演されたオペラ。

台本は当時の売れっ子オペラ台本作家ピエトロ・メタスタージオによるもの。

ストーリーは、クレタの王子が、結婚目当てに親友にオリンピックに替え玉出場を依頼し、優勝するがそのことがバレてしまう・・・という内容。

後期バロック音楽に位置つけられる音楽。

2006年10月、ヴェネツィアのマリブラン劇場での公演。


2020年8月8日土曜日

ヴェルディ:オペラ『スティッフェーリオ』

 ジュゼッペ・ヴェルディが作曲し、1850年に初演された3幕もののオペラ。

プロテスタントの牧師が、浮気する妻との関係に悩みながらも、浮気相手の死を受けて最後は妻を許す、というストーリー。

カトリックの国イタリアでは、プロテスタントが主人公で浮気がテーマというストーリーは受け入れられず、ヴェルディは後に改作してしまった。

しかも、当時のヴェルディはオペラ歌手のジュゼッピーナと同棲しながら婚姻届を出していなかったので、周囲からは冷たい目で見られていた時期だった。

テーマは重苦しいが、ヴェルディらしい劇的な音楽がストーリーにメリハリを与えている。

2012年4月、パルマ王立歌劇場での公演から。指揮はアンドレア・バッティストーニ、演奏と合唱はパルマ王立歌劇場管弦楽団及び同合唱団。


2020年8月2日日曜日

ハイドン:オラトリオ『天地創造』

フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが、1796年から1798年にかけて作曲したオラトリオ。

台本は、聖書の創世記とミルトンの失楽園からの言葉で構成されている。

それぞれ30分ほどの長さの3部構成で、トータル34曲の音楽で構成されている。

激しさ、穏やかさ、敬虔さ。天地創造という劇的な出来事が、ハイドンの多彩な音楽によって見事に表現されている。

2017年8月のルツェルン音楽祭の演奏から。指揮はサイモン・ラトル、演奏はベルリン・フィル。

2020年8月1日土曜日

ベートーヴェン:オラトリオ『オリーブ山のキリスト』

ルードヴィヒ・フォン・ベートーヴェンが1803年に、わずか2週間ほどで書き上げたという、唯一のオラトリオ作品。

台本は、当時ウィーンのオペラの台本作家として知られていたフランツ・クサヴァー・フーバー。

初演された際は、一緒に交響曲第1番、第2番、ピアノ協奏曲第3番が一緒に演奏された。

6つのパートで構成されている。

まだ初期のベートーヴェンの音楽で、合唱曲だが晩年の交響曲第9番のような激しさはない。

2020年2月、ロンドンのバービカン・ホールでの演奏から。指揮はサイモン・ラトル、演奏はロンドン交響楽団とロンドン交響合唱団。

2020年7月26日日曜日

リスト:巡礼の年 第2年 イタリア

フランツ・リストが20代から60代にわたって作曲したピアノ曲集。

最初の2つは20代に、最後の第3年は60代で作曲している。

第2年は、1837年から作曲を開始し1839年にはほぼ終わっていたようだが、出版されたのは1858年だった。

婚礼:ラファエロの『聖母の婚礼』をイメージした曲。静かに始まり、徐々に高みに登っていくような音楽。

物思いに沈む人:ミケランジェロの同名の彫刻作品をイメージした曲。ミケランジェロの苦悩を記した詩の内容を反映しているような暗い音楽。

サルヴァトール・ローザのカンツォネッタ:唯一の他人の引用曲。バロックの音楽家ローザの音楽が使われている。軽快な行進曲。

ペトラルカのソネット第47番:恋人同士を連想させるロマンチックな音楽。

ペトラルカのソネット第104番:喜びや悲しみ、様々な要素を合わせ持つ味わいの深い音楽。

ペトラルカのソネット第123番:静かに語りかけるような音楽。

ダンテを読んで ソナタ風幻想曲:ダンテ・ソナタとも呼ばれるこの曲集の中で最も長い曲。地獄を象徴する音楽で始まり、ダンテの神曲の世界が展開されていく。

1986年3月、ロンドンのミドル・テンプル大ホールでの演奏。ピアノはアルフレート・ブレンデル。

2020年7月25日土曜日

リスト:巡礼の年 第1年 スイス

フランツ・リストが20代から60代にわたって作曲したピアノ曲集。

最初の2つは20代に、最後の第3年は60代で作曲している。

第1年は、1835年から1836年にスイスを訪れたときの印象をもとに作曲して、1842年に出版されたが、1855年に現在のバージョンに改訂された。

ウィリアム・テルの聖堂:始まりに相応しい静かだが威厳のある音楽。

ワレンシュタートの湖にて:静かな湖の水面が思い浮かぶような穏やかな音楽。

パストラール:スイスの山で暮らす牛飼いたちの歌を元にしているという軽快な音楽。

泉のほとりで:水の弾ける様子を表現したような透明感にあふれた音楽。

嵐:文字通りの激しい曲で、リストらしい音楽。

オーベルマンの谷:ロマンチックな叙情的な音楽。この第1年を代表する印象的なメロディも聴こえてくる。

牧歌:リズミカルな穏やかな曲。

郷愁:こちらもスイスの牛飼いたちの歌に基づいているが、とてもノスタルジックな音楽。

ジュネーブの鐘:ある女性に捧げた曲。哀愁に満ちた音楽。

1986年3月、ロンドンのミドル・テンプル大ホールでの演奏。ピアノはアルフレート・ブレンデル。

シューベルト:ミサ曲第6番

フランツ・シューベルトが、1828年に完成させた最後のミサ曲。この年の11月19日にシューベルトは亡くなった。

シューベルトは、幼い頃、現在のウィーン少年合唱団の元になった合唱団で歌っていたことから、こうしたミサ曲を6つ、他にもドイツ・ミサ曲やスタバート・マーテルを残している。

キリエ、グロリア、クレド、サンクトゥス、ベネディクトゥス、アニュス・デイという構成。

1976年7月、ウィーン宮廷礼拝堂での演奏。指揮はカール・ベーム、ウィーン・ホーフムジークカペレ、ウィーン国立歌劇場合唱団、ウィーン少年合唱団の演奏。

2020年7月19日日曜日

リヒャルト・シュトラウス:オペラ『影のない女』

リヒャルト・シュトラウスが、1914年から1917年にかけて作曲した作品。まさに第1次世界大戦が行われている真っ最中だった。

台本は、フーゴ・フォン・ホフマンスタール。この2人はそれまでに『エレクトラ』、『町人貴族』、『ナクソス島のアリアドネ』、『ばらの騎士』と言ったオペラを一緒に作ってきた。

子供ができない皇帝の妻は影を持っていない。それが子供ができない理由だとして、同じく子供ができなくて悩んでいるある夫婦の妻から影を奪おうとするのだが・・・というストーリー。

メルヘンオペラと言われる内容で、2組のカップルが試練に遭遇して立ち向かうというストーリーは、明らかにモーツァルトの『魔笛』を意識している。

いかにもシュトラウスらしい、美しくもどこかで退廃や嫌悪を感じさせる独特な音楽が展開されていく。

2019年5月、ウィーン国立歌劇場での講演から。指揮はクリスティアン・ティーレマン。皇后役にカミッラ・ニールント、皇帝役にステファン・グールド。

2020年7月12日日曜日

ショパン:ピアノ協奏曲第1番

フレデリック・ショパンが1830年に完成させたピアノ協奏曲。

第1番とあるが、実際には第2番が発表された後に完成された。ショパンが祖国を離れる直前の演奏会で自らのピアノで初演された。

その後、1832年のパリでのデビューとなる演奏会で演奏されて出版されたことから、こちらが第1番となった。

第1楽章 Allegro maestoso。壮麗な始まり方。しかしピアノの独奏はあくまでも叙情的だ。

第2楽章 Romanze, Larghetto。文字通り、ピアノのロマンチックな雰囲気に溢れた楽章。

第3楽章 Rondo, Vivace。一転して、軽快な音楽でフィナーレ。

2017年4月、ドイツ、ドルトムントのコンツェルトハウスでの演奏。ピアノはダニール・トリフォノフ、指揮はミハイル・ブレトニョフ、演奏はマーラー・チェンバー・オーケストラ。

2020年7月11日土曜日

ヴェルディ:オペラ『レニャーノの戦い』

ジュゼッペ・ベルディが作曲し、1849年に初演された4幕もののオペラ。

12世期に起こった神聖ローマ皇帝フリードリッヒ1世とロンバルディア連合の戦いをテーマにしたオペラ。

1176年にイタリア支配を目論んだフリードリッヒ1世、通称バルバロッサはイタリアに攻め入ったが、ローマ教皇側だったミラノなどのロンバルディア連合軍にこの戦いで破れて、バルバロッサのイタリア支配の夢は潰えた。

戦争によって引き裂かれた恋人同士とその悲劇が描かれる。

当時は、オーストリアに対するイタリアの独立運動が展開されていた時期であり、そうした世相も反映されている。

2012年2月&3月に、イタリア、トリエステのジュゼッペ・ヴェルディ劇場での公演から。指揮はニーノ・ナポレターノ、演奏はトリエステ・ジュゼッペ・ヴェルディ歌劇場管弦楽団及び同合唱団。





2020年7月4日土曜日

モーツァルト:フルート協奏曲第1番

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが、1778年に作曲したフルートのための協奏曲。

裕福なオランダ人からの依頼で書かれたフルート協奏曲のうちの1つ。

モーツァルトはフルートのための音楽にはあまり乗り気ではなかったようだが、今ではフルート曲の定番の一つになっている。

第1楽章 アレグロ・マエストーソ。いわゆるモーツァルトらしい軽快な音楽。

第2楽章 アダージョ・ノン・トロッポ。静かに奏でられるフルートの伸びやかな音が美しい。

第3楽章 ロンド テンポ・ディ・メヌエット。華やかなフィナーレ。

2019年8月、スイスのルツェルン文化会議センター・コンサートホールでの演奏から。フルートは絵マニュアル・パユ、指揮はヤクブ・フルシャ、演奏はマーラー室内管弦楽団。

ベートーヴェン:三重協奏曲

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが1803年から1804年にかけて作曲した、ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための協奏曲。

ベートーヴェンのパトロンだった、ルドルフ大公がピアノパートを演奏するために書かれたと言われる曲。

ベートーヴェンは同時期に交響曲第3番やクロイツェルソナタ、ピアノソナタの熱情などを作曲されている時期にあたるが、比較的古典的な音楽になっているのは、そのためかもしれない。

第1楽章、アレグロ。古典的な印象の音楽。

第2楽章、ラルゴ。チェロとヴァイオリンの独奏が美しい。

第3楽章、ロンド・アラ・ポラッカ。伸びやかで開放的な印象の音楽。

2019年10月、ベルリンフィルハーモニーでの演奏。指揮とピアノはダニエル・バレンボイム、ヴァイオリンにアンネ・ゾフィー・ムター、チェロはヨーヨーマという豪華なメンバー。

オーケストラは、ウェスト・イースタン・ディヴァン管弦楽団。

2020年6月27日土曜日

ワーグナー:オペラ『ニュルンベルグのマイスタージンガー』

リヒャルト・ワーグナーが、ドレスデン時代に『タンホイザー』とともに着想したが、完成したのはそのおよそ20年後の1867年だった。

1868年6月にミュンヘンのバイエルン宮廷歌劇場でハンス・フォン・ビューローの指揮により初演された。

ニュルンベルグの街を舞台に、若い恋人と、歌の親方のそれぞれの想いが交錯するハートウォーミングなストーリー。

陰鬱な暗いイメージが多いワーグナーのオペラ作品の中では、唯一と言っていい明るい内容。

クライマックスで、マイスタージンガーの靴屋の職人ハンス・ザックスが、”マイスターをないがしろにしなければ、神聖ローマ帝国は滅んでも、ドイツの芸術は残るだろう”と歌う部分には、ワーグナーの思想が色濃く表れている。

2008年のウィーン国立歌劇場の公演から。指揮はクリスティアン・ティーレマン。

2020年6月21日日曜日

ベッリーニ:オペラ『ノルマ』

シチリアのカターニャに生まれたヴィツェンツォ・ベッリーニが、1831年に作曲した2幕もののオペラ。

ローマが支配するガリア地方を舞台に、ローマ総督のポッリオーネと、ドルイド教の高僧の娘ノルマの愛と悲劇を描いている。

第1幕第1場でノルマが歌う、カスタ・ディーヴァがとりわけ有名。

また、第2幕第1場にノルマとアダルジーザの2重唱も美しい。

2007年のマチェラータ・オペラ・フェスティバルの公演から。指揮はパオロ・アッリヴァベーニ、ノルマ役にはマリア・カラスの再来と評価されたディミトラ・テオドッシュウ。

チャイコフスキー:オペラ『マゼッパ』

ロシアの作曲家、ピョートル・チャイコフスキーが、1881年から1883年にかけて作曲した全3幕のオペラ。

18世期初頭のウクライナを舞台に、コサックの棟梁マゼッパと、裕福な貴族のコチュベイ、その娘のマリアらが繰り広げる、愛憎劇。

父の反対を押し切ってマゼッパと一緒になったマリア。しかし父はマゼッパによって殺され、やがてマゼッパもピョートル大帝との戦争に敗れて、そんな中でマリアは精神錯乱を起こしてしまう・・・

2019年6月、サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場での公演から。指揮は、ワレリー・ゲルギエフ。

2020年6月13日土曜日

レオンカヴァルロ:オペラ『道化師』

ルッジェーロ・レオンカヴァルロが1892年に作曲した、プロローグ付きの2幕もののオペラ。いわゆるヴェリズモ・オペラの代表作。

旅芸人一座の座長のカニオと、その妻で愛人と浮気をしているネッタ、そして愛人のトニオ、二人の不倫をカニオに告げるペッペらが繰り広げる愛憎劇。

再2幕は、最初は舞台で劇が展開されるが、錯乱したカニオが妻のネッタを殺してしまい、続いて乱入したトニオも殺してしまう。

最後に、カニオは”喜劇はこれで終わり”と呟く。

演出家で映画監督のフランコ・ゼフィレッリが映像化した作品。

オッフェンバック:オペラ『美しきエレーヌ』

ドイツで生まれて、フランスで成功を収めた、ジャック・オッフェンバックが1864年に作曲したオペラ・ブッファ。

トロイア戦争の原因となった有名なギリシャ神話のエピソードを、当時の社会風潮への皮肉を込めてパロディ化した。

パリスが、美しいスパルタ王妃のエレーヌ(ヘレネ)を誘惑するというストーリー。

舞台を豪華客船に設定し、その中で繰り広げられるドタバタ悲劇が展開される、という現代風な演出。

途中、メルケル首相に扮した演者が、お金の入った小さな運搬車を運ぶ、という何とも皮肉がシーンが登場した。

2014年9月のハンブルク歌劇場での公演から。

サン=サーンス:オペラ『サムソンとデリラ』

フランスの作曲家カミーユ・サン=サーンスが、1868年から74年にかけて作曲した3幕もののオペラ。

当初はオラトリオとして構想したが、最終的にはオペラの形式に落ち着いた。

パリのオペラ座は、聖書がテーマのオペラという点に何色を示し、初演が行われたのはドイツだった。フランツ・リストがこのオペラに興味を持っていて、熱心に働きかけを行ったという。

旧約聖書の土師記13〜16章に描かれる、サムソンの物語がストリーの核になってる。

怪力を活かしてペリシテ人からイスラエル人を守っていたサムソンだが、デリラに恋をしてその怪力の秘密を教えてしまう。

怪力を失い、両目をえぐられたサムソンが、自分の命と引き換えに力を取り戻して多くのペリシテ人とともに死んでいくという悲劇が、サン=サーンスのダイナミックな音楽で語られる。

2019年10月、ニューヨークのメトロポリタン・オペラの公園から。指揮はマーク・エルダー、デリラ役はエリーナ・ガランチャ、サムソン役はロベルト・アラーニャ。

2020年5月17日日曜日

エルガー:オラトリオ『ゲロンティアスの夢』

イギリスの作曲家、エドワード・エルガーが1900年に完成させたオラトリオ。

エルガーは、1889年に結婚した際に送られたジョン・ヘンリー・ニューマンの同名の長編詩にとても感動して、いつかは音楽作品にしたいと思っていた。

通常のオラトリオは、聖書の言葉から作られるが、このオラトリオは全てニューマンの詩で構成されている。

紙を目の前にしたゲロンティアスが、死の恐怖を切々と語るが、その魂は天使によって救われるというストーリー。

2017年12月にフィルハーモニア・ド・パリで行われた公演。指揮はダニエル・ハーディング。演奏はパリ管弦楽団および合唱団。

ラモー:オペラ『みやびなインドの国々』

バロック期のフランスの作曲家、ジャン=フィリップ・ラモーが、1735年から36年にかけて作曲したバレエ付きのオペラ。

ラモーは、『和声論』を出版するなど、音楽理論家でもあった。

愛を捨てて戦争に情熱を注ぐようになってしまったヨーロッパ。

女神エペは、愛する恋人たちを求めて、ヨーロッパ以外の地にキューピッドたちを派遣する。

ラモーが活躍した時代はルイ15世の優雅なロココ時代。前のルイ14世の時代は戦争に明け暮れた時代だった。

戦争よりも愛。そうした時代を象徴するようなテーマの作品。

インドとは、当時はヨーロッパ以外の地域を意味する。

舞台は、トルコ、インカ、ペルシャ、アメリカで、皮肉にもインドは登場しない。

2019年10月、パリオペラ座バスチーユでの公演。ヒップホップ調のダンスが登場する、現代風な演出で話題になった。

2020年5月10日日曜日

ベートーヴェン:チェロソナタ第5番

ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1815年に作曲した最後チェロソナタ。第4番の後、1ヶ月を置いて作曲された。

第1楽章、Allegro con brio。

第2楽章、Adagio con molto sentimento。

哀愁に満ちた実に美しい音楽。ベートーヴェンの数あるアダージョの中でも、屈指の名曲。チェロという楽器の特性がとてもよく活かされている。

第3楽章、Allegro。

第2楽章とは雰囲気が一気に変わる軽快なアレグロ。5つのチェロソナタの最後に相応わしい晴れやかなフィナーレ。

2019年5月、ベルギーのエリザベート王妃音楽院での演奏から。チェロはゲイリー・ホフマン、ピアノはデイヴィッド・セリグ。

ベートーヴェン:チェロソナタ第4番

ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1815年に作曲したさせた4番目のチェロソナタ。

ベートーヴェンの円熟期のチェロソナタ。再び、2つの楽章の構成が採用されているが、音楽の質が、初期の第1番、第2番とは全く違った、内省に溢れた内容。

第1楽章、Andante - Allegro vivace。

第2楽章、Adagio - d'Andante - Allegro vivace。

2019年5月、ベルギーのエリザベート王妃音楽院での演奏から。チェロはゲイリー・ホフマン、ピアノはデイヴィッド・セリグ。

ベートーヴェン:チェロソナタ第3番

ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1808年に完成させた3番目のチェロソナタ。

交響曲第5番や6番、ピアノ協奏曲第5番などと同じ時期に作曲され、ベートーヴェンのチェロソナタの中でも最も有名な曲になっている

第1楽章、Allegro ma non tanto。

チェロソナタというイメージとは全く異なった奥行きのある構成。

第2楽章、Scherzo.Allegro molto。

ピアノの躍動感ある旋律にチェロが連れられていく、というイメージの楽章。

第3楽章、Adagio cantabile - Allegro vivace。

第1番、第2番では、第1楽章で使われていた構成がここでは第3楽章に置かれている。

静かなアダージョに始まり、華やかなアレグロが展開する。

2019年5月、ベルギーのエリザベート王妃音楽院での演奏から。チェロはゲイリー・ホフマン、ピアノはデイヴィッド・セリグ。

ベートーヴェン:チェロソナタ第2番

ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1796年に作曲した2番目のチェロソナタ。

ベートーヴェンは、この時期にウィーンから、ボヘミア地方やプロイセンに旅行をしていた。その際に、第1番とともに作曲された。

そのせいか、この2曲は当時のプロイセン王のフリードリッヒ・ウィルヘルム2世に献呈されている。

第1楽章、Adagio sostenuto ed espressivo - Allegro molto piu tosto presto。

第1番と同様にアダージョで始まるが、こちらはやや熱情的なアダージョ。

後半のアレグロ・モルトがこのソナタ全体の主部。チェロとピアノの掛け合いが美しい。

第2楽章、Rondo, Allegro。

2019年5月、ベルギーのエリザベート王妃音楽院での演奏から。チェロはゲイリー・ホフマン、ピアノはデイヴィッド・セリグ。

ベートーヴェン:チェロソナタ第1番

ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1796年に作曲した1番目のチェロソナタ。

ベートーヴェンは、この時期にウィーンから、ボヘミア地方やプロイセンに旅行をしていた。その際に、第2番とともに作曲された。

そのせいか、この2曲は当時のプロイセン王のフリードリッヒ・ウィルヘルム2世に献呈されている。

第1楽章、Adagio sostenuto - Allegro。

いきなりアダージョで静かに始まる。旅行中の気分が反映されているのだろうか。

後半のアレグロのパートでは、ちょっとモーツァルトのような哀愁に満ちたメロディや、明るい旋律が現れる。

第2楽章、Allegro vivace。

2019年5月、ベルギーのエリザベート王妃音楽院での演奏から。チェロはゲイリー・ホフマン、ピアノはデイヴィッド・セリグ。

2020年5月6日水曜日

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲

ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンが1806年に作曲した、ヴァイオリンとオーケストラのための協奏曲。ベートーヴェンにとって唯一のヴァイオリン協奏曲となった。

交響曲第4番、ピアノ協奏曲第4番を作曲したのとほぼ同じ時期で、いずれも穏やかなイメージの音楽になっている。

第1楽章:アレグロ・マ・ノン・トロッポ。

印象的な主題のメロディー。交響曲に匹敵する伸びやかで勇壮なオーケストラ。

第2楽章:ラルゲット。

静かな音楽が、やがて叙情的な音楽に変わっていく。

第3楽章:ロンド アレグロ。

第2楽章から切れ目なく始まる。リズミカルなヴァイオリンによる主題が展開されていく。

初演後はしばらくして、次第に演奏されなくなり忘れられて行ったが、ブラームスの友人でヴァイオリニストのヨーゼフ・ヨアキムがこの曲を高く評価して、生涯に渡り演奏をし続けた。

ヨアキムは、一時期メンデルスゾーンに師事していたが、ベートーヴェン 、メンデルスゾーン、ブラームスのヴァイオリン協奏曲が、3大ヴァイオリン協奏曲と言われていて、ヨアキムはその3つの曲全てに関係していたことになる。

2008年1月、ウィーンの学友協会で行われた、小澤征爾指揮、ベルリン・フィルによる演奏から。ヴァイオリンは、アンナ・ゾフィー・ムター。

2020年5月5日火曜日

ヴェルディ:オペラ『二人のフォスカリ』

ジュゼッペ・ヴェルディが、31歳の頃に書いたオペラ。

イギリスの詩人バイロンが書いた、実話を元にした戯曲がストーリーのベースになっている。

ヴェネツィアの総督フランチェスコ・フォスカリが、政敵の策略によって無実の罪に問われる息子に対して、総督としての立場から助けることができず、苦悩するという悲劇。

2時間に満たないやや短いオペラだが、悲劇のストーリーが、ヴェルディらしい劇的な音楽で展開されていく。

2016年2月、ミラノのスカラ座の公演から。

75歳を迎えたプラシド・ドミンゴの円熟のパフォーマンスが一番の見どころ。

ヘンデル:セレナータ『アチ、ガラテアとポリフェーモ』

ゲオルグ・フリードリッヒ・ヘンデルが、1708年にナポリで作曲したセレナータ形式の作品。

ヘンデルは、1706年から1710年にかけてローマを拠点にイタリア各地を訪れていた。

当時のローマでは、オペラの上演が禁止されていて、オラトリア形式の音楽も憚られたことから、ヘンデルは”セレナータ”という形式でこの作品を発表したという。

恋人同士の海の精霊アチと牛飼いのガラテアを、巨人のポリフェーモが横恋慕してアチを殺してしまうが、最後は生き返りハッピーエンドに終わる。

若きヘンデルのバロック調の調べが実に美しい。

2009年6月、イタリアのトリノ、カリニャーノ劇場での公演。

3人の歌手の他に、パントマイムのもう1組の3人が舞台上で並行して演じる、というユニークな演出。

2020年4月29日水曜日

ルトスワフスキ:交響曲第4番

ポーランドのワルシャワに生まれた作曲家、ヴィトルト・ルトスワフスキが1993年に作曲した、4番目の交響曲。

単一の楽章で構成される。

不協和音の不安げな、悲しい音楽で始まる。次第にダイナミックな音楽に変わり、再び不安定な音楽に。

2019年10月、ロサンゼルスのウォルト・ディズニー・ホールでの演奏から。

ロス・フィルの創立100周年を祝うコンサートで、桂冠指揮者のエサ=ベッカ・サロネンが指揮を担当。サロネンは、この曲をこのオーケストラで初演している。

2020年4月11日土曜日

プロコフィエフ:オペラ『炎の天使』

ロシアの作曲家、セルゲイ・プロコフィエフが、1919〜1927年にかけて作曲したオペラ。

原作は、1908年に発表された、ロシアの象徴主義の代表的な作家ワレリー・フリューソフの同名の小説。

16世期のドイツを舞台に、悪魔に取り憑かれた少女を巡り、恐ろしくも神秘的なドラマが展開される。

2018年7月、フランスのエクサン=プロバンスのプロバンス大劇場での公演から。指揮は大野和士。パリ管弦楽団の演奏。

大野和士は、この演目を最も得意としており、世界的にもこの演目を取り上げた指揮者としてはトップクラス。

冒頭で、なぜか映画『ガメラ』が流されるが、これは大野が関係しているのだろうか?演出は、ポーランドのマリウス・トレリンスキが行なっている。

プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第3番

ロシアの作曲家、セルゲイ・プロコフィエフが1917年に完成させた、3番目のピアノ・ソナタ。

第1番、第4番と同じく、サンクトペテルブルグ音楽院で学んでいた時代に作った曲が元になっている

そのせいか、第3番と第4番には、『古いノートから』という副題が付いている。

第1番と同様、1つの楽章のみで構成される。アレグロ・テンペストーソ。

リズミカルな音楽で始まり、メランコリックな展開に変わり、その後、内なる情熱が迸るような音楽へと、曲調が目まぐるしく展開されていく。

2018年11月、ミュンヘンのガスタイク内フィルハーモニーでの演奏。演奏は、ドミトリー・マスレエフ。

プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第2番

ロシアの作曲家、セルゲイ・プロコフィエフが1912年に作曲した、2番目のピアノ・ソナタ。

4つの楽章で構成されている。
アレグロ・マ・ノン・トロッポ、スケルツォ アレグロ・マルカート、アンダンテ、ヴィヴィアーチェ。


ロマン主義的な側面と、プロコフィエフらしいエキセントリックな側面、その2つを併せ持っている。

2018年11月、ミュンヘンのガスタイク内フィルハーモニーでの演奏。演奏は、ドミトリー・マスレエフ。

プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第1番

ロシアの作曲家、セルゲイ・プロコフィエフが1909年に完成させた、最初のピアノ・ソナタ。

1907年に一度、第1番として作曲していたが、第2楽章と第3楽章を省いて、1つの楽章のみで完成させた。

ロマン主義的な、プロコフィエフにしては、やや大人しい印象の音楽。

2018年11月、ミュンヘンのガスタイク内フィルハーモニーでの演奏。演奏は、ドミトリー・マスレエフ。

2020年3月28日土曜日

ボッケリーニ:チェロ協奏曲第9番

イタリアのルッカで生まれのルイジ・ボッケリーニが、作曲した9番目のチェロ協奏曲。

1770年から1785年頃に作曲されたと言われている。当時、ボッケリーニは、マドリッドのスペイン王家の宮廷音楽歌だった。

ボッケリーニ は、チェロ奏者としても有名だったが、数多くの交響曲も作曲している。

チェロ協奏曲だけで12曲も作曲しているが、この第9番はその中でも一番演奏される機会の多い曲になっている。

第1楽章、アレグロ・モデラート。伸びやかで、穏やかな印象の音楽。

第2楽章、アダージョ・ノン・トロッポ。落ち着いたアダージョ。

第3楽章、ロンド、アレグロ。リズミカルな音楽。最後のチェロのカデンツァが美しい。

2000年1月、ザルツブルグのモーツァルトテルムでの演奏から。フィリップ・グリーンバーク指揮、バイエルン・カンマーフィルハーモニー管弦楽団の演奏。チェロはグザヴィエ・フィリップ。

2020年3月20日金曜日

ペルゴレージ:オペラ『リヴィエッタとトラコッロ』

18世紀に活躍したジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージが作曲した幕間劇。

ペルゴレージは、1710年にイタリアのマルケ州イェージで生まれ、ナポリ音楽院で音楽を学んだ。オペラを始め数多くの曲を作ったが、わずか26歳で他界してしまった。

この『リヴィエッタとトラコッロ』は、『奥様女中』と同様にいわゆる幕間劇で、演奏時間も1時間ほど。

ストーリーは、たわいのない恋愛ものコメディだが、ペルゴレージのバロックの雰囲気を残した美しい音楽を楽しめる。

2010年6月に、故郷イェージのペルゴレージの名を冠した劇場での公演から。

2020年3月14日土曜日

ペンデレツキ:交響曲第7番『イェルサレムの7つの門』

ポーランドのクラクフ生まれの作曲家、クシシュトフ・ペンデレツキが1996年に作曲した7番目の交響曲。

エルサレムの建都3000年を記念して、イスラエル政府がペンデレツキに依頼した曲で、聖書の詩篇、イザヤ、エレキエル、エレミア、ダニエルの各書からの言葉が、5人のソリストと合唱団によって歌われる。

その意味では、交響曲というより、オラトリアのような音楽。

7つのパートから構成されていて、エルサレムの旧市街にある7つの門を意味する曲の名前と連動している。

歌はラテン語で、一部のセリフはヘブライ語で語られる。

2017年6月、チェコのプラハで行われた、プラハの春音楽祭の演奏から。指揮は、作曲家自らが行い、演奏はプラハ放送交響楽団。

クレイチナー:管弦楽のためのセレナード

チェコの新古典主義の作曲家、イシャ・クレイチナーが、1948〜1950年にかけて作曲した、管弦楽のための音楽。

3つのパートから構成されている。

新古典主義の音楽とはこんなものです、とでも言ったようなわかりやすい音楽。

2017年6月、プラハのスメタナ・ホールでの演奏から。指揮はチェイ・トヴォレク、演奏はプラハ放送交響楽団。

ベルリオーズ:オペラ『ファウストの劫罰』

フランスの作曲家ルイ・エクトル・ベルリオーズが作曲し、1846年に初演された。

ベルリオーズは、この曲を劇的音楽と呼んで、オペラとは違うものだと考えていたが、現在ではオペラとして上演されている。

ベルリオーズは、ゲーテのファウストを音楽化したいと考えて、『ファウストからの8つの情景』という曲を1824年頃に作曲していたが、ゲーテ本人からの評価が今ひとつだったので、そのままになっていた。

その後、再びファウストへの興味が復活して、その曲をもとに新たに劇的音楽として完成させた。

基本的にはファウストの原作のストーリーを踏襲しているが、所々に自由な脚色が見受けられる。

冒頭に登場する、ハンガリーのラコッツィ行進曲が有名で、単独でもよく演奏される。

メフィストが悪の勝利を高らかに宣言する、クライマックスのダイナミックな音楽は、ベルリオーズの面目躍如といったところか。

2017年のローマ歌劇場での公演は、舞台を現代に移した、演出家ダミアーノ・ミキエレットの大胆な演出が話題となった。

2020年3月7日土曜日

モーツァルト:オペラ『タモス』

元は、1774年にウィーンで初演された『エジプト王のタモス』という芝居で、モーツァルトはこの芝居のために、2曲の合唱曲と、5つの管弦楽用の音楽を書いた。

この講演では、さらに『魔笛』などのからの音楽を加えて、オペラに演出し直したもの。

オリジナルの芝居の脚本を書いた、トビアス・フォン・ゲープラー男爵という人物が、フリーメーソンの会員だったので、芝居の内容も、それを匂わせるシーンが度々登場する。

エジプト王家の王権を争うドラマと、恋愛ドラマが入り混ざったようなストーリー。

舞台セットも大掛かりで、SF映画の撮影セットのような雰囲気。

出演者が、タイ語、アラビア語、ドイツ語など自らの国の言葉でセリフを喋るというユニークな演出だった。

2019年、ザルツブルグのモーツァルト週間2019の講演から。

2020年2月29日土曜日

ペルゴレージ:オペラ『恋に陥った兄と妹』

ナポリ派のジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージが作曲し、1732年に初演されたオペラ・ブッファ。

ペルゴレージの最初の成功作となり、その後次々とヒット作を重ねたが、惜しくも26歳で夭折してしまった。

しかし、残されたオペラ作品は、モーツァルトをはじめとしたその後のオペラ・ブッファに大きな影響を与えた。

2つの家族のそれぞれの父親が、それぞれの子供を結婚させるように企てるが、子供たちの思いが状況を複雑なものにさせていく。

たわいもないストーリーの恋愛喜劇だが、登場人物が自分の複雑な思いを切々と歌い上げるアリアが、実に美しい。

喜劇の中に、こうしたちょっとしたアクセントを入れ込むのが、ペルゴレージの大きな魅力の一つなのだろう。

2011年に、ペルゴレージの故郷、マルケ州のイェージで行われた、ペルゴレージ・スポンティーニ・フェスティバル2011の演奏から。

指揮者のファビオ・ビオンディは、自らヴァイオリン、ヴィオラ・ダモーレを弾きこなしながら、指揮を行っていた。

2020年2月15日土曜日

ワイル:オペラ『マハゴニー市の興亡』

ベルトルト・ブレヒトが1927年に発表した脚本に、カート・ワイルが音楽を作曲して1930年に初演されたオペラ。

3人の人物が、色と欲にまみれた都市マハゴニーを作り、そこにアラスカから移住してきた鉱夫たちも加わって展開されるドラマ。

お金があればなんでもできる、お金がないと暮らせない都市、という設定はいかにもブレヒトらしい。

ブレヒトは、第1次大戦後の社会的、経済的な混乱が続いていたワイマール共和国のベルリンで暮らしていた。

同じ時期に、ブレヒトは代表作の三文オペラも書いている。

ジミー・マホニーという主人公が、処刑される前に、金で買える幸せは、本当の幸せではない、と人々に訴える。

エクサン・プロバンス音楽祭2019の演奏から。

2020年2月8日土曜日

メサジェ:オペレッタ『可愛いミシュ』

フランスの作曲家、アンドレ・メサジェの作品で、1897年にパリで初演されたオペレッタ。

将軍の行方不明になった娘と、その娘を引き取った小さな商店を営む夫婦などをめぐる悲喜劇が繰り広げられる。

フランスのオペレッタの全盛時代の雰囲気が、そのまま詰め込まれた様な、これぞオペレッタという感じ。

アンドレ・メサジェは、9歳年下に当たるドビュッシーからも尊敬されていた作曲家だったが、現在ではあまり演奏される機会には恵まれていない。

2018年5月にフランスのナントにある、グララン劇場での公演。

2020年2月2日日曜日

ヴァインベルク:交響曲第3番

ポーランド生まれのユダヤ人作曲家、ミェチスワフ・ヴァインベルクが1949年に作曲した3番目の交響曲。

ヴァインベルクは、1919年生まれで、ナチスのポーランド進攻を受けてソ連に亡命し、そこで生涯を終えた。

ショスタコビッチらと交流をしていたが、反ユダ人キャンペーンの際は逮捕されるという経験もした。

第1楽章、Allegro。静かな吹奏楽で始まるが、やがて重厚な音楽になっていくが、再び静かに収束していく。

第2楽章、Allegro giocoso。冒頭では、ここでも吹奏楽が大きな役割を果たしている。リズミカルな軽やかな音楽。

第3楽章、Adagio。静かなアダージョ。

第4楽章、Allegro vivace。印象的なフレーズも何度か登場して、壮麗なフィナーレを迎える。



2019年BBCプロムスの演奏から。指揮はミルガ・グラジニーテ=ティーラ、演奏はバーミンガム市交響楽団。

ナッセン:ヤンダー城への道

英国の作曲家、オリバー・ナッセンが作曲した、オーケストラのための音楽。

武満徹とも友人であったというナッセンの音楽は、どこか武満徹の音楽とも似ている様に感じられる。

2019年BBCプロムスの演奏から。指揮はミルガ・グラジニーテ=ティーラ、演奏はバーミンガム市交響楽団。

ハウエル:交響詩『ラミア』

イギリスの女性作曲家、ドロシー・ハウエルの交響詩。

15分ほどの曲だが、交響詩、という名前に相応しく、まさに詩情に溢れている。

幻想的な音楽や、オーケストラを活かしたダイナミックな音楽など、様々な音楽要素が詰まっていて美しい。

2019年BBCプロムスの演奏から。指揮はミルガ・グラジニーテ=ティーラ、演奏はバーミンガム市交響楽団。

ドニゼッティ:オペラ『ドン・パスクヮーレ』

イタリアのガエターノ・ドニゼッティが、1842年に作曲し、1843年に初演されたオペラ。

未亡人を愛する若者が、悪知恵の働く医師の協力で、叔父で金持ちの意思を騙して恋人を結婚させ、その遺産を横取りして、その未亡人とも結婚しようとするが・・・、というオペラブッファ。

ありがちな脚本で、その展開も読めるのに、各場面でハラハラしてしまうのは、や
はりドニゼッティの音楽によることろが大きいのだろう。

フィナーレは、皆んながハッピーエンドになるというお決まりのストーリー。

2013年12月にヴェローナのフィラルモニコ歌劇場での公演から。指揮は、オメール・メイア・ヴェルバー。演奏はアレーナ・ディ・ヴェローナ管弦楽団及び同合唱団。

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーベンが1808年に作曲したピアノ協奏曲。交響曲の第5番、第6番などと同じ時期、いわゆる傑作の森と呼ばれる時期に作曲された。

この後、ベートーヴェンはピアノ協奏曲は作らなかった。

1808年12月にアン・デア・ウィーン劇場で交響曲の第5番、第6番などとともに初演された。これまでの4つの協奏曲では、自ら初演でピアノ演奏を行なったが、この第5番ではベートーヴェンは演奏していない。

第1楽章 Allegro 変ホ長調。

オーケストラのファンファーレの後ですぐにピアノが参加して、壮麗な音楽が展開する。

第2楽章 Adagio un poco mosso ロ長調。

オーケストラの美しい音色のアダージョを、ピアノがさらに心を浄化するような高みに導いていく。

第3楽章 Rondo Allegro - Piu allgero 変ホ長調。

ロンド、というよりは、交響曲の第4楽章といった雰囲気で、壮麗なこの協奏曲のフィナーレに相応しい。

2019年11月、東京オペラシティ・コンサートホールでの演奏から。ピアノと指揮はアンドラーシュ・シフ、オーケストラはカペラ・アンドレア・バルカ。

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番

ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーベンが、1805年から1806年にかけて作曲した4番目のピアノ協奏曲。

初演は1808年12月にウィーンのアン・デア・ウィーン劇場でベートーヴェンの演奏により行われた。

第1楽章 Allegro moderato ト長調。

ピアノのソロで始まるというそれまでのピアノ協奏曲にはない構成。

第2楽章 Andante con moto ホ短調。

第2楽章にしては重々しい始まり方で、第1楽章のような雰囲気。

第3楽章 Rondo Vivace ト長調。

伸びやかな開放的な気分になる音楽。

2019年11月、東京オペラシティ・コンサートホールでの演奏から。ピアノと指揮はアンドラーシュ・シフ、オーケストラはカペラ・アンドレア・バルカ。

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番

ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーベンが、1796年から1803年にかけて3番目に作曲したピアノ協奏曲。

ベートーヴェンにとって、唯一の短調によるピアノ協奏曲になったが、5つのピアノ協奏曲の中でも屈指の名曲。

第1楽章 Allegro con brio ハ短調。

とてもドマチックな始まり方で、ピアノがその音楽を引き継いで、更にそのドラマを展開させていく。

第2楽章 Largo ホ長調。

第1楽章の興奮を覚ますような、天上にいるような静かな音楽。

第3楽章 Molto allegro ハ短調~ハ長調。

リズミカルな主題のメロディがとても印象的。最後は壮麗なフィナーレ。

2019年11月、東京オペラシティ・コンサートホールでの演奏から。ピアノと指揮はアンドラーシュ・シフ、オーケストラはカペラ・アンドレア・バルカ。

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番

ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーベンが、1786年から1795年にかけて作曲したピアノ協奏曲。第1番より先に作曲されていたが、楽譜の出版順序の関係で、第2番となっている。

初演は、1795年にウィーンのブルク劇場でベートーヴェン自らのピアノ演奏で行われた。

第1楽章 Allegro con brio 変ロ長調。

穏やかで、宮廷文化の華やかさを感じさせるような、大人しい音楽。

第2楽章 Adagio 変ホ長調。

終始静かで穏やかなアダージョ。

第3楽章 Rondo, Molto allegro 変ロ長調。

軽やかでリズミカルな音楽。

2019年11月、東京オペラシティ・コンサートホールでの演奏から。ピアノと指揮はアンドラーシュ・シフ、オーケストラはカペラ・アンドレア・バルカ。

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーベンが1795年に完成させたピアノ協奏曲。第2番より後に作曲されたが、こちらの方が楽譜の出版が早かったために第1番となっている。

1795年にウィーンのブルク劇場で初演された。指揮はサリエリが行い、ベートーヴェン自らがピアノ演奏を行った。

第1楽章 Allegro con brio ハ長調。

華やかな壮麗なオーケストラの音楽で始まり、ピアノも静かに登場する。音楽は終始、華やかな雰囲気で展開されてく。

第2楽章 Largo 変イ長調。穏やかな音楽。

第3楽章 Rondo Allegro ハ長調。

軽快なロンド。とても親しみやすい軽やかなメロディが繰り返されていく。

2019年11月、東京オペラシティ・コンサートホールでの演奏から。ピアノと指揮はアンドラーシュ・シフ、オーケストラはカペラ・アンドレア・バルカ。

2020年1月18日土曜日

ベートーヴェン:交響曲第9番

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1824年に作曲した、9番目の、そして最後の交響曲。

この交響曲でも、ベートーヴェンは新しいことに挑戦している。それは、交響曲に合唱を付けるということであり、これは、それまでの交響曲というジャンルの概念を、根本的に変えてしまうほどの大きな変化であった。

ベートーヴェンは、若い頃にシラーの歓喜の詩に大きな感銘を受けて、それをずっと音楽にしたいと考えていたようで、それが晩年になり、この第9番で実現した。

初演は、1824年にウィーンのケルントナートーア劇場で行われた。

第1楽章 Allegro ma non troppo, un poco maestoso ニ短調。

実にドラマチックなテーマで始まり、この交響曲の尋常のなさが予感される。

第2楽章 Molto vivace ニ短調 - Presto ニ長調。

スケルツォだが、第1楽章の基調を引きつぐような印象的なメロディが展開される。

第3楽章 Adagio molto e cantabile 変ロ長調 - Andante moderato ニ長調。

それまでの2つの楽章で張り詰めていた緊張感から一気に解き放たれた、美しい、極上のアダージョ。

続く第4楽章からは、一気に歓喜の歌に雪崩れ込んでいくので、余計にこの楽章の静けさが際立っている。

第4楽章。

これまでの3つの楽章を奏でる管弦楽と、それに反するかのように対応するチェロ、コントラバスとの掛け合い。その後、第4楽章のテーマが提示されて、展開される。 

そして、”このような調べではなく、もっと心地よい音楽を・・・”という有名なフレーズで始まる合唱が始まる。

2010年4月、ウィーン学友協会での演奏から。指揮はクリスティアン・ティーレマン、演奏はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。

2020年1月13日月曜日

ベートーヴェン:交響曲第8番

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1812年に完成させた、8番目の交響曲。

第7番と第9番の間に挟まれて、あまり評価されてこなかった作品だが、第7番と対になっているように感じられる。

この2つの交響曲は、同時に初演されているので、第7番のハイテンションさに対応する、やや気軽に聴ける交響曲を構想したのかもしれない。

第1楽章 Allegro vivace e con brio ヘ長調。

古典的な印象の始まり方。晴れやかなイメージのテーマが終始演奏される。

第2楽章 Allegretto scherzando 変ロ長調。

リズミカルな音楽が展開する。第7番からのリズムに対するベートーヴェンのこだわりが垣間見える。とても短い楽章。

第3楽章 Tempo di Menuetto ヘ長調。

メヌエット。これまた古典的で、宮廷の音楽のようだ。

第4楽章 Allegro vivace ヘ長調。

第1楽章と同様な、アレグロ・ヴィヴィアーチェ。終始華やかな雰囲気でフィナーレを迎える。

2009年11月、ウィーン学友協会での演奏から。指揮はクリスティアン・ティーレマン、演奏はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。

ベートーヴェン:交響曲第7番

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1811年から1812年にかけて作曲した、7番目の交響曲。

初めてこの交響曲を聞いた時から、この第7番を超える交響曲にはまだ出会ったことがない。

4つの楽章の組み合わせ、バランスが実に見事で、パーフェクトな交響曲と言える。

初演は1813年12月、ウィーンでベートーヴェン本人の指揮によって行われた。

第1楽章 Poco Sostenuto-Vivace イ長調。

伸びやかな第1テーマが、この交響曲の基調を提示している。終始、リズミカルに進行されていき、ベートーヴェン特有の同音の連呼も、その基調の中にうまく溶け込んでいる。

第2楽章 Allegretto イ短調。

静かに始まり、次第に哀愁に満ちたメロディーが広がっていく。

第3楽章 Presto, assai meno presto ヘ長調。

2つのシンプルなメロディーが交互に表れていく。一つはリズミカルに、一つはゆっくりと。その対比が実に素晴らしい。

第4楽章 Allegro con brio イ長調。

リズミカルな音楽が終始展開されてそのままフィナーレに至る。

2009年11月、ウィーン学友協会での演奏から。指揮はクリスティアン・ティーレマン、演奏はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。

ベートーヴェン:交響曲第6番『田園』

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1807年から1808年にかけて作曲した、6番目の交響曲。

ベートーヴェンは、この交響曲でも、新たな試みをしている。

5つの楽章で構成されていて、しかも、最後の3つの楽章は切れ目なく演奏されるので、1つの楽章にも思われて、そうなると3つの楽章からなる交響曲となる。

そしてもう一つは、交響曲をいわゆる絶対音楽ではなく、自然を音楽で表現した表題音楽としている点だ。これは特にこの後のロマン派の作曲家達に大きな影響を与えた。

ベートーヴェンは、この曲に唯一、自ら田園という標題をつけており、自らの田舎での生活で目にした光景、そこから感じた音楽を、この交響曲に仕立て上げた。

第1楽章 田舎に到着したときの愉快な感情の目覚め、アレグロ・マ・ノン・トロッポ、ヘ長調。

実に穏やかに始まる音楽。その穏やかさはこの楽章を通じて終始保たれている。

第2楽章 小川のほとりの情景、アンダンテ・モルト・モッソ、変ロ長調。

小川のせせらぎを表現したような音符が楽譜に表されてる。フルート、オーボエ、クラリネットなどが小鳥のさえずりを表現する。

第3楽章 田舎の人々の楽しい集い、アレグロ、ヘ長調。

人々が集まってきて、次第にその声が大きくなっていくような始まり方。

そして、続いて民族音楽のようなメロディになり、ダンスを楽しんでいるようだ。

第4楽章 雷雨・嵐、アレグロ、ヘ短調。

アレグロで表現される突然の嵐の到来。ベートーヴェンらしい激しいダイナミックな音楽。

第5楽章 牧歌 嵐の後の喜ばしい感謝の気持ち、アレグレット、ヘ長調。

ベートーヴェンの自然賛美の感情に満ちた美しい音楽。

2010年4月、ウィーン学友協会での演奏から。指揮はクリスティアン・ティーレマン、演奏はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。

2020年1月12日日曜日

ベートーヴェン:交響曲第5番『運命』

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1808年に完成させた、5番目の交響曲。

運命という副題は、ベートーヴェンが付けたものではない。

作曲は、英雄が完成した後1804年から行われていたが、先に第4番が発表され、さらに第6番と並行して作曲されていた。

とにかく、冒頭の4つの音から構成される主題がこの交響曲を特別なものにしている。

ベートーヴェンの作品のみならず、全てのクラシック音楽の中でも最も有名な音楽で、全ての音楽というジャンルと言い換えてもいいかもしれない。

この出だしの強烈な印象の深さが、交響曲の始まり方のモデルとなり、その後の交響曲には、これと同様のインパクトが期待されるようになった。

ベートーヴェン以降のすべての作曲家は、交響曲を作ろうと決意した時に、常にこの第5番と対峙することが求められる。

1808年12月、ウィーンのアン・デア・ウィーン劇場にて、第6番とともに初演された。その際は、番号が逆で、運命が6番、田園が5番として演奏された。

第1楽章 Allegro con brio ハ短調。

冒頭に提示される主題が、第2主題を圧倒したまま、様々に展開されていく。

第2楽章 Andante con moto 変イ長調。

圧倒的な第1楽章に続いて、熱くなった心を癒してくれるような音楽。

第3楽章 Allegro. atacca ハ短調。

冒頭の主題のような4つの音がスケルツォのテイストで展開されていく。

第4楽章 Allegro - Presto ハ長調。

偉大な交響曲を締めくくるに相応しいフィナーレで始まる。そして、ここでも運命の動機が登場する。

2010年4月、ウィーン学友協会での演奏から。指揮はクリスティアン・ティーレマン、演奏はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。

ベートーヴェン:交響曲第4番

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1806年に作曲した、4番目の交響曲。

英雄と運命という2大交響曲の間に挟まれていて、30分という長さも短い、愛すべき小品。

第1楽章 Adagio - Allegro vivace 変ロ長調。

アダージョで始まるが、やがて爽やかな雰囲気のヴィヴィアーチェな音楽に変わっていく。やや古典的な第1楽章。

第2楽章 Adagio 変ホ長調。あまり感情に流されない、抑制されたアダージョ。

第3楽章 Allegro vivace、Un poco meno Allegro 変ロ長調。

緩急のバランスがよくとれた、躍動感に満ち溢れた音楽。

第4楽章 Allegro ma non troppo 変ロ長調。

テンポのいい、小気味のいい音楽が、2つの主題とともに展開されている。

2009年3月、ウィーン学友協会での演奏から。指揮はクリスティアン・ティーレマン、演奏はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。

ベートーヴェン:交響曲第3番『英雄』

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1804年完成させた、3番目の交響曲。

原題には、”英雄交響曲、ある偉大なる人の思い出に捧ぐ”と書かれており、元はナポレオンに献呈される予定で、ナポレオンが皇帝になったことで失望し、その名前を削ったと言われている。

第1番や第2番が30分ほどの長さだったのに比べて、50分ほどの大曲になっており、その後の交響曲のあり方を決定付けることになった。

第1楽章 Allegro con brio 変ホ長調。

第1番、第2番にあった序奏は、簡単なにまとめられて、いきなり伸びやかな主題が表れる。

ベートーヴェンらしい、執拗に同じ音を繰り返すフレーズが何度も登場する。

第2楽章 Marcia funebre: Adagio assai ハ短調。

Marcia funebre。文字通りの葬送行進曲。人生の哀愁を感じさせる、心に滲み入るようなメロディ。

第3楽章 Scherzo: Allegro vivace 変ホ長調。

第2番の短いスケルツォに比べると、より長くなっており、葬送行進曲の重苦しい雰囲気を打ち破るような、春の訪れを感じさせるヴィヴィーチェ。

ホルンが効果的に使われていて、スイスのような高原の大草原、花畑などを軽やかに走り回っている様子を連想させる。

第4楽章 Finale: Allegro molto 変ホ長調。

壮麗なフィナーレに続いて、10の変奏曲が展開されていく。

2009年3月、ウィーン学友協会での演奏から。指揮はクリスティアン・ティーレマン、演奏はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。

2020年1月11日土曜日

ベートーヴェン:交響曲第2番

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1800年から1803年にかけて作曲した、2番目の交響曲。

この時期、ベートーヴェンは難聴に苦しみられており、10月には有名なハイリゲンシュタットの遺書が書かれている。

しかし、この交響曲の音楽には、そうした苦労は表れているようには聴こえない。

1803年4月5日、ウィーンのアン・デア・ウィーン劇場にて、ピアノ協奏曲第3番などとともに初演された。

第1楽章 Adagio molto - Allegro con brio ニ長調。第1番と同様に、壮麗な音楽で始まる。

序奏部の最後で、第9番の出だしのような、ダイナミックなメロディが登場して驚かされる。このアイデアはすでにこの時点でできていた、ということか。その後、軽快なAllegro con brioとなる。この流れも第1番と同様だ。

この楽章には、その後のベートーヴェンを彷彿させる激しい音楽が展開されており、次の第3番英雄での大きな変化は、それほど唐突ではなかったのではないか、と思わせる。

第2楽章 Larghetto イ長調。静かな美しい旋律。

第3楽章 Scherzo - Allegro ニ長調。時代が少し戻ったような、短いスケルツォ。

第4楽章 Allegro molto ニ長調。印象的なユニークな主題が展開されていく。

2008年12月、ウィーン学友協会での演奏から。指揮はクリスティアン・ティーレマン、演奏はウィーンフィル。

ベートーヴェン:交響曲第1番

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、1799年から1800年にかけて作曲した、最初の交響曲。

ピアニストとして活躍していたベートーヴェンは、当初は演奏用のピアノ曲を中心に作曲していたが、ハイドンの元で弟子をした経験などを経て、次第に室内楽曲を作曲するようになり、ついに交響曲も手掛けるようになった。

それまでの、ハイドンやモーツァルトのような、次々と多彩なテーマで作り上げていくスタイルとは全く異なる、その後の交響曲というジャンルを確立することになったベートーヴェンの新たな挑戦が、この曲から始まった。

1800年4月2日、ウィーンのブルク劇場で、ベートーヴェン自らの指揮によって初演された。

第1楽章 Adagio molto - Allegro con brio。ハ長調。壮麗な出だしの後で、軽快な第1テーマが展開されていく。

第2楽章 Andante cantabile con moto。ヘ長調。古典的な味わいの調べ。

第3楽章 Menuetto, Allegro molto e vivace。ハ長調。メヌエットにしては躍動的な音楽。とても短い楽章。

第4楽章 Adagio - Allegro molto e vivace。ハ長調 。壮麗なファンファーレで始まり、ヴィヴィーチェな音楽が展開する。第1楽章と対になっているようだ。

2008年12月、ウィーン学友協会での演奏から。指揮はクリスティアン・ティーレマン、演奏はウィーンフィル。