2021年12月19日日曜日

ヘンデル:オペラ『アグリッピナ』

ゲオルグ・フリードリッヒ・ヘンデルが、1709年〜1710年のヴェネツィアのカーニバル・シーズン用に作曲したオペラ。

古代ローマの史実に基づいたストーリーで、ネロの母アグリッピナが皇帝クラウディウスをその座から引きずり下ろし、息子を皇帝の地位に付けようと暗躍する。

脚本は枢機卿を務めていたヴィンチェンツォ・グリマーニ。その内容には、ライバルだった教皇クレメンス11世を揶揄する部分も含まれているという。

2020年2月、ニューヨーク・メトロポリタン・オペラでの公演は、舞台を現代に設定し、色仕掛けで政治を動かそうとするアグリッピナの野望がリアルに描かれた。

バロック期の音楽が現代でも十分に受け入れられることをよく表した公演。

指揮はハリー・ビケット、アグリッピナ役にはジョイス・ディドナート。


2021年12月17日金曜日

グラス:オペラ『アクナーテン』

ミニマル・ミュージックの巨匠、フィリップ・グラスによるオペラ。

古代エジプトの新王朝時代の第18王朝において、それまでの多神教を捨てて、アテン一神教を取り入れた王、アクナーテンの生涯が描かれている。

アクナーテンの戴冠式のシーンでは、単調な繰り返しの音楽が延々と続き退屈を感じるが、確かに戴冠式というものは、退屈なものかもしれない。

演出で、ジャグリングが使われているが、グラスのミニマルな音楽にはピッタリと合っているようだ。

アクナーテンのアリアは、まるで中世やバロック期の教会の合唱音楽のように聞こえた。

2019年11月、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場の公演から。指揮はカレン・カレンセック、演出はフェリム・マクダーモット、アクナーテン役はアンソニー・ロス・コスタンゾ。


ハイドン:ピアノ三重奏曲第16番

フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが、1789年から1790年ごろに作曲した、16番目の三重奏曲。

第1楽章。親しみのある、軽快な音楽。

第2楽章。落ち着きのある音楽。

第3楽章。再び軽快な音楽でフィナーレ。

2019年朝日ホールでの演奏。アンサンブル・ディアーロギ。ハープシコード、ファゴット、クラリネットという組み合わせで演奏された。


バーバー:オペラ『ヴァネッサ』

アメリカの20世紀の作曲家サミュエル・バーバーが、1957年にニューヨークのメトロポリタン・オペラで初戦されたオペラ。

初演の成功は大ヒットして、ピューリッツァー賞を受賞しているが、ヨーロッパでの評判は今ひとつだった。

脚本は、バーバーのパートナーだったジャン・カルロ・メノッティによるもので、主人公のヴァネッサを中心とした複雑な三角関係の愛憎劇。

20世紀の音楽家ながら、イタリアに留学して伝統的な音楽を学び、最後の新ロマン主義の音楽家といえるバーバー。モダンな趣の音楽も時折聞こえてくる。

2018年のクライドボーン音楽祭の公演から。指揮はクブ・フルシャ、ヴァネッサ役にはエマ・ベル。


マーラー:ピアノ四重奏曲

マーラーが16歳の時に作曲したマーラー唯一の室内楽曲。

当時、マーラーはウィーン音楽院の学生だった。

しかし完成されたのは第1楽章のみで、他にはいくつかの断片が残されている。

ブラームスの室内楽のような、静かだが重厚な音楽で始まる。

後年のマーラーを連想させる、ダイナミックでエキセントリックな展開もある。

2019年7月、京都コンサートホールでのノトス・カルテットによる演奏。


バルトーク:ピアノ四重奏曲

バルトークが17歳の時に作曲し、長らく楽譜が行方不明になっていたピアノ四重奏曲。

作曲された1898年の前年にはブラームスが亡くなっており、この曲もブラームスの影響が強く現れた曲になっている。

第1楽章、重厚なブラームスのような音楽。

第2楽章、リズミカルな軽快な音楽で一息つくイメージ。

第3楽章、情感に溢れたメロディで始まる。その後は、伸びやかでいかにも室内楽といった感じの音楽へ。

第4楽章、緊張感に溢れた音楽で、フィナーレも劇的。

2019年7月、京都コンサートホールでのノトス・カルテットによる演奏。


2021年12月11日土曜日

メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第1番

フェリックス・メンデルスゾーンが1829年に作曲した弦楽四重奏曲。

番号は1番になっているが、第2番の方が最初に作曲された。

第1楽章、アダージョ・ノン・トロッポ - アレグロ・ノン・タルダンテ。静かで内省的な音楽で、伝統的な弦楽四重奏曲といった感じ。

第2楽章、カンツォネッタ: アレグレット。リズミカルで印象的なフレーズで始まる。

第3楽章、アンダンテ・エスプレッシーヴォ。伸びやかな優雅な音楽。

第4楽章、モルト・アレグロ・エ・ヴィヴァーチェ。緊張感に溢れた音楽で、最後は静かに消え入るように終わる。

全く異なる印象の4つの楽章が、見事に1つに溶け合っている弦楽四重奏曲。

2019年4月、王子ホールでのキアロスクーロ弦楽四重奏団の演奏。


グラス:弦楽四重奏曲『カンパニー』

フィリップ・グラスが1984年に作曲した2番目の弦楽四重奏曲。

4つの楽章から構成されている。

どの楽章の音楽もシンプルで、いわゆるミニマル・ミュージックな弦楽四重奏曲。

2019年3月、上野学園 石橋メモリアルホールでのヴェリタス弦楽四重奏団による演奏。


ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲 第7番

ショスタコーヴィチが、1960年に作曲した7番目の弦楽四重奏曲。

15あるショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲の中では最も短い曲だが、1954年に亡くなった妻ニーナに捧げられた曲で、ショスタコーヴィチにとっては最も愛着のあった弦楽四重奏曲であったという。

第1楽章、アレグロ。ヴァイオリンが奏でる奇妙なメロディに導かれていく。

第2楽章、レント。静かな音楽。

第3楽章、アレグロ、アレグレット、アダージョ。ようやくショスタコーヴィチらしくなる。ニーナが怒っているのか、あるいは夫婦喧嘩の場面を表現したのか。

陰鬱な音楽とエキセントリックな音楽が同居している、不思議な弦楽四重奏曲。

2019年3月、上野学園 石橋メモリアルホールでのヴェリタス弦楽四重奏団による演奏。


2021年11月20日土曜日

ハイドン:交響曲98番

フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが、ロンドン滞在中の1972年に作曲した交響曲。いわゆるロンドン交響曲の1つ。

ハイドンによるこの交響曲の自筆楽譜を、かつてはベートーヴェンが所有していたという。

第1楽章 アダージョ - アレグロ。短いアダージョの後、すぐにアレグロへ。

第2楽章 アダージョ。

第3楽章 メヌエット:アレグロ - トリオ。リズミカルなメヌエット。

第4楽章 フィナーレ:プレスト。軽快なフィナーレ。

2021年9月、サントリーホールで行われた、鈴木秀美の指揮によるNHK交響楽団の演奏。


バッハ:組曲 第3番

バッハが作曲した管弦楽のための組曲。4つの組曲が残されている。

序曲。いかにもバロックの音楽といった華やかな音楽。

エール(アリア)。後にヴァイオリン用に編曲されてG線上のアリアとなった名曲。

ガヴォット。ゆっくりしたテンポの晴れやかな曲。

ブーレ。リズミカルなテンポの曲。

シーグ。フィナーレにふs

2021年9月、サントリーホールで行われた、鈴木秀美の指揮によるNHK交響楽団の演奏。


2021年10月23日土曜日

ウェーバー:オペラ『魔笛の射手』

ドイツ、リューベックの近郊で生まれたカール・マリア・フォン・ウェーバーが作曲し、1821年にベルリンで初演された3幕物のオペラ。

ボヘミア地方の森を舞台したストリーで、意のままに命中させることができる銃の弾というドイツの民話がもとになっている。

7発の弾のうち、6発は自分の思うところに命中させることができるが、残りの1発は悪魔の意図で飛んでいくという部分が、このオペラのストーリーに上手く活かされている。

モーツァルトの妻コンスタンツェは、ウェーバーの親戚にあたり、ウェーバーはモーツァルトの後を継いでドイツ・オペラを発展させて、その後のドイツ・ロマン派のオペラを確立し、ワーグナーにも大きな影響を与えた。

イタリア・オペラと違って、歌だけではなくセリフでもストーリーが展開する。

とりわけ、序曲の伸びやかなメロディが有名だ。

2021年6月、ベルリン・コンツェルトハウスでの公演。指揮はクリストフ・エッシェンバッハ。


2021年9月19日日曜日

プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第1番

プロコフィエフが、1938年から1946年にかけて作曲した、ヴァイオリン・ソナタ。

第2次世界大戦中の、当時の暗い時代の雰囲気が色濃く反映されていると言われるソナタ。

第1楽章、Andante assai。陰鬱で暗い音楽。プロコフィエフ自身が、”墓場を抜ける風”と呼んだ音楽。

第2楽章、Allegro brusco。ドアをノックするような激しい連音が、主題として使われている。

第3楽章、Andante。ピアノの不思議なメロディで始まる。幻想的な音楽。

第4楽章、Allegrissimo - Andante assai, come prima。ようやく普通のソナタに戻ったなと思ったら・・・。第1楽章の主題が再び繰り返される。

プロコフィエフらしさが詰まった、珠玉の一曲。

2021年6月、島根県川本町の悠邑ふるさと会館での演奏から。ヴァイオリンは服部百音、ピアノは亀井聖矢。


ブラームス:ヴィオラ・ソナタ第1番

ヨハネス・ブラームスは、1894年にクラリネット用にソナタを2曲作曲したが、翌年にヴィオラ用にも編曲している。

第1楽章 アレグロ・アパッショナート。重厚なブラームスらしい音楽。

第2楽章 アンダンテ・ウン・ポコ・アダージョ。美しいアダージョ。

第3楽章 アレグレット・グラツィオーソ。

第3楽章 ヴィヴィアーチェ。華やかなフィナーレ。

2021年6月、東京、銀座の王子ホールでの演奏から。ヴィオラはティモシー・リダウト、ピアノは加藤洋之。


2021年8月21日土曜日

バツェヴィチ:弦楽四重奏曲 第4番

ポーランドの女性作曲家でヴァイオリニストでもあった、グラジナ・バツェヴィチが1951年に作曲した4番目の弦楽四重奏曲。

バツェヴィチの父親は、リトアニア人の音楽家だった。

第1楽章、不安にみちながらも、快活さを感じる不思議な音楽。

第2楽章、静かな音楽だが、第1楽章と貴重は変わらない。

第3楽章、スケルツォのような軽快な音楽。

第4楽章、やや唐突なフィナーレ。

2019年10月、武蔵野市民文化会館小ホールでのヴィジョン弦楽四重奏団による演奏。


ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第12番『アメリカ』

チェコ人のアントニーン・レオポルト・ドヴォルザークが、アメリカ滞在中の1893年に作曲した、12番目の弦楽四重奏曲。

交響曲第9番『新世界』を書き上げた後に作曲されて、全体の雰囲気がよく似ている。

第1楽章、Allegro ma non troppo。ドヴォルザークらしい、伸びやかな音楽。

第2楽章、Lento。黒人霊歌とボヘミア民謡が使われていて、哀愁に満ちた音楽。

第3楽章、Molto vivace。ドヴォルザークが耳にした鳥のさえずりが主題として使われている。

第4楽章、Vivace ma non troppo。華やかな雰囲気の音楽。

2019年9月、武蔵野市民文化会館小ホールでのタカーチ弦楽四重奏団による演奏。


2021年7月31日土曜日

ヴォジーシェク:交響曲

ヤン・ヴァーツラフ・ヴォジーシェクが作曲した唯一の交響曲。

ヴォジーシェクは1791年にチェコで生まれ、その後ウィーンにおいて活躍したが、1825年に34才の若さで亡くなってしまった。

ウィーン学友協会の会員であり、宮廷オルガン奏者にも選ばれて、ベートーヴェンとも交友関係にあったという。

第1楽章。モーツァルトのような音楽。

第2楽章。静かな音楽。

第3楽章。ベートーヴェンのような音楽。

第4楽章。この楽章は、ヴォジーシェクのオリジナリティが感じられる。

2020年9月、ライプチヒのゲヴァントハウスでの演奏から。指揮はヘルベルト・ブロムシュテット、管弦楽はライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団。


2021年7月22日木曜日

ルトスワフスキ:弦楽四重奏曲

ポーランド出身のヴィトルト・ルトスワフスキが、1964年に作曲した弦楽四重奏曲。

各パートが独立していて、自由なテンポで演奏することが、ルトスワフスキによって指定されているというユニークな弦楽四重奏曲。

第1楽章。ゆったりとした音楽。

第2楽章。ピチカートが多用される。心を不安にさせるような、不協和音のような音楽。

第3楽章。静かな音楽だが、相変わらず不安な印象を与える音楽が続く。

モダンな雰囲気の中に、伝統的なクラシカルな要素も感じられる。

2019年9月、第一生命ホールでのアマリリス弦楽四重奏団による演奏。


ハイドン:弦楽四重奏曲第77番

フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが1797年に作曲した、77番目の弦楽四重奏曲。

当時、オーストリアはフランスのナポレオンの侵略に苦しんでいて、ハイドンは故国のオーストリアを鼓舞する気持ちでこの曲を作曲したと言われている。

第1楽章、Allegro。GEFDCという始まりだが、これは、Gott erhalte Franz den Kaiserを意味しているという。晴れやかイメージの音楽。

第2楽章、Poco Adagio. Cantabile。オーストラの祝歌とその変奏曲。ゆったりとした静かな音楽。

第3楽章、Menuetto。軽やかなメヌエット。

第4楽章、Finale. Presto。華やかなフィナーレ。

2019年10月、武蔵野市民文化会館小ホールにおける、ヴィジョン弦楽四重奏団の演奏から。


2021年7月17日土曜日

チャイコフスキー:組曲第3番

チャイコフスキーが1884年に作曲した、管弦楽用の組曲。

第1曲、エレジー。表題のような抒情的な音楽。

第2曲、優雅なワルツ。チャイコフスキー得意のワルツ。

第3曲、スケルツォ。軽快なスケルツォ。

第4曲、主題と変奏曲。主題と12の変奏曲から構成されている。チャイコフスキーの様々な音楽要素が散りばめられていて、楽しい。

2021年6月、ベルリンのフィルハーモニーで行われた、ベルリンフィル・ヨーロッパ・コンサートから。新型コロナの影響で、予定されていたバルセロナで開催できず、急遽フィルハーモニーのホワイエで開催された。


ピアソラ:バンドネオン協奏曲「アコンカグア」

アルゼンチン出身のアストル・ピアトラによる、バンドネオンとオーケストラのための協奏曲。

アコンカグアとは、アルゼンチンとチリの国境にまたがる南米最高峰の山の名前。この曲に対するピアソラの想いがうかがえる。

第1楽章、いかにもピアソラの音楽といった感じのタンゴ。

第2楽章、一転して哀愁のある静かな音楽。バンドワゴンの演奏に続いて、オーケストラの様々な楽器がその哀愁のあるメロディを引き継いでいく。

第3楽章、フィナーレにふさわしいリズミカルでダイナミックな音楽。

2021年5月、東京、池袋の東京芸術劇場での公演から。バンドネオンは三浦 一馬、原田 慶太楼の指揮によるNHK交響楽団の演奏。


ヒナステラ:協奏的変奏曲

アルゼンチン生まれの作曲家、アルベルト・エバリスト・ヒナステラが1953年に作曲した、オーケストラのための変奏曲。 

ピアソラは、このヒナステラの元で音楽を学んでいた。

冒頭のチェロとハープによる主題に続いて、様々な楽器や曲調の変奏曲が演奏されていく。

I. チェロとハープによる主題。

II. 管楽器の間奏曲。

III. フルートによる愉快な変奏曲。

IV. クラリネットによるスケルツォの変奏曲。

V. ビオラによる劇的な変奏曲。

VI. オーボエとファゴットによるカノンの変奏曲。

VII. トランペットとトロンボーンによるリズム的変奏曲。

VIII. バイオリンの常動的な演奏曲。

IX. ホルンによる田園風変奏曲

X. 管弦器の間奏曲

XI.コントラバスによる主題の再現

XII. オーケストラによるロンドのフィナーレ。

2021年5月、東京、池袋の東京芸術劇場での公演。原田 慶太楼の指揮によるNHK交響楽団の演奏。


2021年6月6日日曜日

リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調

フランツ・リストが、1852年から1853年にかけて作曲したピアノ・ソナタ。

1つの楽章しかないが、4つのパートから構成されると考えられている。

冒頭から、いきなりドラマチックでダイナミックな音楽で、聴く者をこのピアノ・ソナタの世界に引き込んでしまう。

フィナーレは、静かに消え入るように終わる。

発表当初は、”目的もない騒音”などと酷評されることもあったという。

2019年6月、北海道中標津町総合文化会館での演奏。ピアノは金子三勇士。


ベートーヴェン:ディアベルリ変奏曲

ベートーヴェンは、1819年にディアベルリから自らの主題についての変奏曲を依頼されたが、しばらくは興味を抱いていなかった。

しかし、1822年になって取り組み始め、1823年に33曲の壮大な変奏曲を完成させた。

ベートーヴェンは、この曲において、主題の要素がほぼなくなってしまうほどの多様な変奏曲世界を作り上げた。

”不滅の恋人”とされている、アントニー・ブレンターノに献呈された。

2019年6月、すみだトリフォニーホール 小ホールで行われた、ベンジャミン・フリス ピアノ・リサイタル公演から。


ベルク:ピアノ・ソナタ

アルバン・ベルクが1908年、23歳の時に作曲した、唯一のピアノ・ソナタ。

単一の楽章から構成されている。冒頭の主題が展開されて、再現部に戻るという伝統的なスタイルをとっているが、奏でられる音楽は前衛的だ。

2021年5月に武蔵野市民文化会館小ホールで行われた、北村朋幹 ピアノ・リサイタルの演奏から。


バルトーク:ヴァイオリン・ソナタ第1番

バルトーク・ベーラが、1921年に作曲した最初のヴァイオリン・ソナタ。

バルトーク自身が、非常に難しい曲で、一流のヴァイオリニストしか弾くことができないだろう、と述べたという大作。

第1楽章、Allegro appassionato。ピアノの美しい音色が、まるで別な世界に誘うように始まる。その後は、ヴァイオリンの激しい音楽に。

第2楽章、Adagio。バルトークらしい、曖昧な音楽がダラダラと続く。

第3楽章、Allegro-Allegro molto。再び、ピアノが恐ろしい音楽が奏でられることを最初に告げる。

2020年12月、浜松アクトシティーホールでの演奏から。ピアノはヴィキンガー・オラフソン、ヴァイオリンは庄司紗矢香。



シューベルト:ピアノ三重奏曲第2番

フランツ・シューベルトが、1827年に作曲した、2番目のピアノ三重奏曲。

ウィーンの学友協会ホールで演奏されて、好評を博したと言われている。

第1楽章、アレグロ。親しみやすいメロディー。

第2楽章、アンダンテ・コン・モート。ピアノによるロマンチックな音で始まる。続いての、3つの楽器の印象的な掛け合いが楽しい。

第3楽章、スケルツァンド、アレグロ・モデラート

第4楽章、アレグロ・モデラート。チェロの奏でるメロディーが実に印象的で美しい。

2018年4月、武蔵野市民文化会館小ホールで行われた演奏から。バイオリンはジェローム・アコカ、チェロはクリストフ・コワン、フォルテピアノは金子陽子。


2021年5月16日日曜日

モーツァルト:オペラ『偽の女庭師』

モーツァルトが、バイエルン選帝侯マクシミリアン3世からの依頼で、1774年に作曲した3幕物のオペラ。モーツァルトはこの時まだ18歳だった。

代官の家で女庭師と偽って働いている公爵令嬢を中心に、3組のカップルが繰り広げる恋愛コメディ。

最後はお決まりのハッピーエンド。たわいもないストーリーだが、若きモーツァルトの音楽がとにかく美しい。

2018年10月、ミラノのスカラ座での公演から。テノールの代官に、クレシミル・シュピツェル。ソプラノのサンドリーナには、ジュリー・マルタン・デュ・テイユ。指揮はディエゴ・ファソリス。


シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲

 ポーランド生まれの作曲家、シマノフスキが1916年に作曲したヴァイオリン協奏曲。

一つの楽章しかないが、3つのパートで構成される。

幻想的なヴァイオリンの調べで始まる。次第にダイナミックに展開していく。

フィナーレは消え入るように終わる。

2021年1月、東京芸術劇場コンサートホールでのNHK交響楽団の公演から。ヴァイオリンはイザベル・ファウスト。指揮は熊倉優。


スクリャービン:プロメテ - 火の詩

スクリャービンが1910年に完成させた、最後の交響曲的作品。ピアノ協奏曲と言ってもいいかもしれない。

人類に火をもたらしたプロメテウスを讃える音楽作品。

神智学の思想をもとに、スクリャービンが生み出した神秘和音が用いられている。

単一の楽章で切れ目なく演奏される。

クライマックスで合唱が始まると神秘的な世界観がより強調される。

スクリャービンは、ピアノの演奏に合わせて照明によって色が表れる演出を構想していた。

2020年1月、コンセルトヘボウでの演奏。指揮はアンドリス・ネルソンス。


2021年5月8日土曜日

ドビュッシー:フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ

ドビュッシーが最晩年に構想した6つのソナタのうちの一つ。この曲は2番目の曲として1915年に完成された。

ドビュッシーは、次のヴァイオリン・ソナタを1917年に作曲した後、1918年に亡くなってしまった。

第1楽章、牧歌 Pastorale。フロートのハープの音色がとても良く活かされている。

第2楽章、間奏曲 Interlude。静かな間奏曲。

第3楽章、終曲 Finale。ここではヴィオラの低音がとても主張している。

2018年11月、横浜のフィリアホールで行われたドビュッシー没後100周年記念コンサートの演奏から。

ドビュッシー:ピアノ三重奏曲

ドビュッシーが18歳の時に作曲した、ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための三重奏曲。

第1楽章、Andantino con moto allegro。

第2楽章、Scherzo: Moderato con allegro。

第3楽章、Andante espressivo。

第4楽章、Finale: Appassionato。

初期の作品で、まだドビュッシーらしさはないと言われるが、ドビュッシー作に拘らず、三重奏曲として聴けば、聞き応えがある。

静かな調子で始まり、徐々に盛り上がりをみせていく構成が面白い。

2018年11月、横浜のフィリアホールで行われたドビュッシー没後100周年記念コンサートの演奏から。


2021年4月25日日曜日

シューベルト:ピアノソナタ第15番

シューベルトが1824年に作曲した15番目のピアノソナタ。

4つの楽章から構成されているが、第3楽章と第4楽章は未完のまま残された。第16番からは全て完成作品となっている。

シューマンによって発見された時に、最後の作品と勘違いされて、レリーク(遺作)という愛称で呼ばれている。

第1楽章、モデラート。

第2楽章、アンダンテ。

第3楽章、メヌエット、トリオ。

第4楽章、アレグロ。

全体的に、クラシカルな印象のピアノ・ソナタ。

2021年のザルツブルグ音楽祭での演奏から。演奏はアンドラーシュ・シフ。


ブラームス:ピアノ・ソナタ第3番

ヨハネス・ブラームスが1854年に作曲した最後のピアノ・ソナタ。まだブラームスはわずか20歳だった。

第1楽章、アレグロ・マエストーソ。とてもピアノ・ソナタとは思えないドラマチックな始まり方。フィナーレも、協奏曲のよう。

第2楽章、アンダンテ・エスプレッシーヴォ―アンダンテ・モルト。一転して静かな音楽。

第3楽章、アレグロ・エネルジコ―「トリオ」。伝統的で重厚なスケルツォ。

第4楽章、アンダンテ・モルト。静かな間奏曲。

第5楽章、アレグロ・モデラート・マ・ルバート。落ち着いたフィナーレ。

2020年11月、東京オペラシティで行われた、小菅優のピアノリサイタルから。





2021年4月24日土曜日

ヤナーチェク:1905年10月1日

レオシュ・ヤナーチェクが作曲し、1906年に初演されたピアノ曲。

1905年10月1日にチェコのブルノで行われた、チェコ語の大学創設を求めるデモにおいて、学生を支持していた一人の労働者が巻き込まれて死亡した事件を知ったヤナーチェクが作曲した。

当初は、3つの楽章から構成されていたが、本人がこの楽章を破棄してしまった。

後に、ヤナーチェクは全ての楽章を破棄してしまったが、写しが残されていたことから、今日でも演奏されている。

予感 Předtucha。

死 Smrt 。

いずれも変ホ長調。暗い印象の音楽。所々で、激しさや、悲しさを感じる。

2021年のザルツブルグ音楽祭での演奏から。演奏は、アンドラーシュ・シフ。


ショパン:ピアノソナタ第3番

ショパンが1844年に、ジョルジュ・サンドの家で作曲した3番目の、最後のピアノソナタ。

第1楽章、アレグロ・マエストーソ。第1主題の後に現れる第2主題の哀愁に満ちた音楽がとにかく美しい。

第2楽章、スケルツォ:モルト・ヴィヴァーチェ。とても短い楽章。

第3楽章、ラルゴ。内省的な音楽。

第4楽章、フィナーレ:プレスト・マ・ノン・タント。一度聴いたら、忘れられないような印象的なメロディで始まる。

2021年2月、愛知県立芸術大学室内楽ホールでの演奏から。ピアノはイリーナ・チュコフスカヤ。



2021年3月21日日曜日

シューベルト:バイオリンとピアノのためのソナチネ第1番

フランツ・シューベルトが、1816年に作曲したバイオリンとピアノのための3つの曲の1つ。

シューベルト自身は、ヴァイオリン・ソナタと考えていたが、その死後、シューベルトの作品を出版した人々によって、その規模がもモーツァルトやベートーヴェンらと比べると小規模であるとして、ソナチネとして出版された。

第1楽章、アレグロ・モルト。ニ長調。

第2楽章。アンダンテ。イ長調。

第3楽章、アレグロ・ヴィヴィアーチェ。ニ長調。

2021年2月白寿ホールでの演奏から。ヴァイオリンは小林美恵。

シューベルト:4つの即興曲(D.935)

フランツ・シューベルトが最晩年の1827年頃に作曲したピアノのための音楽。

シューベルト音楽の魅力が凝縮されているような珠玉の名作。

第1曲、アレグロ。ヘ短調。短調ながら軽やかに進んでいく音楽。

第2曲、アレグレット。変イ長調。内省に満ちた音楽。シューベルトを代表する音楽の一つ。

第3曲、アンダンテ。変ロ長調。変奏曲。何ともいえない穏やかな雰囲気に包まれた音楽。

第4曲、アレグロ・スケルツァンド。ヘ短調。それまでの内省的な感情から解き放たれたような軽快な音楽。

2020年8月、ザルツブルグ音楽祭の演奏から。アンドラーシュ・シフの演奏。


ヴィエニャフスキ:華麗なるポロネーズ 第1番

ポーランド生まれの作曲家、ヘンリク・ヴィエニャフスキが作曲した、ヴァイオリンとピアノのための小品。

ヴィエニャフスキはユダヤ人の家庭に生まれたが、父の代にカトリックに改宗した。

ヴィエニャフスキはヴァイオリニストでもあったので、短い中にも高度な演奏テクニックが要求される。

ポロネーゼだが、スラヴ舞踏曲のような趣にも溢れている。

ジョシュア・ベルの家庭での演奏から。


2021年3月20日土曜日

モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第17番

モーツァルトが1778年に作曲した、17番目のヴァイオリン・ソナタ。

当時モーツァルトはマンハイムを旅行中で、滞在場所を提供してくれた家族に感謝して、その娘テレーゼに捧げられている。

第1楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ。明るい気分に満ち溢れている音楽。

第2楽章 アンダンテ・ソステヌート。ゆったりとしてかつ伸びやかな音楽。

第3楽章 ロンドー:アレグロ。軽やかな音楽。

2021年2月、ハクジュホールでの演奏から。ヴァイオリンは米元響子、ピアノは大須賀恵里。


2021年3月13日土曜日

シューベルト:弦楽四重奏曲第14番

シューベルトが1824年に作曲した、14番目の弦楽四重奏曲。

第2楽章に、自らの歌曲『死と乙女』のフレーズが使われていることから、その名前でも呼ばれる。

全ての曲が短調で書かれている珍しい構成で、すでに自分の死を意識していたからではないか、とも言われている。

第1楽章、アレグロ。衝撃的な始まり方。数ある弦楽四重奏曲の中でも、屈指のメロディ。

第2楽章、アンダンテ・コン・モルト。静かな音楽で始まるが、その後、様々な曲調に展開していく。

第3楽章、スケルツォ:アレグロ・モルト。シリアスなスケルツォ。

第4楽章、プレスト。切迫したような緊張感が持続したままフィナーレを迎える。

2021年2月、紀尾井ホールでの演奏から。エール弦楽四重奏団による演奏。


メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第6番

フェリックス・メンデルスゾーンが、1847年に作曲した最後の弦楽四重奏曲。

姉のファニーがこの年の5月に亡くなり、悲しみに暮れたメンデルスゾーンがその2ヶ月後にこの曲に着手した。

そのためか、メンデルスゾーンの曲の中では、とりわけ悲劇的な印象の曲になっている。

メンデルスゾーン自身も、同じ年の11月4日に亡くなっている。

第1楽章、アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイ。劇的な音楽で始まる。

第2楽章、アレグロ・アッサイ。第1楽章の熱情がこの楽章にも引き継がれている。

第3楽章、アダージョ。悲しげなアダージョ。

第4楽章、フィナーレ、アレグロ・モルト。再び、激しい熱情の音楽。

2019年2月、紀尾井ホールでの演奏から。演奏はベルチャ四重奏団。


モーツァルト:弦楽四重奏曲第22番

モーツァルトが1790年に作曲した、22番目の弦楽四重奏曲。

プロイセン王のフリードリッヒ・ウィルヘルム2世のために作曲したと言われる曲。

チェロが得意だったという王のために、チェロの役割が大きくなっている。 

第1楽章、アレグロ。伸びやかで、華やかなイメージの音楽。

第2楽章、ラルゲット。

第3楽章、メヌエット、モデラート。

第4楽章、アレグロ・アッサイ。様々な印象の音楽が奏でられた後、上品にフィナーレが訪れる。

2019年2月、紀尾井ホールでの演奏から。演奏はベルチャ四重奏団。


バッハ:ヴァイオリン・ソナタ第5番

バッハが1717年から1723年にかけて作曲した、元はヴァイオリンとチェンバロのためのソナタの第5番。全部で6曲が作曲された。

第1楽章、ラルゴ。宗教音楽のよう。心の底が洗われていくような音楽。

第2楽章、アレグロ。曲調は変わるが、宗教性は失われていない。

第3楽章、アダージョ。短調な音楽が繰り返されるが、決して飽きさなどは感じない。

第4楽章、ヴィヴィアーチェ。全体の基調は最後まで変わらない。バッハがこの音楽で何をしようとしたのかが、よく感じられてくる。

2020年12月、浜松アクトシティ中ホールでの演奏から。ヴァイオリンは庄司紗矢香、ピアノはヴィキンガー・オラフソン。


コダーイ:ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲

コダーイ・ゾルターンが1914年に作曲した、ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲。

当時、コダーイはパリから戻り、ハンガリー各地の民俗音楽を収集していた。この曲にはその成果が表れている。

第1楽章、Allegro serioso, non troppo。静かに始まるが、次第に激しく情熱的な音楽に変わっていく。

第2楽章、Adagio。チェロの重厚なアダージョで始まり、ヴァイオリンがそれに続く。しかしすぐ再び情熱的な音楽へ。最後は幻想的な雰囲気になっていく。

第3楽章、Maestoso e largamente, ma non troppo lento - Presto。これまでと同じような基調のまま曲が進み、フィナーレに。

2018年12月、武蔵野市民文化会館小ホールでの演奏から。ヴァイオリンは青木尚佳、チェロはウェン・シン・ヤン。

イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第4番

ベルギーのヴァイオリニスト、ウジェーヌ・イザイが1924年に完成させた6つの無伴奏ヴァイオリンソナタの1つ。 

それぞれの曲が有名なヴァイオリニストに捧げられており、この第4番はフリッツ・クライスラーに献呈されている。

第1楽章、アルマンド。緊張感がありつつも、哀愁に満ちたメロディー。

第2楽章、サラバンド。ピチカートで始まる。

第3楽章、フィナーレ。スピーディーな展開のままフィナーレを迎える。

2018年12月、武蔵野市民文化会館小ホールでの演奏から。ヴァイオリンは青木尚佳、チェロはウェン・シン・ヤン。

2021年3月6日土曜日

ベルワルド:交響曲第4番

スウェーデンの作曲家、ベルワルドの最後の交響曲。

音楽系の家庭に生まれたが、音楽だけでは生活できず、整形外科や工場のマネージャーなどを務めながら作曲を続けたというユニークな経歴を持っている。

第1楽章 Allegro risoluto。明るくやや忙しげな音楽。

第2楽章 Adagio。ゆるやか印象の音楽。

第3楽章 Scherzo: Allegro molto - Trio。少し激しさはあるが、やはり明るい音楽。

第4楽章 Finale: Allegro vivace - Più mosso - Animato。それまでの穏やかさが打って変わって、壮麗なフィナーレ。

2020年10月、東京芸術劇場で行われた公演から。指揮は鈴木雅明、演奏はNHK交響楽団。


シューベルト:交響曲第2番

フランツ・シューベルトが1814年から1815年にかけて作曲した2番目の交響曲。完成した時、シューベルトはまだわずか18歳だった。

モーツァルトやベートーヴェンを思わせる音楽が含まれているという。

第1楽章、Largo - Allegro vivace若々しい晴れやかな音楽。

第2楽章、Andante。これぞ、アンダンテ、という感じの音楽。

第3楽章、Menuetto. Allegro vivace。短調のメヌエット。短いながら、とても印象的な音楽。

第4楽書、Presto vivace。第1楽章のようなフレッシュな音楽とフィナーレ。

2020年10月、サントリーホールでの公演から。指揮は鈴木雅明、演奏はNHK交響楽団。

ショパン:ピアノソナタ第2番

フレデリック・ショパンが1839年に作曲した、2番目のピアノ・ソナタ。

ショパンの3つのピアノソナタの中でも、最も完成度の高い作品といわれる。

伝統的なスタイルのソナタではなく、ショパンらしい独創的な構成になっている。

第1楽章、グラーヴェ - ドッピオ・モヴィメント。ドラマチックで激しい音楽。

第2楽章、スケルツォ。第1楽章の曲調を引きずって始まるが、次第に落ち着いたトーンに変化していく。しかしその後また激しい音楽に変化していく。実に目まぐるしい構成。

第3楽章、葬送行進曲、レント。あまりにも有名な音楽。

第4楽章、フィナーレ、ブレスト。短いエピローグのような楽章。

2019年6月 神奈川県立音楽堂での公演から。ピアノは牛牛(ニュウニュウ)。






プロコフィエフ:フルートソナタ

プロコフィエフが、1942年から1943年にかけて作曲した、フルートのためのソナタ。

後に、フルート部分をヴァイオリンに変えて、ヴァイオリン・ソナタも作られている。

フルートの持っている様々な特徴が、各楽章によって見事に引き出されている。フルートソナタの中でも屈指の名曲の一つ。

第1楽章、モデラート。不協和音のような、幻想的な不思議なメロディが印象的。

第2楽章、ブレスト。目まぐるしい音楽。

第3楽章、アンダンテ。再び、幻想的な、瞑想を感じさせる音楽。短い楽章。

第4楽章、アレグロ・コン・ブリオ。プロコフィエフらしい、モダンでユニークなメロディ。

2020年12月、大阪シビックホールでの演奏から。フルートは上野星矢、ピアノは岡田奏。


プロコフィエフ:ピアノソナタ第8番

セルゲイ・プロコフィエフが、1934年から1944年にかけて作曲した、3つの戦争ソナタの最後の曲。

第1楽章、アンダンテ・ドルチェ-アレグロ・モデラート-アンダンテ-アンダンテ・ドルチェ・コメ・プリマ-アレグロ。

このピアノソナタ全体のおよそ半分を締め、様々な基調のアンダンテとアレグロが交互に展開する。

とりわけ、最後のアレグロが唐突だが、衝撃的で、とても印象に残る。

第2楽章、アンダンテ・ソニャンド。ソニャンド、夢見るように。静かだが不安定な感じのする音楽。

第3楽章、ヴィヴァーチェ-アレグロ・ベン・マルカート-アンダンティーノ-ヴィヴァーチェ。

第1楽章のように、再び、様々な音楽が詰め込まれる。無機質な機械的な音楽と、ダイナミックな音楽のマリアージュが実に美しい。

そして最後は、エクセントリックなフィナーレを迎える。

2020年11月、武蔵野市民文化会館大ホールでの演奏。ピアノはアンドレイ・ガヴリーロフ。


マーラー:さすらう若者の歌

グスタフ・マーラーが、1884年から1885年にかけて作曲し、その後、1896年に大幅に改訂された歌曲集。マーラーが自ら歌詞も書いている。

第1曲「恋人の婚礼の時」。

第2曲「朝の野を歩けば」。このメロディーは、交響曲第1番の第1楽章にも転用されている。

第3曲「僕の胸の中には燃える剣が」。

第4曲「恋人の青い瞳」。こちらも交響曲第1番の第3楽章に転用されている。

歌曲ながら、その1部が交響曲第1番に使われていおり、マーラーの交響曲が歌曲の要素を色濃く持っていることをよく表している。

2021年1月、すみだトリニティーホールでの演奏から。バリトンは大西宇宙。


2021年2月27日土曜日

ラヴェル:ツィガーヌ

モーリス・ラヴェルが、1922年から1924年にかけて作曲したヴァイオリンのための小曲。

ツィガーヌとは、フランス語でジプシーを意味する言葉。

ハンガリー出身のヴァイオリニストのイェリー・ダラーニの演奏を聴いてインスピレーションを得て作曲を始めた、と言われている。

ラヴェルはフランス人だったが、バスク地方の出身であったこともあり、スペインのロマの人々の音楽にはとても興味を持っていた。

イェリー・ダラーニは、バルトークのヴァイオリン曲の初演を務めるなど、当時のハンガリーを代表するヴァイオリニストだったので、ラヴェルはロマ風のこの曲を彼女に献呈している。

2020年11月、文京シビックホールでの演奏から。ヴァイオリンは神尾真由子。


2021年2月13日土曜日

モーツァルト:ピアノ・ソナタ第14番

モーツァルトが1784年に作曲された、14番目のピアノ・ソナタ。

ベートーヴェンに大きな影響を与えた曲と言われている。

第1楽章、モルト・アレグロ。短調らしく、少しダークな印象を受ける。

第2楽章、アダージョ。哀愁に満ち溢れた音楽。雨垂れのようなフレーズが聞こえてくる。

第3楽章、アレグロ・アッサイ。ドラマチックなフィナーレ。

2019年8月、すみだトリニティホールでの演奏から。ピアノはアレクセイ・リュビモフ。


モーツァルト:ピアノ・ソナタ第8番

モーツァルトが1778年に作曲した、8番目のピアノ・ソナタ。

当時、モーツァルトはパリで母とともに暮らしていたが、その母が亡くなった悲しみの中で作られたと言われている。

第1楽章、アレグロ・マエストーソ。激しいピアノの指使いは、モーツァルトの母を亡くした心の乱れが表れているのだろうか。

第2楽章、アンダンテ・カンタービレ・コン・エスプレッシオーネ。静かな瞑想的な音楽。

第3楽章、プレスト。リズミカルな音楽。

2019年8月、すみだトリニティホールでの演奏から。ピアノはアレクセイ・リュビモフ。

モーツァルト:幻想曲

モーツァルトが、1782年に作曲したと言われているピアノ曲。

これぞ、幻想曲、という感じの始まり方。

後半は、モーツァルトらしい柔らかい音楽になる。

2019年8月、すみだトリニティホールでの演奏から。ピアノはアレクセイ・リュビモフ。

バルトーク:野外にて

バルトークが1926年に作曲した、ピアノ組曲。5つの曲から構成される。

第1曲、太鼓と笛。ピアノを打楽器として使っている。オリジナルの民謡が特定されている。

第2曲、舟唄。

第3曲、ミュゼット。再び、ピアノが打楽器になる。ミュゼットとは、フランス語でバグパイプのこと。

第4曲、夜の音楽。夜の闇の中に小さな物がうごめいているような音楽。

第5曲、狩。再び、打楽器の音楽。狩のようなスピーディーな音楽。

2019年8月、すみだトリニティホールでの演奏から。ピアノはジャン・チャクルム。

シューベルト:ピアノソナタ第7番

シューベルトが1817年に作曲した、7番目のピアノ・ソナタ。

第1楽章、アレグロ・モデラート。哀愁を感じるメロディもあれば、軽快で印象的なメロディもある。多彩な音楽。

第2楽章、アンダンテ・モルト。静かな内省的な音楽で始まる。

第3楽章、メヌエット:アレグレット。

第4楽章、アレグロ・モデラート。幻想的な音楽。

2019年8月、すみだトリニティホールでの演奏から。ピアノはジャン・チャクルム。




メンデルスゾーン:幻想曲(スコットランド・ソナタ)

メンデルスゾーンが、1828年からおよそ5年かけて作曲したピアノ・ソナタ。

1830年には、ワイマールでゲーテの前で演奏したという。

3つの楽章が切れ目なく演奏される。幻想曲だが、全体的にテンポがはやい印象。

第1楽章、コン・モート・アジタート―アンダンテ。

第2楽章、アレグロ・コン・モート。

第3楽章、プレスト。情熱的なフィナーレ。

2019年8月、すみだトリニティホールでの演奏から。ピアノはジャン・チャクルム。


2021年2月7日日曜日

ビーバー:ロザリオのソナタ集

チェコ生まれのバロック期の作曲家、ハインリヒ・ビーバーが1674年に作曲した、ヴァイオリンのためのソナタ集。

スコルダトゥーラという、途中で調弦を変えて演奏する手法が多用されている。

15曲のソナタとパッサカリアから構成されている。

各曲には、受胎告知から聖母マリアの戴冠に至るまで、聖母マリアを中心にしたテーマが付けられている。

チェコのボヘミア地方のドイツ系の家に生まれたビーバー。曲のあちこちに、ボヘミア地方の神秘的な雰囲気が感じられる。

2018年4月、武蔵野小ホールでの演奏。演奏は、リナ・トゥール・ボネ&ムジカ・アルケミカ。


2021年2月6日土曜日

ハイドン:交響曲第96番『奇跡』

ハイドンが1791年に作曲した、96番目の交響曲。

奇跡という副題は、この曲の初演の時に、シャンデリアが落下したが怪我人が一人もいなかったことに由来している。しかし、それは102番の初演の時のことだったようだ。

第1楽章 Adagio - Allegro。アダージョで始まるが、アレグロではダイナミックな表現になる。

第2楽章 Andante。

第3楽章 Menuetto. Allegretto。これぞメヌエットという感じの曲。

第4楽章 Finale. Vivace(assai)。リズミカルで軽快な音楽。

2020年6月、ミュンヘンのガスタイクでの演奏から。指揮はオクサーナ・リーニフ、演奏はミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団。

モーツァルト:ピアノ協奏曲第13番

モーツァルトが、1782年から1783年にかけて作曲した13番目のピアノ協奏曲。

第1楽章、アレグロ。流れるようなメロディー。

第2楽章、アンダンテ。落ち着いた音楽だが、弾ける水滴のようなピアノの音色が美しい。

第3楽章、ロンド、アレグロ。ピアノとオーケストラの掛け合いが素晴らしい。

2020年6月、ミュンヘンのガスタイクでの演奏から。指揮はオクサーナ・リーニフ、ピアノはアリス・紗良・オット、演奏はミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団。


イベール:フルート協奏曲

ジャック・イベールが、1922年から1923年にかけて作曲したフルートのための協奏曲。20世紀を代表するフルート協奏曲と言われている。

第1楽章、Allegro。慌ただしく始まるが、次第に伸びやかな音楽になっていく。

第2楽章、Andante。ここではクラリネットの伸びやかな特徴が活かされている。次第に瞑想的な音楽になっていく。

第3楽章、Allegro scherzando。再び軽快な音楽に。フルートのテクニックを駆使したソロが印象的。

フルートの持っている様々な音楽要素が詰まった、フルートという楽器の特徴がよく表現されている音楽。

2019年6月、チェコのプラハのスメタナホールでの演奏から。指揮はトゥガン・ソヒエフ、フルートはエマニュエル・パユ、演奏はトゥールーズ・キャピトル劇場管弦楽団。

メンデルスゾーン:交響曲第1番

 フェリックス・メンデルスゾーンが、1824年に作曲した最初の交響曲。この時、メンデルスゾーンはわずか15歳だった。

第1楽章、アレグロ・ディ・モルト。ドラマチックな音楽。これぞロマン派の音楽、といった印象。

第2楽章、アンダンテ。一転して静かな音楽。

第3楽章、メヌエット.アレグロ・モルト。伸びやかでリズミカルな音楽。

第4楽章、アレグロ・コン・フォーコ。フィナーレのコーダはやや唐突な印象。

2020年7月、ミュンヘンのガスタイクでの演奏。指揮はアンドレス・オロスコ・エストラーダ、演奏はミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団。


2021年1月24日日曜日

ラーション サクソフォーン協奏曲

 スウェーデンの作曲家、ラーションが1934年に作曲したサクソフォーンのための協奏曲。

ラーションは20世紀のスウェーデンを代表する作曲家。色々な分野に挑戦した。

サクソフォーンという楽器のせいか、クラシック音楽ではなく、ちょっとフォーマルなジャズのように感じられる。

第1楽章 Allegro molto moderato。

第2楽章 Adagio。

第3楽章 Allegro scherzando。

2020年10月、東京芸術劇場で行われた公演から。指揮は鈴木雅明、サクソフォーンは須川展也、演奏はNHK交響楽団。


ブラームス:ヴィオラソナタ第2番

ヨハネス・ブラームスは、1894年にクラリネット用にソナタを作曲したが、翌年にヴィオラ用にも編曲している。

第1楽章 アレグロ・アマービレ。華やかな印象の音楽で始まる。

第2楽章 アレグロ・アパッショナート。重厚なブラームスらしい音楽。

第3楽章 アンダンテ・コン・モート、アレグロ。再び華やかな音楽に戻り、幸せな雰囲気のフィナーレを迎える。

2018年6月、東京のトッパンホールでの演奏から。ヴィオラはニルス・メンケマイヤー、ピアノは島田彩乃。


ドビュッシー:チェロソナタ

クロード・ドビュッシーが、1915年に作曲したチェロソナタ。

ドビュッシーが最晩年に取り組んだソナタ曲の1つ。

Prologue : Lent。

Sérénade : Modérément animé。

Final : Animé, léger et nerveux - Lento。

2018年6月、東京のトッパンホールで行われた公園から。チェロはマット・ハイモヴィッツ、ピアノは児玉麻里。


プーランク:チェロソナタ

フランシス・プーランクが作曲した唯一のチェロソナタ。1949年に初演された。

第1楽章、 Allegro - Tempo di Marcia。

第2楽章、Cavatine。

第3楽章、Ballabile。

第4楽章、Finale。

2018年6月、東京のトッパンホールで行われた公園から。チェロはマット・ハイモヴィッツ、ピアノは児玉麻里。


ライネッケ:フルートソナタ

ドイツのロマン派の作曲家、カール・マイネッケが1882年に作曲したフルートのためのソナタ。

ロマン派の作家、フリードリッヒ・フーケの戯曲『ウンディーネ』に着想を得て作曲された。

これぞロマン派の音楽という印象。フルートという楽器の表現力の豊かさを教えてくれる。

第1楽章 Allegro。物語の悲劇性を暗示するような音楽。

第2楽章 間奏曲:Allegreto vivace。ひと時の喜びの音楽。

第3楽章 Andante tranquilo。静かな哀愁に満ちた音楽。

第4楽章 Allegro molto agitato ed appassionato quasi Presto。

2019年7月、武蔵野市民文化会館小ホールでの公演から。フルートはマチュー・デュフォー、ピアノは浦壁 信二。


ミヨー:フルートとピアノのためのソナチネ

フランスのダリウス・ミヨーが作曲した、フルートとピアノのためのソナチネ。

第1楽章、Tandle。

第2楽章、Souple。何とも不思議な音楽。とても短い楽章。

第3楽章、Clair。空間をふわふわと浮遊しているような印象の音楽。

2019年7月、武蔵野市民文化会館小ホールでの公演から。フルートはマチュー・デュフォー、ピアノは浦壁 信二。


プーランク:フルートソナタ

フランシス・プーランクが、1956年から1957年にかけて作曲したフルートのためのソナタ。

ドビュッシーの晩年のソナタ集を意識して作曲したと言われるソナタ曲の1つ。

第1楽章 アレグロ・マリンコリーコ。色々なメロディが展開される。ドビュッシーのような雰囲気を感じる。

第2楽章 カンティレーナ。哀愁に満ちた音楽。

第3楽章 プレスト・ジオコーソ。軽快で心が踊っているような音楽。最後は唐突なフィナーレ。

2019年7月、武蔵野市民文化会館小ホールでの公演から。フルートはマチュー・デュフォー、ピアノは浦壁 信二。


2021年1月16日土曜日

ロッシーニ:オペラ『セミラーミデ』

ジョアキーノ・ロッシーニが、1822年から1823年にかけて作曲したオペラ・セリア。

ロッシーニはこの曲を作る前にドイツを訪れてベートーヴェンなどに面会している。この音楽にはドイツらしい重厚な音楽が取り入れられている。

原作はヴォルテールの悲劇『セミラミス』。セミラミスは古代アッシリアの伝説的な女王で、夫である王を殺害し、有名なバビロンの空中庭園を作ったと言われている。

最後は息子の手で殺されたとも言われているが、この作品ではそのストーリーが悲劇の骨格になっている。

ロッシーニはこのオペラをヴェネツィアで初演したが、その後はパリを中心に活動し、これがイタリアで初演された最後のオペラになった。

2018年3月、ニューヨークのメトロポリタンオペラの公演。


ドビュッシー:ヴァイオリンソナタ

クロード・ドビュッシーが、1916年から1917年にかけて作曲した、唯一のヴァイオリンソナタ。

ドビュッシーは、晩年に6曲のソナタ曲を作ることを計画していたが、この3つ目のソナタが最後のソナタになった。

さらに、この曲はドビュッシーが最後に作曲した曲でもあった。この曲を作った翌年、1918年にドビュッシーは55歳で亡くなった。

作曲にあたっては、ヴァイオリニストのガストン・プーレの意見を参考にした。

初演は、そのプーレのヴァイオリンと自身のピアノ演奏によって行われた。

第1楽章 Allegro vivo。ダークで不安げな音楽。

第2楽章 Intermède. Fantasque et léger。不思議な不協和音のような音楽で始まる。

第3楽章 Finale. Très animé。とらえどころのないような音楽。

随所にドビュッシーらしい音楽が登場し、ドビュッシー音楽のハイライトのような曲。

2018年7月、豊田市コンサートホールでの演奏から。ヴァイオリンはヴァディム・レーピン、とピアノはアンドレイ・コロベイニコフ。


2021年1月9日土曜日

ビクトリア:レクイエム(死者のための聖務)

16世紀のスペインで活躍したアビラ出身のトマス・ルイス・デ・ビクトリアによるレクイエム。

ビクトリアは、ルネサンス期のスペイン最大の作曲家と言われる。

スペインのカルロス1世の娘、フェリペ2世の妹であるマリア大后に仕えていたが、その大后が亡くなった時に捧げられたレクイエム。1605年に発表された。

モーツァルト、ヴェルディなどのレクイエムとは全く違ったレクイエムで、まさに天上の音楽といった趣き。

聴いていると、次第に自然と敬虔な気持ちになっていくのが感じられる。

ちなみに、ビクトリアは若い頃イタリアでイエズス会に入会し司祭となったが、1586年にスペインに帰国した。

一方のマリア大后は、親戚のマクシミリアンと結婚しウィーンで暮らし、後のルドルフ2世とマティウスを産んだ。夫の死後、1582年にスペインに戻った。

その2人の出会いが、この不朽の名曲を産んだということか。

2019年6月、東京オペラシティー コンサートホールでのタリス・スコラーズの公演から。


ゲレーロ:モテット『マリアよ あなたはすべてに美しい』

16世紀の スペイン、セビーリャに生まれて、多くの宗教音楽を作曲したフランシスコ・ゲレーロが、1570年に発表したモテット集の中の1曲。

実に優しい、穏やかな音楽で、聞いていくうちに心が静かになっていくのを感じる。

2019年6月、東京オペラシティー コンサートホールでのタリス・スコラーズの公演から。