2013年12月21日土曜日

シューマン:交響曲第4番

第1番の次に作曲されたが、その後の改定もあり、出版が他の交響曲より遅くなったことから、4番目の交響曲になっている。

始まりが、ジャーン、と伝統的な始まり方になっており、作られた時期を想像させる。

第1楽章は、1つの主題のみが展開される。

第3楽章は、スケルツォだが、堂々としたメロディが印象的で、心に残る。

第4楽章は、ダイナミックな音楽。最後の部分は、ベートーベンからの引用しているように聞こえる。

2012年、パーヴォ・ヤルヴィ指揮、ドイツ・カンマ—フィルハーモニー管弦楽団の演奏。

ヴェルディ:オペラ『アイーダ』

ヴェルディが、1870年に作曲し、翌年の1871年にエジプトのカイロで初演されたオペラ。

エジプトの総督であったイスマイル・パシャが、スエズ運河の完成、カイロのオペラ劇場の完成を受けて、ベルディに依頼した。

パシャは、ヴェルディが断ったら、グノーかワーグナーに依頼しようとしていたらしい。

ヴェルディを代表するオペラで、第2幕の凱旋の場での音楽は特に有名で、いろいろな場面で効果音的に利用される。

エジプト側のラダメスと、敵対するエチオピア王女のアイーダの愛。そして、エンディングでの悲劇的な二人の死、というヴェルディらしいというか、イタリアオペラらしい設定。

ラダメスを愛するアムネリスの出来が、このオペラの出来を左右する、といってもいいかもしれない。

祝宴の場面では、ダンスが長時間に渡って演じられ、グランドオペラとしての構成を持っている。

2012年2月、パルマ国立歌劇場での公演。

2013年12月7日土曜日

ヴェルディ:オペラ『仮面舞踏会』

1859年に初演されたオペラ。

新大陸、ボストンの総督リッカルドと、秘書のレナートの妻アメリアとの愛と、レナートの復讐、総督への反対者達の陰謀などを絡めたストーリー。

それぞれの会場が、ヴェルディの多彩な音楽で見事に表現されている。

最後の仮面舞踏会の場面に、すべての感情が集約されるという演出も、オペラ全体に統一感を与えている。

実際に当時に発生したスウェーデン王の仮面舞踏会での暗殺事件をもとにしているが、厳しい検閲のために、舞台を新大陸に写している。

2011年10月パルマ王立歌劇場での公演。指揮は、ジャンルイジ・ジェルメッティ。

2013年12月1日日曜日

シューマン:交響曲第3番『ライン』

シューマンが1850年に作曲した3番目の交響曲。

デュッセルドルフ管弦楽団の音楽監督を務めていた際に作成し、よくライン川の畔を散歩していたので、通称ラインと呼ばれるが、シューマン自身がそう読んだわけではない。

第1楽章は、華やかで壮麗に始まる。シューマンの作った多くのメロディの中でも、とりわけ印象深いメロディだ。

第4楽章は、荘厳に、というその名の通り、荘厳な音楽。ケルン大聖堂で行われた枢機卿の就任式典にインスピレーションを受けて、この交響曲全体が作られたといわれ、その意味では、この楽章がこの交響曲の中心と言えるだろう。

2012年、パーヴォ・ヤルヴィ指揮、ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団の演奏。

シューマン:交響曲第2番

シューマンが1845年から46年にかけて作曲した2番目の交響曲。

第1楽章は、重々しく始まり、全体を通じ、複雑な内容。

第2楽章はスケルツォ。印象的な軽快なメロディがある。

第3楽章は、哀愁に満ちあふれた、ムーディーな音楽。

第4楽章は、華やかの中にも壮麗さを兼ね備えた音楽になっている。

1846年にメンデルスゾーン指揮のゲヴァントハウス管弦楽団によって初演された。

シューマンは、メンデルスゾーンのライプツィヒ音楽院で教えていたが、精神の病いから退き、ドレスデンに居を移していた。

2012年、パーヴォ・ヤルヴィ指揮、ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団の演奏。

2013年11月27日水曜日

シューマン:交響曲第1番

シューマンが1841年の作曲した、最初の交響曲。初演は、メンデルスゾーンの指揮、ゲヴァントハウス管弦楽団によって行われた。

第1楽章につけられた標題、春の始まり、にちなんで、春、という名前で呼ばれ、その名の通りの華やかな交響曲になっている。

初めに、重々しいファンファーレで始まるが、次第に、春という名前のような、華やかな音楽に変わって行く。

第2楽章は、ゆっくりとした音楽で、まるで、夢の中を彷徨っているようなイメージ。

第3楽章はスケルツォだが、ワルツのような、踊るような音楽。

第4楽章は、再びファンファーレで始まり、軽やかなメロディと、重々しいメロディが交互に演奏され、その対比が面白い。最後は、この二つが融合し、華やかなフィナーレを迎える。

2012年、パーヴォ・ヤルヴィ指揮、ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団の演奏。

ドヴォルザーク:交響曲第8番

ドヴォルザークが、1889年に作曲した交響曲。イギリス、という名前で呼ばれるが、それは、それまで長年にわたって、楽譜を出版してきたチェコの出版社から、イギリスの出版社に変えたことに由来する。

第9番ほど有名ではないが、随所にドヴォルザークらしさを感じさせるメロディーが、散りばめられている。

特に第3楽章のワルツのメロディーはよく知られ、一度聞いたら、忘れられないような印象を残す。

第4楽章では、ユーモアに溢れたダイナミックな音楽もあり、全体的に、華やかで、コンサート向きの音楽になっている。

その反面で、ブラームスの音楽の影響も、ところどころ、濃厚に感じられる。

2012年9月、パーヴォ・ヤルヴィ指揮、パリ管弦楽団の演奏。

2013年11月10日日曜日

ヴェルディ:オペラ『シチリアの晩鐘』

ヴェルディが、1854年に作曲し、翌年の1855年にパリのオペラ座で初演された。

1282年に、当時シチリアを支配していたフランス人に対して、怒ったシチリア市民が、多くのフランス人を虐殺した事件をもとにしている。

第1回目のパリ万博の記念として依頼されたことから、その内容が、フランスのグランド・オペラ風であるといわれている。

序曲はとりわけ有名で、コンサートの冒頭で単独で演奏される機会が多い。最もヴェルディらしいメロディーの一つでもある。

支配者であったフランス総督の隠し子と、殺されたシチリア王の娘が恋仲にあるというのが、このオペラのストーリーの鍵になっている。

二人の結婚を祝福する鐘の音が、虐殺の開始の合図になっている。それを知った元シチリア王の娘の花嫁が、愛する男の父親を心配して結婚に反対するが、父親のフランス総督はそうとは知らず、愛する息子のために結婚をいそがせ、鐘が鳴り、最後に自分が殺されてしまうという、劇的な幕切れになる。

その第5幕では、結果はわかっているのに、ヴェルディの素晴しい音楽と、歌手たちの迫真の演技によって。見ていてハラハラさせられてしまう。

2010年10月のパルマ王立歌劇場の公演。フランス総督役のレオ・ヌッチが素晴しい。

2013年11月9日土曜日

ヴェルディ:オペラ『ラ・トラヴィアータ(椿姫)』

ヴェルディが、1853年に書き上げたオペラ。アレクサンドル・デュマの同名の小説の劇場版を見て感激したヴェルディが、短期間で作曲したといわれている。

パリの社交界で華麗な生涯を送っていた娼婦が、一人の若い貴族と出会い、真剣に愛しながらも、彼の将来を案じ、独り身を引き、最後は病いで命を落とすというストーリー。

個人的には、ヴェルディのオペラの中でも、最も好きな作品の一つ。

とにかく、このオペラの出来は、主人公のヴィオレッタにかかっている。

若い貴族、アルフレードの父から、息子と別れるように説得され、身を引くヴィオレッタ。何も知らないアルフレードから侮辱を受けるシーンでのヴィオレッタの悲しさなど、ヴィオレッタを演じるソプラノには、歌唱力の他にも、ヴィジュアルな美しさ、豊かな演技力が要求される。

パーティー会場で歌われる陽気な乾杯の歌、ヴィオレッタと彼女を説得するアルフレッドの父との二重唱、侮辱されたヴィオレッタが歌うアリアなど、聞き所は満載。

ヴェルディの作品のみならず、数多くあるオペラ作品の中でも、屈指のオペラの一つといっていいだろう。

2007年10月、パルマ国立歌劇場での公演。ヴィオレッタを演じたのは、ブルガリア出身のスヴェトラ・ヴァシレヴァ。指揮は、ロシア人のユーリ・テミルカーノフ。

ヴェルディ:オペラ『イル・トレヴァトーレ』

ヴェルディが1852年に完成させたといわれる、中期3大オペラの1つ。

スペインの舞台劇を元にしており、ストーリーは、母親をスペインの貴族によって殺され、我が子も失ったジプシー女性が、最後にはその呪いによって、貴族の息子同士が殺し合いを演じ、復讐を遂げるというもの。

ヴェルディらしい、ドロドロした内容のオペラだが、あまりにストーリーが複雑すぎるためか、一つ前のリゴレットと比べると、それほどの感動は覚えなかった。

ジプシー女性を主人公にすべきだろうが、年を取りすぎているせいでそうはできず。貴族の二人の息子は、一人がジプシー女性の子供して育てられ、その二人が政治的も対立し、一人の女性を巡って争うのだが、オペラの焦点はそちらに向けられている。しかし、そのせいで、復讐劇の要素が薄まってしまっている。

2010年10月、パルマ国立劇場での公演。指揮は、ロシア人のユーリ・テミルカーノフ。

2013年9月15日日曜日

ヴェルディ:オペラ『リゴレット』

ヴェルディが、1851年に完成させた、全3幕のオペラ。『イル・トルヴァトーレ』や『ラ・トラヴィアータ』と並んで、ヴェルディ中期の傑作の1つ。

原作は、ヴィクトル・ユゴーの『王は愉しむ』という戯曲。当初は、その戯曲をほぼ忠実に作品化しようとしたが、検閲などによって、舞台や登場人物が一部変更された。

主役のリゴレットは、マントヴァ侯に仕える道化師だが、自らが笑い者にしたチェプラーノ伯爵の呪いに怯えている。

箱入り娘のジルダをマントヴァ侯に奪われ、その復讐のために殺そうとするが、逆に純粋なジルダがその身代りとなって、殺し屋に殺されてしまう。

冒頭のチェプラーノ伯爵の呪いが、バスの低音によって、不吉なおどろおどろしい音楽で奏でられ、これが何度も登場する。

主人公のリゴレットは、道化師という役割でありながら、道化の役割を演じるのは冒頭だけ。ほとんどの場面では、娘を思う父親として、あるいはその娘の復讐を誓う父親として、バリトンでその思いを切々と奏でる。

マントヴァ侯は、恋のみに生きる脳天気な侯爵。美しいソプラノで歌われる数々の口説き文句が、その脳天気さをより強調する。ユゴーの原作では、フランスのフランソワ1世ということになっている。

道化でありながら、その心の中では、周囲に対して恨みや妬みに満ちているという性格の2面性を持っているリゴレット。

悲劇は、脳天気なマントヴァ侯ではなく、そのリゴレットに降り掛かる、というのがこのオペラのミソ。ヴェルディが好んだシェークスピアの悲劇にも通じる。

2008年にパルマで行われたヴェルディ・フェスティバルの公演から。リゴレットには、ヴェルディ作品には欠かせないレオ・ヌッチ。ジルダには、ニノ・マチェイゼ。

複雑なリゴレットの思いを、見事に歌い上げたレオ・ヌッチ。ヴェルディのオペラは、歌唱力はもとより、演技力が何よりも要求される、ということを証明するような、素晴しいパフォーマンスだった。

2013年9月7日土曜日

ヤナーチェク:オペラ『利口な牝狐の物語』

レオシュ・ヤナーチェクが、新聞に掲載された絵物語をもとに1923年に作曲した、7番目のオペラ作品。全編がチェコ語で演じられる。

原作では、主人公の牝狐の結婚で終わっているが、ヤナーチェクは、子供が生まれ、主人公が撃たれてなくなり、しかし、森は昔のまま、という部分を付け加えている。

当時のヨーロッパを支配していた、東洋的な輪廻転生の思想の影響を受けている。

現代から見れば、自然環境の保護、という視点も感じられる。

オペラの最後で、森番が、”前に出会ったカエルだ”というと、そのカエルが、”それはボクのおじいさんだよ”と返す部分は、このオペラのテーマを実に良く表している。

音楽は、テーマが、森とそこに住む動物と人間の関わり、ということから、子供でも喜びそうな楽しい音楽や、ヤナーチェク独特のダイナミックなファンファーレ的な音楽もあり、多彩で、誰でも楽しめるものになっている。

2009年11月にフィレンツェで行われた公演。指揮は小澤征爾。

2013年8月31日土曜日

ロッシーニ:オペラ『アルジェのイタリア女』

ロッシーニが、1813年に書いたオペラ。別作曲が依頼されていたが、完成が間に合わず、その代役として急遽ロッシーニに白羽の矢が立った。

その時、ロッシーニは21才。しかも、このオペラをわずか27日間で書き上げたという。

アルジェリアの総督に捉えられた頭のいいイタリア女性が、おなじくその総督の奴隷となっていたイタリア人の恋人と、知恵を働かせて、囚われの身から脱出するというストーリー。

総督の妻が、自分への愛が失われたことを悲しんでいる、という背景も埋め込まれ、まるで、モーツァルトの後宮からの脱出とフィガロの結婚を足して二で割ったような内容。

ロッシーニでしかも若いことの作品とあって、ただただ楽しい感じの曲が続く。

ボローニャ歌劇場の2012年の公演。

2013年8月18日日曜日

タン・ドゥン:女書 The Secret of Women Songs

現代の中国を代表する作曲家、タン・ドゥンの作品。

タン・ドゥンは、中国映画のグリーンデスティニーやヒーローの音楽を担当したことで知られ、アカデミー賞も受賞している。

女書とは、中国湖南省 江永県の山村で発見された、女性の間だけで伝わった秘密の文字のこと。漢字から作られたといわれ、象形文字のようにも見える不思議な文字。

その文字によって、女性の人生の、ささやかな喜びと、大きな悲しみが語られてきた。

音楽は、ハープがメインで、オーケストラによって演奏されるが、女性の歌声、たらいの水や、中国の素朴な民族楽器なども、ところどころで、効果音的に使われる。

映像も同時に流され、そこでは、女書が書かれたり、その村の女性たちが、女書の内容を語っていたり、などの映像が写される。

音楽は、幻想的で、どこか懐かしく、実に美しい。

2013年5月22日のNHK交響楽団の定期公演から。作曲者のタン・ドゥン自らが指揮を行った。この演奏が、世界初演とのこと。

2013年7月28日日曜日

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番

プロコフィエフが、1921年に作曲した3つ目のピアノ協奏曲。プロコフィエフのピアノ協奏曲の中でも、とりわけ有名な作品。

伝統的な音楽と、不協和音を使ったモダンな音楽が融合して、バランスの取れた内容になっており、それが、好まれている原因かもしれない。

最後は、オーケストラとピアノが、同じ音を連打しながらクライマックスを迎える。一度聞いたら、忘れられない音楽。

ピアノはデニス・マツーエフ、ゲルギエフ指揮マイリンスキー劇場管弦楽団による、2012年6月の演奏。

ヴェルディ:レクイエム

ヴェルディは、ロッシーニの死を受けて、他の音楽家たちと、レクイエムの作成を構想したが、様々な事情で実現しなかった。

その後、イタリアを代表する小説家、マンゾーニの死にショックを受けて、今度は一人でこのレクイエムを書き上げ、1874年に初演された。

モーツァルト、フォーレと並んで、3大レクイエムと言われるが、紛れもなく、最もドラマティックなレクイエム。オペラのようなレクイエムと揶揄されることも。

同時期に、アイーダを作曲していたこともあり、似ているメロディもある。

特に、怒りの日、という有名なパートは、そこだけ効果音的に引用されることが多い。しかし、その引用は、単なる音楽の激しさだけを意図したもので、この音楽の本来の意味とは、およおかけ離れている。

日本語では、鎮魂歌、という名称だが、詩の内容は、罪のある死者の魂を、キリスト教の神が、その罪を許し、祝福することを、祈るという、というもの。

指揮、セミョーン・ビシュコフ、2013年4月のNHK交響楽団の演奏。

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第2番

チャイコフスキーが、1879年から1880年にかけて作曲した、2番目のピアノ協奏曲。

第1番はあまりにも有名だが、こちらは演奏される機会はほとんどない。

冒頭は、馴染みやすく、覚えやすいメロディーで始まる。いきなり掴みを取ろうとするチャイコフスキーらしい出だしだが、その後は、やや地味な展開になり、第1番ほどポピュラーでない理由も納得できる。

第2楽章は、アンダンテ・ノン・トロッポだが、ヴァイオリンとチェロのソロが入り、ピアノ協奏曲であることを、しばし忘れさせてくれる。音楽は、美しい。

第3楽章は、ロンド。最後はチャイコフスキーらしい、ダイナミックな音楽でフィナーレを迎える。

チャイコフスキーは、ピアノ協奏曲第1番を、友人で有名なピアニスト、ニコライ・ルビンシテインに捧げたが、拒否され、この第2番を改めて献呈した。

そのルビンシテインが、初演を演じることが決まっていたが、直前にパリで客死してしまい、兄のアントン・ルビンシテインの指揮、セルゲイ・タナーエフのピアノで、1882年5月にモスクワで初演された。

ピアノはデニス・マツーエフ、ヤルヴィ指揮パリ管弦楽団の2011年1月の演奏。

2013年7月6日土曜日

ワーグナー:さまよえるオランダ人

ワーグナー自ら、最初のオペラであると語っていた、1842年に完成したオペラ。

乙女の愛によってのみ救われる、という呪いを、神からかけられたオランダ人。そのオランダ人を救うことを自らの天命だと信じゼンダの愛と悲劇。

その後の、ワーグナーのオペラに見られる主要なテーマは、すべてこの作品の中に含まれている。

女性にとって救われる、というテーマは、ゲーテのファウストにも共通し、他にも、様々な精神分析的な解釈ができるだろう。

男性中心主義的な視点が丸出しのオペラ。ドイツ人から見たオランダ人のイメージも、いかにもあからさまだ。

しかし、音楽は、やはり素晴しい。テーマの非現実性やストーリーの不自然さなどを、すべて押しつぶしてしまうほどの、圧倒的な音楽。

これこそが、ワーグナーのオペラの醍醐味だろう。

1985年のバイロイト公演は、ハリー・クプファーによる、すべてを、ゼンダの妄想の中で起こった出来事、と解釈する斬新な演出。

ペルゴレージ:オペラ『イル・フラミニオ』

18世紀にナポリで活躍し、わずか26才で夭折したペルゴレージの最後のオペラ。

後に、ストラヴィンスキーが『プルチネッラ』を作曲したとき、このオペラから多くの曲を取り入れたこともあり、オペラ自体はあまり知られていないが、その中の曲は、どこかで聞いたことがあるものも。

ナポリで演じられていたことから、ナポリ方言や、トスカーナ方言なども使われており、ローカル色に溢れたオペラになっている。といっても、私には、どのセリフがナポリ方言で、トスカーナ方言と何がどう違うのかは、さっぱりわからないが。

主人公のフラミニオ、未亡人のジュースティーナを中心に、3組のカップルの恋の行方がテーマになっており、典型的なオペラブッファで、モーツァルトとの共通性や違いを感じられる。

当時の楽器に近いオーケストラ構成が、バロック音楽の独特な音色を奏でて、新鮮に聞こえる。

2010年にペルゴレージの生誕300年を記念して、ペレルゴージの生誕地、イェージで演じされた公演は、舞台の奥にオーケストラを置くという珍しい舞台装置だった。

劇中劇の場面では、観客席から実際の観客を呼び寄せ、劇中劇の観客にする、という粋な演出もあった。

ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番

ショスタコーヴィチが、1947年から1948年にかけて作曲した最初のヴァイオリン協奏曲。

4つの楽章からなるが、最初はいきなりノクターンという抒情的な音楽で始まるが、ヴァイオリンの音色が美しい。

第2楽章のスケルツォは、いかにもショスタコーヴィチらしい音楽。ところどころに、ショスタコーヴィチの交響曲で聞いたことがある、メロディが聞こえてくる。

第3楽章は、長いヴァイオリンのカデンツァが続き、ヴァイオリンの音色にうっとりとさせられる。

そのまま切れ目なく第4楽章に突入する。最後の終わり方もショスタコーヴィチらしい。

2013年4月のNHK交響楽団の定期講演。ヴァイオリンは、ヴィクトリア・ムローヴァ、指揮は、ピーター・ウンジャン。

プロコフィエフ:交響曲第7番

プロコフィエフが1951年から1952年にかけて作曲した、プロコフィエフにとっての最後の交響曲。プロコフィエフは、その翌年に亡くなった。

前の第6番が党から批判されたためか、あるいは、死を前にした心境の変化だったのか、プロコフィエフにしては、実に穏やかで、古典的な内容の交響曲に仕上がっている。

ゲルギエフ指揮、マリインスキー劇場管弦楽団による、2012年4月の演奏。

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第5番

1932年に作曲されたプロコフィエフの最後のピアノ協奏曲。

5つの楽章からなるという得意な構成。

冒頭から猛烈なピアノの演奏で始まり、そのまま5つの楽章を突っ走る、という感じの曲。オーケストラは、ただその後をついていっている感じ。その意味では、協奏曲とは、呼べないかもしれない。

同じ音符を何度も機械的に繰り返す部分もあり、野心的なピアノ協奏曲となっている。

ゲルギエフ指揮、マリインスキー劇場管弦楽団による、2012年4月の演奏。

プロコフィエフ:交響曲第6番

プロコフィエフが1947年に作曲した6番目の交響曲。

3つの楽章で構成されている。

モダンな内容と、ロシアの抒情的な音楽が溶け合って、プロコフィエフらしい交響曲に仕上がっている。

しかしながら、1948年の初演では、その前衛的な側面を批判され、ながく演奏される機会がなかった。

ゲルギエフ指揮、マリインスキー劇場管弦楽団による、2012年4月の演奏。

2013年6月3日月曜日

サン=サーンス:交響曲第3番

サン=サーンスが、1886年に作曲した5番目の交響曲。

本人は、この曲を自分の集大成と考えていたようで、自分の持っているものを全てこの中に注ぎ込んだ、と自ら述べているしている。しかし、サン=サーンスは、その後も35年も生きていた。

全体は、2つの楽章から構成されているが、それぞれが前半部と後半部に分かれており、従来の形式を残しつつ、新しい試みに挑戦している。

パイプオルガンやピアノの連弾がところどころで使われており、特にパイプオルガンは、音楽により壮麗な雰囲気を与えている。

サンサーンスは、1つの主題が、曲の流れの中で成長していく、というリストと同様の試みをこの曲の中で行ったと言われている。

2013年2月のNHK交響楽団の定期演奏から。指揮は準・メルクル。

ペルゴレージ:オペラ『シリアのアドリアーノ』

1743年にナポリで初演されたペルゴレージのオペラ。

現在では、あまりポピュラーとは言えないペルゴレージだが、当時はモーツァルト、ロッシーニと並ぶオペラ作曲家だった。

当時のナポリは、英邁なスペインのカルロ7世王の元で、音楽のみならず、哲学者のヴィーコなど、様々な文化・芸術が花開いた。ベルゴレージのオペラは、その華やかさを今日に伝えている。

アドリアーノとは、ローマ皇帝ハドリアヌスのこと。今のシリアで、パルティア帝国を征服したハドリアヌスと、パルティアの王の娘エレーナとその恋人の恋をめぐる物語。

歌いところは歌い、チェンバロが奏でられると、セリフが語られるという、当時の決まり事で進行するオペラだが、現代はむしろ新鮮に聞こえる。

2010年のペルゴレージ・フェスティバルでの演奏。

リスト:ピアノ協奏曲第1番

リストの最初のピアノ協奏曲。1830年から作り始め、1855年に初演されたのちも、1856年に改訂されている。

その初演は、ベルリオーズの指揮、リスト本人によるピアノ、という豪華な取り合わせだった。

4つの楽章から構成されているが、休みなく、続けて演奏される。

始まりは、ダイナミックなオーケストラの音楽で始まる。この主題は、第4楽章にも登場する。

第1楽章には、ピアノにより奏でられる、哀愁のある和音があり、悪魔的な魅力を振りまいている。

第3楽章では、珍しく、トライアングルが登場する。

ダイナミックに始まり、ダイナミックに終わり、いわゆるロマン主義音楽の典型的なもの。リストの管弦楽曲の中でも、屈指の出来。

2013年2月のNHK交響楽団の定期演奏から。ピアノはヘルベルト・シュフ、指揮は準メルクル。

ピアノはスティーブン・ハフ、シャルル・デゥトワ指揮、NHK交響楽団による2013年11月の演奏。

リスト:交響詩『ラ・プレリュード』

1854年に作曲された、リストの3番目の交響詩。

プレリュードという曲名が付いた背景は、人生とは死への前奏曲である、というリストの思想がもとになっている。

人生を4つの部分にわけ、死と生を表すそれぞれの主題が、変奏されて演奏される。

どちらかといえば、勇壮でダイナミックな音楽の方が強く、フィナーレも、死に敢然と立ち向かう壮大なファンファーレで締め括られる。

晩年の達観したような静かな音楽は、この曲からは、まだ聞こえてはこない。

2013年2月のNHK交響楽団の定期演奏から。指揮は準・メルクル。

ヴェルディ:オペラ『ナブッコ』

1842年に初演されたヴェルディの3番目のオペラ。これがヴェルディにとっては、オペラでの最初の大ヒット作品となった。

ナブッコとは、歴史上に実在の人物。新バビロニア王国のネブカドネザルのこと。ユダヤ王国を滅ぼし、大量のユダヤ人をバビロニアに移住させたことで知られる。

そのエピソードをもとに脚色し、彼の二人の異母娘との後継者争いや、恋の争いなどを絡め、オペラらしい劇的な脚本になっている。

ナブッコのバリトンを挟んで、王位を狙う奴隷の女の娘の怖いアビガイッレと、本来王位をつくべき美しく優しいイズマエーレの二人のソプラノの対決が見もの。

イタリア統一運動のシンボルとなり、国家のように扱われることになった、黄金の翼に乗って、など美しく、聞き慣れた曲も満載。

2009年のパルマ・ヴェルディ・フェスティバルの公演。

2013年5月29日水曜日

ヴェルデイ:オペラ『マクベス』

ヴェルディがシェークスピアの作品を元に作成し、1847年に初演され、1865年に大幅に改訂された。

暗殺してしまった人間たちの霊に苦しめられ、自滅していくというシェークスピアの代表的な悲劇を、オペラという娯楽作品に仕上げることは難しい。

ヴェルディは、魔女が登場するシーンで、明るい合唱を採用するなど、ところどころに、楽しげな音楽を取り混ぜ、暗さばかりが目立たないように、工夫している。

このオペラでは、何といっても、暗殺を躊躇う夫をけしかけるという、マクベス夫人の出来が、大きな位置を占めている。

マクベスは、最初から最後まで、運命に操られる。マクベス夫人は、自ら運命を切り拓き操ろうとするが、最後は、その運命に野望を打ち砕かれる。

マクベスとマクベス夫人役には、高い演技力が要求される。

2005年6月のパルマ王立歌劇場の公演。マクベス夫人役のシルヴィ・ヴァレルは、女優のアンジェリーナ・ジョリーにそっくり。しかも、演技力も抜群で、夫をけしかける悪の部分と、狂気に陥る弱さ、哀れさを熱演していた。

Rシュトラウス:オペラ『ダナエの愛』

Rシュトラウスが、1940年に作曲したオペラ。ホフマンスタールの原作を、ヨーゼフ・グレゴールが脚本化した。

借金に苦しむの娘、ダナエが、結婚の相手として、ジュピターとミダスのどちらかを選ぶか迫られるが、最後は、愛のあるミダスを選ぶというストーリー。

ギリシャ神話をネタに、当時の社会情勢を皮肉った作品。

そうした内容のためか、政権を持っていたナチスによって、公演を禁じられ、その後も、あまり上演する機会に恵まれなかったという。

薔薇の騎士のような感動巨編というよりは、ライトノベルのようなオペラ、といったところだろうか。しかし、さすがはシュトラウス。第2幕のダナエとミダスのデュエットは、聞き応えがある。

2011年のベルリン・ドイツオペラの公演。

2013年5月25日土曜日

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番

ラフマニノフが1909年に作曲した3番目の協奏曲。同年に自らの手によってニューヨークで初演された。

高度なピアノテクニックが要求され、ラフマニノフのピアノ曲の中でも、とりわけ難曲と言われている。

2度目の演奏は、マーラー指揮の元に行われ、ラフマニノフは、マーラーのスラブ系音楽への深い理解に感銘を受けたという。

音楽は、いかにもラフマニノフらしい、重厚で、ロシアの大地の底から湧き上っているような哀愁を帯びたもの。

第1楽章は、静かな瞑想的なピアノの音が印象的。全体的に静かな音楽。

第2楽章のアダージョは、この世で最も美しい音楽の一つに数えられるだろう。

第3楽章は、それまでの静かな音楽とは打って変わって、ダイナミックな壮麗な音楽。

いずれの楽章も、ラフマニノフらしい、ロシアの重厚な音楽になっている。

2012年7月にドレスデンデンで行われた野外コンサートから、ピアノはユジャ・ワン、シエン・ジャン指揮、シュターツカペレ・ドレスデンの演奏。

ユジャ・ワンは、感情をたっぷりと込め、指先と足先をフルに使って、見事にこの何曲を弾きこなしていた。

2014年6月のN饗の定期公演から。指揮はウラディーミル・アシュケナージ。ピアノは、ウズベキスタンの若手、ベフゾド・アブドゥライモフ。

アシュケナージは、この曲を何度もレコーディングしており、ここでは、指揮者として、若いピアニストをサポートしている。

リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲

リムスキー=コルサコフが、1887年に作曲した管弦楽のための作品。

スペインのアストゥリア地方の民謡をもとに、それを管弦楽用に編曲したもの。コルサコフのオーケストレーションが冴えている。

5つの部分からなるが、4つ目だけはアンダルシアのジプシー音楽がもとになっており、この部分は、とりわけ印象的な音楽に仕上がっている。

2012年7月にドレスデンデンで行われた野外コンサートから、シエン・ジャン指揮、シュターツカペレ・ドレスデンの演奏。

陳鋼/何占豪:ヴァイオリン協奏曲『梁山伯と祝英台』

中国人の陳鋼と何占豪が1958年に作曲したヴァイオリン協奏曲。この曲を作曲したとき、二人はまだ音楽院の学生だった。

悲しい恋の物語を描いた、梁山伯と祝英台という中国の民話を描いている。

胡弓によって演奏されるメロディーを、ヴァイオリンに置き換えているので、中国の伝統的な音楽が、しっくりとヨーロッパのオーケストラの世界に取り込まれている。

物語の最後で、運命に引き裂かれた二人が、最後は蝶になって飛び去るのだが、音楽は、その飛び去る二人を表現し、消え入るように静かに終わる。

2012年7月にドレスデンデンで行われた野外コンサートから、ヴァイオリンはホァン・モンラ、シエン・ジャン指揮、シュターツカペレ・ドレスデンの演奏。

2013年5月19日日曜日

ラヴェル:ダフニスとクロエ


ラベルが1909年から1912年にかけて、バレエ・リュスの依頼に応えて作曲した。もとはバレエ曲だが、自身によって、管弦楽曲としても作られている。

冒頭の序章から、ハープや合唱を使った幻想的な音楽が奏でられ、聴く人を神話の世界に引き込んでしまう。

ラヴェルはこの曲を単なるバレエ音楽としてではなく、いくつかの主題を提示して、それを展開させ、管弦楽曲としても聞くに耐えるように工夫したという。

第3部の幻想的な音楽と、ダイナミックなオースケトレーションの効いた音楽は、一度聴いたら忘れられない強烈な印象を残す。

2013年2月のNHK交響楽団の演奏。指揮は準・メルクル。

サン=サーンス:チェロ協奏曲

サン・サーンスが、1873年に作曲した最初のチェロ協奏曲。その後、サン・サーンスは、もう1曲だけチェロ協奏曲を作曲している。

3つの楽章が切れ目なく演奏されるのが特徴。また、哀愁を帯びた第一主題も、チェロの音質に良くあっている。

2013年のNHK交響楽団の演奏。指揮は準・メルクル。チェロは、ダニエル・ミューラー・ショット。

2013年5月6日月曜日

プロコフィエフ:『ロミオとジュリエット』組曲

プロコフィエフは、1935年にバレエ用の52曲を完成させたが、このバレエを演じる予定だった、レニングラード・バレエ学校の評判が芳しくなかったため、管弦楽用の組曲として、最終的に3つの組曲として再編成した。

演奏会では、第1番と第2番からの何曲かが抜粋されて演奏されることが多い。

第2番の最初の曲、モンタギュー家とキャピレット家のインパクトの高さが、他の曲を圧倒している。

2013年2月、指揮ヒュー・ウルフ、NHK交響楽団の演奏。

トーマス・アデス:オペラ『パウダー・ハー・フェイス』から「ダンス」

トーマス・アデスは、1971年イギリス生まれの作曲家、ピアニストや指揮者としても活躍している。

ベルリンフィルの音楽監督を務めるラトルに注目され、しばしばベルリンフィルでもその作品が演奏されている。

このオペラは、1995年に発表され、露骨な性描写でスキャンダラスに扱われて話題となった。

コンサートでは、そのオペラの中から、「ダンス」という管弦楽のパートだけが演奏された。

ジャズのようなメロディーや、ピチカートを多用したエキセントリックな音楽など、雰囲気の違った音楽が、めまぐるしく展開される。

2013年2月に行われた、指揮ヒューウルフ、NHK交響楽団の演奏。これは、一部ではあるが、日本におけるこの作品の初演となった。

2013年5月5日日曜日

ロッシーニ:オペラ『セビリアの理髪師』

ロッシーニが、1816年にわずか2週間で作曲したオペラ。短い期間で作曲されたにも関わらず、素晴らしい曲が満載。ロッシーニは、同じ年に、オテッロを含めて3曲も作っている。

原作は、フランスの劇作家、ボーマルシェが1775年に書いた同名の戯曲。ご存知のように、その9年後に書かれた『フィガロの結婚』は、モーツァルトが、1786年にダ・ポンテの脚本でオペラにしている。

このセビリアの理髪師も、一度、ナポリのパイジェッロによって、1782年にオペラに仕立てている。ロッシーニも、このパイジェッロの作品を参考にしたと言われている。

話の内容は、たわいのない恋の喜劇だが、身分の高い伯爵が、賢い理髪師のフィガロや、しっかり者の平民のロジーナに振り回されるという、貴族や王族の時代の終わりを象徴した内容になっている。

社会批判としての喜劇の本質や、フランス革命をはさんだ当時の時代背景などが感じられる。

場面をセビリアにしている部分も面白い。スペインといえば、情熱的な土地柄というイメージがすでに出来上がっていたのだろう。

『フィガロの結婚』では、すでに結婚した伯爵夫妻が登場し、今度はフィガロの結婚を巡って一悶着が起こる。それと合わせて鑑賞すると、より楽しめる。

2011年のパルマ王立劇場での公演。テノールのアルマヴィーヴァ伯爵にはドミトリー・コルチャック、メゾ・ソプラノのロジーナにはケテヴァン・ケモクリーゼ、バリトンのフィガロにはルカ・サルシ、バリトンのバルトロにはブルーノ・プラティコ、バスのドン・バジリオにはジョヴァンニ・フルラネット、そしてメゾ・ソプラノのベルタにはナタリア・ロマン。

配役が素晴らしい。それぞれの役に、それぞれの歌手としての個性がよくマッチしていた。特にケテヴァン・ケモクリーゼが、愛らしく、ちょっと賢いロジーナにぴったりとはまっていた。

2013年5月4日土曜日

ドビュッシー:海 - 管弦楽のための3つの交響的素描

ドビュッシーが、1903年から1905年にかけて作曲した、海をテーマにした管弦楽曲。

間違いなく、ドビュッシーの管弦楽曲の中でも、最も素晴らしいものだろう。

3つのパートから構成される。最初のパートでは、様々なメロディが展開され、途中、中国やアラブのような音楽も聞こえてくる。

最後のパートは、とても印象的なメロディが繰り返し演奏され、嵐で荒れ狂う海を表現したような、壮大なフィナーレを迎える。

楽譜を見ると、波が弾けるような形状に、オタマジャクシが並んでいる。

2013年のラ・フォル・ジュルネ東京では、ラムルー管弦楽団が演奏。指揮は若手の注目株、フェイサル・カルイ。

ラムルー管弦楽団は、1905年にこの曲を初演した管弦楽団。しかし、初演の際は、楽団員がこの曲にあまり乗り気でなかったため、評判も今ひとつだったという。

その108年後のこの日の演奏は、若いフェイサル・カルイによって、華麗なイメージが強いドビュッシーが、実にパワフルに演奏され、肉食系ドビュッシーという感じだった。

サン=サーンス:動物の謝肉祭

サン・サーンスが、1886年に、私的なパーティーのために作曲した、14の小品からなる組曲。

ベルリオーズ、メンデルスゾーンらの様々な曲をパロディとして使用していることもあり、サン・サーンスは、有名な白鳥という曲を除いては、死ぬまでその楽譜を公開しなかった。

鶏、ロバ、象、カンガルーなどの動物が、ピアノ、ヴァイオリン、フルートなどで表現される。”巨匠”というお堅いイメージがあるサン・サーンスの別な側面が垣間見える作品。

しかし、すべての楽器が演奏されるパートのアンサンブルは、それらの楽器の音が融合され、一つの楽器として聞こえてきて、まるで魔術のよう。見事という他はない。

プロコフィエフの『ピーターと狼』のような内容だが、プロコフィエフの作品とは違い、こちらは、子供用に作曲した訳ではない。

2013年のラ・フォル・ジュルネ東京での演奏から。萩原麻未 (ピアノ)、酒井茜 (ピアノ)、竹澤恭子 (ヴァイオリン)、デボラ・ネムタヌ (ヴァイオリン)、リダ・チェン (ヴィオラ)、趙静 (チェロ)、渡邉玲雄 (コントラバス)、工藤重典 (フルート)、ラファエル・セヴェール (クラリネット)、安江佐和子 (マリンバ、ハルモニウム)というメンバーで演奏された。

フランク:チェロ・ソナタ(ヴァイオリン・ソナタ)

ベルギーに生まれ、パリで音楽を学び、教会でオルガン奏者として活躍していたフランクが、1886年に作曲した、もとはヴァイオリン・ソナタ。

とても有名なこの曲は、ピアノやチェロ様にも編曲されている。

2013年のラ・フォル・ジュルネ東京では、チェロ・ソナタとして演奏された。

同じ主題が、4つの楽章のあちこちに現れる、いわゆる循環形式を取り入れているが、その主題が美しく、一度聞いたら、忘れられなくなるほど、印象的。

第3楽章のデモーニッシュなメロディーも、幻想的で、実に美しい。

チェロは、趙静。ピアノは酒井茜による演奏。

フォーレ:チェロソナタ第1番

フォーレが1917年に作曲した最初のチェロソナタ。

第2楽章が、とにかく美しい。耽美的な音楽で、聞いていて、そのまま眠ってしまいそう。

2013年のラ・フォル・ジュルネ東京での演奏。チェロはフランソワ・サルク、ピアノはユーリ・ファヴォリン

フォーレの弟子にあたるラドミローのチェロソナタも演奏されたが、こちらは、フォーレに比べると、モダンな雰囲気。

2013年4月29日月曜日

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第4番(左手のための)

プロコフィエフが、第1次大戦で右手を失ったピアニスト、パウル・ヴィットゲンシュタインの依頼で1931年に作曲した、左手だけで演奏されるピアノ協奏曲。

しかし、ヴィットゲンシュタインは、理解不能として、受け取りを拒否したという。

第2楽章のアンダンテは、プロコフィエフには珍しく、ロシアの広大な大地を感じさせるロマンチックな音楽。

第4楽章は、第1楽章と同じような音楽で、しかも2分たらずで終わってしまう。

左手だけで、これほど多彩な音楽が演奏できることに驚かされる。プロコフィエフの意図は、十分伝わってくるが、ヴィットゲンシュタインは、自分には演奏は無理だと思ったのかもしれない。

ピアノ、アレクセイ・ヴォドウィン。ヴァレリー・ゲルギエフ指揮、マリインスキー劇場管弦楽団による、2012年4月のモスクワ音楽院大ホールでの演奏。

プロコフィエフ:交響曲第4番

プロコフィエフが、アメリカ滞在中の1929年から1930年にかけて作曲した4番目の交響曲。第3番同様、先に作曲していたバレエ音楽『放蕩息子』から、あるいは、構想しながら、その中に取り入れなかった曲などをもとに作曲された。

初演は1930年にアメリカのボストンで行われたが、評判は今ひとつ。後に、プロコフィエフは大幅に手を入れて、まるで別の交響曲のようになっている。

ヴァレリー・ゲルギエフ指揮、マリインスキー劇場管弦楽団による、2012年4月のモスクワ音楽院大ホールでの演奏は、初演されたアメリカ版によるもの。

バレエ音楽をもとにしているためか、交響曲というより、組曲のような印象。

ベルリオーズ:幻想交響曲

ベルリオーズが、1830年に作曲した交響曲。アイルランド人のハリエット・スミスソンという女優に恋をした、ベルリオーズの姿を一人の芸術家になぞらえた標題音楽。

ダイナミックな構成、スミスソンをイメージしたメロディが所々で演奏されるなど、ロマン派音楽時代の到来を告げる、記念碑的な作品。

5つの楽章から構成されている。
夢、情熱
舞踏会
野の風景
断頭台への行進
魔女の夜宴の夢

題名から見ても、それまでの純粋音楽とは全く違っているということがわかる。

パーヴォ・ヤルヴィ指揮、パリ管弦楽団の2011年11月のパリでの演奏。

シューマン:ピアノ協奏曲

シューマンが1845年に完成させた唯一のピアノ協奏曲。シューマンは、この10年以上前からピアノ協奏曲に取り組んでおり、ようやくこの年になって完成させた。初演は、妻のクララによってなされている。

3つの楽章から構成されている。第1、2楽章は、ロマンチックな大人しい曲。それが、第3楽章のリズミカルな音楽をより印象的なものにしている。

ピアノ、ダン・タイ・ソン。パーヴォ・ヤルヴィ指揮、パリ管弦楽団の2011年11月、パリのサリ・プレイエルでの演奏。

ダン・タイ・ソンは、1980年にアジア人として初めてショパン・コンクールで1位になったピアニスト。

シェーンベルク:グレの歌

シェーンベルクが、1900年に作曲した、演奏会形式の壮大な歌曲。1911年頃まで改訂していたが、曲調は、初期の後期ロマン主義的な内容。

冒頭の前奏曲は、ラヴェルやドビュッシーなどフランス印象派の雰囲気を持っている。

物語が佳境に入ってくると、今度は、マーラーのような、大音量でダイナミックな音楽が展開される。

歌詞は、デンマークの無神論者、ヤコブセンの詩に基づいている。

2013年2月23日、オーチャードホール、尾高忠明指揮、東京フィルハーモニーの演奏。


ラフマニノフ:合唱交響曲『鐘』

ラフマニノフが、1913年にローマに滞在中に作曲した合唱付きの交響曲。エドガー・アラン・ポーのロシア語訳の詩に基づいて作成した。

ポーの詩は、人生を四季なぞり、それぞれを鐘の音を使って表現している。曲も、4つの楽章から構成されていて、鐘の音が効果的に使われている。

浅田真央のオリンピックでのプログラムに使われたのとは、同じ題名だが、あちらはピアノ曲で、内容は全く関係がない。

2012年にナントで行われたフォルジュルネの演奏から。指揮ドミトリー・リス、ウラル・フィルハーモニー管弦楽団及び同合唱団、ソプラノはヤーナ・イヴァニロヴァ、テノールはスタニスラフ・レオンティエフ、バリトンはパヴェル・バランスキー。

2013年4月20日土曜日

チャイコフスキー:弦楽六重奏曲『フィレンツェの思い出』

チャイコフスキーが、1890年にフィレンツェ滞在中に作曲した作品。サンクトペテルブルク室内楽協会の名誉会員に選出してもらったことへの返礼として作曲された。

弦楽四重奏よりも、ヴィオラとチェロがそれぞれ増えただけだが、音楽は、弦楽四重奏よりも多彩に、多重に変化している。

第1楽章と第2楽章は、物悲しいメロディー。

第3楽章には、メロディメーカーとしてのチャイコフスキーの特徴が良く表れている。

第4楽章の民族舞踏風の主題も、実に印象的だった。

第4楽章では、モーツァルトのフィガロの結婚の序曲のメロディが少しだけ引用され、華やかさを演出している。

2012年のナントで行われたフォルジュルネでの、モディリアーニ弦楽四重奏団を中心とした演奏。

2013年4月14日日曜日

バーンスタイン:交響曲第2番『不安の時代』

指揮者としての方が名高いバーンスタインは、3つの交響曲を書いた。この2つ目の交響曲は、英国の詩人、オーデンの詩をもとにして作曲された。

ピアノの独奏部分が多く、ピアノ協奏曲といった方がいいかもしれない。

6つの楽章から構成されるが、3章ずつが切れ目なく演奏され、2部形式になっている、特異な構成。

しかし、音楽自体は、プロコフィエフやショスタコーヴィチのピアノ協奏曲や交響曲を聞いているような感じがしなくもない。

指揮、ジョン・アクセルロッド。ピアノ、ステュアート・グッドイヤー。NHK交響楽団による、2013年1月の演奏から。

ジョン・アクセルロッドは、バーンスタインの元で指揮を学んだ。

ショスタコーヴィチ:チェロソナタ

ショスタコーヴィチが、1943年に、友人のチェリストの勧めで作曲した、唯一のチェロソナタ。その友人のチェリストと自らのピアノで初演されている。

4つの楽章は、モダンな不協和音、第3楽章のラルゴの叙情的なメロディなど、多彩な内容になっている。

ところどころ、ショスタコーヴィチが交響曲にも使ったメロディが聞こえる。

チェロは、タチアナ・ヴァシリエヴァ。ピアノは、シャニ・ディリュカ。2012年のフランス、ナントでのフォルジュルネの演奏。

ボロディン:歌劇『イーゴリ公』~「ダッタン人の踊り」

ついに完成には至らなかった、歌劇『イーゴリ公』の一部分。しかし、冒頭の哀愁を帯びたメロディと、後半の踊りの部分のダイナミックな音楽で、短いながら、1つの完成した音楽作品となっている。

ボロディンは、作曲を行う一方で、大学で化学者として、大きな業績を残している。

指揮、ドミトリー・リス。演奏は、ウラル・フィルハーモニー管弦楽団及び同合唱団。2012年のフランス、ナントのフォルジュルネの演奏。

チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲

チャイコフスキーが、友人のチェリスト、フィッツェンハーゲンのために1867年から1868年にかけて作曲したチェロのための管弦楽曲。

序奏と主題、その7つの変奏曲から構成されているが、フィッツェンハーゲンは演奏に当たり、もともとあった8つ目の変奏曲を外し、曲の順番も変えてしまった。現在でもそちらが主に演奏されている。

冒頭の美しく、ややコミカルな感じのメロディが、実に印象的。その後の変奏曲は、チャイコフスキーらしい、重厚で、物悲しいロシア音楽が展開する。

チェロという楽器の魅力を、最大限に引き出している作品。

チェロ、アレクサンドル・クニャーゼフ。オッコ・カム指揮、ラハティ交響楽団の、2012年のフランス、ナントでのフォルジュルネの演奏から。

シェーンベルク:浄められた夜

シェーンベルクが、25才の時に作曲した、弦楽六重奏曲。その後、管弦楽用にも自ら編曲を行った。

まだ十二表音などに取組む前で、後期ロマン主義と分類される曲。ワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』の影響が大きいように思える。

旋律の美しさには、ブラームスの影響も感じられる。

リヒャルト・デーメルという詩人の詩をベースにしており、男女の緊張と和解、赦しなどのテーマが、美しい音色で表現されている。

2013年1月に行われたN響の演奏から。指揮は、デーヴィッド・ジンマン。

ブラームス:ピアノ協奏曲第2番

1877年から作曲を開始し、1881年に完成したブラームスの2つめのピアノ協奏曲。1番目の作品から、すでに22年が経っていた。

イタリアに行ったことがきっかけになっているせいか、全体的に明るい曲になっている。

ピアノのカデンッア部分はないが、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番と並んで、最も難しいピアノ協奏曲の1つになっている。

ブラームスは、初演で自ら完璧にこの曲を弾きこなしたという。若き日に、シューマンに衝撃を与えたピアノ・テクニックは、その後も衰えてはいなかった。

第1楽章は、重厚な感じ。

第2楽章は、一転して軽快な音楽。

第3楽章は、短いが、チェロの哀愁のあるメロディが印象的。

第4楽章は、ピアノの軽快なメロディで始まり、比較的穏やかなフィナーレを迎える。

交響曲のような協奏曲といわれるが、ブラームスの他の交響曲とは趣が異なる。ブラームスには、その2つの音楽形式に対する明確な違いの基準があったようだ。

2013年1月のN響の演奏。ピアノはエレーヌ・グリモー。指揮は、デーヴィッド・ジンマン。

ムソルグスキー:組曲『展覧会の絵』

ムソルグスキーが、夭折した、友人で建築家で画家のヴィクトル・ガルトマンを偲んで、その残された絵画作品をもとに、1874年に作曲された。

ラヴェルによってオーケストラ用に編曲された作品もよく演奏される。

冒頭の有名なメロディが、何度も繰り返し演奏され、その間に、ガルトマンの10枚の絵画作品からインスピレーションを受けた曲が配される、という珍しい構成。

ムソルグスキーは、このころは、すでにアルコール中毒に苦しんでいたが、この曲は、わずか2〜3週間で書き上げてしまったという。

2012年のフランス、なんとで開催されたフォルジュルネにおける、ダヴィット・カドシュの演奏。

よけいな所は削ぎ落としながら、しかし、情感のある部分はダイナミックに、メリハリの効いた演奏だった。

2013年4月6日土曜日

プロコフィエフ:オペラ『賭博者』

プロコフィエフが、ドストエフスキーの小説をもとに作曲したオペラ。24才だった1915年に作曲に着手、1917年に初戦される予定だったが、革命の影響で延期され、初演されたのはブリュッセルで1929年になってからだった。

そのせいか、その後の上演機会にもあまり恵まれていないオペラになってしまった。

オペラといっても、アリアもなく、台詞を音楽に乗せてしゃべる、音楽劇のような構成になっている。音楽は、全般的にモダンな内容になっている。

聞き所は、中盤付近の遺産目当てに叔母の死を待ち望んでいた将軍の前に、突然、その叔母が元気な姿で表れるシーン。その登場にプロコフィエフは、ロシアの伝統的な音楽を思わせる、重厚な音楽を使っている。

叔母は、医者の治療でなかなか直らないので、ロシア正教の牧師の民間療法を試し、それで、病気が治ってしまった。

もうひとつの聞き所は、終盤付近で、主人公の若い家庭教師、アレクシスが、愛する女性ポリーナのために、賭けの大勝負に出て、大儲けする場面。こちらは一転して、不協和音が鳴り響く。

実に面白いオペラだ。もっと上演されていいオペラだと思う。

プロコフィエフは、このオペラを作曲したとき、主人公のアレクシスとほぼ同じ位の年齢だった。この主人公に、感情移入をしていたのかもしれない。

2008年9月に行われた、ベルリン州立歌劇場での公演から。指揮はバレンボイム、アレクシスには、ミーシャ・ディディク。ポリーナにはクリスティーネ・オポライス。

2013年4月3日水曜日

グリーグ:ピアノ協奏曲

ノルウェー生まれのエドヴァルド・グリーグが、25才の時に作曲した唯一のピアノ協奏曲。

グルーグはその後もピアノ協奏曲に挑んだが、結局完成せず。これが唯一のピアノ協奏曲となった。晩年に至るまで、何度も改訂を行っている。

そのせいもあってか、この曲は、数あるピアノ協奏曲の中でも、屈指の作品に仕上がっている。

第1楽章は、一度聞いたら忘れられない印象的な主題で始まる。ベートーベンの運命の冒頭のようにも聞こえる。グリーグは、フィヨルドに注ぐ滝をイメージしていたという。

その後に、それとは正反対の少しダークで、ムードのある第2主題が続く。ここまで聞いて、完全にこの曲に魅力にはまっていることがわかった。

第2楽章に現れる、ピアノの細かいパッセージは、まるで水の雫が飛び跳ねているようだ。

第3楽章は、ロンドの軽快でまるでソナタのような雰囲気もありつつ、最後は壮大なソナタ形式で幕を閉じる。

ピアノはエリザベート・レオンスカヤ、パーヴォ・ヤルヴィ指揮、パリ管弦楽団の2010年11月の演奏。

2013年3月30日土曜日

東京・春・音楽祭 ワーグナーとヴェルディ ヴェネツィアーワーグナーの死~悲しみのゴンドラ

2013年の東京・春・音楽祭、ワーグナーとヴェルディをテーマにしたマラソンコンサートの最後、第Ⅴ部は、ヴェネツィアーワーグナーの死~悲しみのゴンドラ。

ワーグナーは、1883年にヴェネツィアを旅行し、旅行中の2月13日に、70才を目前に心臓発作で客死した。

演奏された曲は、以下の6曲。
リスト-ワーグナー:
 楽劇《トリスタンとイゾルデ》より「イゾルデの愛の死」S.447 
リスト:
 リヒャルト・ワーグナーの墓に S.135 
 悲しみのゴンドラ S.134
 R.W.(リヒャルト・ワーグナー)- ヴェネツィア S.201
 リヒャルト・ワーグナーの墓に S.202
リスト-ワーグナー:
 舞台神聖祝典劇《パルジファル》より「聖杯への厳かな行進曲」S.450


ピアノを中心にした構成ということもあり、すべてリストの絡んだ曲。

ワーグナーの死の直後に書かれた、リヒャルト・ワーグナーの墓に、という曲は、ピアノ版と弦楽四重奏版の2曲が演奏された。その余りにも単純で短い曲は、リストがヴェルディを失った悲しみをよく表している。その死を悼むには、多くの音やメロディはいらない、ということなのだろう。


東京・春・音楽祭 ワーグナーとヴェルディ ヴェルディの歌曲&室内楽~ロマンツァ

2013年の東京・春・音楽祭、ワーグナーとヴェルディにちなんだマラソンコンサート。第Ⅳ部は、ヴェルディの歌曲&室内楽~ロマンツァ。

ヴェルディといえば、どうしてもオペラの曲だけがよく演奏されるが、このコンサートでは、以下の珍しい曲が演奏された。
歌のないロマンツァ 
《6つのロマンツァ》(1838年)
  1.墓に近寄らないでほしい
  2.エリーザよ、疲れた詩人は死ぬ
  3.寂しい部屋で
  4.暗い夜の恐怖の中で
  5.私はやすらぎを失い
  6.ああ悲しみの聖母様
逃亡者
誘惑 
弦楽四重奏曲 ホ短調 
《6つのロマンツァ》(1845年)
  1.日没
  2.ジプシーの女
  3.ひとつの星に
  4.煙突掃除夫
  5.神秘
  6.乾杯
哀れな男 
ストルネッロ


2つのロマンツァのうち、最初のものは、まだオペラを作曲する以前の20代の頃の作品。後半のものは、ナブッコがヒットして、売れっ子になった頃に作曲されたもの。

ヴェルディが弦楽四重奏曲を作ったことは全く知らなかった。アイーダのナポリ公演の最中に作曲されたものだという。

ヴェルディは、自分はオペラ専門で、こうした弦楽曲はあまり得意ではないと思っていたのか、この曲に対して、”美しいのか醜いのかわかりません。”と語ったという。

曲の内容は、ヴェルディのオペラのように、ダイナミックな展開はあまりなく、淡々と曲か進んでいく、という印象だった。

東京・春・音楽祭 ワーグナーとヴェルディ ワグネリアン~ワーグナーの影響を受けた人々

2013年、東京・春・音楽祭のワーグナーとヴェルディをテーマとしたマラソンコンサート。第Ⅲ部は、ワグネリアン~ワーグナーの影響を受けた人々。

演奏された曲目は、以下の通り。
フォーレーメサジェ:バイロイトの思い出
ブルックナー:
 回想
 秋の夕べの静かな物思い
ニーチェ:
 序奏
 プスタの月の光の中で
 我らが祖先の記憶(2つのポーランド舞曲)
   1.マズルカ 
   2.居酒屋より
リスト-ワーグナー:
 歌劇《タンホイザー》より「夕星の歌」レチタティーヴォとロマンス S.380
マーラー(デレヴィヤンコ編):《亡き子をしのぶ歌》より
   1. いま晴れやかに陽が昇る
   2. なぜそんに暗い眼差しだったのか、今てよくわかる
ブルックナー:交響曲 第3番 ニ短調《ワーグナー》より 第2楽章 

中でも注目は、あまり知られていないニーチェのピアノ曲。すべてニーチェが20代の頃に作曲したものだという。

しかし、へえ、こんな曲を作っていたんだ。という程度の感想で、あまり深い印象は残っていないのが正直な所。

印象に残ったのは、古川展生によるチェロ版のマーラー、亡き子を忍ぶ歌。古川の奏でるチェロの物悲しいメロディが、この曲のテーマをよく表現していた。

東京・春・音楽祭 ワーグナーとヴェルディ ピアニストたちが奏でるワーグナー&ヴェルディ

2013年、東京・春・音楽祭のマラソンコンサート。第Ⅱ部は、ピアニストたちが奏でるワーグナー&ヴェルディ。

演奏された曲目は、以下の6曲。
リスト-ワーグナー:歌劇《タンホイザー》より「優しい夕星よ」レチタティーヴォとロマンス S.444 
リスト-ワーグナー:歌劇《タンホイザー》より「巡礼の合唱」 S.443 
リスト-ヴェルディ:歌劇《リゴレット》演奏会用パラフレーズ S.434 
リスト-ワーグナー:歌劇《タンホイザー》と《ローエングリン》からの 2つの小品より「エルザの結婚の行進」 S.445-2 
リスト-ヴェルディ:歌劇《トロヴァトーレ》のミゼレーレ S.433 
歌劇《エルナーニ》演奏会用パラフレーズ S.432 


すべての曲は、オペラのオリジナルをリストがピアノに編曲したもの。リストは、1811年生まれで、ワーグナーとヴェルディと同時代を生きた。

特に、ワーグナーとは、自分の娘のコジマがその妻になったことから、とりわけ深い関係だった。

リストは、オリジナルのテーマをそのままに、しかし、完全に自分のピアノ曲にしてしまっている。

これを、3人のピアニスト高田匡隆、田村 響、山本貴志が、交互に登場して演奏した。

リストが、自分のピアノ・テクニックをデモンストレーションするかのように編曲したこれらの難曲を、3人の若いピアニストが次々に攻略していくこのコンサートは、それ自体がまさに”歌劇”のようだった。

東京・春・音楽祭 ワーグナーとヴェルディ 朝《リング》~ヴァイオリンとピアノによる《ニーベルングの指環》

2013年の東京・春・音楽祭。朝11時から、1時間づつの休憩を挟みながら、夜8時まで行われるマラソンコンサート。今年は、ワーグナーとヴェルディの生誕200年にちなんだプログラムが構成された。

第Ⅰ部は、朝《リング》~ヴァイオリンとピアノによる《ニーベルングの指環》。

演奏された曲目は、以下の7曲。
ジークフリート・パラフレーズ(ウィルヘルミ編)
楽劇《ラインの黄金》より「ラインの乙女たち」(マイヤー編) 
楽劇《ワルキューレ》より「愛の歌」(シンディング編)
楽劇《ワルキューレ》より「死の予告」(ブラントシュテットナー&シュルツェ=ビーザンツ編)
楽劇《ジークフリート》より「小鳥たちは歌った」(クリントヴォルト編)
楽劇《神々の黄昏》より「葬送行進曲」(ゲルトナー&佐藤久成編)
楽劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》より「優勝の歌」(ウィルヘルミ編) 

朝一番から、リングを聞かされるのは、重いなあ、と思っていたが、ヴァイオリンに編曲された曲は、以外に、寝ぼけた頭に優しく染みわたった。

ただ、葬送行進曲だけは、ピアノとヴァイオリンだけでも、やはりダイナミックに聞こえた。

ヴァイオリニストの佐藤久成は、演奏しながら、時折会場の様子を伺う余裕も見せる。どことなく愛嬌を感じさせるその表情は、失礼ながら、クラシック音楽の演奏家というよりは、ポピュラー音楽を演奏しているような雰囲気さえあった。

その佐藤は、葬送行進曲には自ら手を加えている。おそらく、より迫力が出るように改編したのだろう。

2013年3月24日日曜日

ワーグナー:ヴィーゼンドンクの5つの歌

ワーグナーが『トリスタンとイゾルデ』と平行して作曲した歌曲集。

元となっている詩を作成したマティルデ・ヴィーゼンドンクは、ワーグナーのパトロンであり、恋人でもあった。

以下の5つの歌で構成されている。
1. 天使 Der Engel
2. とまれ Stehe still!
3. 温室にて Im Treibhaus
4. 悩み Schmerzen
5. 夢 Träume

第3曲と5曲は、『トリスタンとイゾルデ』のための試作とされていて、全体の雰囲気も良く似ている。

最後の”夢”という歌の最後で、夢はあなたの胸の中で消えていく・・・、という部分などは、確かにトリスタンの最後とそっくりだ。

ソプラノはニーナ・シュテンメ、指揮マリス・ヤンソンス、ウィーンフィルのザルツブルグ音楽祭2012での演奏から。

リヒャルト・シュトラウス:交響詩『ドン・ファン』

リヒャルト・シュトラウスが、1888年に作曲した交響詩。

ドン・ファンを主題にしたニコラウス・レーナウの詩に基づいて作曲され、ドン・ファンやそれぞれの女性達を象徴するテーマで構成されている。

かつて、NHKのN饗アワーのテーマ曲であったため、馴染みの深い曲。

冒頭の華々しいテーマは、快楽を、ホルンを中心としたテーマはドン・ファンを、ヴァイオリンを中心としてテーマは女性などを表している。

純粋に音楽として聞いていても、ホルンなど金管楽器を使った音楽と、ヴァイオリンの弦楽器の対比は、それだけで美しい。

指揮、マリス・ヤンソンス、ウィーンフィルのザルツブルグ音楽祭2012年の演奏から。

2013年3月20日水曜日

プロコフィエフ:交響曲第3番

プロコフィエフが、パリ時代の1928年に作曲した3番目の交響曲。その前年に完成したオペラ『炎の天使』の中の曲を、新たに交響曲に構成し直したもの。

そのせいか、様々なテーマが次から次へと表れて、多彩な内容の交響曲になっている。

始まりは静か。いろいろな音楽が展開された後で、重々しい雰囲気でフィナーレを迎える。

ヴァレリー・ゲルギエフ指揮、マリインスキー劇場管弦楽団による、2012年4月16日にモスクワ音楽院大ホールでの演奏から。

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番

プロコフィエフが、ペテルブルグ音楽院の在学中に構想し、1911年から12年にかけて作曲した最初のピアノ協奏曲。

冒頭で演奏される主題が、とても印象的で、耳に強く残る。楽章は1つしかなく、最後まで休みなく演奏されるが、3つの部分から構成されている。

ピアノ、ダニール・トリフォノフ。ヴァレリー・ゲルギエフ指揮、マリインスキー劇場管弦楽団による、2012年4月15日にモスクワ音楽院大ホールで行われた演奏。

プロコフィエフ:交響曲第2番

プロコフィエフが、革命のロシアを逃れ、アメリカ経由でパリに移り住んだ1924年から25年にかけて作曲された曲。

当時のパリの雰囲気に合わせ、現代的な交響曲を目指して作曲された。テーマは、”鉄とはがねで作られた大交響曲”だった。

第1楽章は、いかにも、現代音楽風な音楽で、プロコフィエフが、思いっきり弾けてみました、といった感じ。

第2楽章は、主題をもとにした、6つの変奏曲でなりたって、他に見られない、得意な形式の交響曲になっている。第3楽章以降はない。

第1楽章の騒々しさに比べ、第2楽章は、主題のバリエーションを静かに楽しむ、といった内容になっている。終わりも静かに終わる。

パリでの初演は、観客からなんの反応もなく、プロコフィエフは、自分は2流の作曲家なのかもしれない、と落ち込んだというエピソードが残っている。

2012年4月16日にモスクワ音楽院大ホールで行われた演奏。ヴァレリー・ゲルギエフ指揮、マリインスキー劇場管弦楽団。

2013年3月17日日曜日

ワーグナー:オペラ『タンホイザー』

ワーグナーが、1845年に5番目のオペラとして完成させたもの。正確には、『タンホイザーとヴァルトブルグの歌合戦』という名前。その同じ名前の2つの伝説から、ワーグナーが自ら脚本も手がけた。

ワーグナーの数あるオペラの中でも、この序曲はもっとも有名な物の1つ。その壮麗な音楽は、CMなどにもよく使われる。

一度は、愛欲の女神ヴェーヌスの魅力に取り憑かれ、堕落したヴェーヌスベルクに暮らしていた騎士タンホイザーが、かつての恋人、エリザベートの自らの命と引き換えにしたその愛によって救われる。

序曲に登場する対照的な2つのテーマは、この愛欲の世界と、崇高な愛の世界を、それぞれ表している。

一度は、堕落した男が、清純な女性の愛によって救われるという話は、ゲーテのファウスト相通じるテーマであり、歌合戦というテーマは、後のマイスタージンガーにも通じる。

2008年のリセウ劇場における公演は、タンホイザーを画家にみたて、冒頭から、女神ヴェーヌスが全裸で登場する、という大胆な演出を行った。

2013年3月3日日曜日

ベッリーニ:オペラ『清教徒』

シチリア、カターニャ生まれのヴィンチェンツォ・ベッリーニが、死の前年、1834年にパリで作曲した最後のオペラ。

舞台は、ピューリタン革命時代のイングランド。ピューリタン教徒の議会派と、国王派が対立する状況の中での、議会派のリッカルドと国王派のエルヴィラとの恋の物語。

ヒロインのエルヴィラは、一度はリカルドとの結婚を認められるが、状況の変化によってリッカルドが逃亡し、背景を知らないエルヴィアらは、一時は精神を病んでしまうが、リッカルドの帰還によって、正常な精神を取り戻す、という難しい演技と、高音を歌いきる歌唱力が要求される。

同時代の作曲家、ドニセッティにも、イングランドを舞台にした『アンナ・ボレーナ』などの作品がある。二人の描いたイングランドの人々は、一般的なイングランド人のイメージとは違い、恋に生きる、まるでイタリア人のように描かれているのが面白い。

2009年のボローニャ歌劇場の公演は、エルヴィラ役のニノ・マチェイゼよりは、リッカルド役を演じた天才テノールといわれるサン・ディエゴ・フローレスが大きな注目を浴びた。

2013年3月2日土曜日

フォーレ:レクイエム

フランスの作曲家、フォーレが1887年1988年にかけて作曲したレクイエム。モーツァルト、ヴェルディの作品とならんで、3大レクイエムといわれる。

モーツァルトやヴェルディと違い、”怒りの日”という、神の力を強調し、音楽がもっともダイナミックになる音楽の部分が抜けているため、全体的に、静かに死を悼む、という感じのレクイエムになっている。

その意味では、フランス音楽の特徴をよく表すレクイエムでもある。

中でも、第4曲の、ピエ・イエズ、がとりわけ美しい。

フォーレは、この曲を作る直前に、父と母を相次いで亡くしており、自分の両親を弔う、という意味もあったのだろう。

2011年2月にパリで行われた、パーヴォ・ヤルヴィ指揮、パリ管弦楽団&合唱団の演奏は、このレクイエムのハイライトである第4番目の曲、Pie Jesuを歌ったソプラノ、イスラエル出身のチェン・ライスの歌声が澄んでいて美しく、印象に残る演奏だった。

2013年1月19日土曜日

ドヴォルザーク:交響曲第9番『新世界より』

チェコを代表する、後期ロマン派のドヴォルザークが、アメリカ滞在中の1893年に作曲した9番目の交響曲。新世界から、故郷のボヘミアに向けて、という意味があるという。

数ある交響曲の中でも、最も有名なものの一つで、演奏機会も多い。

4つの楽章、すべてに印象的なメロディーが含まれ、ロマン派らしいダイナミックな構成。まさに、パーフェクトな交響曲で、コンサートにはうってつけ。

しかし、その終わり方は静かな終わり方で、それまでの壮大さとの対比が印象的。

新大陸のアメリカの黒人音楽などに刺激を受けたと言われている。おそらく、急成長するアメリカ、そのもののダイナミックさが、彼の音楽に表れたのだろう。

トーマス・ダウスゴー指揮、デンマーク国立交響楽団の2009年6月の演奏。

ニールセン:交響曲第3番『広がりの交響曲』

日本ではあまりメジャーではないが、デンマークを代表する作曲家、カール・ニールセンが、1910〜1911年にかけて作曲した3番目の交響曲。

第1楽章にAlegro Expansivoとあることから、”広がりの交響曲”と呼ばれる。その明るい、牧歌的な雰囲気から、ニールセンの田園交響曲とも言われる。

第2楽章に、ソプラノとバリトンが歌うパートがある。歌詞はなく、”アー”と歌うだけ。人間の声を楽器として使用している。

演奏は、トーマス・ダウスゴー指揮、デンマーク国立交響楽団の2009年6月の演奏。

演奏の後に、指揮者ダウスゴーのインタビューがあった。デンマーク人のダウスゴーにとって、ニールセンという存在は、あまりに巨大過ぎ、若い時は逆に敬遠していた、という話が興味深かった。

2013年1月13日日曜日

リヒャルト・シュトラウス:オペラ『ナクソス島のアリアドネ』

Rシュトラウスが、47才頃に作曲したオペラ。ホフマンスタールの台本。最初、劇中劇として作成した物を、後にオペラに変更した。

そのせいか、Rシュトラウスの『サロメ』や『薔薇の騎士』などの他のオペラとは、趣の変わったものとなっている。

あるスポンサーに、悲劇と喜劇を同時に演じろ、と言われ、その状況の不条理さに戸惑う人々の姿が描かれる。

第1幕は、悲劇こそ芸術の王道と考える作曲者と、それを軽い気持ちで慰める喜劇の人々、そうした対照的なドタバタが、軽い音楽で展開される。

第2幕では一転、悲劇と喜劇が、一体となった素晴らしいオペラが演じられる。Rシュトラウスの重厚で濃密な音楽が、第1幕のドタバタの後で、より印象的に感じられる。

悲劇と喜劇が一体となり、美しい音楽が伴えば、最高の芸術が生まれる、ということか。

2006年のチューリッヒ歌劇場の講演は、悲劇側のソプラノ、アリアドネ役のエミリー・マギーと、喜劇側のソプラノ、チェルピネッタ役のエレーナ・モシェクの二人の”対決”が見事。

2013年1月5日土曜日

ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート1987

1987年のウィーンフィル・ニューイヤーコンサートは、ザルツブルグで生まれたヘルベルト・フォン・カラヤンが最初にして最後の指揮を務めた。

この年、カラヤンは78才。この2年後の1989年に亡くなっている。指揮台の上で、ずっと立ち続けることはすでにできず、手すりにもたれかかっての演奏だった。

しかし、ニューイヤーコンサートということもあり、表情は明るく、楽しそうに演じていた。このような明るいカラヤンの指揮の様子は、実に珍しい。

カラヤンというと、目を閉じて重々しく指揮するイメージが強いが、晩年は目を開けて指揮していた。

演奏曲は、おおむね伝統的な内容だったが、この年は珍しくソプラノのキャスリーン・バトルが登場し、『春の歌』を歌った。

カラヤンは、長くベルリンフィルの音楽監督を務めていたが、この時期は両者は対立関係にあり、カラヤンはウィーンフィルとの活動に軸足を移していた時期だった。

カラヤンの前任者ロリン・マゼールまでは、このニューイヤーコンサートの指揮は、一人の指揮者が長年務めていたが、このカラヤン以降は、ほぼ毎年指揮者を変えるようになった。

ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート1974

1974年のウィーンフィルのニューイヤーコンサートを映像で見た。

指揮者は、ヴィリー・ボフコフスキー。コンサートマスターとしてもウィーンフィルで活躍し、ニューイヤーコンサートの指揮を、20年以上にもわたり務めた。

この1974年のコンサートは、ボフコフスキーにとって20回目にあたる記念すべき演奏となった。演奏の合間に、団員から、ケーキで作ったヴァイオリンが送られた。

曲目は、美しき青きドナウ、皇帝円舞曲、ラデツキー行進曲、など今もお馴染みなものばかり。

団員のおふざけは、いまよりも過激な印象。打楽器演奏のフランツ・ブロシェクは、毎年奇抜な衣装で観客を楽しませた。

この年は、ブロシェクがそうした演出を初めて20年目にもあたり、彼にも記念のケーキが送られていた。

ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート2013

今年のウィーンフィルのニューイヤーコンサートは、指揮者がフランツ・ウェルザー=メストだった。

1960年生まれのメストは、53才と若く、2010年に小沢征爾の公認としてウィーン国立歌劇上の音楽監督に就任している。

指揮者が若いと、コンサート自体もフレッシュに感じる。指揮途中、演奏者に、動物のぬいぐるみを次々に渡すといった、新年らしい微笑ましい演出が楽しかった。

しかも、演奏された曲も、初演の曲が多かった。

来年は、ダニエル・バレンボイムが2度目の指揮をすることに既に決まっている。チケットの発売も、すでに1月2日から始まっている。