2016年12月31日土曜日

チャイコフスキー:オペラ『イオランタ』

 チャイコフスキーが1891年に作曲した、最後のオペラ作品。

プロヴァンスの王女イオランタは、生まれつき目が見えず、王のレネは彼女を城に閉じ込めていた。

イオランタは、周囲の人々が慮って何も話していないため、自分が盲目とは知らない。

そこに、偶然通りかかったヴォルテモン公爵が城を訪れて王女に会い、その美しさゆえに恋に落ちる。

イオランタは、医師により目が治り、最後はハッピーエンドとなる。

盲目だが、それが自分でわからない、という設定がユニークで、なんだかとても示唆的なストーリー。

音楽はさすがチャイコフスキー。どれも美しい。特に、医師のハキアが、医師としての持論を歌い上げる部分が、スラヴの民族音楽ような調べで実に美しい。

2016年3月、パリのオペラ座によるガルニエ宮での公演から。

2016年12月23日金曜日

フンパーディンク:オペラ『ヘンゼルとグレーテル』

ドイツの作曲家、エンゲルベルト・フンパーディンクが1891〜1892年にかけて作曲した、3幕のオペラ。

原作は、グリム童話のヘンゼルとグレーテルだが、フンパーディンクの妹が書き下ろした台本では、原作では悪役の母親が、優しい人物として描かれている。

日本では、子供だましのオペラ、という印象があるが、ドイツを始め、欧米では上演機会の多い作品とのこと。

フンパーディンクは、一時期ワーグナーのもとで助手を務めていたことがあるようで、音楽の内容は、ワーグナーに似ている。

ワーグナーの楽劇の毒を抜いて、親子で楽しめる作品になっている。

2015年11月に行われた、ウィーン国立歌劇場の講演から。指揮は、クリスティアン・ティーレマン。

2016年11月27日日曜日

グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲

ロシアの作曲家、アレキサンドル・グラズノフが1904年に作曲した、ヴァイオリン協奏曲。

モデラート、アンダンテ・ソステヌート、アレグロという3つのパートから構成されているが、切れ目なく演奏される。

間で演奏されるカデンツが聴きどころか。

2016年10月のNHK交響楽団の定期公演から。指揮はアレクサンドル・ヴェデルニコフ、ヴァイオリンはワディム・グルズマン。

2016年11月26日土曜日

ヴィラ=ロボス:弦楽四重奏曲第16番

ヴィラ=ロボスが、1955年に作曲した、16番目の弦楽四重奏曲。

第1楽章 Allegro non troppo。印象的な主題が奏でられる。

第2楽章 Molto andante, quasi adagio。

第3楽章 Scherzo: Vivace。

第1、第2楽章とも、けだるいヴィラ=ロボス独特の基調が続いたが、一転して第3楽章では軽快なスケルツォに変わる。

第4楽章 Molto allegro。まとまりのない印象の個性的な音楽で始まる。そのまま、いろいろなテーマが現れては消えて、終わりを迎える。

2010年7月~2011年5月にかけて、リオ・デ・ジャネイロのラランジェイラス宮殿で行われた、クアルテート・ハダメス・ジナタリによる演奏。

ヴィラ=ロボス:弦楽四重奏曲第15番

ヴィラ=ロボスが、1954年に作曲した、15番目の弦楽四重奏曲。

第1楽章 Allegro non troppo。印象的な主題が奏でられる。

第2楽章 Moderato。

第3楽章 Scherzo: Vivo。短いが、印象的な楽章。

第4楽章 Allegro。

2010年7月~2011年5月にかけて、リオ・デ・ジャネイロのカテナ宮殿で行われた、クアルテート・ハダメス・ジナタリによる演奏。

ヴィラ=ロボス:弦楽四重奏曲第14番

ヴィラ=ロボスが、1953年に作曲した、14番目の弦楽四重奏曲。

第1楽章 Allegro。

不協和音のような基調が続く、ユニークな音楽。

第2楽章 Andante。静かで、内省的な音楽。

第3楽章 Scherzo。

静かな瞑想をしているような音楽。

第4楽章 Molto Allegro。

2010年7月~2011年5月にかけて、リオ・デ・ジャネイロ市立劇場で行われた、クアルテート・ハダメス・ジナタリによる演奏。

2016年11月20日日曜日

ハチャトリアン:ヴァイオリン協奏曲

アルメニア人の作曲家、アラム・ハチャトリアンが、1940年に作曲したヴァイオリン協奏曲。

ハチャトリアンらしい、民族色にあふれたヴァイオリン協奏曲。

第1楽章 Allegro con fermezza。

第2楽章 Andante sostenuto。

第3楽章 Allegro vivace。

2015年4月、フランスのトゥールーズでの演奏。ヴァイオリンはセルゲイ・ハチャトゥリアン、トゥガン・ソヒエフ指揮、トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団の演奏。

2016年11月19日土曜日

ブラームス:弦楽四重奏曲第3番

ブラームスが1875年に作曲した、3番目の弦楽四重奏曲。これが、ブラームスにとっては、最後の弦楽四重奏曲となった。

第1楽章 Viviace。明るい雰囲気に包まれた音楽。

第2楽章 Andante。メリハリが効いている。古典的な印象の音楽。

第3楽章 Agitato; Allegretto non troppo。不安に満ちた始まり。

第4楽章 Poco Allegretto con Variazioni。再び明るい貴重になり、軽快に終わる。

第1番や第2番の重苦しさとは無縁の弦楽四重奏曲。

ベルチャ四重奏団による、2015年8月のバーゼルでの演奏。

ブラームス:弦楽四重奏曲第1番

ブラームスが1873年に発表した、最初の弦楽四重奏曲。

何事にも慎重だったブラームスは、最初の交響曲にも20年かけた、と言われるが、この最初の弦楽四重奏曲にも、完成までに8年の時間を要した。

その間には、膨大な楽譜を書いてはボツにしたと言われ、発表の時には、第2番もともに発表している。

第1楽章 Allegro。重厚でブラームスらしい音楽。

第2楽章 Romanze: Poco Adagio。重厚な雰囲気を引き継ぎながらも、半ば夢を見るような印象の音楽。

第3楽章 Allegretto molto moderato e comodo。重厚さが引き続き続いていく。

第4楽章 Allegro。劇的な始まりで、これまで抑えられていた感情が一気に引き出されたような印象を受ける。ロマン派らしい音楽。

ベルチャ四重奏団による、2015年8月のバーゼルでの演奏。

2016年11月6日日曜日

リヒャルト・シュトラウス:アルプス交響曲

リヒャルト・シュトラウスが、1914年〜1915年にかけて作曲した交響曲。

交響曲と名つけられているが、楽章から構成されてはいない。

夜に始まり、日の出から日没まで、そして再び夜へ。その1日の中での、登り道、小川、滝、牧場、氷河などのアルプスの情景が、短い音楽によって綴られている。

他のシュトラウスの曲でも聴くことのできる、シュトラウスの音楽の断片が、所々に織り込まれている。

シュトラウスが幼い時にアルプスに登った時の印象が元になっており、ニーチェのアンチクリストなどの影響も受けている。

神の存在しない自然の情景を音楽によって描いた、といったところだろうか。

2014年6月に、ドレスデンのゼンパーオーパーで行われた、リヒャルト・シュトラウス生誕150年記念コンサートでの演奏。

この交響曲を本人による指揮で初演した、シュターツカペレ・ドレスデンと、指揮者はクリスティアン・ティーレマン。

2016年11月3日木曜日

ブラームス:弦楽四重奏曲第2番

ブラームスが1873年に作曲した2番目の弦楽四重奏曲。

第1楽章 Allegro non troppo。イ短調だが、重厚で壮麗な音楽。

第2楽章 Andante moderato。しっとりと、じっくりと聴かせる楽章。

第3楽章 Quasi Menuetto, moderato。一転して軽快な音楽。

第4楽章 Finale. Allegro non assai。第3楽章の雰囲気がそのまま引き継がれている。

それまで抑えられていたブラームスの情熱的な音楽が、最後の楽章で立ち現われてきたといった印象。

アルバン・ベルグ四重奏団による、1991年のサンクトペテルブルクでの演奏。

アルバン・ベルグ:弦楽四重奏曲

アルバン・ベルグが1910年に作曲した弦楽四重奏曲。

第1楽章 Langsam。

第2楽章 Mäßige viertel。

ベルグらしい、聴く人の不安を掻き立てるような音楽。

アルバン・ベルグ弦楽四重奏団による、1991年のサンクトペテルブルクでの演奏。

モーツァルト:弦楽四重奏曲第15番

モーツァルトが1783年に作曲した、15番目の弦楽四重奏曲。いわゆるハイドン・セットのうちの一曲。

ハイドン・セットの6つの弦楽四重奏曲の中では、唯一の短調の弦楽四重奏曲で、明るいイメージとは違った、モーツァルトのもう一つの一面が堪能できる。

第1楽章 Allegro moderato。

第2楽章 Andante。

第3楽章 Menuetto. Allegretto - Trio。

第4楽章 Allegretto ma non troppo。

アルバン・ベルグ弦楽四重奏団による、1991年のサンクトペテルブルクでの演奏。

2016年10月30日日曜日

ヴィラ=ロボス:弦楽四重奏曲第13番

ヴィラ=ロボスが、1951年に作曲した、13番目の弦楽四重奏曲。

第1楽章 Allegro non troppo。

不安さを感じさせる音楽。

第2楽章 Scherzo-vivace。

第3楽章 Adagio

静かな瞑想をしているような音楽。

第4楽章 Allegro vivace。

短いが、印象的な個性的な音楽。

2010年7月~2011年5月にかけて、リオ・デ・ジャネイロ市立劇場で行われた、クアルテート・ハダメス・ジナタリによる演奏。

ヴィラ=ロボス:弦楽四重奏曲第12番

エイトル・ヴィラ=ロボスが、1950年に作曲した12番目の弦楽四重奏曲。

ヴィラ=ロボスは、この時期、病気の治療のためにニューヨークを訪れていた。

第1楽章 Allegro。

第2楽章 Andante malinconico - Poco piu mosso - Tempo I。

第3楽章 Allegretto leggiero - Poco vivace - Tempo I - Quasi vivo。

文字通りの生き生きとした音楽。

第4楽章 Allegro ben ritmato - Poco meno - Allegro piu mosso。

エンディングが秀逸。

前半は、やや暗い印象で、後半は明るい音楽に変わる。

まるで、自分の病気の現状と、将来への回復の望みがそのまま音楽になったようだ。

2010年7月~2011年5月にかけて、リオ・デ・ジャネイロのラランジェイラス宮殿で行われた、クアルテート・ハダメス・ジナタリによる演奏。

ヴィラ=ロボス:弦楽四重奏曲第11番

ヴィラ=ロボスが、1947年に作曲した、11番目の弦楽四重奏曲。

第1楽章 Allegro non troppo。

第2楽章 Scherzo vivace。

第3楽章 Adagio。

第4楽章 Poco andantino (quasi allegro)。

第1〜3楽章は、古典的な内容。第4楽章は、ヴィラ=ロボスらしい個性的な音楽。

2010年7月~2011年5月にかけて、リオ・デ・ジャネイロ市立劇場で行われた、クアルテート・ハダメス・ジナタリによる演奏。

2016年10月29日土曜日

バルトーク:2台のピアノと打楽器のための協奏曲

バルトークが1940年に作曲した、2台のピアノと打楽器と管弦楽のための協奏曲。

1937年に作曲した、2台のピアノと打楽器のためのソナタに、管弦楽を加えたもの。

打楽器と演奏することで、ピアノの打楽器的な性格を引き出した音楽。

太鼓やシンバルといった打楽器も、ピアノと共演することで、その繊細な面が引き出されてもいる。

エサ=ペッカ・サロネン指揮、パリ管弦楽団による、2015年10月、フィルハーモニー・ド・パリでの演奏。ピアノはラベック姉妹。

バルトーク:舞踏組曲

バルトークが1923年に作曲した、管弦楽用の舞曲。

5つの舞曲で構成されており、それぞれにテンポの指定がされていて、交響曲のような作りにもなっている。

第1舞曲 Moderato。
第2舞曲 Allegro molto。
第3舞曲 Allegro vivace。
第4舞曲 Molto tranquillo。
第5舞曲 Comodo。
終曲 Allegro。

ハンガリー風、アラブ風な音楽がベースだが、同時期に『中国の不思議な役人』を作曲していたこともあり、中国風な音楽も時折顔を出す。

エサ=ペッカ・サロネン指揮、パリ管弦楽団による、2015年10月、フィルハーモニー・ド・パリでの演奏。

ウストヴォーリスカヤ:交響曲第3番『救世主イエスよ、われらを救いたまえ』

1919年に生まれ、2006年に亡くなった、現代のロシアの作曲家、ガリーナ・ウストヴォーリスカヤが1983年に作曲した3番目の交響曲。

ウストヴォーリスカヤは、ショスタコーヴィッチに音楽を学び、一時は恋愛関係にあったと言われている。

神への祈りを朗読することに始まり、終始、単純だが信仰心を表した音楽で構成されている。

師であったショスタコーヴィッチと、ロシアの神秘的な音楽家、スクリャービンの要素が入り混じった音楽といったところか。

2016年、BBCプロムスでの演奏。指揮はゲルギエフ、演奏はミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団。

2016年10月23日日曜日

ベッリーニ:オペラ『カプレーティ家とモンテッキ家』

シチリア生まれのヴィンチェンツォ・ベッリーニが作曲し、1830年にヴェネツィアで初演されたオペラ。

内容は、いわゆるロミオとジュリエットの話。

ベッリーニは、この翌年の30歳の時に、夢遊病の女が大ヒットにして一躍その名が知られるようになった。

以後、ノルマ、清教徒などの代表的な作品を発表するが、パリの地で1835年にわずか35歳という若さでこの世を去ってしまった。

誰が(この悲劇を)引き起こしたのだ!

と叫ぶジュリエットの父の言葉に。

人々が、お前らだ!と宣告してエンデイングを迎えるという劇的な構成は、ベッリーニのオペラらしい。

2015年6月のチューリッヒ歌劇場での公演から。

2016年10月22日土曜日

オッフェンバック:オペラ『ホフマン物語』

フランスの作曲家、ジャック・オッフェンバックが作曲した未完のオペラ。

ドイツのロマン派の詩人であり作家のE.T.A.ホフマンの3つの小説をもとに作られた戯曲のための脚本をオペラに仕立てたもの。

オッフェンバックの死後に、沢山の遺稿が発見され、数多くのバージョンが存在する。

マリオネットのオランピア、死の病に侵された歌姫アントーニア、ヴェネツィアの娼婦ジュリエッタと、ホフマンの3つの恋物語がオペラのストーリー。

それぞれの女性のプロフィールを見てすぐに想像できるように、どの恋も悲劇的な結末を迎える。

オペラの演出という観点では、1つのオペラの中で3つの違った演出が可能で、演出家の力量が試されるオペラになっている。

幻想的な作風で知られるホフマンの世界が、オペレッタの名手オッフェンバックによって、安心して楽しめるエンターテイメントになっているのが、何とも皮肉だ。

第4幕の冒頭で歌われるホフマンの舟歌が、とりわけ有名。

2015年のメトロポリタン・オペラの公演から。

2016年10月15日土曜日

モーツァルト:交響曲第31番『パリ』

モーツァルトが1778年に作曲した、31番目の交響曲。

パリの演奏団体、コンセール・スピリチュエルの支配人ジャン・ル・グロから依頼されたことから、パリという愛称で呼ばれている。

モーツァルトとは、パリでの成功を目論んで、珍しく推敲を繰り返しながら、この曲を完成させたという。

そのせいもあってか、この曲のパリでの初演は大成功を収めた。

第1楽章、アレグロ・アッサイ。流れるような華やかで軽やかな音楽。まさにモーツァルトといった趣。

第2楽章、アンダンテ。一転して、ゆっくりとした重々しさを兼ね備えた音楽。

第3楽章、アレグロ。

1984年、ウィーンのムジークフェラインザールでの公演。アンノンクール指揮、ウィーン・フィルの演奏。

ケルビーニ:オペラ『メデ』

イタリアに生まれ、その後パリで活動していたルイジ・ケルビーニが、1797年に完成させたオペラ。

かつては王妃だったメデが、夫の王に裏切られ、その復讐として王の新しい妃と王の間に生まれた二人の男の子を殺してしまうという、残酷なストーリー。

長く忘れられていたが、1953年にマリア・カラスが主人公のメデを演じて大評判となり、以後はオペラの主要なレパートリーの一つになっている。

狂気とも言える復讐心に燃えるメデは、マリア・カラスにはうってつけの役柄だった。

なぜ、自分の子供を殺したのか、と尋ねるかつての夫に対して、メデは言い放つ。

お前の子供だからだ!

2011年9月の王立モネ劇場での公演から。

2016年10月10日月曜日

ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第3番

ベートーヴェンが1808年に完成させた、3番目のチェロ・ソナタ曲。

チェロが、初めてピアノと同等に演奏された曲とされる。

同時期には、交響曲第5番、第6番なども作曲され、ベートーヴェンの傑作の森、と言われる時期で、この曲もソナタながら、そうした雰囲気をたたえている。

第1楽章 Allegro ma non tanto。

第2楽章 Scherzo.Allegro molto。

第3楽章 Adagio cantabile - Allegro vivace。

このアダージョの出だしの部分が、チェロの低音を活かした構成になっており、チェロの魅力が雄弁に強調されている。

964年8月31日にエジンバラのアッシャー・ホールで行われた、リヒテルとロストロポーヴィチという夢のコンビによる演奏。

ヴィラ=ロボス:弦楽四重奏曲第10番

ブラジルの作曲家、ヴィラ=ロボスが1946年に作曲した10番目の弦楽四重奏曲。

第1楽章、Poco animato - Quasi allegro。

第2楽章、Adagio - Più mosso - Tempo。

第3楽章、Scherzo; Allegro vivace - Vivo。不安をかきたてるような、斬新な出だし。

第4楽章、Molto allegro - Più mosso - Tempo。印象的な主題が展開される。終わり方も大胆。

2010年7月~2011年5月にかけて、リオ・デ・ジャネイロのカテテ宮殿で行われた、クアルテート・ハダメス・ジナタリの演奏。

ヴィラ=ロボス:弦楽四重奏曲第9番

ブラジルの作曲家、ヴィラ=ロボスが1945年に作曲した9番目の弦楽四重奏曲。

第1楽章、Allegro。

第2楽章、Andantino vagaroso。ヴィオラが奏でる低音の基調となる音楽が美しい。

第3楽章、Allegro poco moderato com bravura。一人一人が、印象的なメロディを順々に奏でていく箇所が聴きどころ。バルトークのような雰囲気。

第4楽章、Molto allegro。基調は第3楽章と同様。アバンギャルドな内容の音楽。

第8番ではややおとなし目だったが、この第9番では再びヴィラ=ロボスが弾けた、という印象。

2010年7月~2011年5月にかけて、リオ・デ・ジャネイロのリオ・デ・ジャネイロ市立劇場で行われた、クアルテート・ハダメス・ジナタリの演奏。

ヴィラ=ロボス:弦楽四重奏曲第8番

ブラジルの作曲家、ヴィラ=ロボスが1944年に作曲した8番目の弦楽四重奏曲。

第1楽章、Allegro non troppo。緊張感のある音楽。

第2楽章、Adagio。ゆったりとして、気だるさを感じさせる音楽。

第3楽章、Scherzo: Vivace。リズム感のあるスケルツォ。

第4楽章、Allegro vivace。印象的なメロディが現れる。

2010年7月~2011年5月にかけて、リオ・デ・ジャネイロのラランジェイラス宮殿で行われた、クアルテート・ハダメス・ジナタリの演奏。

2016年10月2日日曜日

シューベルト:弦楽五重奏曲

シューベルトが1828年に作曲した弦楽五重奏曲。

シューベルトはこの曲を完成させた2ヶ月後に亡くなっており、この弦楽五重奏曲が遺作となった。

通常の五重奏曲の構成とは異なり、ヴァイオリン2、ヴィオラ1、チェロ2という構成になっている。

第2楽章は、その瞑想的な祈るような音楽から、映画によく使われる。ベームやルービンシュタインなどは、自らの葬儀にこの楽章を演奏することを希望したという。

第1楽章 Allegro ma non troppo。

第2楽章 Adagio。静かに消え入るように終わる。

第3楽章 Scherzo: Presto – Trio: Andante sostenuto。とても有名なメロディで始まる。

第4楽章 Allegretto。ハンガリー舞曲のような民族音楽のようなメロディ。フィナーレは実に劇的。

シューベルトの音楽の到達点がそのまま表れているような内容の弦楽五重奏曲。

2013年のヴェルピエ音楽祭での演奏から。

ブラームス:ピアノ三重奏曲第1番

ブラームスが1854年に作曲した最初のピアノ三重奏曲。本人により1891年に改訂されている。

第1楽章 Allegro con brio。ブラームスらしい、重厚な立ち上がり。

第2楽章 Scherzo。

第3楽章 Adagio。

第4楽章 Allegro。情熱的でエネルギッシュなエンディング。

古典的な要素と、ロマン派の要素が、この曲の中には見事に融合しており、聞き応えのあるピアノ三重奏曲だ。

2015年のヴェルピエ音楽祭での演奏から。

シューベルト:ノットゥルノ

シューベルトが、1828年頃に作曲したといわれる、ピアノ三重奏曲。

1つの楽章しかなく、他の作品のための断片だったといわれている。

そのため10分ほどの小品だが、シューベルトらしい、美しい哀愁のあるメロディが印象的な曲。

2015年のヴェルピエ音楽祭での演奏から。

ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第5番『幽霊』

ベートーヴェンが1808年に作曲したピアノ三重奏曲。第6番とともに作曲された。

当初は、ピアノ・ソナタとして構想されたが、パトロンの要請でピアノ三重奏曲に変更した。

マクベスの魔女のイメージで構想されたため、幽霊という名前が付いたと言われている。

第1楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・コン・ブリオ。穏やかな音楽。

第2楽章 ラルゴ・アッサイ・エ・デスプレッシーヴォ。やや陰鬱な音楽。

第3楽章 プレスト。第2楽章とは打って変わって明るい軽快な音楽。

2015年のヴェルピエ音楽祭での演奏から。

2016年9月24日土曜日

グノー:オペラ『ファウスト』

フランスの作曲家、シャルル・フランソワ・グノーが1858年に完成させたオペラ。

ゲーテの有名な『ファウスト』の第1部をオペラ化したもの。グノーは、ネルヴァルがフランス語に訳した『ファウスト』を若い頃から愛読していた。

第1部では、若き純粋無垢な娘、マルグリートが、悪魔のメフィストフェレスによって悪の道に引き込まれたファウストに愛され、やがて捨てられる悲劇がテーマになっている。

前半の華やかな恋のドラマが、4幕以降の後半で一気に悲劇に突入していく、そのギャップが見事。

フランスのオペラらしく、随所にダンスが織り込まれている。

近未来のような、宇宙船の中のような、斬新な舞台演出も楽しめた。

2016年のザルツブルグ音楽祭の講演から。

2016年9月19日月曜日

リヒャルト・シュトラウス:交響詩『ツァラトゥストラはこう語った』

リヒャルト・シュトラウスが、1894〜1896年に作曲した交響詩。

ニーチェに対するオマージュとして作らているが、同名の有名な書をそのまま音楽にしたものではない。

シュトラウスは、ミュンヘン大学で哲学の授業を受けた際に、ニーチェの哲学に大きな衝撃を受けたという。

30分ほどの作品だが、以下のような幾つかのモチーフで構成されている。

序奏
背後の世界の住人について
大いなるあこがれについて
歓喜と情熱について
墓場の歌
科学について
病いが癒(い)えつつある者
踊りの歌
夢遊病者の歌

2016年2月に東京で行われた、パーヴォ・ヤルヴィ指揮、NHK交響楽団の演奏。

リヒャルト・シュトラウス:変容

リヒャルト・シュトラウスが、1944〜1945年にかけて作曲した、23のソロ弦楽奏者のための音楽。

第2次大戦末期に書かれ、次第に崩壊していく国家を目の当たりにしながら作られた曲で、実に陰鬱な音楽だが、その悲しがなメロディが、実に美しい。

オリジナルの23の弦楽だけによる演奏は、明日の希望が打ち砕かれるほどの陰鬱な音楽だが、この演奏では楽器数をもっと増やし、エンターテイメントを考慮した内容になっていた。

2016年2月に東京で行われた、パーヴォ・ヤルヴィ指揮、NHK交響楽団の演奏。

ニールセン:交響曲第5番

デンマークを代表する作曲家、カール・ニールセンが1921〜1922年にかけて作曲した5番目の交響曲。

2つの楽章から構成されている。

始まりは静かだが、やがて軍隊のマーチのような音楽が聞こえてくる。

この曲には、第1次世界大戦がニールセンに与えた影響が、色濃く現れている。

第2楽章は、第1楽章と違ってアップテンポになっている。

最後は、ニールセンらしく、ダイナミックな音楽で終わる。

第4番ほどの盛り上がりには欠ける気がするが、改めてじっくりと聴きたくなる交響曲。

2016年2月に東京で行われた、パーヴォ・ヤルヴィ指揮、NHK交響楽団の演奏。

2016年9月18日日曜日

ヴィラ=ロボス:弦楽四重奏曲第7番

ブラジルの作曲家、ヴィラ=ロボスが1942年に作曲した7番目の弦楽四重奏曲。

第1楽章が実にいい。不協和音のような音で、官能的なムードを感じさせる。

第2楽章は、まるで情事の後のような、何とも言えない雰囲気を醸し出している。

第3楽章は、一転して、エキセントリックな雰囲気ながらリズミカルな音楽。

第4楽章は、ヴィラ=ロボスの個性が爆発したような強烈な音楽。

実に聞き応えのある弦楽四重奏曲だ。フランスでの滞在経験は、その後のヴィラ=ロボスの音楽に、大きな影響を与えたことが、この曲だけでもよくわかる。

2010年7月~2011年5月にかけて、リオ・デ・ジャネイロのカテナ宮殿で行われた、クアルテート・ハダメス・ジナタリの演奏。

2016年9月17日土曜日

ヴィラ=ロボス:弦楽四重奏曲第6番

ブラジルの作曲家、ヴィラ=ロボスが1938年に作曲した6番目の弦楽四重奏曲。

ヴィラ=ロボスの17の弦楽四重奏曲の中でも、最も演奏される機会の多い弦楽四重奏曲。

第1楽章で、ブラジルの民族音楽が取り入れられていることから、この曲は『ブラジル』という愛称をもって呼ばれる。

第4楽章は、ポリリズムで作曲されている。

ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロが時に拍子を合わせながら、慎重に演奏を進めていく。

2010年7月~2011年5月にかけて、リオ・デ・ジャネイロのカテナ宮殿で行われた、クアルテート・ハダメス・ジナタリの演奏。

ヴィラ=ロボス:弦楽四重奏曲第5番

ブラジルの作曲家、ヴィラ=ロボスが1931年に作曲した5番目の弦楽四重奏曲。

パリへの留学から帰国して間もなくこの曲は作曲された。

パリで、自分がブラジル人であることを強く意識したのだろうか。

第1楽章では、ブラジルではないが、隣の国のアルゼンチン・タンゴのような音楽が取り入れられている。

第2楽章は、シンプルかつ印象的な音楽が演奏される。

第4楽章では、民謡風な音楽も登場する。

2010年7月~2011年5月にかけて、リオ・デ・ジャネイロ市立劇場で行われた、クアルテート・ハダメス・ジナタリの演奏。

ヴィラ=ロボス:弦楽四重奏曲第4番

ブラジルの作曲家、ヴィラ=ロボスが1917年に作曲した4番目の弦楽四重奏曲。

4つの楽章から構成されているが、1〜3番に比べると、より複雑な構成になっている。

2010年7月~2011年5月にかけて、リオ・デ・ジャネイロのラランジェイラス宮殿で行われた、クアルテート・ハダメス・ジナタリの演奏。

ヴィラ=ロボス:弦楽四重奏曲第3番

ブラジルの作曲家、ヴィラ=ロボスが1916年に作曲した3番目の弦楽四重奏曲。

第2楽章がポップコーン・スケルツォという名前であることから、ポップコーン・クアルテットと呼ばれている。

ピチカートを多用して、まさにポップコーンが弾けるような演奏で楽しい。

2010年7月~2011年5月にかけて、リオ・デ・ジャネイロ市立劇場で行われた、クアルテート・ハダメス・ジナタリの演奏。

ヴィラ=ロボス:弦楽四重奏曲第1番

ブラジルの作曲家、1887年生まれのヴィラ=ロボスが、1915年に作曲した最初の弦楽四重奏曲。

6つの短い楽章から構成されているが、音楽自体はとてもクラシックな印象。

特に、第1番と第5番の哀愁に満ちた音楽が美しい。

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲を感じさせる。

2010年7月~2011年5月にかけて、リオ・デ・ジャネイロのカテテ宮殿で行われた、クアルテート・ハダメス・ジナタリの演奏。

2016年9月10日土曜日

ペルゴレージ:オペラ『奥様女中』

いわゆるナポリ派の一人、ジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージが作曲し、1733年に初演されたオペラ・ブッファ。

1時間ほどの小品で、当初は『誇り高き囚人』というオペラ・セリエの合間のオペラとして上演されたが、セリエはいつの間にか忘れられ、この作品がペルゴレージの代表作となった。

登場人物はわずか3人。しかも一人はパントマイム。年老いた主人のウベルト(バス)が、若い女中のセルピーナ(ソプラノ)に求婚するまでの寸劇。

しかし、ペルゴレージのメリハリの効いた音楽が、この寸劇を極上のオペラに仕立て上げている。

2010年のペルゴレージ・フェスティバルの演奏。

ニールセン:交響曲第4番『不滅』

デンマークの国民的な作曲家、カール・ニールセンが1914〜1916年にかけて作曲した4番目の交響曲。

ニールセンの交響曲の中では、最もよく演奏される交響曲。

単一の楽章からなるが、内容は幾つかのパートから成り立っている。

冒頭の主題が、最後にもまた現れるが、より伸びやかに、よりダイナミックに演奏されて、最高の盛り上がりとともにフィナーレを迎える。

ニールセンの生誕150周年を記念する、2015年9月のコペンハーゲンでの演奏。

2016年8月21日日曜日

チマローザ:オペラ『秘密の結婚』

ナポリ近郊の貧しい村に1749年に生まれ、ペテルブルグやウィーン、ナポリなどで活躍したドミニコ・チマローザが、ウィーンの宮廷楽長時代に作曲したオペラ。

いわゆるオペラ・ブッフェで、貴族に自分の娘を結婚させたい商人とその娘たちを中心にストーリーが展開される。

親しみやすいメロディが満載で、モーツァルトのオペラのよう。

チマローザは、モーツァルトと同時代に活躍したサリエリの後任として、ウィーンの宮廷楽長の地位に就任している。

2012年にイタリア、ノヴァーラのコッチェ歌劇場の公演から。指揮はカルロ・ゴールドスタイン、演奏はオルケストラ・フィラルモニカ・イタリアーナ。娘役のソプラノはステファニア・ボンファデッリ、父親の商人役のバスはブルーノ・プラティコ。

2016年8月20日土曜日

ジョン・アダムス:ヴァイオリンと管弦楽のための劇的交響曲『シェエラザード2』

ジョン・アダムスが、パリで見たシェラザード像からインスピレーションを得て、ヴァイオリンをシェラザードに見立てて、2014年から2015年にかけて作曲した劇的交響曲。

4つのパートからなり、ヴァイオリンのいろいろな音色が味わえる構成になっている。

2015年10月、オランダのアムステルダムで行われたこの演奏が、ヨーロッパでの初演となった。自らが指揮し、ヴェイオリンは2015年3月の世界初演でも演奏したリーラ・ジョセフォウィッツ。オーケストラは、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団。

ジョン・アダムス:交響曲『ドクター・アトミック・シンフォニー』

1947年に生まれたアメリカの作曲家ジョン・アダムスが、2005年に初演された同名のオペラをもとに、曲の部分だけを交響曲に仕立てた作品。

オペラは、アメリカの原爆開発を主導した、ロバート・オッペンハイマーを描いている。

ラボラトリー、パニック、トリニティー(三位一体)と名つけられた3つの楽章から構成されている。

音楽の内容は、比較的シンプルな旋律が継続的に演奏され、映画のバックミュージックといった趣き。

本人の指揮による、2015年10月、オランダのアムステルダムでの、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏。

2016年8月14日日曜日

ラフマニノフ:チェロ・ソナタ

ラフマニノフが1900年から1901年にかけて作曲したチェロ・ソナタ。

この時期、ラフマニノフは、うつ病の治療を受けていた。

全体的に、チェロよりもピアノの旋律が主役になっている。

第1楽章、レント アレグロ・モデラート。

静かに瞑想するような調べに始まるが、すぐに哀愁を呼び起こす重厚な音楽に変わる。

第2楽章、アレグロ・スケルツァンド。

ピアノによって、激しい感情が爆発している。

第3楽章、アンダンテ。

ピアノの静かにかみしめるようなメロディを、チェロが優しく支える、といった趣き。

第4楽章、アレグロ・モッソ。

ラフマニノフらしい、哀愁のある音楽。

2013年のヴェルピエ音楽祭での演奏。チェロはゴーティエ・カプソン、ピアノはユジャ・ワンという若いコンビ。

ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ

ショスタコーヴィチが1934年に作曲したチェロ・ソナタ。

第1楽章、アレグロ・ノン・トロッポ。

伝統的なチェロの旋律。

第2楽章、アレグロ。

一転して、ショスタコーヴィチらしい軽快で不協和音の混じったモダンな音楽。

第3楽章、ラルゴ。

ダークで陰鬱な印象のラルゴ。

第4楽章、アレグロ。

モダンと伝統が癒合したような音楽。

2013年のヴェルピエ音楽祭での演奏。チェロはゴーティエ・カプソン、ピアノはユジャ・ワンという若いコンビ。

2016年8月13日土曜日

ヨンメッリ:オペラ『ヴォロジェーゾ』

パルマ生まれの作曲家ニコロ・ヨンメッリが、1766年に宮廷楽長を務めていたシュトゥットガルトで初演されたオペラ。

ヨンメッリは、歌手中心のオペラから、ストーリーとそれを表現する音楽中心のオペラを目指した作曲家。

幼い時のモーツァルトが演奏旅行の最中にシュトゥットガルトを訪れた時に、面会をしたという。

このオペラは、シュトゥットガルトでの初演から、実におよそ250年後に、同じ地で再演されたという記念的な公園。

所々、歌手が自分の歌唱力をひけらかすような場面もあるが、何となくモーツァルトのオペラのような雰囲気を漂わせている。

ストーリーは、古代ローマとアルメニアの戦争と、敵同士の恋人との関係などがテーマになっている。

ガブリエーレ・フェッロ指揮、シュトゥットガルト州立歌劇場管弦楽団による2015年2月の公園。

2016年8月11日木曜日

プーランク:チェロ・ソナタ

プーランクが、1948年に完成させた唯一のチェロ・ソナタ。

ソナタだが、4つの楽章を持っていて、がっしりとした構成。

I. Allegro – Tempo di Marcia
II. Cavatine
III. Ballabile
IV. Finale

前半は、やや暗く、ダークで哀愁に満ちたような音楽。

後半の2つの楽章は、軽快さと激しさが際立っており、プーランクの音楽の多彩な側面が味わえる。

2015年のヴェルピエ音楽祭での演奏から。チェロはエドガー・モロー、ピアノはジュリアン・クェンティン。

モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り

イタリアのクレモナで生まれたモンテヴェルディが、ヴェネツィアに出てきて間も無い時期の1610年に出版した、合唱形式の宗教音楽。

ルネサンス音楽から、歌唱中心のオペラ形式への過渡期にあたる時期の音楽で、聖母マリアをテーマに、聖書の様々な言葉が合唱やソロによって歌われる。

この後のバッハのマタイ受難曲などに引き継がれる形式だが、すでにそうした曲との時代の差を感じさせないほど、完成された音楽になっている。

1986年7月、オーストリアのグラーツでの演奏。指揮はアーノンクール。

2016年8月7日日曜日

モンテヴェルディ:オペラ『ポッペアの戴冠』

ルネサンス期からバロック期にかけて、ヴェネチアを中心に活躍した、クラウディオ・モンテヴェルディが、1642年に作曲したオペラ。

死の前年に書かれたこのオペラは、モンテベルディの最高傑作であると言われている。

舞台は古代ローマ帝国。悪名高き皇帝ネロと、皇后の座を退けてその座につこうと画策するポッペアなどが登場する。

タキトゥスの年代記がもとになっている。

フランスの演出家、ジャン=ピエール・ボネルは、古代ローマの世界を、当時のヨーロッパの宮殿を表した舞台の上で再現した。

登場人物が来ている豪華な洋服は、ルイ13世のフランスを想像させる。

アンノンクールが1970年代の後半に取り組んだモンテヴェルディ作品を演奏するプロジェクトの一環として映像化されたもの。

1979年に制作された映像作品。

モンテヴェルディ:オペラ『オルフェオ』

ルネサンス期からバロック期にかけて、ヴェネチアを中心に活躍した、クラウディオ・モンテヴェルディが、1607年に初演したオペラ。

この作品は、楽譜の各声部について明確に楽器を指定した記録が残る最初の作品であり、劇と音楽が融合した最初のオペラ作品と言われている。

マントヴァ公の注文によって制作され、謝肉祭のイベントとして上演された。

死んだ妻を救うために冥界を訪れる、いわゆるギリシャ神話のオルフェウスの物語がベースになっている。

フランスの演出家、ジャン=ピエール・ボネルのゴシックなイメージのコスプレもユニークで、映像だけ見ても楽しめる。

アンノンクールが1970年代の後半に取り組んだモンテヴェルディ作品を演奏するプロジェクトの一環として映像化されたもの。

1978年に制作された映像作品。

2016年8月6日土曜日

モンテヴェルディ:オペラ『ウリッセの帰還』

ルネサンス期からバロック期にかけて、ヴェネチアを中心に活躍した、クラウディオ・モンテヴェルディが、晩年の1641年に完成させたオペラ。

ホメロスの叙事詩、オデュッセイアを基にしたストーリー。妻の名前はペネロペのままだが、主人公の名前はウリッセに変えられている。

ごく初期のオペラ作品だが、ベースとなっているストーリーがしっかりとしており、モンテヴェルディの音楽も素晴らしく、現在でも十分に楽しめる内容になっている。

アンノンクールが1970年代の後半に取り組んだモンテヴェルディ作品を演奏するプロジェクトの一環として映像化されたもの。

フランスの演出家、ジャン=ピエール・ボネルの古典的な雰囲気を過剰に演出した映像も素晴らしい。

1979年に制作された映像作品。


2016年7月31日日曜日

ブラームス:チェロソナタ第1番

ブラームスが、1862年から1865年にかけて作曲した、最初のチェロソナタ。

ブラームスは、これ以前にもチェロソナタを作曲していたが、内容に満足いかず、楽譜を破棄している。

第1楽章 アレグロ・ノン・トロッポ。内省的な音楽。

第2楽章 アレグレット・クワジ・メヌエット。

第3楽章 アレグロ。情熱的で哀愁のあるメロディ。

2015年のヴェルピエ音楽祭での演奏。チェロはエドガー・モロー、ピアノはジュリアン・クェンティン。

バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第1番

バルトークが1907年から1908年にかけて作曲した、最初のヴァイオリン協奏曲。

バルトークの生前には演奏されず、死後にそのスコアが発見された。

2つの楽章からなる。

最初のアンダンテは、バルトークらしい不安を感じさせる音楽の中にも、叙情的なものを感じる。

後半のアレグロは、民族音楽や、ジャズっぽい音楽など、様々なモチーフが登場する。

演奏は、アンドリス・ネルソンス指揮、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏。ヴァイオリンは、ジャニーヌ・ヤンセン。

2016年7月30日土曜日

ラフマニノフ:13の前奏曲

ラフマニノフが1910年に発表した前奏曲集。

1892年に発表された嬰ハ短調の前奏曲から始まり、足掛けおよそ18年をかけて24の前奏曲を完成させた。

10番目のロ短調レントは、ベックリンの帰還という絵画にインスピレーションを得て作曲した、と言われている。

曲の内容も、ダイナミックで起承転結がはっきりとしている。

最後の変ニ長調グラーヴェは、最後を締めくくるにふさわしい、万感がこもったという趣のフィナーレ。

コンスタンチン・リフシッツによる、2016年2月の紀尾井ホールでの演奏。

ラフマニノフ:10の前奏曲

ラフマニノフが1903年に発表した前奏曲集。

プレリュード・マーチとして知られる、5曲目のト短調、アラ・マルチアがとりわけ有名。

その一つ前の、ニ短調、アンダンテ・カンタービレも哀愁が漂っていて素晴らしい。

コンスタンチン・リフシッツによる、2016年2月の紀尾井ホールでの演奏。

ラフマニノフ:前奏曲嬰ハ短調

ラフマニノフが、1892年に発表した幻想的小品集の作品3として発表し、それ以降、ラフマニノフを代表するピアノ曲となった。

とにかくダークな印象の曲で、一度聞いたら、二度と忘れられないほどの強烈な印象を残す。

コンスタンチン・リフシッツによる、2016年2月の紀尾井ホールでの演奏。

2016年7月17日日曜日

デュティユー:メタポール

フランスの作曲家、アンリ・デュティユーが1964年に作曲した、オーケストラのための5つの変奏曲。

デュティユーの作品の中でも最も有名な作品。

最後の変奏部分では、混乱の中に突然、終わりを迎える。

2016年1月にロンドンのバービカンセンターで行われた、サイモン・ラトル指揮、ロンドン交響楽団の演奏。

ドラージュ:4つのインドの詩

ラベルの弟子であったモーリス・ドラージュが1912年に作曲した歌曲。

ハイネの詩に音楽をつけたもので、父の商売の関係で幼い頃からインドなどを訪れていた経験から、インドやアジアの音楽を取り入れている。

発表後すぐにドビュッシーから絶賛されたという。

藤田嗣治とも交流があった。

2016年1月にロンドンのバービカンセンターで行われた、サイモン・ラトル指揮、ロンドン交響楽団の演奏。ソプラノはジュリア・ブロック。

デュティユー:ヴァイオリン協奏曲『夢の樹』

フランスの作曲家、アンリ・デュティユーがヴァイオリニスとのアイザック・スターンの還暦のお祝いのために作曲した曲。

1983年から作曲を始めたが、残念ながら還暦には間に合わずに、1985年に完成された。

リーブルマン(自由に)、ヴィフ(快活に)、ラン(ゆっくりと)、ラルジュ・エ・アニメ(ゆとりを持って生き生きと)という4つの部分と、その間の3つの間奏から構成されている。

やや不安に満ちながらも、夢の中のいるような雰囲気も感じられる、不思議さに満ちた美しい音楽。

最後の終わり方は、ラヴェルのボレロを連想させる。

2016年1月にロンドンのバービカンセンターで行われた、サイモン・ラトル指揮、ロンドン交響楽団の演奏。ヴァイオリンはレオニダス・カヴァコフ。

ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第7番『大公』

ベートーヴェンが1811年に作曲した、7番目のピアノ三重奏曲。

ルドルフ大公に献呈されたために、大公、という名称で呼ばれている。

1814年に自らがピアノを弾いて初演したが、すでに耳が悪かったベートーヴェンはヴァイオリンとチェロの音が良く聞こえずに合わせることができず、それ以降は自ら演奏することはなかったというエピソードが残っている。

他の曲にも使われている同じようなメロディが時折聞こえてくる。

第1楽章、Allegro moderato。

第2楽章、Allegro。
 
第3楽章、Andante cantabile。

第4楽章、Allegro moderato-presto。

1970年、パリのフランス国立放送での演奏。アイザック・スターン率いるスターン・トリオによる。

2016年7月16日土曜日

シベリウス:交響曲第6番

シベリウスは、この交響曲を第5番や6番とともに1914年から構想に取りかかっている。この交響曲は1923年に完成した。

1918年にはフィンランドはロシアから独立した。

1919年には、シベリウスのパトロンだったカルペラン男爵が亡くなっている。

第1楽章。Allegro molto moderato

弦楽器の美しい旋律で始まる。明るく華やかな田園的な音楽。

第2楽章。Allegretto moderato - Poco con moto

静かで内省的な音楽。

第3楽章。Poco vivace

躍動感のあるダイナミックな音楽。

第4楽章。Allegro molto - Doppio piu lento

大きな盛り上がりもなく、淡々と静かに終わる。

ハンヌ・リィンテゥ指揮、フィンランド放送交響楽団の2014年1月、ヘルシンキ・ミュージック・センターでの演奏。

シベリウス:交響曲第5番

シベリウスは、自らの50歳の誕生日に向けて1914年にこの交響曲の作曲を開始し、1915年に一度は演奏までしたが、その後改訂し、1919年に完成させている。

シベリウスは、街を歩いている時に感じた、春の訪れに大きなインスピレーションを感じたと書き残している。

前の交響曲第4番が暗い内容で、あまり評判が良くなく、この交響曲の成功によって、シベリスは復活した、と言われた。

この頃、一時はやめていた飲酒を再び始めている。

第1楽章。Tempo molto moderato - Allegro moderato (ma poco a poco stretto) - Vivace molto - Presto - Più Presto。

ホルンによる牧歌的な伸びやかな音楽で始まる。次第に壮大な音楽に変わっていく。

やがてゆったりとした音楽の主題が現れてくる。

第2楽章。Andante mosso, quasi allegretto - Poco a poco stretto - Tranquillo - Poco a poco stretto - Ritenuto al tempo I 

終始、ゆったりとのんびりとした音楽。

第3楽章。Allegro molto - Misterioso - Un pochettino largamente - Largamente assai - Un pochettino stretto

再び第1楽章の主題が現れて展開される。

最後に、6つの和音が十分な間をおいて演奏され、この交響曲を締めくくる。

ハンヌ・リィンテゥ指揮、フィンランド放送交響楽団の2014年9月、ヘルシンキ・ミュージック・センターでの演奏。

2016年7月10日日曜日

ヘンデル:オペラ『アシスとガラテア』

ヘンデルが1718年に作曲した、牧歌劇。

ヘンデルにとっては初めての英語劇だった。

美しい妖精のガラテアが、巨人に殺されてしまった恋人アシスを嘆き、最後は自らの神通力によって恋人を黄泉の国から救う、というたわいもないストーリー。

ヘンデルの美しい音楽とダンスで構成される。

2009年のイギリス、ロイヤル・オペラの公演から。

グルック:オペラ『オルフェオとエウリディーチェ』

グルックが1762年に作曲したオペラ。

グルッグは、当時のオペラがカステラーノらの歌い手中心だったことに疑問を覚え、脚本家とともに、ストーリーをより重視したオペラを目指し、このオペラを作り上げた。

後に、ドビュッシーやワーグナーにも大きな影響を与えたという。

ストーリーは、有名なギリシャ神話から取られていて、死んだ妻を追いかけて霊界をさまようオルフェウスの話。

第2幕に登場する、精霊の踊り、という曲は単独でも演奏される、哀愁のこもった素晴らしいメロディー。

2015年ナポリのサン・カルロ歌劇場で行われた公演から。

2016年6月4日土曜日

ドビュッシー:バレエ音楽『おもちゃ箱』

ドビュッシーが、1914年に作曲に取り掛かりながら、完成することなる亡くなってしまった、全4場からなるバレエ曲。

人形の女の子、木彫りの兵士、道化師プルチネルラ、という主要な3役にはライトモチーフが作られ、演奏の冒頭でわかりやすく提示される。

ドビュッシーの他の曲のモチーフが、随所に現れてきて楽しい。

2016年1月に、山田和樹指揮、NHK交響楽団の演奏で行われたコンサートでは、女優の松嶋菜々子がナレーションを務めた。

ビゼー:小組曲『子供の遊び』

ビゼーが1872年に管弦楽用に作曲した。

元は、1871年に子供用のピアノ曲として12曲を作曲したが、その中から5曲を管弦楽用に編曲したもの。

ビゼーは、同じ年にアルルの女、翌年にカルメンを作曲している。

ラッパと太鼓、お人形、コマ、などの子供らしい名前が付いている曲から構成されている。

演奏時間は10分ほどの小品。

2016年1月、山田和樹指揮、NHK交響楽団のNHKホールでの演奏。

ヴェーベルン:管弦楽のための6つの小品

ヴェーベルンが1909年に作曲した、管弦楽用の曲。

1906年に経験した、母親の死がテーマのなっており、母親へのノスタルジーや葬送曲などから構成されている。

そのせいか、全体的に、暗く、重い内容に音楽になっている。でも美しい。

2015年1月、サイモン・ラトル指揮、ロンドン交響楽団による演奏。

2016年4月29日金曜日

ハイドン:交響曲第79番

ハイドンが、1783年から1784年にかけて作曲した、79番目の交響曲。イングランド交響曲の一つ。

第1楽章 Allegro。

第2楽章 Adagio。

第3楽章 Menuetto-trio。

第4楽章 Finale, viviace。

クリストファー・ホグウッド指揮、エンシェント室内管弦楽団による、1977年のザルツブルグでのモーツァルト週間1977での演奏。

ハイドン:交響曲第81番

ハイドンが、1784年に作曲した、81番目の交響曲。いわゆる、イギリス交響曲の最後にあたる曲。

第1楽章 Viviane。明るい生き生きとした音楽。

第2楽章 Andante。静かでゆっくりとした音楽。

第3楽章 Menuetto。リズム感に溢れた、これぞメヌエットといった感じの音楽。

第4楽章 Allegro。伸びやかなフィナーレのアレグロ。

あまり知られてはいない曲だが、4つの楽章がそれぞれに違った個性を発揮していて、古典的なクラシック音楽の魅力が詰まったいい曲。

クリストファー・ホグウッド指揮、エンシェント室内管弦楽団による、1977年のザルツブルグでのモーツァルト週間1977での演奏。


2016年4月24日日曜日

ドヴォルザーク:交響曲第7番

ドヴォルザークが1884年から1885年にかけて作曲した、7番目の交響曲。

第1楽章 アレグロ・マエストーソ ニ短調。

複雑で内面的な構成の第1楽章。

第2楽章 ポコ・アダージョ ヘ短調。

引き続き、内面的な静かなアダージョ。

第3楽章 スケルツォ:ヴィヴァーチェ ― ポコ・メノ・モッソ ニ短調。

ブラームスらしい弦楽器の旋律によるメロディで始まる。スラヴ舞踏のフリリアントの音楽が使われている。

最後はドラマチックな終わり方。

第4楽章 フィナーレ:アレグロ ニ短調。

劇的な展開で聴きどころ満載。最初は静かに始まり、徐々にドラスティックな展開になっていく。まるで、波乱万丈の映画を見ているようだ。

第6番から第7番目の間には、とてつもなく大きな違いがあるように思える。

イルジー・ビエロフラーヴェクの指揮による、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の2012年12月、プラハのドヴォルザーク・ホールでの演奏。

ドヴォルザーク:交響曲第6番

ドヴォルザークが1880年に作曲した6番目の交響曲。発表当時は、これが交響曲第1番とされた。

第3楽章にスラヴの民族音楽が取り入れられ、いよいよドヴォルザーク音楽の特徴が現れ始める交響曲。

第1楽章 Allegro non tanto。

ブラームスの影響が強い楽章と言われるが、それまでの交響曲とは明らかに違った印象。

第2楽章 Adagio。

静かなアダージョ。

第3楽章 Scherzo: Furiant (Presto)。

ボヘミアの民族舞踏フリリアントの音楽が使われている。ドヴォルザークは1878年にスラヴ舞曲集をヒットさせていた。

第4楽章 Finale: Allegro con spirito。

ダイナミックで壮麗なフィナーレ。

イルジー・ビエロフラーヴェクの指揮による、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の2012年12月、プラハのドヴォルザーク・ホールでの演奏。

ドヴォルザーク:交響曲第5番

ドヴォルザークが1875年に作曲した5番目の交響曲。出版された時は、第3番として出版された。

ドヴォルザークがワグナーの影響から抜け出て、民族主義的な交響曲に移り変わっていく交響曲と言われている。

第1楽章。Allegro, ma non troppo。

明るく、親しみやすい、伸びやかな主題が展開されていく。

第2楽章。Andante con moto。

哀愁のある、暗い感じの音楽。

第3楽章。Andante con moto, quasi l'istesso tempo-Allegro scherzando。

明るい音楽によるスケルツォ。

第4楽章。Finale: Allegro molto。

明るくダイナミックな展開のフィナーレ。

イルジー・ビエロフラーヴェクの指揮による、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の2012年12月、プラハのドヴォルザーク・ホールでの演奏。

ドヴォルザーク:交響曲第4番

ドヴォルザークが、1874年に作曲した4番目の交響曲。

第1楽章 アレグロ ニ短調。

伸びやかでリズミカルな主題が展開される。

第2楽章 アンダンテ・ソステヌート・エ・モルト・カンタービレ 変ロ長調。

ワーグナーのタンホイザーから、巡礼の合唱と同じ音楽が使われている。静かな音楽。

第3楽章 スケルツォ:アレグロ・フェローチェ ニ短調。

古典的な音楽だが、ダイナミックな展開。

第4楽章 フィナーレ:アレグロ・コン・ブリオ ニ短調。

壮麗なフィナーレ。

イルジー・ビエロフラーヴェクの指揮による、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の2013年12月、プラハのドヴォルザーク・ホールでの演奏。

2016年4月17日日曜日

シベリウス:交響曲第4番

シベリウスが1911年に完成させた4番目の交響曲。

シベリウスは、1908年にのどの腫瘍を切除し、その後にタバコや酒を禁止されたことから、精神的に参っており、そこから立ち直るまでの心理状態が、この曲には反映されている。

第1楽章。Tempo molto moderato, quasi adagio - Adagio。

終始、陰鬱な音楽が続くアダージョ。

第2楽章。Allegro molto vivace。

モルト・ビビアーチェだが、まだまだ陰鬱な雰囲気は続いている。

第3楽章。Il tempo largo。

ようやく、ダイナミックな音楽が登場してくるが、複雑な構成。

第4楽章。Allegro。

最後は、始まりに戻ったように、静かに陰鬱に終わっていく。

ハンヌ・リィンテゥ指揮、フィンランド放送交響楽団の2012年11月、ヘルシンキでの演奏。

2016年4月16日土曜日

ブーレーズ:弦楽四重奏のための書

ブーレーズが、1948年に構想に着手した、弦楽四重奏のための書(Livre pour quatuor)。

何とも不思議な名前だが、これは、マラルメから影響を受けている。マラルメは、自分の詩を大きな紙に並べて書いて、どこから読んでもいい、としていた。

この曲もいくつかの楽章から構成されているが、どこからどう演奏してもいい、という意味を込めて、書という名をつけたという。

1955年に最初の2つの楽章が演奏され、1961年にVとVIが、1962年にはIIIが演奏された。

しかし、ブーレーズは、この曲の楽譜の出版を許可しなかった。いつか、改訂する予定でいたらしい。

また、あまりに複雑な構成であるために、演奏に当たっては、自らの指揮が必要だと考えていたらしく、演奏される機会もあまりなかった。

2016年の東京・春・音楽祭では、ポリーニがプロデュースしたプログラムの中で、この曲のIa, Ib, II, IIIa, IIIb, IIIc, V, VIが2日に分けて演奏された。

演奏は、ジャック四重奏楽団。彼らは、以前にも、この曲を演奏したことがある。

ブーレーズの曲は、2つのピアノソナタ、ル・マルトー・サン・メートル、レオポンなど、結構聴いてきているが、それでもこの弦楽四重奏のための書は衝撃的だった。

この弦楽四重奏曲は、ハイドン、ベートーヴェン、ドビュッシー、ストラヴィンスキー、そしてバルトークなどに続く、弦楽四重奏の名曲と言っていい。

会場には、このコンサートのプロデュースをしたポリーニ本人も姿を見せていた。

ベリオ:セクエンツァ

イタリア人で1925年生まれのルチアーノ・ベリオが、生涯にわたり作り続けた、様々な楽器向けのソロ曲。

セクエンツァIがフルート向けに1958年に作曲してから、死の前年の2002年のチェロ向けのセクエンツァXIVまで、14曲が作曲された。

ベリオの死後も、他の音楽家たちが、別な楽器用に様々な編曲したバージョンが公開されている。

毎年、上野の東京文化会館を中心に開催される、東京・春・音楽祭 東京オペラの森2016。

ここ何年か、毎年何かのプログラムを聴きに行っていたが、今年は2日かけて行われる、ポリーニ・プロジェクト ベリオ、ブーレーズ、ベートーヴェン、という名のコンサートを選択した。

ベリオは、セクエンツァから、I(フルート)、II(ハープ)、VI(ヴィオラ)、VII(オーボエ)、IX(クラリネット)、XII(ファゴット)の6曲が演奏された。

ベリオは、各楽器の演奏家との対話を通じて、その楽器の最大限にできることを通じて音楽的な探求を続けている、そんな音楽家のために、セクエンツァのそれぞれの曲を作っていったという。

どの曲を聴いても、この楽器には、こんな音が出るのか、こんな弾き方ができるのかと、驚かされる演奏ばかりだった。

中でも、とりわけ印象に残ったのは、パスカル・ガロワによるファゴットの演奏だった。

実はベリオは、セクエンツァXIIをガロワのための作曲した。

ガロワはこの曲を最もよく理解し、それを最もよく弾きこなすことができるファゴット奏者だろう。

聴き始めて驚いたのは、ファゴットの音が途切れることがないことだ。しかし、演奏の間、息継ぎをする音も聞こえてくる。

ガロアは、息継ぎをしながら、しかもファゴットの音を演奏し続ける、という驚くべき技術を駆使しながら、この曲を演奏している。

会場の明かりはほとんど消され、ステージ上のガロワにだけ青い光が当たっている。そうした演出が、余計にこの曲の凄さを引き立てている。

耳に届いてくる音は、ファゴットの音というより、どこか別の世界から、あるいは地の底から響いてくる音のように、錯覚してしまう。

ガロワの演奏からは、この曲を最もよく理解する者の務めとして、聴衆にこの曲を最も良い演奏で聴かせたい、という思いが、痛いほどこちらに伝わってきた。

会場には、このコンサートのプロデュースを手掛けたポリーニも姿を見せ、会場の後ろから、静かにこの曲に耳を傾けていた。

2016年4月10日日曜日

ブーレーズ:ル・マルトー・サン・メートル

ピエール・ブーレーズが、1953年から1955年にかけて作曲した、アルトと6つの楽器のための音楽。

ルネ・シャールの同名の詩集からの詩がもとになった、9つの短い楽章で構成されている。

ヴァイオリンの他、フルート、パーカッション、ギターなどの楽器で構成され、日本の琴やバリのガムラン楽器などを模している。

ストラヴィンスキー、アルトー、シュトックハウゼン、リゲティなどの賞賛を浴びて、ブーレーズの名を一躍世界的なものにした。

アルトの声は、特別な存在でなく、他の楽器と同じ、一つの音を構成するようとして取り扱われている。

ブーレーズの85歳の誕生日をお祝いする、2010年9月のベルリン州立歌劇場での記念コンサントーでの演奏。指揮は、ブーレーズ自らが行った。

ブーレーズ:アンセム2

ピエール・ブーレーズが1997年に作曲した、ヴァイオリンとエレクトロニクスのための音楽。

演出からか、演奏の指示なのか、7つの楽譜台を並べて、進行に合わせて場所を変えての演奏。

ブーレーズの85歳の誕生日をお祝いする、2010年9月のベルリン州立歌劇場での記念コンサントーでの演奏。ヴァイオリンの演奏は、バレンボイムの息子、ミヒャエル・バレンボイム。



ブーレーズ:メサジェスキス

ピエール・ブーレーズが、1976年から1977年にかけて作曲した、8つのチェロとチェロ独奏のための音楽。

静かなゆったりとしたチェロのソロや、素早い指使いで演奏されるスピーディーな合奏など、チェロという楽器の様々な側面が楽しめる。

ブーレーズの85歳の誕生日をお祝いする、2010年9月のベルリン州立歌劇場での記念コンサントーでの演奏。指揮は、バレンボイム。


ドビュッシー:バレエ音楽『遊戯』

ドビュッシーが、バレエ・リュスのために1912年の作曲したバレエ音楽。

テニスをしている、一人の男性と二人の女性の、恋の駆け引きをテーマにした、ニジンスキー振付のバレエのために、ドビュッシーが書き上げた、20分ほどの管弦楽用の小品。

ドビュッシーらしく、いろいろな音楽のピースから成り立っていて、気軽に楽しめる音楽。

ピエール・ブーレーズ指揮、クリーヴランド管弦楽団による1968年の演奏。

ドビュッシー:映像

ドビュシーが、1912年に完成させた、自らのピアノ曲を元にした、管弦楽用の音楽。

ジーグ、イベリア、春のロンド、という3つの曲から構成されている。

それぞれが、スコットランド、スペイン、そしてフランスの民族音楽を取り入れた構成になっている。

ピエール・ブーレーズ指揮、クリーヴランド管弦楽団のによる、1974年のプロムスでの演奏。

2016年4月2日土曜日

マーラー:カンタータ『嘆きの歌』

マーラーが、1878年から1880年にかけて、17歳から20歳にかけて作曲した、最も初期の作品の一つ。

ウィーン音楽院にいる頃から、グリム童話の内容を元に作曲を始め、自ら作詞も手がけている。

その後、1899年まで、自ら2回の改定を行っている。

出だしから、後年のマーラーらしさが濃厚で、すでに作曲家としてのマーラーは、10代の終わりには、出来上がっていたことがよくわかる。

全体の中間ほどに登場する壮大なファンファーレの部分には、ワーグナーの影響も強く感じられる。

後半には、交響曲第1番の第4楽章の終わりに登場する劇的な音楽が使われている。

ワーグナーの影響の元に、作曲家のマーラーが誕生する瞬間を、目の当たりにするような、そんな内容の音楽だ。

2011年のザルツブルグ音楽祭、オープニング・コンサートから。指揮はピエール・ブーレーズ、演奏はウィーンフィル。

2016年3月19日土曜日

ドヴォルザーク:交響曲第3番

ドヴォルザークが、1873年に作曲した3番目の交響曲。

ドヴォルザークにとっては、演奏会で演奏された初めての交響曲となった。その初演の指揮者は、スメタナだった。

また、この曲のおかげで、奨学金も獲得しており、ドヴォルザーク本人にとっても、忘れがたい曲になった。

第1楽章、Allegro moderato。変ホ長調。

明るく華やかな曲。

第2楽章、Adagio molto。嬰ハ短調。

ワーグナーの音楽のような、暗く陰鬱な音楽が聞こえてくる。

第3楽章、Allegro vivace。変ホ長調。

フィナーレは、いまひとつ、盛り上がりに欠ける。



イルジー・ビエロフラーヴェクの指揮による、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の2012年12月、プラハのドヴォルザーク・ホールでの演奏。

ドヴォルザーク:交響曲第2番

ドヴォルザークが、第1番を作曲したすぐ後に、続けて作曲した2番目の交響曲。

第1楽章、アレグロ・コン・モート。変ロ長調。

軽快で晴れやかな音楽。

第2楽章、ポーコ・アダージョ。ト短調。

やや哀愁を帯びていて、第1楽章との対比が鮮やか。

第3楽章、スケルツォ、アレグロ・コン・ブリオ。

明るいスケルツォ。変ロ長調。

第4楽章、アレグロ・コン・フオーコ。変ロ長調。

交響曲第1番よりは、遥かに出来が良くなっているが、相変わらず、フィナーレの構成には苦労している。

イルジー・ビエロフラーヴェクの指揮による、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の2012年12月、プラハのドヴォルザーク・ホールでの演奏。

ドヴォルザーク:交響曲第1番

チェコのボヘミア生まれのアントニン・ドヴォルザークが1865年、25才で作曲した最初の交響曲。

自ら、ズロニチェの鐘、と名つけている。あるドイツのコンテストに応募したが、落選してしまったという。

第1楽章 Maestoso – Allegro。ハ短調。

ダイナミックな展開の音楽。すでに、新世界交響曲の雰囲気は、よく表れている。

第2楽章 Adagio di molto。変イ長調。

静かなアダージョ。

第3楽章 Allegretto。ハ短調。

スケルツォのような軽快な音楽。

第4楽章 Finale. Allegro animato。ハ長調。

フィナーレだが、まだまだ音楽の盛り上がりに欠ける構成。

イルジー・ビエロフラーヴェクの指揮による、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の2012年11月、プラハのドヴォルザーク・ホールでの演奏。

2016年3月5日土曜日

モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲

モーツァルトが、1779年に作曲した、ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲。

1777年から1778年にかけてパリを訪れたモーツァルトは、マンハイム学派と言われる音楽に影響を受けて、この曲を作曲した。

第1楽章 アレグロ・マエストーソ 変ホ長調。

第2楽章 アンダンテ ハ短調。

モーツァルトのアンダンテの中でも、とりわけ哀愁に満ちた内容。聞き応えは十分。

第3楽章 プレスト 変ホ長調。

2015年のルツェルン音楽祭での演奏。指揮はサイモン・ラトル、演奏はベルリンフィル。

ハイドン:交響曲第94番『驚愕』

ハイドンが1791年に作曲した、94番目の交響曲。いわゆるロンドン交響曲の一つ。

第1楽章 Adagio - Vivace assai。

第2楽章 Andante。

静かな曲で始まり、そのまま淡々と続くと思いきや、いきなりジャン、とくるので、この交響曲が驚愕という名前で呼ばれるようになった。

CMで使われてポピュラーになった有名なメロディも登場する。

第3楽章 Menuetto. Allegro molto。

第4楽章 Finale. Allegro di molto。

1985年10月、ウィーン学友教会での演奏。指揮はバーンスタイン、演奏はウィーンフィル。

シベリウス:交響曲第3番

シベリウスが、1903年から1907年にかけて作曲した、3番目の交響曲。

3つの楽章から構成されているのが特徴。

第1楽章 Allegro moderato。

シベリウス独特の勇壮さはなく、静かに淡々と進む感じの音楽。

第2楽章 Andante con moto, quasi allegretto。

まるで森の中から聞こえてくるような、かすかなメロディ。

第3楽章 Moderato - Allegro (ma non tanto) - Meno allegro。

ようやく、シベリウスらしい勇壮な音楽となり、フィナーレを迎える。

ハンヌ・リィンテゥ指揮、フィンランド放送交響楽団の2012年11月、ヘルシンキでの演奏。

2016年2月28日日曜日

ハチャトゥリアン:バレエ曲『ガイーヌ』

1942年に初演された、アラム・イリイチ・ハチャトゥリアンが作曲したバレエのための音楽。

アルメニア人の女性を主人公とした物語。当時のソ連の状況を踏まえて、集団農業の成果を讃えるような内容になっている。

音楽は、ハチャトゥリアンらしい、民族色に溢れた華麗なもので、現在でも、運動会の中で使われるような、軽快な音楽もある。

2015年11月のNHK交響楽団の定期公演から。指揮は、ヴラディーミル・フェドセーエフ。

マーラー:歌曲『リュッケルトによる5つの歌曲』

マーラーが、1901年から1902年にかけて作曲した歌曲。

ロマン派の詩人、フリードリヒ・リュッケルトの5つの詩に、曲をつけている。

全体的に、悲しげで厭世的な内容の詩になっていて、音楽も、華やかさより、哀愁に満ちたものとなっている。

中でも、私はこの世に捨てられて Ich bin der Welt abhanden gekommen 、という曲が、とりわけ哀愁に満ちた音楽で、印象に残る。

2015年11月のNHK交響楽団の定期演奏から。指揮は、ディエゴ・マテウス。ソプラノは、ケイト・ロイヤル。

2016年2月20日土曜日

ハイドン:交響曲92番

ハイドンが、1789年に完成させた、92番目の交響曲。

オックスフォード交響曲という名称で呼ばれるが、ハイドンが、オックスフォード大学から学位を授与されたことを記念する演奏会で、演奏されたことによる。

第1楽章。アダージョ、アレグロ・スプリトーゾ。明るい華やかな音楽。

第2楽章。アダージョ。重厚なアダージョ。

第3楽章。メヌエット、アレグロット。これぞ、メヌエット、という音楽。

第4楽章。フィナーレ、プレスト。流れるような音楽。

1983年、バーンスタイン指揮、ウィーンフィルの学友教会での演奏。

ハイドン:交響曲第88番

ハイドンが、1787年に作曲した、88番目の交響曲。

第1楽章。アダージョ、アレグロ。軽やかな音楽。

第2楽章。ラルゴ。

第3楽章。メヌエット、アレグレット。

第4楽章。フィナーレ、アレグロ・コン・スピリト。流れるようなフィナーレ。

1983年11月、バーンスタイン指揮、ウィーンフィルの学友教会での演奏。

ブルックナー:交響曲第9番

ブルックナーが1896年に亡くなった時、最終楽章が未完のままに残された、ブルックナーの9番目の交響曲。

第1楽章。Feierlich, misterioso。

ブルックナーらしい、巨大なファンファーレだが、misteriosoという名の通り、神秘的な響きを持っている。

第2楽章。Scherzo. Bewegt, lebhaft - Trio. Schnell。

スケルツォにしては、爆音、ダイナミック。

第3楽章。Adagio. Langsam, feierlich。

一転して、美しいアダージョ。

最後は、消え入るようにして、音楽が終わる。

ダイナミックな大音響が代名詞のブルックナーの、最後の交響曲の最後の楽章は、意外にも、静かな終わり方だった、

バレンボイム指揮、シュターツカペレ・ベルリンの2010年6月ベルリン・フィルハーモニーでの演奏。

2016年2月14日日曜日

ベートーヴェン:『シュテファン王』序曲

ベートーベンが、ハンガリーのある劇場の新築公演用に1812年に作曲した序曲。

エネルギッシュなエグムント序曲に比べると、華やかな印象の音楽。

1978年11月、バーンスタイン指揮、ウィーンフィルの楽友協会での演奏。

ベートーヴェン:『エグモント』序曲

ベートーヴェンが、1809年から1810年にかけて作曲した、ゲーテの同名の戯曲のための、劇付随音楽。

序曲の他に、9つの曲からなっているが、通常は序曲のみが演奏される。

短い中に、ベートーヴェンのエネルギッシュな音楽が凝縮しており、聴く者の気分を高揚させる。

1975年、カラヤン指揮、ベルリンフィルの演奏。

ベートーヴェン:ピアノソナタ第32番

ベートーヴェンが、1819年から1822年にかけて作曲した、32番目の、そして最後のピアノソナタ。

2つの楽章から構成されている。ベートーヴェン本人は、その理由を、その後を書く時間がなかったから、と語ったという。

第1楽章。Maestoso - Allegro con brio ed appassionato 。ハ短調。

助奏の後で、運命のテーマのような、印象的なメロディが現れ、この主題が楽章全体を引っ張っていく。

第2楽章。Arietta. Adagio molto, semplice e cantabile。ハ長調。

始めは、迷走するような、静かでゆっくりとした音楽が、徐々に軽快で生き生きとした音楽に変わっていく。

その後は、再び、静かな音楽に変わり、そのまま終わりを迎える。

ダニエル・バレンボイムによる1983年から1984年にかけて行われた、全曲演奏から。

ベートーヴェン:ピアノソナタ第31番

ベートーヴェンが、1821年に完成させた、31番目のピアノソナタ。

第1楽章、Moderato cantabile molto espressivo。変イ長調。

繊細で、敬虔な印象を受ける音楽。

第2楽章、Allegro molto。ヘ短調。

単調のせいか、少しダークな印象のアレグロ。

第3楽章、Adagio, ma non troppo - Fuga. Allegro, ma non troppo。変イ長調。

最初は、アダージョ、そして後半はフーガという珍しい構成。

ダニエル・バレンボイムによる1983年から1984年にかけて行われた、全曲演奏から。

ベートーヴェン:序曲『コリオラン』

ベートーヴェンが1807年に作曲した、演奏会用の序曲。

古代ローマの政治家で、悲劇的な死を迎えたコリオランが主人公の戯曲を見て、その感動を元に作られた曲。

ベートーヴェンの脂が乗り切った時代の曲なので、同時期の運命交響曲のような、ダイナミックで劇的な構造を持っている。

1996年10月、ミュンヘンのヘルクレスザールにおいて、カルロス・クライバー指揮、バイエルン国立歌劇場管弦楽団による演奏。

ベートーヴェン:ピアノと管楽のための五重奏曲変ホ長調

ベートーヴェンが、1796年、26才の時に作曲した、ピアノとオーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットという4つの管楽器のための五重奏曲。

同名のモーツァルトの曲を参考に作ったという。

若きベートーヴェンの、古典派的な要素が色濃い内容で、3つの楽章から成り立っている。

ジェイムズ・レヴァインのピアノと、アンサンブル・ウィーン=ベルリンによる、1986年の演奏。

2016年2月13日土曜日

シベリウス:交響曲第5番

シベリウスが、1915年に自らの50歳の誕生日を祝うイベント用に作曲した、5番目の交響曲。

第1楽章。変ホ長調。Tempo molto moderato - Allegro moderato (ma poco a poco stretto) - Vivace molto - Presto - Più Presto。

北欧の広大な森と大地を感じさせる、壮大な音楽。

第2楽章。ト長調。Andante mosso, quasi allegretto - Poco a poco stretto - Tranquillo - Poco a poco stretto - Ritenuto al tempo I 。

一つの主題が様々な楽器によって、何度か演奏される。

第3楽章。変ホ長調。Allegro molto - Misterioso - Un pochettino largamente - Largamente assai - Un pochettino stretto。

印象的な雄大な主題が展開される。そして、最後に、間をおいて、6つの和音が奏でられるという印象的な終りを迎える。

2015年1月、ミュンヘンのヘルクレスザーレでの、エサ=ペッカ・サロネン指揮、バイエルン放送交響楽団の演奏。

ヒルボリ:11の門

スウェーデン生まれのアンデシュ・ヒルボリが、2006年に作曲した管弦楽団のための音楽。

11の曲からなり、それぞれの曲には、おしゃべり鏡の部屋で突然、キツツキとの混乱した対話、海に映るおもちゃのピアノ、などユニークな名前が付いている。

音楽的なスケッチとでも行ったところだろうか。

いわゆる難しい現代音楽、という感じではなく、映画『未知との遭遇』などのテーマが引用されるなど、ポピュラーな、親しみやすい音楽になっている。

2015年1月、ミュンヘンのヘルクレスザーレでの、エサ=ペッカ・サロネン指揮、バイエルン放送交響楽団の演奏。

パーセル:メアリー女王のための葬送音楽

ヘンリー・パーセルが、イングランドのメアリー女王の1694年の死に際して作曲した、葬送音楽。

この曲のために作曲したものではなく、それまでの自身の作品からの引用がほとんどだという。

基本的には合唱曲で、歌詞は、英国国教会の祈祷書から取られている。

音楽は、敬虔な内容で、パーセルの女王に対する敬愛の念が、よく表れている。

第1曲目と7曲目の間に、5つの歌曲が挟まれている構成。

スタンリー・キューブリックの映画、『時計仕掛けのオレンジ』の冒頭で、印象的の使われている。

2014年3月、ミュンヘンのガスタイクで演奏された、ダニエル・ハーディング指揮、バイエルン放送交響楽団及び同合唱団による演奏。


2016年2月11日木曜日

ブルックナー:交響曲第8番

ブルックナーが1884年から1887年に作曲した、8番目の交響曲。

第1楽章。Allegro moderato。

静かな始まり。複雑な音楽。

第2楽章。Scherzo. Allegro moderato。

有名な、ブルックナーらしい、単調で素朴な主題が最初と最後に登場する。ブルックナー自身は、ドイツの野人と表現している。

自分でも、この音楽の単純さ、粗野さを意識していたようだ。

第3楽章。Adagio. Feierlich langsam, doch nicht schleppend。

重厚な音楽で奏でられるアダージョ。

第4楽章。Finale. Feierlich, nicht schnell。

壮麗なファンファーレで始まるが、やがて、静かな展開に。

徐々に盛り上がりながら、ゆっくりとした音楽ながら、雄大なフィナーレを迎える。

バレンボイム指揮、シュターツカペレ・ベルリンの2010年6月ベルリン・フィルハーモニーでの演奏。

2016年2月7日日曜日

ブルックナー:交響曲第7番

ブルックナーが1881年から1883年にかけて作曲した、7番目の交響曲。

1884年に初演され、ブルックナーの交響曲としては、初めて大きな成功を収めた。

この交響曲の作曲中、1883年にワーグナーが亡くなり、そのオマージュもこの交響曲の中には含まれている。

第1楽章。アレグロ・モデラート。

色々な音楽が現れる、複雑な楽章。

第2楽章。アダージョ。

ブルックナーの数ある主題の中でも、とりわけ有名な、哀愁のあるメロディ。

第3楽章。スケルツォ。

実に単純な主題が展開する。私が最も嫌う、ブルックナーの音楽だ。どうも、ダサいなあ、と感じてしまう。

第4楽章。フィナーレ。

ブルックナーにしては、それほどダイナミックなフィナーレではない。

バレンボイム指揮、シュターツカペレ・ベルリンの2010年6月ベルリン・フィルハーモニーでの演奏。

ブルックナー:交響曲第6番

ブルックナーが、1879年から1881年にかけて作曲した、6番目の交響曲。

ブルックナーは、1880年にスイスに旅行しており、その時のスイスの大自然の印象が、この交響曲には反映されているという。

ダイナミックで大音響、というイメージの強いブルックナーの作品の中では、比較的、穏やかな音楽。

第1楽章。Maestoso。

ヴァイオリンの音がとてもよく聞こえてくる。ブルックナーにしては、珍しい。

アラビアのロレンスのBGMにでもよく合いそうな、オリエンタルな音楽も印象的。

第2楽章。Adagio.Sehr feierlich。

美しいアダージョ。ワーグナーのトリスタンとイゾルデからの影響、そしてマーラーのアダージョへの影響が、それぞれ感じられる。

第3楽章。Scherzo.Nicht schnell - Trio.Langsam。

これまで鳴りを潜めていた、ブルックナーらしい壮麗な音楽がようやく現れる。

第4楽章。Finale.Bewegt,doch nicht zu schnell。

壮大なフィナーレだが、ブルックナーの他の交響曲のフィナーレに比べると、やや抑えられている感じがする。

バレンボイム指揮、シュターツカペレ・ベルリンの2010年6月ベルリン・フィルハーモニーでの演奏。

2016年2月6日土曜日

ワーグナー:オペラ『トリスタンとイゾルデ』

ワーグナーが1857年から1859年にかけて作曲した3幕からなるオペラ。台本も自ら書いている。

1865年6月10日、ミュンヘンの宮廷歌劇場で初演された。

ケルト人の伝説に基づくトリスタン神話が元になっている。

当時、ワーグナーはパトロンの妻だったマティルデ・ヴェーゼンドンクと不倫関係にあり、その事がこの物語にも反映されていると言われる。

マルケ王の忠実な部下であった勇者トリスタンが、騙された飲まされた愛の媚薬によって、王の妻イゾルデと許されぬ愛に陥ってしまう。

お互いの地位や、名前を忘れて、一つになり、愛のみに生き、ともに死にましょう、と歌う二人の言葉に、この物語の本質が現れている。

第1幕の序曲は、このオペラの終曲でもあり、イゾルデの愛と死は、この世の中で最も美しい音楽の一つだろう。

第2幕の延々と続くトリスタンとイゾルデの二重唱は、このオペラのハイライト。

ワーグナーを代表するということ以上に、19世紀後半のロマン主義を代表する芸術作品となっている。

2015年のバイロイト音楽祭での上演は、二人は媚薬を飲む前から、実は愛し合っていた、という大胆な設定で、牢屋のようなモダンな舞台演出を取り入れている。

ブルックナー:交響曲第5番

ブルックナーが、1875年から1878年にかけて作曲した、5番目の交響曲。

ブルックナー自身は、この交響曲のことを、対位法風あるいは幻想曲風と呼んでいた。

第1楽章。Introduktion: Adagio - Allegro。

静かなアダージョで始まるが、次第に、ブルックナーらしい、吹奏楽を使った雄大な音楽に変わっていく。

第2楽章。Adagio. Sehr langsam。

重厚なアダージョで始まる。全体的にゆっくりとした音楽が続く。

第3楽章。Scherzo. Molt vivace, Schnell - Trio. Im gleichen Tempo。

めまぐるしくいろいろな音楽が展開する。

第4楽章。Finale. Adagio - Allegro moderato。

ブルックナーらしい、壮大なフィナーレ。

バレンボイム指揮、シュターツカペレ・ベルリンの2010年6月ベルリン・フィルハーモニーでの演奏。

2016年1月17日日曜日

ジェローム・カーン/オスカー・ハマースタインⅡ世:オペラ『ショー・ボート』

ジェローム・カーンとオスカー・ハマースタインⅡ世が作曲し、1927年に初演された、オペラ、というよりミュージカル?

ミシシッピー川をショーボートで暮らしながら公演する劇団を舞台に、黒人への人種差別。主演歌手の夫の失踪、その主演歌手のシカゴでの成功など、様々な要素が取り込まれている。

最後には、バラバラになった家族が再び一緒になる、ハッピーエンド。

音楽的には、何といっても、黒人奴隷たちが歌う、オール・マン・リバーが圧倒的な存在感を誇る。

アメリカらしいオペラで、ヨーロッパの名作オペラに決して見劣りしない。

その土地が持つストーリーを、見事にオペラに仕立てている屈指の名作。

2014年6月、サンフランシスコ・オペラ公演から。

2016年1月16日土曜日

ブルックナー:交響曲第4番『ロマンティック』

ブルックナーが1874年に作曲した4番目の交響曲。いつもの通り、その後、度々改訂している。

ブルックナーは、これまで好きな作曲家ではなかったが、今年は、少し聞いてみることにした。

第1楽章、Bewegt, nicht zu schnell。

ブルックナーらしい、管楽器を使った勇壮な主題が印象的。

第2楽章、Andante quasi Allegretto。

一転して、静かな音楽。

第3楽章、Scherzo. Bewegt - Trio. Nicht zu schnell, Keinesfalls schleppend

前半は壮麗だが、後半は、落ち着いた音楽になっていく。

最後は、ブルックナーらしい管楽器のダイナミックな音楽で終わる。

第4楽章、フィナーレ “Bewegt, nicht zu schnell”。

冒頭から、強烈な音楽が炸裂する。途中静かな音楽なり、最後は、雄大な音楽になり、大団円という感じのフィナーレ。

バレンボイム指揮、シュターツカペレ・ベルリンの2010年6月ベルリン・フィルハーモニーでの演奏。


2016年1月10日日曜日

ハイドン:交響曲第101番『時計』

ハイドンが、ロンドン公演用に作曲した交響曲の一つで、1793年から1794年にかけて作曲された、101番目の交響曲。

第2楽章の規則正しいメロディから、時計、という名前が付けられている。

第1楽章、アダージョ、プレスト。

第2楽章、アンダンテ。

第3楽章、メヌエット、アレグレット。

第4楽章、フィナーレ、ヴィヴィアーチェ。

飯森範親指揮、センチュリー交響楽団による2015年9月の大阪いずみホールでの演奏。

ハイドン:交響曲第14番

ハイドンが1762年に作曲した、14番目の交響曲。

第1楽章、アレグロ・モルト。

第2楽章、アンダンテ。実に美しいメロディ。

第3楽章、メヌエット、トリオ、アレグレット。

第4楽章、フィナーレ、アレグロ。

飯森範親指揮、センチュリー交響楽団による2015年9月の大阪いずみホールでの演奏。

ハイドン:トランペット協奏曲

晩年のハイドンが、1796年に作曲した、唯一のトランペットのための協奏曲。ハイドンにとって、最後の協奏曲になった。

キートランペットの発明者にして演奏家でもある、ヴァイティンガーという人物のために作曲した。

第1楽章、アレグロ。

第2楽章、アンダンテ。

第3楽章、アレグロ。

トランペットの音色の豊かさを改めて実感する、素晴らしい作品。

飯森範親指揮、センチュリー交響楽団による2015年9月の大阪いずみホールでの演奏。

ハイドン:交響曲第77番

ハイドンが、1782年に作曲した交響曲。ロンドンでの公演用に作曲した3つの交響曲の2番目の曲。

第1楽章、ヴィヴィアーチェ。爽やかな朝のような音楽。

第2楽章、アンダンテ・ソステヌート。ゆっくりとした穏やかな音楽。

第3楽章、メヌエット・アレグロ。少し早いが、穏やかな音楽。

第4楽章、アレグロ・スピリトーゾ。軽快で生き生きとした音楽。

飯森範親指揮、センチュリー交響楽団による2015年9月の大阪いずみホールでの演奏。

2016年1月9日土曜日

シベリウス:交響曲第1番

スウェーデン系のフィンランド人、ジャン・シベリウスが1898年から1899年にかけて作曲した最初の交響曲。

シベリウスは、すでにフィンランディアなどの交響詩で知られていたが、ベルリンを訪れてベルリオーズの幻想交響曲を聞いたことをきっかけに、この交響曲に取り組んだ。

当初は、標題音楽を意図していたが、最終的には純粋音楽となった。

第1楽章 Andante, ma non troppo - Allegro energico。

壮大な音楽で始まるが、繊細な要素も含まれている。

第2楽章 Andante (ma non troppo lento) - Un poco meno andante - Molto tranquillo。

穏やかに展開する音楽。

第3楽章 Scherzo. Allegro - Trio. Lento (ma non troppo)。

前半はスケルツォだが、後半はアレグロ。

第4楽章 Finale(Quasi una Fantasia). Andante - Allegro molto - Andante assai - Allegro molto come prima - Andante (ma non troppo)。

チャイコフスキーのような大地から湧き上がってくるような、重厚な音楽が展開されて、聞きごたえがある。

ハンヌ・リィンテゥ指揮、フィンランド放送交響楽団の2013年11月、ヘルシンキでの演奏。